日焼けや運動後のクールダウンはもちろん、捻挫やヤケドなど、怪我をした時の応急手当にも便利な「氷嚢(氷のう)」。
世代によっては、ゴム製の氷嚢や吊り下げ型の氷嚢、氷枕など、何となく一昔前の道具っぽいというイメージを持たれているという方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、実は氷嚢も時代とともに進化していて、最近では新素材を用いたお洒落な氷のう型の「アイスバッグ」と呼ばれる冷却グッズも注目されているんですよ!
今回は・・・
「どんな時に使うの?」
「他の冷却グッズとの違いは?」
など、氷嚢に関する疑問を解決していきます。
氷嚢の基本的な使い方はもちろん、外出時に冷たいまま持ち運べる便利グッズなどについても、詳しくご紹介しますね♪
目次
氷嚢(アイスバッグ)とは?
氷嚢とは、分かりやすく言うと「水と氷を入れた袋」のことで、主に炎症を伴う怪我の患部など体の一部だけを冷やしたいときに用います。
氷嚢の素材としては、昔ながらのゴム製のものもありますが、外側の素材がポリエステル製で内側はシリコンのものなど、異なる素材が組み合わさっているものも最近は増えています。
後ほど詳しくご紹介しますが、ビニール袋に氷を入れたものも、立派な氷嚢の一種ですよ。
でも、単に冷やすだけでいいなら、「ケーキ屋さん等で買い物をした時などにもらえる保冷剤とかで十分じゃないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
氷嚢を、保冷剤など他の冷却グッズと比べたときの大きな違いや、主なメリットは・・・
- やわらかい素材で形状が変化するため患部に密着しやすい=効率的に冷やせる
- 氷や水の量により温度を調整しやすい=色々な状況に対応できる
保冷剤などは凍らせると固くなり、例えば膝や肘など関節部分を冷やしたい時には患部にフィットしづらく、ちょっと使いづらさがあると思います。その点、氷嚢であれば冷やしたい部分にあわせて形が変形するので、とても効率的に冷やすことが出来ます。
また、肌に貼るタイプの冷却ジェルシートなど、他の使い捨てタイプの冷却グッズと違って、繰り返し使えるという点も、嬉しいメリットですね。
続いては、氷嚢があれば具体的にどんな状況に対応できるのかについて、詳しく見ていきましょう。
氷嚢(アイスバッグ)の主な用途
氷嚢の用途はとても幅広く、一般的にはスポーツをした後や怪我をした時などのアイシング(局部冷却療法)に使われることが多いです。
特に重宝するのは、応急手当をする際。捻挫やたんこぶなどのケガをした直後は、炎症や腫れを抑えるためにすぐに患部を冷やしたほうが良いとされています。
先ほどメリットとしてご紹介したように、氷嚢があれば他の冷却グッズより効率よく冷やすことが出来ます。
また、熱中症の予防や日焼けによる炎症を抑えるために氷嚢を当ててクールダウンするなどの使い方もできます。
特にゴルフをされる方は、「夏場にお世話になった」という人も多いのではないでしょうか?
