北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
とても栄養が豊富乾物類は保存食材であるだけでなく、とても優れた栄養価があるので、普段のおかずにもっと積極的に取り入れたいもの。
でも「乾物の保存は常温で保存していいの?」「冷蔵庫で保存するべきなの?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は乾物類の正しい保存方法や収納方法をご紹介。簡単なレシピものせるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
乾物の保存に適した場所とは?収納するときのコツ
乾物は、長期保存が利く心強い保存食です。ただし、乾燥させてある関係上、どの種類の乾物も湿気には弱いので、保存には少しコツが必要です。
【コツ1】使う頻度に合わせて収納方法を決める
大抵の乾物類は小さめの袋で販売されています。ですから、1袋購入したら一度に使い切るのがベストです。ただし「家族が好きだから買い置きしておく」とか「お徳用袋で買ってしまって一度に使いきれない」ときは、それなりに広い収納スペースが必要になります。
そのとき使う頻度に合わせて、収納方法を決めておくようにしましょう。
例えば……
- 使用頻度の多い乾物は、保存容器に入れて手に取りやすいところに
- 使いかけの乾物は、ジップ付き保存袋に
- 未開封の乾物は吊戸棚に
こうすれば、使い忘れることがありません。
【コツ2】湿気は厳禁!基本は「冷暗所」に保存する
乾物類の保存場所は、台所の中でも乾燥していて日光の当たらない場所を選びましょう。キッチンシンクの下やコンロの下は取り出しやすいですが、湿気が溜まりやすい場所なので注意が必要です。
わが家の場合は、袋に入れた乾物を台所上の吊り戸棚に収納しています。取っ手付きの収納ケースに入れると、高いところでも取りやすいですよ。
また冷蔵庫の中も「冷暗所」ですし、庫内は乾燥していますので乾物保存に適した場所です。
私はかつお節や焼き海苔など、使用頻度が高く大きな袋に保管しているものを、冷蔵庫の扉裏に収納しています。もし冷蔵庫内の空きスペースに余裕があるなら、乾物用のエリアを決めて収納するのもいいですね。
【コツ3】戻すのに時間のかかるものは「冷凍保存」でもOK
干し椎茸など、戻すのに時間がかかるものは、いったん戻した状態で冷凍保存しておくと便利です。干し椎茸は戻し汁も大事な出汁ですので、このようなふた付きの容器に水と一緒に入れておき、ある程度戻ったところで、すぐに使わない分だけを冷凍庫で保存することも可能です。
【コツ4】未開封と使いかけで分けて保存する
開封したけど残ってしまった乾物は、ジップ付きの保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて保存します。
ジップ付き保存袋に入れ替えた使いかけの乾物は、未開封の乾物とは分けて保存します。またこれらを収納するときには、詰め込みすぎないようするのが在庫管理のコツです。
おいしさを長く保つための「乾物の正しい保存方法」
栄養豊富な乾物。できるだけおいしく保存したいですよね。ここでは、乾物の正しい保存方法について解説します。
乾物を収納する前のポイント
乾物を気軽に使うためには、収納する前のひと手間が大事です。だし取り用の昆布は、保存容器に入る大きさにカットしておきます。
大判の焼き海苔は、よく使う大きさにあらかじめ切ってしまいます。おにぎり用なら半分ないし3等分がいいでしょう。また、切り干し大根や春雨なども、キッチンバサミをつかって食べやすい長さにカットしておくとすぐ使えます。
ジップ付き保存袋に入れ替えるときのポイント
使いかけの乾物はジップ付きの保存袋に入れます。私のおすすめは、まち付きの小さめのジップ袋に入れること。まち付きだと小さいサイズでも容量がありますし、立てておけるのもいいところです。
