キッチン道具の担当者。元司書であることから、モノを買うときは納得するまで調べ尽くす性分。ハウジーではクラスコと一緒に100を超えるキッチン道具の比較や検証を実施。本当に気に入ったキッチン道具の紹介や「困った!」を解決する記事をお届けしていきます。
前回はキッチンカウンターを整理するコツについて、整理収納アドバイザーの柳澤知伽さんにアドバイスをもらいました。今回は社内の食堂スペースにあるキッチンカウンターに「カウンターの上にありがちなモノ」を適当に散らかして再現。具体的にどう片付ければよいか、柳澤さんに実践してもらいました。ためになる柳澤流のワザが満載です!
アンケを元に再現!キッチンカウンターが散らかっている状態とは?
まずは、会社の食堂をダイニングキッチンに見立てて、前回実施したアンケートの声をもとにキッチンカウンターの生活感を再現!
一応、可愛い雑貨だったり、花瓶に花を飾ってみるなど、精一杯「お洒落っぽいカウンターを目指してたキッチンカウンター」という気持ちを込めて再現してみたのですが……。「実際はこれの数十倍は散らかっているよね!」という周囲からの厳しいツッコミ(?)もありましたが、会社メンバーの意見をとりいれつつ、わりと生活感を出せた気がします。
まず「散らかっている状態」を再現した現場の状況を確認していきましょう。
<散らかっている状態1>現場のモノが見つからない
今回この状態を作るにあたり、スタッフMさんの私物なども色々とお借りしています。
この中に、普段Mさんがちょっとしたお出かけに必要としている「鍵」「トートバック」「定期入れ」あとはハンドクリーム類なども紛れているのですが、ぱっと見つかるでしょうか?
「40秒で支度しなさい」とか言われると厳しそうですね。慌てて支度すると、何か忘れ物をしそうな予感がするキッチンカウンターです。
<散らかっている状態2>色んな用途のモノが混ざっている
ここで何をするにしても、何だかごちゃごちゃして落ち着きません。「ちょっと、どけて」と言われても、どこに?となるモノが多そうです。
今のカウンターの上にあるものは、どれも何となくそこに置かれているだけの状態。これをどんなふうに「定位置」を決め、必要な物だけサッと出せる状態にするのか、一緒に見ていきましょう。
「キッチンカウンター整理術」を実演!専門家に突き付けた条件とは?
<今回、実演してくれる専門家>
柳澤知伽 (Chika Yanagisawa)
整理収納アドバイザー1級・インテリアコーディネーター
自宅サロンレッスンやお片付けのサポートを通じ、依頼者に応じた提案をこなす。「足の踏み込れ場もない」状態を片付けてきた経験も。インテリア&収納コーディネートで、憧れの空間をかなえるお手伝いをしている。
前回は「どういう状態を理想とするかはその人やご家庭によっても違うので、『こんなふうにしたい』という理想=ゴールや決めることが大事」だとアドバイスいただきました。
そのうえで柳澤さんがお仕事の依頼をうけて片付ける際には、
- すべてのものを「使っているもの」or「使っていないもの」に分ける
- 希望に合うように収納用品を用意して整える
というように収納用品は最初から用意するのではなく、現場でよくヒアリングしてから希望に合うものを買出しに行くスタイルが多いそうです。でも「これを使って収納して欲しい!」とか「今ある収納を活かしたい」というリクエストもあるようなので、今回はその設定でいきたいと思います。
シチュエーションとしては「食事(お茶でも可)する場所としても使いつつ、ちょっと調べ物&何か作業も出来て、軽いお出かけに必要なモノをおいておきたい」というコンセプトです。
というわけで、少し無茶ぶりですが下記のような条件でリクエストをしてみました。
- 今あるものは全部「必要」と仮定
- 収納アイテムは用意したものの中から使ってほしい
- どこに何があるか把握したい
- 使いやすさ(取り出しやすさ)も重視
- お気に入りのキャラクター人形を主役にしたい
- 見た目はなるべくスッキリと
色々突っ込みどころもある条件ですが、どうぞ温かく見守ってください。
ちなみに、小道具を足すのはOK。収納アイテムはあらかじめこちらで用意したモノの中から選んでいただきます。
【実演1】センスがなくても実践できる!収納アイテムの選び方
――作業開始から15分。
「ここにあるもので「とりあえず」整理したって感じです」と柳澤さん。