他にも、氷嚢はスポーツ業界では結構なじみが深い存在で、競技前のウォーミングアップや競技中のパフォーマンス向上、運動後の筋肉の疲労回復や筋肉痛を緩和などを目的にした使われ方もされています。
冷やすことで痛みを和らげる効果も
氷嚢は、頭痛や歯痛といった痛みを一時的に鎮めるのにも、便利に使えます。
「ワクチン接種後、副反応で腕が痛い!」という時にも痛みを和らげることができるので、常備しておくと安心ですね。
氷嚢をお子さんの発熱時に使いたい時の注意点
子どもって急に高熱を出すことがあるので、びっくりしますよね。
熱があるとすぐに冷やしてあげたくなるかもしれませんが、冷却グッズの発熱時の使用に関しては、ちょっと注意が必要です。
熱が上がりきるまでは冷やさないほうがよい
昔は発熱時にはおでこを冷やすのが当たり前でしたが、現代では発熱時に冷やすという行為は医療業界であまり推奨されていません。
子どもの発熱の主な原因は、感染症などで体内に侵入したウイルスや細菌をやっつけるための生体防御反応1(※種々の異物の侵入を防ぎ、侵入した異物および異物に起因する障害を取り除き、修復するための連動した機構のこと)であることが多いからです。
ウイルスや細菌の活動性を弱めたり、自身の抵抗力を高めたりして身体を守ろうとしている証拠なので、無理に熱を下げようとする必要はないということなんです。
お子さんの様子を見ながら上手に活用
それでも、やっぱり親としては小さい子が熱で苦しんでいるのは見ていて心配になりますよね。
お子さんが高熱で寝付けない場合や、熱がしっかり上がりきった後については、身体を少し冷やしてあげることで体力の消耗を少し緩和できるというメリットがあります。
そのときの状況に応じて、上手に使ってあげたいですね。
ただし冷たくて嫌がる場合には、無理強いはしないであげてくださいね。
とっても簡単!覚えておきたい「ビニール袋氷嚢」の作り方
先ほどご紹介したように、氷嚢はとってもシンプルな構造なので、「自分でも作れるのでは?」と思った方もいらっしゃるはず。
・・・実はそのとおり!
市販の氷嚢(アイスバッグ)は「そんなに必要とするシーンが無さそうだし、買うほどじゃない」と思っている方は、おうちで作れる簡易的な氷嚢の作り方を覚えておくと、いざという時に役立ちますよ。
ここでは、ご家庭にあるもので簡単にできる作り方と、ちょっとしたコツをご紹介します。
ビニール袋を使った氷嚢の作り方
- ビニール袋(レジ袋やジッパー付きの保存袋でも可)
- 家庭用冷蔵庫でつくった氷
- ザル
- 水
※使用するビニール袋の厚みが薄い場合は、破れないように2枚重ねにしましょう。
袋に入れる前に、ザルなどに氷を移して水に浸し、氷同士がくっつかない状態にしてください。
また、外出先で作る場合でざるが無いときは、袋に少量の水を入れるという方法もあります。
こうすることで、患部に氷が当たる表面積が増えます。
さいごにしっかりと袋の口を縛ったら、完成です。
一方で、市販の「アイスバッグ」などの名称で売られている袋を使った氷嚢は、とても簡単に使えます。
毎回ビニール袋で作るのが大変だし面倒くさい!という方には、市販のアイスバッグの方がおすすめです。
市販のアイスバッグの基本的な使い方と注意点
市販の氷嚢は、布製やシリコン製といったやわらかい素材の物が多く、患部にフィットさせる使い方がしやすいです。
また、使う時の準備の仕方も、ビニール袋で一から作るよりもシンプル!しかも中身を入れ替えれば繰り返し使えます。
最近では100均やホームセンター、通販ショップなどでもたくさんの種類が売られているため手軽に手に入りますよ。
ここでは、弊社が運営するショップ等でも取り扱っている、一般的な市販のアイスバッグを用いた氷嚢の作り方をご紹介します。
- 市販のアイスバッグ
- 家庭用冷凍庫などの氷
- 水
氷と一緒に少量の水を入れると、患部に密着しやすくなります。

※ロックアイスなど角がとがった氷の場合、内面に傷がつき、水もれを起こすおそれがあります。氷は小さめに砕くか、少量の水を入れて表面を滑らかにした上でご使用ください。


アイシング(局部冷却療法)に使う時のポイント
ケガをしたところや痛みのあるところに当てる時間は、約10~20分が目安です。
ただし、冷える時間には個人差がありますので、10~20分経過していなくても、感覚がなくなったら中断するようにしましょう。
氷のうを持ち運ぶなら缶ホルダーがおすすめ!
