醤油の保存方法と醤油差しの液ダレ防止の裏技&お手入れのタイミング

醤油差しを買ったときはしばらく使いやすかったのに、ある日「急に液だれしたり、詰まって出が悪くなってしまった」なんてことはありませんか?

どんなに良い醤油差しでも、普段の使い方やお手入れのせいで、使いづらくなっていることがあります。

そもそも「醤油差しは冷蔵庫で保管が必要?」「液だれを防ぐ方法はないの?」「洗う頻度は?」など、意外と知らないことがいっぱい!

今回は「醤油差し比較」の実験と並行しながら調査した、醤油と醤油差しに関する気になる疑問を、まとめて解決していきたいと思います。

知っておきたい醤油の豆知識と正しい保存方法

醤油は基本の調味料の一つ。
性質がわかれば、上手に保存でき、いつでも美味しく味わうことができます。

醤油差しを選ぶときにも役立つので、是非この機会に知っておきましょう。

醤油皿
▲薄口醤油は淡口醤油とも書き、関西地方を中心に広く使われています。

醤油の種類や容器によって賞味期限が異なります

醤油の保存目安
※開栓後の賞味期限は、全て1ヶ月が目安。

醤油は、開栓前の状態であれば長期保存しても腐敗したり酸化したりという問題はあまりありません。
ですが、本来の美味しさや風味を損なわないためには、上記の保存期間が目安となります。

直射日光は避け、なるべく涼しいところに置いた方がよいでしょう。

開栓後の注意点

いったん開栓した後は、どの種類の醤油も、常温であれば約1ヶ月くらいを目安に使い切った方がよいです。
また、保存方法についても注意が必要。

開栓後は空気に触れることで酸化が進んでしまうため、きちんと栓をし、冷暗所に保存する必要があります。

一般のご家庭の場合、とくに夏場は温度が高くなりますので、開栓・未開栓に関わらず冷蔵庫で保存することをおすすめします
(最近は酸化を防ぐ密封ボトル入りのもので、常温保存が可能な醤油もあります)。

醤油の色
▲醤油は開栓前は意外と黒くないのですが、一ヶ月もすると黒っぽく変化します。

醤油差しは毎回、使用後に冷蔵庫に入れるべき?

品質をなるべく低下させずに、新鮮な状態を保ちたい場合は、もちろん冷蔵庫で保存するのがベストです。
とはいえ、毎回出し入れするのは面倒ですし、庫内でもし容器が倒れたら大惨事ですよね。

ボトルは冷蔵保存が基本ですが、醤油差しは卓上に置いたまま(常温保存)でも大丈夫。
ただし、ボトルから醤油差しに移し変える際には「1週間で使い切れるくらいの量」にしましょう。

家族の人数や消費量など、ご家庭によって差があると思いますが、おおよその目安としては、50mlくらい(小さじ10杯分)です。

倒れた醤油差し
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醤油に異変!? 変色や白っぽいものが発生した場合の対処法

醤油を使っているうちに、いつの間に最初の頃と色が変わっている!とか、何か白いものが浮いている!という変化が発生することがあります。
こういう時、変色した醤油を気にせずまま使ってもいいのか、それとも捨てた方がいいのかなど、気になりますよね。

ここでは、醤油によく見られる変化・変質などと、それが発生した場合の対処法についてお伝えします。

醤油が変色する理由は酸化が原因?

まずは、「醤油が、開栓してすぐの時より色が濃くなったように感じる」というケース。
本来醤油の色は真っ黒ではなく赤褐色なのですが、これが日が経つにつれて少しずつ黒くなっていきます。
これは醤油に含まれるアミノ酸と糖分が化学反応を起こしてできるメラノイジンという化合物が空気と接触すると、酸化し褐色に変化するためです。

醤油は褐色かするとともに、少しずつ風味も変化してしまいます。
この変化を遅らせるためには、なるべく空気に触れない状態にすることと、冷蔵庫など温度の低いところで保存することが重要です。

変色した醤油でも使えるの?

