幼いころから「つくること」全般が好きで調理師、ハンドメイド作家に。ハウジーでは主婦の負担になりがちな毎日の料理を楽しめるよう、ちょっとしたヒントをお伝えします。また「大人の食育」に直結する料理のおもしろさをシェアしたい!北海道での菜園づくりや調理の工夫はブログとインスタグラムでも発信しています。

乾物の正しい保存・収納方法とおすすめ保存容器<簡単レシピつき>
乾物料理というと、なんだか「おばあちゃんの料理」みたいな懐かしい料理に使うものみたいとか、手間がかかりそう!というイメージがありませんか?
しかし乾物類は保存食材であるだけでなく、とても優れた栄養価があるので、普段のおかずにもっと積極的に取り入れたいもの。
乾物の保存や使い方は、ちょっとしたコツさえ抑えていれば、実はそれほど難しくはありません。
この記事では、乾物類の正しい保存方法や簡単なレシピなど乾物の使い方について詳しくご紹介します。

乾物を使うメリットとは?

生鮮食品がすぐ手に入るのに、わざわざ乾物を使うメリットって?と疑問に思われる方も多いかもしれません。
しかし、乾物には他の食材にはないメリットが色々とあります。
乾物の主な3つのメリットについて詳しく見てみましょう。
乾物のメリット
- 栄養豊富
- 長期保存可能
- 旨みアップ
乾物はとても栄養が豊富
乾物にはミネラルが多く、天日で干したものにはビタミンDが豊富です。
特にカルシウムやカリウムといった子どもにも女性にも嬉しい成分が多く、食物繊維も多いことからダイエット食材としても活用できます。
日本の代表的な乾物の栄養
ひじき・・・カルシウム、カリウム、ビタミンA
寒天・・・カルシウム、鉄分、食物繊維
切り干し大根・・・カリウム、鉄分、食物繊維、ビタミンB群
かんぴょう・・・カリウム、鉄分、亜鉛、マンガン、食物繊維
麩・・・タンパク質、ミネラル
干しエビ・・・カリウム、カルシウム
するめ・・・タンパク質、タウリン
じゃこ・・・カルシウム、鉄分
凍み豆腐・・・タンパク質、ミネラル、マグネシウム、鉄
食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養素が不足しがちな現代人こそ、積極的に食べたい食材なんです。
常温で長期保存が可能
伝統的な保存食である乾物は、長期保存が利く、心強い保存食です。
ただし、乾燥させてある関係上、どの種類の乾物も湿気には弱いので、保存には少しコツが必要です。味を損なわずに正しく保存する方法については、後ほど詳しくご紹介します。
乾物で和食の旨みをアップ
また、乾物は日本ならではの「和の食材」とも言えます。
例えば昆布や干ししいたけ、かつお節などは、お味噌汁や煮物に使う出汁(だし)をとるのに欠かせないもので、旨み成分を豊富に含んでいます。
乾燥ワカメや海苔などは、お味噌汁やおにぎり用に常備している方も多いでしょう。
どちらもカルシウムや鉄分、食物繊維が豊富で、定期的に摂りたい食品です。
美味しさを保つ、正しい乾物の保存方法
さて、乾物が栄養豊富なのはわかりましたが、家庭に常備しておくには保存場所が必要ですね。
乾物の保管場所や方法はどうすればいいのでしょうか?
ここでは、乾物の正しい保存方法について解説します。
湿気は厳禁!冷暗所での保存が基本
どの乾物類でも、湿気を避けて冷暗所で保存するのが基本です。
大抵の乾物類は小さめの袋で販売されています。
ですから、一袋購入したら一度に使い切るのがベスト!
そのようにすれば、収納場所はそれほど必要ないのですが、「家族が好きだから買い置きしておく」とか、「お徳用袋で買ってしまって一度に使いきれない」ときなどは、それなりに広い収納スペースが必要になります。
使う頻度に合わせた収納方法を決めておくと、使い忘れがありません。
収納する前のひと手間が大事

乾物を気軽に使うためには、収納する前のひと手間が大事です。
出汁取り用の昆布は、保存容器に入る大きさにカットしておきます。

大判の焼き海苔は、よく使う大きさに予め切ってしまいます。おにぎり用なら半分ないし3等分です。
このほか、切り干し大根や春雨なども、キッチンバサミをつかって食べやすい長さにカットしておくとすぐ使えます。
ジップつき保存袋に入れ替える場合のポイント