このとき、袋の内側にクッキングシートを入れると、ごつごつした乾物でも袋が傷みません。知らない間に保存袋に穴が開いて、湿気が入り込んでしまうという失敗も避けられます。
無地のクッキングシートなら、内容量がほのかに透けて見えるので、管理もしやすいですよ。
また賞味期限は忘れずに記載しましょう。保存袋とクッキングシートの間に、パッケージの食品名や賞味期限が記載された部分を切り取って挟んでおくとよいでしょう。
ちなみに、ほとんどのジップ袋には表面に記入スペースがありますが、わたしの場合は再利用しやすいようにマスキングテープを貼り賞味期限を書き込んでいます。
パッケージごと乾物を保存する場合のポイント
乾物類は、もともと商品パッケージがジップ付きになっているものもありますので、密閉できるものなら詰め替えなくてもOK。封を開けたら空気をしっかり抜いて閉じます。
かつお節の場合はできるだけ香りが飛ばないことが大切なので、このようにさらにジップ付き保存袋に入れ、二重にしておくと安心です。小さいパックのかつお節も一緒にまとめておけます。
保存容器に入れ替える場合のポイント
普段から使用頻度の多い乾物は、保存容器に入れて手に取りやすいところに置いておく方が、いつでも気軽に使えます。
例えば毎日のようにお味噌汁を作るなら、だし昆布やカットわかめ、麩などを密閉できる保存容器や瓶に入れて並べておくといいですね。
乾物用の保存容器は、フタがしっかり閉まって密閉できるか、中身が見やすいかを基準に選びましょう。乾物はにおいを吸収しやすいので、色々な乾物に使いまわす場合は、以前に入っていた物のにおいが容器に残っていないかもチェックしてくださいね。
わたしが便利に感じている容器は「フレッシュロック」。樹脂製ですが、ガラスのような透明感があります。サイズもいろいろあるので、収納したい食品の大きさに合わせて選ぶことが可能。
フタにパッキンがついていて密閉できることやフタを開けたまま固定しておけるのが特徴です。
ただ、樹脂のため静電気が起きやすく、軽くて小さい乾物が容器に張り付くことがあります。わが家で冬場など乾燥している時期に、カットワカメやひじきを収納しているときに起きる症状ですが、中身の出し入れに支障が出るほどではありません。
「フレッシュロック」はガラス瓶と違って軽いので、持ちやすく割れる心配がない点が気に入っています。
余った乾物を消費できる!簡単な乾物レシピ5選
乾物を使った料理を5つご紹介します。作り置きできるものやリメイク料理、おやつまで、どれもわたしが家でよく作る料理です。
乾物作り置きレシピ「ひじきご飯の素」
味を濃い目につけて炒め煮にしたひじきは、アレンジがきく作り置きおかずとして重宝します。
ひじきは油と一緒に調理することで栄養分を取り入れやすくなりますし、おいしく食べられます。
<ひじきご飯の素の材料>
- 乾燥芽ひじき……1袋(13g)
- こんにゃく……40g
- 肉……100g(ひき肉またはお好きな肉で)
- ごま油……大さじ1
- 砂糖……大さじ2
- 醤油……大さじ2
<ひじきご飯の素の作り方>
1. 芽ひじきはたっぷりの水に浸けて30分以上置きます。そうすると茶色い水になるので、数回水を変えて洗いザルにあげます。まれに砂や貝のかけらが入っている場合があるので注意してください。
2. こんにゃくはみじん切りに、肉は細かく切ります(ひき肉ならそのままでOK)。
3. フライパンにごま油を熱し、肉とこんにゃくを炒め、肉の色が変わったらひじきを入れます。
4.数分炒めてから調味料を加えます。その後、水分が飛ぶまで炒め煮にしたらできあがり。
ごはんに目玉焼きと一緒にのせて簡単丼に。ほかにもごはん混ぜ込んでおにぎりにしても、たまご焼きに混ぜたりしても。また、トーストにのせてチーズをかぶせて焼くと意外なおいしさですよ。
乾物リメイクレシピ「出し殻を活用したお好み焼き」
だしをとるたびに出るかつお節の「出し殻」を、お好み焼きの具に入れてしまいましょう!