醤油は酸化することで変色はしますが、腐ったり有害物質に変化するということはありません。
風味の変化も、かえってまろやかになったと評価される場合もあります。

もしお持ちの醤油が賞味期限が少し過ぎていたり、「何か色が濃くなってきたな」と感じる場合でも、処分せずに使うことは可能です。

ただし、刺身などのつけ醤油や、かけ醤油として使うのは避け、煮物や炒め物など火を通す調理の味付けに使うことをおすすめします。
味も色も濃く変質してしまった醤油も煮物になら使える

醤油に白っぽいカビのようなものが発生してしまった!?

めったにないですが、梅雨時などに保存状態によっては、醤油に白いカビのようなものが発生することがあります。
でも実はこれ、カビではなく酵母菌の結晶です。
醤油は大豆を発酵させて作っているため、酵母菌がたくさん含まれているのです。

特に健康に害はないので、ペーパータオルやザルで濾すなどして火を通せば、一応、食用として使えます。
風味は損なわれているので、決して美味しくはないですが……。

醤油を美味しく保存するコツ

害はないものの、出来れば美味しく保存しておきたい醤油。
醤油の変色を遅らせ、酵母菌の結晶を発生させないようにするコツは、下記の3点です。

  • 開栓後は一ヶ月を目安に早めに使い切る。
  • 夏場はできれば冷蔵庫に入れる。
  • たまに容器を揺すって攪拌(かくはん)する。
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醤油に起きる変化は、実は醤油を入れる容器である醤油差しとも大きな関わりがあります。
冒頭でお話ししたように、醤油差しの液だれや詰まりは、実はこれらの醤油の性質や醤油差しのお手入れが原因となっていることがほとんど。

ここからは、醤油差しのお手入れや醤油差しの詰まりの原因と対処法などについて解説していきます。

醤油差しのお手入れのタイミングについて

醤油差しをずっと洗っていないと、注ぎ口に残った醤油が結晶化し、注ぎ口の目詰まりや液だれ、栓が取れなくなるなどのトラブルの原因になります。
目安としては、醤油差しの中身を入れ替えるタイミング。

そのまま新しい醤油を継ぎ足さずに、一度きれいに洗いましょう。
また、洗った後はよく乾燥させましょうね。

醤油スプレーはこまめなお手入れが必要

スプレータイプの醤油差しは、醤油が出てくる部分(噴射口)が細かく、醤油との相性にもよって詰まりやすいため、1日分を計って入れる⇒詰まる前にぬるま湯で洗浄するのが、長く使うコツです。

正直、お手入れが面倒だと思う方には醤油スプレーはあまりおすすめしません。
どうしても使ってみたい場合は、詰まっても後悔の少ない100均の商品の方が気兼ねなく使えるかもしれません。

メーカー品と100均一の醤油スプレーの性能比較については、こちらで実験していますので、気になる方はご覧ください。

醤油差しの詰まりの原因と対処法

醤油の種類や醤油差しの注ぎ口の形状によっては、目詰まりしやすいものがあります。
特に、使う頻度が少ないほど、詰まってしまうので要注意。

醤油差しの詰まりは、注ぎ口の内部に残った醤油の塩分や澱(沈殿物)などが結晶になってふさいでしまうのが原因です。

実験中に悲劇が発生! 醤油が一晩で結晶化

醤油差しから小皿に移す実験をしていたときに、それは起きました。

週末に他の用事で実験を中断し、翌週の月曜日の朝まで小皿に残った醤油を実験室の机に放置してしまったことがありました。
実験を再開しようと小皿を見てみたところ・・・。
結晶化した醤油
「凍ってる・・・!?」
と、季節的に冬だったので思っていましたが、時間が経っても溶ける気配無しでした。
固まった醤油の中に小さな立方体がいくつか見えるため、醤油の塩分塩やアミノ酸が結晶化したことが判明。

後ほど、改めてこの現象が再現するかどうかの実験をしてみることに……。
(冬だからか)冷蔵庫でも常温でもそれほど変わらず、空気にさらされていたかどうかが関係しているようでした。
醤油差しの比較実験中に結晶化してしまった醤油
この醤油の結晶化は、小皿に出しっぱなしの醤油には見られましたが、醤油差しの中に入れた醤油には全く起きませんでした。
(長年放置された醤油差しだと、中身がコロコロとした結晶の塊になったという話はあります)。