開封したけど残ってしまった乾物類は、ジップ付きの保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて保存します。
わたしのおすすめは、まち付きの小さめのジップ袋に入れること。まち付きだと小さいサイズでも容量がありますし、立てておけるのもいいところです。
このとき、袋の内側にクッキングシートを入れると、ごつごつした乾物でも袋が傷みません。
知らない間に保存袋に穴が開いて、湿気が入り込んでしまうという失敗も避けられます。
無地のクッキングシートなら、内容量がほのかに透けて見えるので、管理もしやすいですよ。
賞味期限も忘れずに

保存袋とクッキングシートの間に、パッケージの食品名や賞味期限記載部分を切り取って挟んでおくこともできます。
ちなみに、表面に記入スペースがあるジップ袋が多いですが、わたしの場合は再利用しやすいように、マスキングテープを貼り、賞味期限などを書き込んでいます。
乾物のパッケージごと保存する場合のポイント

乾物類は、もともと商品パッケージがジップ付きになっているものもありますので、密閉できるものなら詰め替えなくてもOK。
封を開けたら空気をしっかり抜いて閉じます。

削り節の場合はできるだけ香りが飛ばないことが大切なので、このようにさらにジップ付き保存袋に入れ、二重にしておくと安心です。
小さいパックのかつお節も一緒にまとめておけます。
保存容器に入れ替える場合のポイント
普段から使用頻度の多い乾物は、保存容器に入れて手に取りやすいところにおく方が、いつでも気軽に使えます。
例えば毎日のようにお味噌汁を作るなら、だし昆布やカットわかめ、麩などを密閉できる保存容器や瓶に入れて並べておくといいですね。
乾物用の保存容器は、蓋がしっかり閉まって密閉できるか、中身が見やすいかを基準に選びましょう。
乾物はにおいを吸収しやすいので、色々な乾物に使いまわす場合は、以前に入っていた物のにおいが容器に残っていないかもチェックしてくださいね。

わたしが便利に感じている容器は「フレッシュロック」。
こちらは樹脂製の容器なのですが、ガラスのような透明感があります。
サイズがいろいろあるので、収納したい食品の大きさに合わせて購入が可能。

蓋にパッキンがついていて密閉できることや、蓋を開けたまま止めておけるのが特徴です。
難点は、樹脂のため静電気が起きやすく、軽くて小さい乾物が容器に張り付くときがあること。
我が家で冬場など乾燥している時期に、カットワカメやひじきを収納しているときに起きる症状ですが、中身の出し入れに支障が出るほどではありません。
この容器はガラス瓶と違って軽いので、持ちやすく割れる心配がない点が気に入っています。
乾物は戻してから冷凍保存も可能

干し椎茸など、戻すのに時間がかかるものは、いったん戻した状態で冷凍保存しておくと便利です。
干し椎茸は戻し汁も大事な出汁ですので、このようなふた付きの容器に水と一緒に入れておき、ある程度戻ったところで、すぐに使わない分だけを冷凍庫で保存することも可能です。
乾物の保存に適した場所とは?

乾物類の保存場所は、台所の中でも乾燥していて日光の当たらない場所を選びましょう。
キッチンシンクの下やコンロの下は取り出しやすいですが、湿気が溜まりやすい場所なので注意が必要です。
私の家の場合は、袋に入れた乾物を台所上の吊り戸棚に収納しています。取っ手付きの収納ケースに入れると、高いところでも取りやすいですよ。

未開封の乾物と、使いかけでジップつきの保存袋に入れ替えたものに分け、詰め込みすぎないようにするのが在庫管理のコツ。

また冷蔵庫の中も「冷暗所」ですし、庫内は乾燥していますので、乾物保存に適した場所です。
私はかつお節や焼き海苔など、使用頻度が高く大きな袋に保管しているものを、冷蔵庫の扉裏に収納しています。
もし冷蔵庫内の空きスペースに余裕があるなら、乾物用のエリアを決めて収納するのもいいですね。
乾物を使った簡単レシピ5選
ここからは乾物を使った簡単なレシピを5つ紹介します。
作り置きできる便利なものからおやつまで、どれもわたしが家でよく作る料理です。
普段は乾燥わかめくらいしか乾物類を使ったことがない方でも、一度試しに作ってみると乾物料理にはまるかもしれませんよ。
乾物作り置きレシピ「ひじきご飯の素」

