家事のコツや収納術、インテリアやおでかけにまつわる話などを通して「わたしらしい暮らし方」をご提案します。
お菓子作りのレシピで登場する「粉糖」。料理にはあまり使わない材料だけに家に常備していない人も多いと思います。
わざわざ買いに行くのは面倒……という時には、家にあるものを使うのも手。今回は、調理師の満畑ペチカさん監修のもと、粉糖の代用アイデアをご紹介します。
そもそも「粉糖」ってどんなもの?
粉糖とは、実は「グラニュー糖」を細かい粉末状にしたものです。それにコンスターチを加えて、サラっとした状態になったものが売られていることもあります。
▲(左)粉糖、(右)上白糖
上の写真は一般的に家庭でよく使う普通の砂糖(上白糖)と粉糖を並べた写真。比べてみると、上白糖は粒が見て分かるほどの大きさなのに対し、粉糖は粒がとても細かくサラサラしています。
なめてみると上白糖はしっかり甘さを感じますが、粉糖は上白糖に比べてほんのりとした甘みで味にクセもありません。粉糖の特徴をまとめます。
<粉糖の特徴>
- 粒子が細かく、普通の砂糖よりも溶けやすい
- 粉類など他の材料と混ざりやすい
- クセのない甘さ
- なめらかで口当たりがよい
- 湿気を吸いやすく固まりやすい
では粉糖の使い道を具体的にみていきましょう。
<粉糖の使い道>
- デコレーション……焼き菓子の仕上げに使うと見た目がグレードアップする
- シュガーアート……繊細な模様をくっきり表現できる
- アイシング……なめらかな見た目とザラつきのない舌ざわりになる
- マカロンなどの焼き菓子に……サクッとした食感やほろほろとした口どけに仕上がる
ひとつは粉雪のような見た目を活かすとき。手作りスイーツのデコレーションに使うとプロのような仕上がりになります。また、黒い皿の上に振りかけてシュガーアートにするのも人気です。
もうひとつはまろやかな甘味をつけたい時。普通の砂糖より、粒子が細かい分、甘さが上品に仕上がるのが特徴。アイシングや繊細な味わいを特徴とするマカロンのようなお菓子によく使われます。
以下の記事では、調理師である満畑ペチカさんが、上白糖、グラニュー糖、粉糖を料理や紅茶に入れて味の違いをレポートくれているので、こちらもぜひ参考にしてください。
>>余ったグラニュー糖や粉糖を料理に使うと? おすすめの使い道を調理師が紹介
粉糖の代用として使えるのは?
粉糖を使いたいけれど、「まぶすだけなら少しでいいから買うのはもったいない」「もう買いに行く時間がない」という時は、家にある砂糖や食品で代用することができます。
今回は調理師の満畑ペチカさんに代用アイデアを監修いただきつつ、編集部で実際に粉糖と代用品を比べてみました。
満畑ペチカ
調理師・ライター。つくること・食べることが大好きで調理師免許を取得。医療福祉施設での勤務経験あり。おいしいご飯のレシピや暮らしの便利なもの、日ごろの衛生管理について執筆中。
左が粉糖、右が代用品です。それぞれに特徴があるので、使い道によって代用品を使い分けるのがベストです。どう使い分けるかをリポートします。
「砕いたグラニュー糖」で代用
▲(左)粉糖、(右)砕いたグラニュー糖
粉糖はグラニュー糖を細かく砕いたもの。ということは、反対にグラニュー糖を細かくすれば粉糖になります。グラニュー糖がなくてもコーヒーや紅茶に使うスティックシュガーがあれば同じグラニュー糖なのでOK。
砕くときはすり鉢やミル、ミキサーで粉砕します。写真のグラニュー糖は、すり鉢で5分すったもの。する時間を延ばせばもっと細かい粒子になって粉糖に近くなり、粉糖と同じように使えます。
砕くものがない、砕いている時間がないという時はそのままでも使えますが、見た目は若干変わります。またアイシングのようになめらかさが必要な場合には、そのままだと思ったような仕上がりにはならないので、砕いて使うほうがよいでしょう。
「砕いた上白糖」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)砕いた上白糖
グラニュー糖がないうちでも、上白糖は料理に使う普通の砂糖としていつも使っているという人も多いと思います。でも粉糖のようなサラサラした感じではないので、そのまま代用するのはおすすめしません。
上記の写真はすり鉢で5分ほどすってみたもの。サラサラとまではいきませんが、かなり粉糖に近いかんじになりました。少し手間はいりますが、すり鉢やミルで砕けば、デコレーションやシュガーアートに使っても問題なさそうです。
ただ粉糖よりも甘味を強く感じるため、マカロンや焼き菓子では仕上がりが変わってくる可能性があります。
「砕いた三温糖」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)砕いた三温糖
普通の砂糖の代わりに、味に深みのある三温糖を使っているという人もいると思います。
三温糖もすり鉢で砕いてみたところ、写真のように上白糖と同じような粒子の大きさにすることができました。ただ、三温糖は色がついているので、カップケーキに振りかける時やシュガーアートをする時など、真っ白なデコレーションをしたいときには向いていません。
