北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
電子レンジ炊飯はまずくならないの?電子レンジでもごはんをおいしく炊くにはどうすればいいだろう?と思っている方も多いはず。
調理師racssが実際に試しながら、その疑問に答えます。
新米の季節、家にあるものでも気軽に電子レンジ炊飯ができますので、試してみてください!
電子レンジ炊飯のコスパは?どんな人におすすめ?
「電子レンジ炊飯」の時間と電気代は?
本当に電子レンジを使うと炊飯器で炊くより時短になる(=電気代節約になる)のでしょうか?
今回使用した陶器製の専用容器(電子レンジ炊飯)とわが家の圧力IH炊飯器とで、ご飯を炊くのにかかる時間を比較してみました。
いずれも1合のお米を炊く場合の時間です。
- 電子レンジ炊飯:48~78分[吸水:30分~1時間+加熱:8分+蒸らし:10分]
- 炊飯器(通常モード):43分[吸水:0分+加熱:43分+蒸らし:0分]
- 炊飯器(少量高速モード):17分[吸水:0分+加熱:17分+蒸らし:0分]
- 炊飯器(早炊きモード):22分[吸水:0分+加熱:22分+蒸らし:0分]
電子レンジで炊飯する場合は、吸水時間を取らないとお米の一部に芯が残る炊きあがりになってしまいました。ですから、吸水時間をカットすることは難しいです。
お使いの炊飯器によって違いはありますが、このように比べてみると、思ったよりも電子レンジ炊飯には時間がかかることが分かります。
今回は陶器製の専用容器で比較しましたが、樹脂製やガラス製の容器ではさらに加熱時間が必要です。
最近の炊飯器は消費電力を抑えているため、電子レンジでの加熱時間が10分以上になる場合は、炊飯器の方が電気代がお得になる場合も出てきます。
ただ、電子レンジ炊飯器「ごはんボウル」を使った場合の時短の裏ワザをこちらの記事「土鍋のおいしさを再現した電子レンジ炊飯器のベストバイ」でご紹介していますので、参照してください。
「電子レンジ炊飯」におすすめな人は?
実は、炊飯器は少量のご飯を炊くのが苦手です。
1合以下の場合、通常炊飯モードではいつもよりおいしく炊けないことも。
わが家の炊飯器でも、0.5合は炊くことができず、1合炊く場合は通常モードではなく別個にある「少量炊飯モード」で炊くように勧められています。
そして、少量しか炊かなくても、炊飯器を使うと釜と内蓋、水のたまるタンクなどの洗浄をしなくてはいけませんよね。
これがかなり面倒に感じることは多いのではないでしょうか。
しかし、電子レンジなら丼やボウルくらいの大きさの容器を使って炊飯することになるので、食器と一緒に後片付けができます。
吹きこぼれはあるものの、容器内側へのこびりつきや焦げ付きが全くないので、するっと洗えるのもうれしいところ。
だから、「ほんの少し炊きたい」なら電子レンジ炊飯が向いていると言えます。
「少量を炊くのに便利」、「後片付けが楽になる」ので、
- 一人分だけ炊きたてを用意したいとき
- 炊飯器がない(故障した)とき
- 炊飯器を使用中に別個に少量だけ炊きたいとき(炊き込みご飯との炊き分け・炊飯器調理でおかずを作っている時など)
- 直火で土鍋や圧力鍋炊飯をするのが億劫(おっくう)なとき(電子レンジならそばについていなくてもよい)
- 洗い物を減らしたいとき(そのまま丼としても使っても見栄えが良い)
といった方におすすめです。
いったんコツをつかんで好みの味に炊けるようになれば、レトルトご飯を購入するよりずっとコスパが良いので、たまにしか自炊をしない人にもおすすめできます。
いつも炊飯器を使っている人でも、補助的な使い方をするために電子レンジ炊飯の方法をマスターしておくと良いのではないでしょうか。
電子レンジ炊飯で、ごはんを炊く方法
電子レンジ専用の炊飯容器はいくつか販売されています。陶器のもので3,000円前後、より安価な樹脂製のものでも1,200円前後する商品がほとんどです。
今回は「電子レンジ炊飯」と呼ばれる専用アイテムと「耐熱容器」で炊く方法をご紹介します。
専用アイテム「電子レンジ炊飯器」で炊く場合
今回は、「ごはんボウル」という直火もOKな耐熱陶器製の専用容器を使います。大きさは1合用。
陶器は土鍋のように蓄熱効果が高いことや遠赤外線効果があるおかげで、プラスチック製の炊飯容器に比べて短い時間で炊飯が可能です。
この容器で指定されているお米と水の分量、加熱時間などの目安は下記の通りです。
- お米の量…1合
- 水の量…250ml
- 吸水時間…約1時間
- 加熱時間…500wで約8分
この容器で指定されているお米と水の分量、加熱時間などの目安は下記の通りです。
<電子レンジ炊飯器「ごはんボウル」を使って、ごはんを炊く方法>
1. お米はざっと研いだあと、いったんザルに上げて水を切ります。
水の分量に誤差を生じさせないために、しっかり水切りを行いましょう。
2.その後容器にお米を移し、250mlの水を注いで1時間ほど吸水させます。
3.フタをして電子レンジに入れます。
500wで8分加熱します。
7分前後で蓋が蒸気で持ち上がり水が吹きこぼれてきますが、そのままで大丈夫です。大量にあふれている様子なら、一瞬電子レンジを止めて落ち着かせてから再開するとよいでしょう。
5.電子レンジが止まったら、容器のフタを開けずに10分間蒸らします。