氷嚢はとても便利な冷却グッズですが、すぐに中の氷が溶けてしまうのが残念なポイント。
できれば、暑さ対策で使われる場合や家で作って外出先で使いたい場合は、少しでも長く冷たさを持続したいですよね。
そんな時は氷嚢に水を入れ、丸ごと冷凍庫で凍らせてしまうという方法も!
普通の作り方よりも隙間なく大きな氷が作られるため、長時間氷が保ちます。乾いたタオルなどで包んで外気を遮断すると、より保冷効果が持続します。


保冷バッグやクーラーボックスに入れて持ち運ぶという手段もありますが、結構重いしかさばります。
サーモスの水筒などのように長時間氷が溶けにくい保冷水筒に氷水を入れて、外で作るというのも手かもしれないですが……氷嚢に使う袋と水筒の両方を持ち歩くのは、やっぱり荷物が多くなって大変ですよね。
何かよいアイテムは無いかなあと思っていた時に見つけたのが、氷嚢ケースとしても使える「缶ホルダー」。
これが、すごく便利なんです!
缶ホルダーの構造と役割
そもそも「缶ホルダー」をご存知ないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
缶ホルダーは、冷やした缶入りのドリンクをそのまま入れるだけで、缶の冷たさを長時間キープしてくれるという優れもの!
ジュースやコーヒーはもちろん、ビールや酎ハイなども冷たく持ち運べるので、BBQなどをよくされるアウトドア好きの方にとっても欠かせない存在です。
冷たさをキープできる秘密は、保冷水筒やペットボトルクーラーを始めとする保冷グッズでおなじみの「断熱二重構造」。
保温力や保冷力を高めるために、外部の熱や内側の熱が伝わらないように側面や底面の壁が二重になっています。
これによって長時間氷を溶かさずにキープできるのはもちろん、結露で周りが濡れてしまうという悩みからも解放してくれます。
氷嚢を使わないときは、普通に缶ホルダーとして冷た~い缶飲料の持ち運びはもちろん、冬にはホットの缶飲料の温かさもキープしてくれるので、すごく便利ですよ。
おわりに
手軽に使える便利な冷却グッズの一つ「氷嚢(アイスバッグ)」は、さまざまな用途で使えます。
熱中症対策グッズとしてはもちろん、怪我したときやスポーツシーンでも大活躍!
予期せぬケガをした時など、万が一の時にすごく重宝するアイテムなので、一つだけでも備えておくか作り方を知っておくと安心ですね。
市販のアイスバッグの中には、お湯を入れられるタイプもあり、カイロのように寒さ対策グッズとしても使えます。
そちらもすごくおすすめのアイテムなので、「まだ使ったことがない」という方も、是非この機会にお店などで見かけたら手に取ってみて下さいね。
▼今回ご紹介した氷嚢ケースはこちら


【参考資料】
歴史から紐解く看護技術 (第 12 回) 「家庭看護の必需品 [氷嚢]: 牛馬豚の膀胱は舶来品」鈴木紀子 – 看護技術, 2011
くすりの博物館「<その24>衛生器具 熱の不快を取り去る-氷嚢(ひょうのう)と氷枕-」検索日:2021/9/10
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502_00001.html 検索日:2021/9/10
「スポーツ選手のための応急処置」身体運動文化フォーラム = Human movement arts forum (1), 69-82, 2006-03-31 関西大学身体運動文化学会
ナース専科「クーリング(冷罨法)とは|目的と方法〜根拠がわかる看護技術」検索日:2021/9/10
市立名寄短期大学紀要「大学病院と公立病院における小児科看護師の発熱対処行動」細野 恵子、岩元 純 2008
小児保健研究「発熱児に対する母親の認知と対処行動 : 1,089名の母親の現状分析」細野恵子, 岩元純 2006
※上記の資料のほか、記事内容については医師や関連研究の取材内容を元に執筆しておりますが、あくまで見解の一つであり業界の総意ではない意見も含まれることと、取材当時の情報となりますのでご了承ください。