とても身近な調味料の一つ、砂糖。
でも意外と、正しい保存方法については、知られていないことがたくさんあります。
保存の仕方によっては、固まったり虫が湧いたり、変色などの変化をおこしたりしてしまうことも……。
今回は、砂糖の正しい保管方法や保存容器の選び方のポイント、おすすめの保存アイテムなどをご紹介します。
砂糖はどう保存してる?よくあるNG事例と正しい保存条件
実は、砂糖には賞味期限は記載されていません。砂糖は品質が安定している調味料のため、基本的に腐ることがないからです。
賞味期限というのはそもそも、保存条件を守った上で、美味しく食べられる期限のこと。
では、砂糖の美味しさをキープするためには、一体どのような条件があるのでしょうか?
- 直射日光や高温多湿な場所をさける。
- 常温で保存する。
- ニオイ移りを防ぐため、フタ付きの容器に入れて保存する(※)。
※虫の侵入を防ぐためにも、購入後は未開封のものでも密封できる容器に入れて保存することをおすすめします。
では、それぞれの条件について、もう少し詳しく見てみましょう。
【1】直射日光や高温多湿な場所をさける
まず、気をつけたいのは砂糖を保存する場所。
「砂糖入れ(シュガーポット)」の置き場所はもちろん、未開封の砂糖の置き場所や、開封した残りの砂糖の保管方法にも注意したいですね。
密閉容器で保存すると、砂糖が固まる原因である湿気や乾燥などからしっかり守ることができます。
特に、収納スペースが少なくて置き場所が限られているという場合は、容器選びにも気をつけましょう。