出汁をとったあとの出し殻は、このように散らばして生地にのせます。かつお節に残った旨みが生地に移りますし、食感は肉のような歯触りで違和感なく食べられます。
乾物おつまみレシピ「切り干し大根2種」
切り干し大根を使って2種類のおつまみを作ります。
<切り干し大根おつまみの材料>
- 切り干し大根 60g
- ヨーグルト 大さじ3
- キムチの素 大さじ2+水大さじ3
<切り干し大根おつまみの作り方>
1.軽く洗って短く切った切り干し大根を、半分量にわけ、ヨーグルトとキムチの素にそれぞれ漬け込みます(冷蔵庫で一晩置くと、切り干し大根は水分を吸って戻っています)。
2.ヨーグルトで戻した方には、マヨネーズを混ぜて黒コショウを振ります。キムチの素で戻した方には、白ごまを振ります。
コリコリした切り干し大根の歯ごたえも楽しい、ひと味変わったおつまみです。
冷奴にのせたり、生野菜と和えたりして食べるのもおすすめ! ヨーグルトに漬けた方は、ポテトサラダに混ぜ込んでもおいしいですよ。
乾物おもてなしレシピ「高野豆腐の肉詰め」
高野豆腐(凍み豆腐)に肉だねを挟んで煮含める料理。彩りのためにニンジンや枝豆を入れていますが、代わりに小ネギやひじきも合います。食べるときに染み出すお出汁が口当たり良く、おもてなし料理としてもおすすめです。
<高野豆腐の肉詰め:煮汁の材料>
- 椎茸の戻し汁……150㏄
- だし……300㏄
- 醤油……大さじ2
- 砂糖……大さじ1
- みりん……大さじ1
<高野豆腐の肉詰め:肉だねの材料>
- ひき肉……100g
- 戻した干し椎茸……1つ(みじん切り)
- 人参……半分(みじん切り)
- 枝豆……10さや分程度(みじん切り)
- しょうが汁……小さじ3分の1
- 醤油……小さじ1
<高野豆腐の肉詰めの作り方>
1.凍み豆腐は中までしっかり戻るようにたっぷりの水に浸け、一晩置いておきます。
手のひらに挟んで水を絞り、半分の大きさに切ります。
2.厚みの真ん中に切込みを入れます。
肉だねはすべての材料を混ぜ、よくこねます。
3.凍み豆腐の切込みに肉だねを詰めます。小さいスプーンやバターナイフなどを使うと入れやすいですよ。
4.鍋に煮汁の材料を合わせ、火をつけます。
肉だねを詰めた高野豆腐をそっと並べ、落しフタをして中火で15分ほど煮含めます。
冷ますとしっかり味が染みこみます。できあがり!
乾物おやつレシピ「麩のチョコがけ」
麩はパンにも似た食感なので、それを生かしてお菓子にアレンジするのもおすすめです。
たとえば、麩にチョコレートを染みこませて作ったお菓子など。この写真では小さい麩を使っていますが、大きな車麩や板麩でフレンチトースト風やラスク風にするのもおすすめです。
こちらの記事で「お麩チョコ」の作り方をご紹介していますので、参考にしてみてください。
>>糖質オフのチョコレート。お麩チョコとナッツチョコの作り方
優れた栄養素もいっぱい!乾物を料理に取り入れましょう
乾物にはミネラルが多く、天日で干したものにはビタミンDが豊富です。食物繊維やビタミン、ミネラルといった現代人が不足しがちな栄養素を気軽に補うことができます。
<代表的な乾物の栄養>
- ひじき……カルシウム、カリウム、ビタミンA
- 寒天……カルシウム、鉄分、食物繊維
- 切り干し大根……カリウム、鉄分、食物繊維、ビタミンB群
- かんぴょう……カリウム、鉄分、亜鉛、マンガン、食物繊維
- 麩……タンパク質、ミネラル
- 干しエビ……カリウム、カルシウム
- するめ……タンパク質、タウリン
- じゃこ……カルシウム、鉄分
- 凍み豆腐……タンパク質、ミネラル、マグネシウム、鉄
このように乾物には、とても優れた栄養価があるので、普段のおかずにもっと積極的に取り入れたいもの。
さらに、比較的長期の保存ができるので、非常用食品としても活用できます。
今回はごく一部の乾物を使って説明しました。ほかにも様々な種類の乾物があります。ぜひ自由な発想で乾物料理を楽しんでみてくださいね。