あれこれ試行錯誤しながらも手際よく作業を終えた柳澤さんでしたが、気になっている部分があるとのこと。くわしく話を聞いていきましょう。
「本当は、カウンターの上段が白で、下段の天板部分がこういうナチュラルな色なので、もっとナチュラルな色に合わせた入れものの方が合うし、収納アイテム自体も目立たなくなります」
なるほど、置く場所に合わせて収納アイテムの色も考えた方がいいんですね。
「今入れものに使っている濃い茶色の箱だと、存在感が出すぎてしまって、「何か置いてある」って感じになってしまうんです。これが例えば白の入れものとかに変わると、もうちょっと控えめな感じになるし、後ろの壁や後ろの背景ともすごく調和しやすくなります」
普段の生活でも「SNSで話題だし、何かカッコイイから買っちゃおう」という何も考えずセレクトしてしまうと、部屋の雰囲気に合わないという悲劇が……(←経験あり)。
テイストや色は、買う前にしっかり「使うシーンや目的をイメージ」して選ぶことが大事!と認識しました。
先ほどの指摘をうけて、「こういうモノ」を「ここに置く」って考えてから買わないと難しそうだなと思いました。
「最初に整理すると『ああ、だいたい入れ物はこんな感じで、いくついるな』っていうのがわかるので、まずはそこからですね。今日はこのカゴ買ってきて、明日は違う箱買ってきて…ってすると、本当に(見た目が)ばらばらになっちゃう」
あります、あります。次々と違うモノを買ってきてごちゃごちゃになる感じ。
「センスがある人は上手に合わせられると思うけど、あまりこう自分の中でちゃんと想像がついてないと…後で合わせるっていうのは、すごく難しいですね」
センスがない人ほど、ちゃんと整理して→想像して→買うって大事なんですね。改めて最初にモノを整理することの大切さが身に染みてきました。
では、どんなふうにそれぞれの置き場所を決めていけばいいのでしょう?
【実演2】置き場所はどうやって決める?定位置の決め方とコツ
よくみると、置き場所がエリアによって分かれている様子。
これってどんな基準で分けたのでしょう?
「本当は全てのモノを片側に寄せた方が広く使えますが、もし食事すると想定するなら、ケトルの近くに「(マグカップなどの)食事に関係するもの」がないと不便。でも「関係ないもの」は反対側って分けて置かないと、すぐグチャグチャになります」
<モノの定位置を決める際の分け方>
- 食品に関係するもの(食べることに関係するもの)
- 出かけるときに関係するもの
- その他の「家の中で使うもの」(DMや文具、リモコンなど)
の3つに分けたそうです。
「こうやって、それぞれ置く場所だけ決めておけば「今すぐ片付けて」となったときに、そこに放り込むだけでいいですよ」と柳澤さん。
使う場所の近くを定位置にすることや、他の用途のものとは分けておくことが重要なんですね。
よく見ると、持ち運びも簡単そうなタイプの入れものを選ばれているので、いざというとき他の場所への移動も簡単そうですね。
キッチンカウンターの物置化を防ぐ方法が、少しずつ分かってきた気がします。
【実演3】スタッフ全員が目からウロコ!収納ボックスの使い方
整理を続ける柳澤さんを横で見ながら、ちょっと気になったことが!
それは、ペン立て自体をそのまま、大きい箱の中に入れてしまうということ。
箱の横に並べればいいのに……と思うのところですが、なぜなんでしょう?
「そのままつっこむと中でバラバラになって探せなくなってしまうので。コップでも何でも良いので、こんなふうに仕切りを作ると、こういう大きい箱とかも使いやすくなります」
なるほど!!そういうワケなんですね。
絆創膏をクリップでとめておくというアイデアも面白いですよね。そのままぺラッと置いておくと絶対なくなってしますからね。
改めて写真を見ると、他のものもパッと見て入っているのが分かる入れ方になっていますね。
「横向けや下に入れてしまうと、そこに物が入っていること自体を忘れてしまいがちですからね」と柳澤さん。大きい箱や深い箱を使う場合、できるだけ(中に)何があるか把握しやすように入れるのがポイントだそうです。
これには、その場にいたスタッフ全員思い当たる節があったようで…。「ハサミとか他の場所に探しに行ったり、買いに行ったり。で、いつの間にかハサミいっぱい!みたいな」という体験談も。置き場所や入れものだけでなく、入れ方にも気をつけたほうがよさそうですね。
【実演4】外出するときに忘れ物&紛失しらずになれる!2つのワザ
アクセサリートレーに定期入れが!なんで?