また、高温になりやすいコンロ周りや炊飯器の近くなども避けたいですね。
おすすめは、キッチンの吊り戸棚や床下の収納スペースなど。
戸棚の上の方は出し入れがしにくいため、取っ手付きの保存容器があると便利です。
【2】冷蔵庫に入れるのはNG!砂糖は常温で保存しよう
うっかりと砂糖を冷蔵庫に入れて保存している方もいらっしゃいますが、これも砂糖が固まる原因の一つ。
砂糖を保存するときは「常温」と覚えておきましょう。
冷蔵庫の中は意外と乾燥しやすい環境なので、砂糖にとっては好ましくない場所です。
また、ドアの開け閉めで温度が変わりやすくなるため、冷蔵庫から出した時の温度差などが原因で結露しやすくなります。
砂糖が湿気て溶けだしてしまうこともあるので、なるべく避けるようにしましょう。
【3】未開封や使いかけの袋入り砂糖も「密閉容器で保存」が正解
砂糖一袋分って、一度に砂糖入れには入らないことが多いですよね。
残った砂糖を、買った袋(パッケージ)のまま輪ゴムでぐるぐると縛ってそのまま保存しているという方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
実はこれ、間違った保存方法なんです。
100円ショップ等でも、砂糖を袋ごと保存できるタイプの容器が売られていたりします。
でも、正直なところ密閉が出来れば、砂糖専用の保存容器でなくても大丈夫です。ただし、中に乾燥材が付属しているタイプのものは、砂糖が固まりやすくなってしまうので不向きです。
未開封でも密閉容器に入れたほうがよい理由と容器選びのポイント
開封していない砂糖の袋も、密閉できる容器に入れておくのがおすすめ。
上白糖やグラニュー糖などの袋は、輸送中に破れないように空気の逃げ道となる小さな穴が開いており、完全には密封されていません。
そのため保管中に、虫が袋を食い破って中へと入り込んでしまうということはあります。
もし袋の中に侵入されたとしても砂糖で脱水されてしまうため、袋の中で虫が湧くという心配はありません。
ただし、虫の侵入を防ぐ目的以外にも、乾燥を防いだり周りからのニオイ移りを防いだりする効果もあるので、未開封の砂糖でも密閉容器に入れておくことをおすすめします。
とはいえ、未開封の砂糖の場合はかなり大きさがあり、それが入るぴったりの密閉容器となると探すのが難しいかもしれません。
その場合は、チャックつきの保存袋(Lサイズなどの大きめのものなら、そのまま余裕で袋ごと入ります)に入れておくのでも十分です!
使えるor使えない?砂糖の劣化状態と保存の際の注意点
砂糖は先ほどご紹介した保存条件を守ったうえで、状態さえ良ければ、開封・未開封に限らず何十年経っていても食べることが可能です。
でも「状態が良ければ」というのが、なかなか見極めが難しいですよね。
いくら保存に気をつけていたつもりでも、あまりに長く保存しすぎたり、知らないうちに保存環境が悪くなっていて砂糖の状態がおかしくなってしまうことはあります。
ここでは、砂糖の中でも特に料理に使用されることの多い上白糖(白砂糖)などをメインに、傷んでいる(食べられない)かどうかを判断するチェックポイントをお伝えします。
【気になる砂糖の状態1】固まった
砂糖には色々な種類がありますが、とくに上白糖や三温糖などのしっとりした砂糖は固まりやすいです。
これらの砂糖は結晶が細かく、水分を含ませてしっとりさせているため、適度な湿度が無いと結晶同士がくっついてしまいます。
なので、保存の仕方によっては乾燥してカチコチに固まってしまうことも……。
固まった砂糖は、ほぐせば普通に料理に使うことができます。
【気になる砂糖の状態2】変色(黄ばみなど)
白砂糖とも呼ばれる上白糖が、いつの間にか黄ばんでいたり薄茶色っぽい色になっていたりすると、心配になりますよね。
全体に均一な黄ばみや薄茶色の変色は、実は自然現象で、長く保存していると起こることなので問題はありません。
甘味などにも変化はないので、普通に使っても大丈夫ですよ。
原料由来の微かなアミノ酸と糖が反応して起こる現象です。
何か別の物質によって汚染されている可能性があるため、なるべく使わないほうがよいでしょう。
【気になる砂糖の状態3】変質(溶けた)
砂糖の状態で気をつけたいのが、砂糖が溶けているというもの。
湿気の多い場所で密閉などをせずに保管していた場合に、稀に中の砂糖が湿気て溶けだしてしまうことがあります。
この場合は既に傷んでしまっている可能性が高いので、使わないようにしましょう。
【気になる砂糖の状態4】カビが生えた
砂糖には食品中の水分を吸収し、細菌やカビの繁殖を抑制するという効果があります。
ジャムなどの保存食に用いられるのも、こういった性質を利用したものなんです。
黒砂糖の場合は湿気やカビにも要注意
このため、砂糖にカビが生えるというのはめったにない事ですが、精製されていない黒砂糖の場合には注意しましょう。
特に、空気に触れる外側が湿気の多い環境にあるとカビが生えてしまうことがあるので、保存には十分気をつけたいですね。
黒砂糖の表面が白っぽくなるのは、表面が溶けて結晶化したものなので、問題はありません。
ただし、酸っぱさやツンとした刺激臭がする場合は、腐敗が進んでいる証拠なので食べるのは避けてください。
【気になる砂糖の状態5】虫の発生
未開封の砂糖の場合、ほとんど虫に対する心配はいりません。
また、先ほどご紹介したように未開封の状態で更に密閉容器に入れておけば、まず発生することはないでしょう。
開封後に気をつけたいこと
注意したいのは開封後の保存方法。
特に、稀にキッチンに侵入してしまうことのある吸蜜性のアリには要注意です。
アリは嗅覚が非常に優れているため、甘いニオイがするものに敏感。保存容器はなるべく密閉性に優れたものを選びたいですね。
サトウダニは一般的な上白糖では生育できないのですが、三温糖・中白糖・黒砂糖の場合は、温度や湿度の条件がそろってしまうと生育できてしまいます。
これらの砂糖の場合は、温度や湿度の高い場所で保管しないように注意が必要です。
砂糖のトラブルを見てきた中で、やっぱり重要なのは保存環境と「密閉容器に入れる」ということ。
ここからは、こういった砂糖の劣化やトラブルを避け、美味しく保存するためにおすすめの容器について、ご紹介します。
密閉性が高く使いやすい!おすすめの砂糖の保存容器6選
砂糖の保存容器の中でも選ぶときにもっとも悩ましいのは、小出しにしておく普段使いの砂糖入れですよね。
調味料入れの中でも「砂糖入れ(シュガーポット)」と呼ばれる砂糖用の保存アイテムには、素材や形など色々な種類があります。
料理に使う白砂糖や三温糖を入れる保存容器と、ティータイムの角砂糖を入れるための容器など、用途や使用シーンによって使い分けておられる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは使用シーン別に、おすすめの砂糖入れをいくつかご紹介します。
調理中にサッと使える!普段使いにおすすめの保存容器(砂糖入れ)
まずは、料理に使う砂糖を入れておくのに便利な砂糖入れのおすすめアイテムをご紹介します。
砂糖が固まらないように密閉できるという点はもちろん、片手での開けやすさや洗いやすさなど、使い勝手についても優れているものをメインに選んでみました。
細かい部分まで使い勝手にこだわったイチ押しの調味料ストッカー