味を濃い目につけて炒め煮にしたひじきは、アレンジがきく作り置きおかずとして重宝します。
ひじきは油と一緒に調理することで栄養分を取り入れやすくなりますし、美味しく食べられます。
ひじきご飯の素の材料
- 乾燥芽ひじき 1袋(13g)
- こんにゃく 40g
- 肉 100g (ひき肉またはお好きな肉で)
- ごま油 大さじ1
- 砂糖 大さじ2
- 醤油 大さじ2
- 芽ひじきはたっぷりの水に浸けて30分以上置く。
- 茶色い水になるので、数回水を変えて洗い、ザルにあげる。(まれに砂や貝のかけらが入っている場合があるので注意)
- こんにゃくはみじん切りにする。
- 肉は細かく切る。(ひき肉ならそのままでOK)
- フライパンにごま油を熱し、肉、こんにゃくを炒め、肉の色が変わったらひじきを入れる。
- 数分炒めてから調味料を加える。
- 水分が飛ぶまで炒め煮にする。

ごはんに目玉焼きと一緒に載せて簡単丼に、混ぜ込んでおにぎりにも。
たまご焼きに混ぜても美味しいですし、トーストにのせてチーズをかぶせて焼くのも意外な美味しさですよ。
乾物リメイクレシピ:出し殻活用のお好み焼き

出汁をとるたびに出るかつお節の出し殻を、お好み焼きの具に入れてしまいましょう!

出汁をとったあとの出し殻は、このように散らばして生地にのせます。
かつお節に残った旨みが生地に移りますし、食感は肉のような歯触りで違和感なく食べられます。
乾物おつまみレシピ:切り干し大根2種

切り干し大根を使って2種類のおつまみを作ります。
切り干し大根おつまみの材料
- 切り干し大根 60g
- ヨーグルト 大さじ3
- キムチの素 大さじ2+水大さじ3

軽く洗って短く切った切り干し大根を、半分量にわけ、ヨーグルトとキムチの素にそれぞれ漬け込みます。
(冷蔵庫で一晩置くと、切り干し大根は水分を吸って戻っています)
ヨーグルトで戻した方には、マヨネーズを混ぜて黒コショウを振ります。
キムチの素で戻した方には、白ごまを振ります
コリコリした切り干し大根の歯ごたえも楽しい、ひと味変わったおつまみです。
冷奴に載せたり、生野菜と和えたりして食べるのもおすすめ!
ヨーグルトに漬けたほうは、ポテトサラダに混ぜ込むのも美味しいですよ。
乾物おもてなしレシピ:高野豆腐の肉詰め

高野豆腐(凍み豆腐)に肉だねを挟んで煮含める料理。
彩りのためにニンジンや枝豆を入れていますが、代わりに小ネギやひじきも合います。
食べるときに染み出すお出汁が口当たり良く、おもてなし料理としてもおすすめです。
煮汁の材料
- 椎茸の戻し汁 150㏄
- 出汁 300㏄
- 醤油 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- みりん 大さじ1
肉だねの材料
- ひき肉100g
- 戻した干し椎茸 1個 みじん切り
- 人参 半分・みじん切り
- 枝豆 10さや分程度・みじん切り
- 生姜汁 小さじ3分の1
- 醤油 小さじ1

1.凍み豆腐は中までしっかり戻るようにたっぷりの水に浸け、一晩置いておきます。
手のひらに挟んで水を絞り、半分の大きさに切ります。

2.厚みの真ん中に切込みを入れます。
肉だねはすべての材料を混ぜ、よくこねます。

3.凍み豆腐の切込みに肉だねを詰めます。小さいスプーンやバターナイフなどを使うと入れやすいです。

4.鍋に煮汁の材料を合わせ、火をつけます。
肉だねを詰めた凍み豆腐をそっと並べ、落し蓋をして中火で15分ほど煮含めます。
冷ますとしっかり味が染みこみます。
できあがり!
乾物おやつレシピ:麩のチョコ掛け

麩はパンにも似た食感を生かしてお菓子にアレンジができます。
たとえば、麩にチョコレートを染みこませて作ったお菓子など。この写真では小さい麩を使っていますが、大きな車麩や板麩でフレンチトースト風やラスク風にするのもおすすめです。
おわりに
栄養豊富で毎日の食事に取り入れたい乾物。
もっと使いやすくするための保存方法や、簡単レシピをご紹介しました。
乾物は比較的長期の保存ができるので、非常用食品としても活用できます。
今回はごく一部の乾物を使って説明しました。ほかにも様々な種類の乾物があります。
基本的には和風な料理に使いますが、ぜひ自由な発想で乾物料理を楽しんでみてくださいね。