また少しクセのある味わいなので、繊細な甘味をつけたい時も注意が必要。ココアやコーヒーなど、強い風味のものと合わせて使う場合には、気にしなくてもよさそうです。
「きび砂糖」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)きび白糖
上白糖の代わりに、やさしい味わいのきび砂糖を使っている人もいるかもしれません。きび砂糖は上白糖や三温糖よりも粒子が細かくサラッとしているので、砕かずそのまま使ってOK。写真は粒子を比較したもので、あまり大差がないのが分かります。
ただ三温糖と同じく茶色の色がついているので、デコレーションに使うとイメージ通りとはいかないかもしれません。またサトウキビから作られているので、独特のコクと風味があります。粉糖の代わりにきび砂糖で甘みを付けたいという場合は、味が変わる可能性があることを頭に入れておきましょう。
「パウダー状のコーヒーミルク」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)パウダー状のコーヒーミルク
コーヒーを飲む時に入れるパウダー状のコーヒーミルクがあるなら、デコレーションやシュガーアートで粉糖の代用として使うのもアリ。
調理師の満畑ペチカさんも「コーヒークリーマーはクリームを粉末にしたもの。やや溶けやすいですが、味の邪魔をしにくく見た目にも違和感がありません」とのこと。
また牛乳と乳糖をパウダー状にしているのでクリーミーな味わいなのが特徴。甘味をつける目的で粉糖の代用にするのは避けたほうがよさそうです。
「小麦粉」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)小麦粉
小麦粉なら家にあるという人も多いと思います。色が白くてサラッとしている小麦粉は、デコレーション目的なら粉糖の代用が可能です。ただ、少し粒子が大きく、ふるいにかけないとダマになってしまうこともあるので、注意を。
ただ砂糖ではないので、甘さはありません。マカロンなどの焼き菓子に粉糖の代用にならないのはもちろんですが、デコレーションで甘味をプラスしたいという場合にも不向きです。またかけすぎると粉っぽさが味に影響してきますので、その点も注意しましょう。
「片栗粉」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)片栗粉
見た目は粉糖にそっくりの片栗粉。写真のように粒子の大きさは、小麦粉よりかなり細かいことが分かります。そのため焼き菓子のデコレーションやシュガーアートに使うなら、小麦粉よりも片栗粉のほうがおすすめ。
満畑ペチカさんも「片栗粉は溶ける心配がなく、粒子が細かいので見た目の違和感もありません。撮影で作りたての見た目を保ちたいとき、ちょっと見た目をきれいに仕上げたいときなど、ピンチヒッターとして活用してみてくださいね」とのこと。
甘さはプラスできないため、お菓子本体にしっかり甘さを加え、デコレーションだけに使うというのなら使えそう。また、お菓子を甘く作りすぎたときのデコレーションとしても活躍しそうです。
「米粉」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)米粉
アレルギーや健康を考えて、小麦粉の代わりに米粉を使っている人もいると思います。写真のように粒子は粉糖並みに細かく、しかも粉糖のようにサラッとた感じです。今回、黒い用紙の上にのせたところ、見た目は一番粉糖に近いと感じました。そのため、デコレーションとして使う場合におすすめです。
ただこちらも甘味を必要とする使い方はできません。甘さをプラスできないため、多く振りかけると粉っぽさが味わいに影響する場合も。あくまで飾りとして振りかける程度にとどめておきましょう。
「ココアパウダー」で粉糖を代用
▲(左)粉糖、(右)ココアパウダー
お菓子作りだけでなく、飲み物としてホットココアを楽しむ時にも使うココアパウダー。家に常備しているなら、粉糖の代用にしてみるのもいいかもしれません。写真のように粒子の細かさは、粉糖とより少し大きいという程度。同じようにサラサラしているので、デコレーションやシュガーアート的に使うのに向いています。
ただ色は茶色なので、見た目はかなり変わってきます。粉糖はよく、ブラウニーやカヌレといった黒い焼き菓子の仕上がりに使いますが、逆にココアパウダーは白いお菓子にかけるとよさそう。
白いミルクココアパウダーなら、チョコレートを使ったレシピに使うのにぴったり。粉糖と同じ量を使ってOKです。
粉糖がなくてもOK! 代用して気軽にお菓子作りを楽しもう
「わぁ」と歓声が上がるようなデコレーションに欠かせない粉糖。でも家にないからといって、お菓子作りをあきらめるのはもったいない。
また焼き菓子の材料にたっぷり必要な時も、他の砂糖が代用として使える場合があるのでそれぞれの特徴を知っておくと役立ちます。身近にあるもので代用できると知っておくとお菓子作りのハードルも下がるはず。ぜひ、粉糖の代用になるものを知って、いろいろなレシピにチャレンジしてくださいね。