キッチン道具の担当者。元司書であることから、モノを買うときは納得するまで調べ尽くす性分。ハウジーではクラスコと一緒に100を超えるキッチン道具の比較や検証を実施。本当に気に入ったキッチン道具の紹介や「困った!」を解決する記事をお届けしていきます。
とても身近な調味料のひとつ、砂糖。
でも意外と正しい保存方法については、知られていないことがたくさんあります。
保存の仕方によっては、砂糖が固まったり虫がわいたり、変色などの変化をおこしたりしてしまうことも……。
今回は、意外と知らない砂糖のNGな保存方法や砂糖の固まりを防ぐアイデアについてご紹介します。
知らずにやってませんか?砂糖のNGな保存方法 3つ
砂糖には賞味期限は記載されていません。砂糖は品質が安定している調味料のため、基本的に腐ることがないからです。
ですが、賞味期限というのはそもそも「保存条件を守った上で、おいしく食べられる期限」のこと。
砂糖のおいしさをキープするためには、一体どんなふうに保存すればよいのでしょうか?
まずは、知っておきたい3つのNGな保存方法について見ていきましょう。
【NG例1】高温多湿な場所での保存
まず、気をつけたいのは砂糖を保存する場所。
保存容器に入れた砂糖の置き場所はもちろん、未開封の袋に入った砂糖の置き場所や開封した残りの砂糖の保管方法にも注意したいですね。
砂糖の種類にもよりますが、固まる主な原因は湿気や乾燥です。直射日光や急激な温度変化なども品質の劣化につながります。
キッチンに収納スペースが少なく、置き場所が限られているという場合は、湿気などに強い密閉容器を選ぶなどして気をつけたいですね。
密閉できない場合は、シンク下など湿度の高い場所も避けましょう。また、高温になりやすいコンロ周りや炊飯器の近くなども避けたいですね。
未開封の砂糖や使いかけの砂糖を置いておく場所としてのおすすめは、キッチンの吊り戸棚や床下の収納スペースなど。
戸棚の上の方は出し入れがしにくいため、取っ手付きの収納アイテムがあると便利です。
【NG例2】冷蔵庫での保存
うっかりと砂糖を冷蔵庫に入れて保存していませんか?
これも砂糖が固まる原因のひとつ。
砂糖を保存するときは「常温」と覚えておきましょう。
冷蔵庫の中は意外と乾燥しやすい環境なので、砂糖にとっては好ましくない場所です。
また、ドアの開け閉めで温度が変わりやすくなるため、冷蔵庫から出した時の温度差で結露しやすくなります。
砂糖が湿気て溶けだしてしまうこともあるので、なるべく避けるようにしましょう。
【NG例3】買った袋のまま保存
砂糖1袋分って結構な量が入っているので、一度に容器に入らないことが多いですよね。
残った砂糖を、買った袋(パッケージ)のまま輪ゴムでぐるぐると縛ってそのまま保存しているという方、意外と多いのではないでしょうか?
実はこれ、間違った保存方法なんです。
100円ショップなどでも、砂糖を袋ごと保存できるタイプの容器が売られていたりします。
でも……正直なところ、密閉ができれば「砂糖専用の保存容器」でなくても大丈夫です。
多目的に使える保存容器で十分ですが、中に乾燥材が付属しているタイプのものは砂糖が固まりやすくなってしまうので不向きです。
未開封でも密閉容器に入れたほうがよい理由は?
開けてない砂糖の袋も、密閉できる容器に入れておくのがおすすめ。
上白糖やグラニュー糖などの袋は、輸送中に破れないよう空気の逃げ道なる小さな穴が開いていて、完全密封されていないからです。
そのため、保管中に虫が袋を食い破って中へと入り込んでしまうということがあります(ただし、袋の中に侵入されたとしても砂糖で脱水状態になるため、袋の中で虫が繁殖する心配はありません)。
虫の侵入を防ぐ目的以外にも、乾燥や周りからのニオイ移りを防ぐ効果もあるので、未開封の砂糖でも密閉容器に入れておくことをおすすめします。
とはいえ、未開封の砂糖の場合は袋が大きいので、ぴったりの密閉容器となると探すのが難しいかもしれません。
その場合は、チャックつきの保存袋(Lサイズなどの大きめのものなら、そのまま余裕で袋ごと入ります)に入れておくのでも十分です!
買ってきたままの袋でそのまま保存する場合と比べてサラサラな状態が長持ちしますよ。
砂糖の固まり防止に珪藻土グッズがNGって本当?