奥側に開くフタや、計量スプーンのすりきりが出来る点も、使いやすいと人気。

お手入れのしやすさを重視するならパッキン一体型の調味料入れがおすすめ

透明感のある美しさとスタイリッシュなデザインで、見た目も素敵♪
シリーズで統一している方にはフレッシュロックという選択肢も

この300mlサイズには砂糖が約220g入ります。一袋分入るサイズもありますが、一番良い状態を保ちながら使うならこのサイズの方がおすすめです。
ティータイムを楽しむ砂糖入れ(シュガーポット)
つづいては、コーヒーや紅茶などに入れる角砂糖やグラニュー糖、白砂糖などを入れるのにおすすめのシュガーポットをご紹介します。
使う頻度や量はお料理用に比べて少ないかもしれませんので、より密閉性の高いものがおすすめ。
また、ティータイムを素敵に演出できるように、見た目も重視したいですね。
キッチンにもおしゃれに馴染むダルトンのスパイスジャー

ガラス容器なので、中身や残量がひと目で確認できるのも嬉しいポイントです。また、口が広いので砂糖や塩などの大きな袋からの詰め替えもスムーズにできます。
完全密封でニオイ移りも防止できる

傷に強く丈夫なガラス製。シンプルなデザインで洗うのも簡単です。
【番外編】絶対に固まらせたくない人におすすめ!素焼きの砂糖入れ
社内で砂糖の保存状況についてリサーチをしていた時に、何と「砂糖を一度も固まらせたことがない!」という意見がありました。
参考までに普段使っている砂糖入れを聞いてみたところ、下記の素焼きのシュガーポットをずっと愛用しているという話でした。

内側に釉薬2陶磁器の表面に付着したガラスの層のことが塗ってあり、内部の水分を逃さずに保湿してくれるのがサラサラの秘訣だそうです。
最近では、100均でも様々なタイプのものが売られています。
ご紹介したようなアイテムと見た目が同じようなデザインでも、いざ使ってみると砂糖が固まりやすかったり、使い勝手に不満があったりすることも、しばしば。
選ぶときには、次のようなポイントをチェックすると失敗が少ないです。
- 密閉性
- 砂糖の詰め替えやすさ
- 洗いやすさや傷の付きにくさ
砂糖をずっと美味しく使うために
賞味期限が無く長期ストックもできる砂糖ですが、誤った方法で保存しているとすぐに劣化してしまうことも……。
特に、ニオイ移り・湿気と乾燥・温度などには十分気をつけて管理したいですね。
冷蔵保存がNGということや、未開封・開封後(使いかけの袋)の保存方法など、意外と知らなかった!という方も多いのではないでしょうか?
保存環境の影響をなるべく小さくするためにも、砂糖を入れる容器選びは重要なポイント。
一番よい状態で使うために、ぜひお気に入りの保存容器を見つけて、美味しい状態をキープしてくださいね。
塩が固まらないって本当?気になる珪藻土スプーンの効果と安全性を調査・検証
ガチガチに固まった砂糖をすぐに戻す方法って?―固まる理由と防止策も
余ったグラニュー糖や粉糖を料理に使うと?おすすめの使い道を調理師が紹介
参考資料
※三井製糖「商品に関するよくあるご質問」検索日2021/11/10
※農畜産業振興機構「砂糖に関するFAQ」検索日2021/11/10
※パールエース「砂糖の保存方法」検索日2021/11/10
など