実は、ここにもちゃんと理由が・・・
「外に持ち出すモノは小さめのトレーにまとめています。これくらいの大きさの入れものがちょうどいい。大きすぎると、また余計な物を入れてしまう原因になります」
たしかに……!
本当に必要なものだけが入る大きさを選ぶことが重要ポイントですね。
そして、カウンター上に置かれていたトートバッグは、カウンター下に吊るしてあります。座る場所の邪魔にならず、かつ取りやすい位置を選ばれていますね。
【実演5】使うor使わないでは分類できない。お気に入り雑貨の飾り方
さて、ここからは、ちょっと番外編。
整理収納のアドバイスではなく、インテリアコーディネートのアドバイスいただきます。
雑貨やインテリアなどは、「使う」「使わない」とかでは分類できないモノですよね。
インテリアコーディネーターのお仕事もされている柳澤さんに、そういったものをカウンターに置きたい場合のアドバイスをうかがってみました。
実は今回のリクエストにも入っていた「お気に入りのキャラクター人形を主役にしたい」という条件。主役らしく真ん中に雑貨が移動したことに、気づかれましたか?
「モノを飾る場所としてカウンターを使うなら、花瓶・ミニ観葉植物・ケトルなどは、いらないかもしれない。人形と果物だけで、すごく映えるから」
あまり視界に入る色が多いと視点がバラけるため、何か見せたいものがある場合は極力色を抑えることがポイントなのだそう。
「スッキリさせたいときは、カラーを使うとしても、1つだけにしてポイント使いをしましょう。
今回の場合も、もしリンゴの赤や植物やケトルの色が白だったとしたら、人形がめちゃくちゃ映えますよね」
ケトルなど出しっぱなしにして使うキッチン家電類も、真っ白のものなど色の入っていないものを選ぶと、本当に見てもらいたいものが引き立つということですね。
今はおしゃれな家電が色々出ているので、新たに買うときの参考になりそうです。
ちなみに今回雑貨のリンゴを使いましたが、本物の果物をインテリアとしてキッチンカウンターに飾るというのはどうなのでしょう?
「果物は見えるところに置いておかないと忘れてしまいませんか?
インテリアとして飾っていると食べ忘れてしまって、知らないうちにカビが生えたりしますよね。
バナナスタンドもしょっちゅうバナナを食べる家でないと、そのスタンドも何か違うものが掛かったりすることもあります」
まさにわが家のバナナスタンドの状態!
実は多いのかもしれないですね。バナナスタンドに違うものがかかっているパターン。
リンゴやミカンなどは、かごやお皿、ボウルなんかに入れ、バナナはたまに食べるくらいなら、S字フックなどで目に入る場所に吊るすとかでもよさそうです。
キッチンカウンター整理術まとめ
今回の実演を通して改めて「収納アイテムやモノを買うときには、事前にきちんとどんなふうに使うかイメージしてから買わないといけないな」と実感しました。
柳澤さんに色々アドバイスいただいた内容を、かなりギュギュッと詰め込んでお伝えしました。
ポイントをおさらいしましょう
<キッチンカウンターの整理整頓術>
- まずは整理して必要なものだけにする。
- 使う場所の近くを定位置に。別の用途のものと混ぜない工夫も大事
- 収納アイテムは「使うシーンや目的を具体的にイメージ」して選ぶ
- 必要なモノだけが入るものを選ぶ。入れものが大きい場合は、中を仕切って使いやすく!
- 「あれどこ?」を防ぐために、中身がわかるように入れる
<キッチンカウンターのコーディネイト術>
- 見せたいものがある場合は、それ以外のモノの色を極力おさえる
- カラーを使う場合も、ポイントに1つだけ使うようにする
- 果物をインテリアとして使う場合は(食べ忘れないよう)見える場所に置く!
これでも、実演いただいたうちのほんの一部しかお届けできていないのが、すごく残念!
でも本当にためになる1日でした。みなさんもぜひ参考にしてくださいね。
※2019/03/11に公開した記事を再編集したものです。