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包丁の欠け

ボロボロの包丁をおうちで蘇らせるシリーズ【2】刃こぼれした包丁を修復しよう

キッチン

サビてボロボロになってしまった包丁を蘇らせることはできるのか。

今回は「包丁の欠けを修繕する」ということで、三徳包丁のアゴ部分の刃欠けを修繕していきます。
今回は私の師匠(?)である先生にもご協力いただき、包丁メンテナンスを実践してもらいますよ!

「おいしいに国境なし!」──を合言葉に、料理の「?」や「!」を探しながらご家庭で役立つ知恵やアイデアを探求中! 料理のイロハを先生に師事して学びながら、ワンランク上のこだわり料理にもアクセル全開で挑戦します! たまには先生が記事に登場することも?

包丁の刃欠けってどういう状態?

包丁の刃先は、とても繊細なものです。三徳包丁や牛刀などで無理に冷凍食品を切ろうとすると、刃先が固さに耐えられず欠けてしまう……それが包丁の欠けです。

出刃包丁などは魚の骨を断ち切る用途にも使われますから、包丁に厚みがありつくりがしっかりしています。それでも大きめの鯛や鮭などをさばいていると、思わず刃先が欠けてしまうということも。

さて、写真をご覧いただけばよくわかりますが、前回サビを落とした三徳包丁。改めて見るとアゴの部分がしっかりと欠けてしまっていますね……。

包丁の欠けを修繕するには、地道に刃を研いでいくしかありません。

根気のいる作業ですが、これは包丁研ぎと同じで、やった分だけしっかり結果がついてくる──というのは先生のお言葉。

包丁の刃欠けの修繕に必要な道具

これだけの欠けを修繕するのに、一般的な荒砥や中砥を使っていたのではいつまでも作業が終わらない──ということで、最初は目の荒い砥石を使って、一気に削っていきます。

今回使用するのが、非常に目の荒い砥石。これは主に砥石をメンテナンスするために使われる“砥石のための砥石”ですが、包丁を荒研ぎするのにも使われます。

番目でいうとおそらく50番前後でしょう。アスファルトのような目の粗さですから、金属とはいえガシガシ削れるはず。

それではさっそく欠けを直していきますよ。

実践!包丁の刃欠けを直す方法

包丁の欠けを修繕するにあたって、刃先を地道に削っていきます。基本的なやり方は通常の包丁の研ぎ方と同じ。

今回の三徳包丁は両刃なので、両面を削っていきます。

大切なのは、刃先の線を崩さないこと。アゴが欠けているからといってアゴ部分ばかり削っていると、刃先の線が歪んでしまいます。アゴから切っ先にかけて、通常の包丁研ぎと同じ要領で削ってくださいね。

15分経過

無表情で黙々と作業を続ける先生。女性ですとなかなかの体力仕事かもしれません。

いくら目の荒い砥石とはいえ、金属刃物はそう簡単に削れないもの。根気強く、何度も何度も同じ作業を繰り返していきます。

ちなみに、包丁を手研ぎしているプロの研ぎ師でも、ほんの2、3本の包丁メンテナンスに午前中いっぱいかかるのだとか。大変な仕事です……。

30分経過

だいぶ欠けが小さくなってきましたね。

この間、刃先はどんどん削れていきますから、当然包丁としての機能はなくなっていきます。荒い砥石で削っているということもあり、刃先は徐々にボロボロに。

最後にまた刃をつけてあげる必要があります。

45分経過

最初に比べて欠けがかなり小さくなっているのがわかるでしょうか。そろそろ先生の額にも汗が光ってきています…。

1時間経過

そして一時間が経過し、ついに欠けの修繕に成功!

砥石は、マメに水をかけながら使います。包丁は常に水に濡れている状態で、この間にも再び赤サビが浮いてきた模様。包丁がところどころ茶色くなっているのがわかるでしょうか。

サビ落としの工程で表面を磨いたばかりということもあり、包丁の肌には大小さまざまな傷がついています。この傷の間に水分が入り込んで、サビが浮きやすくなるのです。

取り急ぎ研磨剤でサビを落としつつ、最後に刃線を整えて完成!

包丁を立てて刃先を削ってもいい?

同じ作業を延々繰り返していると、「いっそ刃を立てて思い切り削ってしまいたい!」という衝動に駆られるかもしれません。

でも、砥石に対して包丁を垂直に立てて削ると、刃がつかなくなってしまいます。地道に削るのがまどろっこしくなのはわかりますが、絶対に刃を立てて研いではいけませんよ。

万が一包丁を立てて研いで刃を殺してしまったなら、そのときは素直に研ぎのプロに修繕をお願いしましょう。

包丁の刃欠けを防ぐ5つのポイント

大事な包丁を長く使うために、包丁の刃欠けを防ぐためのポイントをいくつかご紹介します。

【ポイント1】食材に合った包丁を使う

三徳包丁や牛刀は基本的にどんな食材にも合う包丁ですが、凍っているものは切れません。凍った食材を切るには冷凍包丁という専用の包丁を使うのが理想です。

冷凍包丁がなければ、食材を解凍してから刃を入れるようにしましょう。

また、三徳や牛刀で魚をさばくこともできますが、特に牛刀は刃が薄く欠けやすいので注意が必要です。やっぱり魚を安全にさばくには、専用の出刃包丁が一番ですよ。

【ポイント2】包丁の保管場所に注意する

ご家庭のキッチンには、包丁を収納するためのスペースが大体設けられています。実は、収納する際に刃をどこかにぶつけて欠けてしまうということも。

できれば新聞紙や専用の袋などで包丁を保管したいですね。サビの防止にもなりますよ。

【ポイント3】食材を叩き切らない

映画などで、中華料理人が肉を叩き切っている姿を目にしたことがある方は多いと思います。あれを真似して包丁で食材を叩くのは、実はよくありません。

中華料理人が使っている中華包丁は、食材を叩き切るという用途に合わせて刃は厚く強靭につくられています。三徳や牛刀、その他の包丁で同じことをすると、欠けの原因になってしまいます。

【ポイント4】包丁を横に動かさない

包丁は基本的に、前方から手前に刃を引く形(あるいはその逆)で、前後の動きで使うものです。

お肉などを切っている最中、切れが悪いからといって包丁を横に動かしてお肉を引きちぎるような使い方をすると刃先が歪み、欠けの原因となってしまいます。

【ポイント5】包丁をサビさせない

実は、サビも欠けの原因です。
というのも、包丁は刃先にいくほど繊細でもろく、もっともサビやすいのも刃先なのです。刃がサビると強度が著しく落ち、ちょっとした衝撃で欠けてしまいます。

ですから、包丁を欠けから守るにはサビを遠ざけることも大切なんですよ。

最後に

欠けた刃の修繕、見事に達成です。所要時間はおよそ一時間。

今回は研ぎ慣れしている先生にお願いしましたが、それでもこれだけの時間がかかりました。力仕事ではないので根気さえあれば女性でも簡単にできるらしいですが、体育会系の私でもなかなかきつそうです。

でも、ここまで手をかけてもらえれば愛着も湧いてくるもの。

次回は最終仕上げ、包丁を鏡面に仕上げていきます!

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