ただし、注ぎ口にわずかに残っていた醤油については、既に固まった状態でした。

注ぎ口に醤油を残さない

醤油差しの詰まりを防ぐには、醤油を注ぎ終わったら容器を傾け、注ぎ口に醤油が残らないようにするのが重要です。

また、製品によっては空気穴(空気を通すための小さな穴)がありますが、そこが醤油で詰まっている可能性もあります。
もし目詰まりしてしまった場合は、爪楊枝などでつつくか、40℃くらいのぬるま湯に長時間(一晩くらい)つけ置きするなどしてみましょう。

醤油の差し口
▲醤油の差し口には、色んな形があるってご存知でした?
【完全版】「醤油差し比較」―液だれしない醤油差しを探せ!醤油差し10種類を検証

液ダレが起きやすい条件と、防止する裏ワザ

液ダレには「発生しやすい条件」があります。

主な条件としては、注ぎ口の先端が尖った形状でないもの(丸や四角など)で、注ぎ口を上に持ちあげた時に、液ダレが多く発生します。
また、最後に醤油を使い切るときにも起きやすくなります。

これらの条件に、さらに醤油差しの注ぎ口と醤油の間に生じる界面張力が作用するのが、液ダレの主な原因なのです。
醤油が液だれしやすい原因

注ぎ口で固まった醤油は、早めに取り除こう

醤油をさした後、重力によって醤油が真っ直ぐ下に落ちようとするのを、界面張力が壁面に持ち上げてしまうため、取り残された醤油は注ぎ口の先端に溜まってしまいます。
溜まった醤油の成分はすぐに空気に触れて乾燥し、塩の結晶になります。

こうして使うたびにその結晶が大きくなり、注ぎ口に醤油の表面張力以上のでっぱりが出来ると、頻繁に液だれを起こしたり醤油が詰まるようになるのです。

懐かしの裏ワザを試してみましょう

醤油差しの注ぎ口のつき方や先端の形状、材質などにも左右されるのですが、はっ水加工されているものであれば、こういった現象は起きにくくなります。

液だれを防ぐ方法として有名なものに、過去のTV番組「伊東家の食卓」で放送されていた裏技があります。
なかなか理にかなった方法なので、参考までにご紹介させて頂きますね。

【醤油差しの液だれを防ぐ裏ワザ】(1999年06月22日放送 日本テレビ系列「伊東家の食卓」より)
醤油差しの汚れをふき取ってから、リップクリームを注ぎ口の下半分に軽く塗ります(なるべく無香料のものを選んでください)。リップクリームに含まれるラノリンには唇の水分を一定に保つ性質と、余分な水分をはじく性質があり、たれてくる醤油を弾いてくれるのです。
この裏ワザの効果は3~4日くらいです。ちなみにラノリンとは、刈り取られた羊毛の油脂から出来ているオーガニックな天然素材です。口にしても無毒無害な安全な素材です。

アヒルの醤油差し
▲こんな醤油差しなら、液ダレしても許せてしまう…かも?

さいごに

醤油差しは食卓でよく使うので、性能よりも見た目のデザインにこだわりたい!という方もいらっしゃるかもしれません。

デザインは気に入っているんだけど、やっぱり液ダレして使いづらい・・・なんて醤油差しをお持ちの方は、是非今回の液ダレの防止方法やこまめなお手入れなどを試してみてくださいね。


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参考資料
しょうゆの賞味期間測定委員会: 醤研, 17, 229 (1991)
田中 秀夫「醤油の保存中の変化と賞味期間」日本醸造協会誌 87(12), 880-885, 1992
奥原 章「しょう油の色」日本釀造協會雜誌 71(8), 603-607, 1976
進藤亮子「身の回りの商品研究から『使う立場に立った―使い方ソフト開発を中心として』」繊維工学 Vol.48,No.3(1995)
横山真男ほか「容器口の形状に着目した液だれ防止方法の提案」流体力学会 全国講演会 2016年
日本醤油協会「しょうゆ情報センター」検索日2017/9/25