蒸らしあがりです。
いわゆる「カニ穴」ができていておいしそうです。
家にあるもので代用「耐熱ガラス容器」で電子レンジ炊飯をする場合
必ずしも専用の容器でなければ、レンジでご飯が炊けないわけではありません。
家に耐熱ガラスのボウルや大きめの器があれば、それらを使って炊くこともできます。
耐熱ガラスのボウルなどを使って炊飯する場合の分量と時間の目安です。
- お米の量…1合
- 水の量…240ml前後
- 吸水時間…30分程度
- 加熱時間…500w5分 →その後、 200w12分
<耐熱ガラス容器で炊飯する方法>
1. 吸水時間を30分程度とってください。
2. フタの代わりにラップをかぶせ、両端を少し開けた状態で加熱します。
3. 500w5分加熱して、沸騰した様子が見えたら、200wに下げて12分加熱します。
その後、10分程度蒸らします。
加熱時間や水の量は、電子レンジの機種のクセや好みで調節しましょう。
また、100均にある樹脂製の炊飯用容器も、考えられた形状からするとコスパが良いので、まずそちらで試してみる方法もあると思います。
電子レンジ炊飯で、おいしくごはんを炊く3つのコツ
実際に電子レンジで炊飯をしてみて気付いたおいしいご飯を炊くためのコツをいくつかご紹介します。
【電子レンジ炊飯のコツ1】電子レンジに合わせて調整
電子レンジ炊飯は、同じ容器を使っても電子レンジの機種により多少の差が出ます。
そのため、最初の数回は水の量や加熱時間を微調整しながら炊いてみて、好みの味に近づけるようにしましょう。
私の自宅にある電子レンジ2台で比べてみたところ、同じ水分量と加熱時間でも片方ではやや固めに、片方では柔らかめに炊けました。
同じ炊きあがりにするには、それぞれ微調整が必要です。
【電子レンジ炊飯のコツ2】仕上がりに影響する、吹きこぼれ対策
電子レンジは、稼働中での火力調節がしにくいため、どうしても吹きこぼれが起きてしまいます。
あまりにも盛大に吹きこぼれると水分が足りなくなり、ごはんの仕上がりにも影響します。それに、電子レンジ内を拭き取るのも大変!
吹きこぼれをゼロにするのは難しいですが、少しの工夫で対策ができます。
下記の4点を同時に行うと、かなり軽減できました。
■水の量を少し減らす
規定の分量では1合の米に対し250mlの水となっていますが、230mlまで減らして炊いてみました。
吹きこぼれる量が減り、炊きあがりのごはんの固さはほとんど変わりませんでした(固めが好みの人にはおすすめ)。
■吸水時間を長くとる
お米にしっかり水を吸わせておけば、水の量を減らしても芯が残ったりはしませんでした。
■容器の下にお皿を敷いておく
吹きこぼれた水分を受けるためのお皿を敷いておくと、レンジ内に広がらないので片付けが簡単です。
■電子レンジを調整する
沸騰するまでは500wで加熱し、すぐに200wに下げて加熱を続けるという方法もあります。
1合のお米なら「500w5分」 → 「200w5分」が目安ですが、これも電子レンジによって微調整が必要です。
わが家の電子レンジでやってみたところ、もう少し加熱したい炊きあがりでした。
【電子レンジ炊飯のコツ3】味わいアップする、少しの工夫
電子レンジ炊飯のごはんがおいしくないと感じる場合、昔ながらの以下の方法を試してみてください。
- サラダ油を小さじ1入れる
- 日本酒を小さじ1入れる
- みりんを小さじ1入れる
- 塩少々(親指と人差指でつまんだ量)を入れる
いずれも1合のお米に対しての分量です。
吸水させたあと、電子レンジに入れる直前に加えてください。
「電子レンジ炊飯」でお米を炊いた感想と私の楽しみ方
最後に「ごはんボウル」というアイテムを使った楽しみ方と実際炊いてみた感想をご紹介しますね。
次の朝の楽しみ!私的、残ったごはんを楽しむ方法
この「ごはんボウル」で1合のお米を炊くと、ちょうど2膳分です。
一人ごはんだと少し余ってしまうのですが、残ったごはんは容器のまま保存しておきます。次の朝に、別の楽しみ方があるからです。
それが、朝がゆ。この容器に残りご飯を入れたままで、お粥が作れちゃうのです。
材料と作り方をご紹介しますね。
- ご飯100gくらい
- 水200ml
電子レンジ500wで5分加熱し、その後200wに切り替えて5分じんわり加熱します。
柔らかく煮えたお粥ができました。
卵やいくつかの薬味を載せていただきます。
「ごはんボウル」を使った感想は……
つやが少々足りないように見えますが、ぱさついてはいませんでした。
途中で吹きこぼれてしまったためか、食感はいつもの炊飯器より少し固め。しかし、ご飯の甘みがしっかりします。私は固めが好きなのでちょうどいい感じ。
これは普通においしくいただけると感じました。
普段まとめて炊いたごはんを冷凍しておいて食べることが多いのですが、炊きたてのご飯を少しだけ食べたいときはこの方法、とてもいいと思います。
また、普段、炊飯器で炊いたご飯をこの容器に移して、おひつとして食卓にのせるという使い方もおすすめです。
炊いたご飯を入れるのなら2合分くらい入ります。
食卓におひつごと載せておくと、おかわりが気軽にできるのがいいですよね。
「電子レンジ炊飯」のコツや楽しみ方をご紹介しました。ほんの一人分のご飯を炊くときにおすすめの方法ですので、ぜひマスターしてみてください。