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鉄フライパンを初めて使うときは「空焼き」と「油ならし」の作業が必要です。なんだか面倒くさそうと思うかもしれませんが、手順を踏まえれば実は簡単。今回は、鉄フライパンを上手に使うための「空焼き」と「油ならし」の手順をご紹介します。
なぜ必要?「空焼き」と「油ならし」をする理由
鉄フライパンは、買ってきていきなり使い始めるのはNGです。使う前に、鉄フライパンに施されたコーティングを焼く切るための作業「空焼き」と油をなじませる「油ならし」の作業が必要です。
「空焼き(焼き入れ)」が必要な理由
鉄フライパンは流通段階でのサビを防止するために、表面にサビ止めの塗装が施されています。鉄フライパンの使い始めにはこの塗装を取り除く必要がありますが、取り除くためには直火で焼き切るしか方法がありません。そのため、塗装の膜を高温の火で焼いて取り除く「空焼き」の作業が必要になるのです。
ちなみに、IHコンロで空焼きができないという場合には、空焼きせずに使える鉄フライパンを選ぶという手もあります。空焼き不要の鉄フライパンはこちらの記事で紹介しているので参考にしてください。
「油ならし」が必要な理由
鉄フライパンを空焼きをした後、表面に油をしみ込ませる作業「油ならし」をする必要があります。「油ならし」をすることで、鉄フライパンの表面に薄い油の膜が作られ、食材がこびり付きにくくなるだけでなく、サビにくくなる効果も。
「油ならし」は「空焼き(焼き入れ)」をした後、すぐに行うようにしましょう。
使い始めに必須。鉄フライパンの「空焼き」の方法
それではさっそく「空焼き」の方法を説明します。煙が出るので、必ず換気扇を回して作業しましょう。空焼き時間は、鉄フライパンのサイズやガスコンロにもよりますが、目安としては約15分~20分程度です。
1.フライパンを軽く洗って火にかける
まずフライパンを洗剤で軽く洗います。ほこりをとるだけなのでゴシゴシ洗う必要はありません。洗えたら水分を拭き取り、コンロにのせます。最初は中火にかけ、温まってきたら強火にします。
2.そのまま加熱を続ける
しばらくすると白い煙が出ますが驚くことはありません。塗装が焼けてきた証拠なので、そのまま加熱を続けましょう。フライパンの中央部から少しずつこげ茶色に変色してきます。
3.フライパン全体にムラなく火を当てる
さらに加熱を続けると、こげ茶色から青黒い色や青白い色に変色し、ツヤがなくなってきます。これが塗装がとれたサイン。
フライパン全体の塗装を焼き切る必要があるので、フチのほうまでムラなく火を当てていきます。
4.全体が変色したら火を止めて冷ます
煙が出なくなり、フライパン全体が変色してツヤがなくなったら、火を止めて自然に冷まします。
5.洗剤でよく洗う
フライパンが冷めたら、食器用洗剤でよく洗って残った塗装の膜を洗い流します。
塗装が洗い流せたら終了です。
空焼きの後に。鉄フライパンの「油ならし」の方法
空焼きの後にする油ならしの作業。使い始めはもちろん、サビや汚れを取り除いたあとにも必ず油ならしをするようにしましょう。
1.フライパンの水分を飛ばす
鉄フライパン全体を洗った後、ふきんで拭いて火にかけ、中火で2~3分加熱して水分を飛ばします。
2.冷ましてから油を入れる
一旦火を止めて、手で触れられる程度まで冷まします。急冷すると変形の原因になるので、自然に冷ますようにしましょう。
冷めたら、食用油を1/2~1カップ程度入れます。小さなフライパンや玉子焼き器の場合は1/4~1/2カップが油の目安です。
3.弱火で3分加熱する
フライパンをゆっくり傾けて油を全体になじませたら、弱火にかけ3分ほど加熱します。
4.余分な油を戻す
火を止めて、余分な油をオイルポットに戻します。
5.残った油をなじませる
フライパンの熱が冷めたら、残った油をキッチンペーパーで擦り込むようになじませます。
6. 多めの油で野菜くずを炒める
「空焼き」「油ならし」をちゃんとしても、使い初めには鉄独特の臭いがすることも。そこで、人参の皮やキャベツの芯などの野菜くずを多めの油で炒めます。このとき、長ネギの青い部分や大葉の芯など香味野菜の野菜くずを使えば、より効果的です。
使いやすい鉄フライパンに育てよう
「空焼き」と「油ならし」が終われば、鉄フライパンの使い始めの準備は完了です。
実際に調理に使う前には、鉄フライパンを加熱して油をなじませる「油返し」の作業が必要です。また調理後はお湯とたわしで洗って火にかけ、水分が飛んだら内側と外側に油をなじませて保管するようにしましょう。始めは手間に思うかもしれませんが、習慣にしてしまえばあまり面倒に感じることもなくなりますよ。
ちなみに今回使った鉄フライパンはプロの料理家が創った本格派のフライパン「魚菜」というアイテムです。
鉄フライパンはきちんと手入れすれば一生使える道具。ぜひ使い始めの準備や普段のお手入れをマスターして大切に育てていってくださいね。
参考資料
株式会社タマハシ「魚菜 取扱説明書」検索日:2023年9月26日
株式会社タマハシ「鉄炒め鍋 鉄フライパン ご愛用のしおり」検索日:2023年9月26日