100均にもよく売られている珪藻土でできたスプーンやスティックといった「珪藻土グッズ」。
調味料瓶の中に入れているパッケージ写真もあるので、つい勘違いしがちなのですが、実は砂糖の固まり防止に使うと逆効果なアイテムなんです。
今回の企画のきっかけとなったのも、この珪藻土グッズについての勘違いがきっかけでした。
「珪藻土って効果あるんですかね?どなたか使っておられませんか?」と周りでも聞いてみたところ……。
「使っているけど効果ない」
「使ってるけど固まった」
という回答が!
さらにくわしく調査してみたところ、固まっていたのは「砂糖」という声が意外と多かったんです。
珪藻土グッズで砂糖が固まってしまう理由は?
珪藻土には、湿度が高い状態の時は吸湿して湿度を下げ、湿度が低い状態の時には放湿して湿度を上げるという調湿機能があると言われています。
なので、乾燥が苦手な砂糖の場合にも効果があると思っていたのですが……。
上記はセリアの珪藻土グッズのパッケージに書かれていた注意事項。
確かに「砂糖への使用はできません」って書いてあります!
珪藻土はあまりに湿気を取り過ぎてしまうため、砂糖が固まってしまうんですね。
砂糖の固まり防止におすすめのグッズは?
ちなみに、珪藻土の約5倍の吸・放湿量があると言われている「多孔質セラミックス」を素材にしたエコカラットという調湿材があるのをご存知でしょうか?
こちらはなんと、砂糖もOK!
「なぜ、珪藻土と似たような見た目&効果なのに、砂糖にも使えるの?」と気になりますよね。
実は、水で湿らせたドライキーパーを砂糖と一緒に容器に入れることで放湿力がアップし、砂糖が固まらずサラサラのまま保てるということでした。
確かに見た目は珪藻土に似ていますが、性質や使い方が異なるんですね。
その砂糖まだ使える?気になる状態の見分け方
砂糖には賞味期限が書かれていないからと、あまりに長く保存しすぎたり、知らないうちに保存環境が悪くなっていたりすると、見た目や状態が変わってしまうことも……。
正しい保存条件を守ったうえで状態さえ良ければ、開封・未開封に限らず何十年経っていても食べることができる砂糖ですが、この「状態が良ければ」という見極めが、なかなか難しいですよね。
ここでは、気になる砂糖の状態について、傷んでいる(食べられない)かどうかを判断するチェックポイントをお伝えします。
【1】固まっている
砂糖には色々な種類がありますが、とくにしっとりとした上白糖や三温糖 は固まりやすい砂糖です。
これらの砂糖は結晶が細かく、水分を含ませてしっとりさせているため、適度な湿度が無いと結晶同士がくっついてしまいます。
なので、保存の仕方によっては乾燥してカチコチに固まってしまうことも……。
固まった砂糖は、ほぐせば普通に料理に使うことができます。
【2】変色している
白砂糖とも呼ばれる上白糖が、いつの間にか黄ばんでいたり薄茶色っぽい色になっていたりすると、心配になりますよね。
全体に均一な黄ばみや薄茶色の変色は、長く保存している砂糖におきる自然現象なので問題はありません。
この現象は「メイラード反応」と呼ばれるもので、醤油や味噌などが長期保存することで色が濃くなってしまうのと同じ現象です。
甘味などにも変化はないので、普通に使っても大丈夫ですよ。
ただし、全体的に変色しているのではなく、何かが浸み込んだような感じで部分的に変色している場合には注意が必要。
何か別の物質によって汚染されている可能性があるため、なるべく使わないほうがよいでしょう。
【3】溶けている
砂糖の状態で気をつけたいのが、砂糖が溶けているというもの。
湿気の多い場所で密閉などをせずに保管していた場合に、まれに中の砂糖が湿気て溶けだしてしまうことがあります。
この場合は既に傷んでしまっている可能性が高いので、使わないようにしましょう。
【4】カビが生えている
砂糖には食品中の水分を吸収し、細菌やカビの繁殖を抑制するという効果があります。
ジャムなどの保存食に用いられるのも、こういった性質を利用したものです。
ですので、砂糖にカビが生えるというのはめったにないことですが、精製されていない黒砂糖の場合には注意しましょう。
特に、空気に触れる外側が湿気の多い環境にあるとカビが生えてしまうことがあるので、保存には十分気をつけたいですね。
黒砂糖の表面が白っぽくなるのは、表面が溶けて結晶化したものなので、問題はありません。
ただし、酸っぱさやツンとした刺激臭がする場合は、腐敗が進んでいる証拠なので食べるのは避けてください。
【5】虫が発生している
未開封の砂糖の場合、ほとんど虫に対する心配はいりません。
また、先ほどご紹介したように未開封の状態で更に密閉容器に入れておけば、まず発生することはないでしょう。
開封後に気をつけたいこと
注意したいのは開封後の保存方法。
まれにキッチンに侵入してしまうことのある吸蜜性のアリには要注意です。
アリは嗅覚が非常に優れているため、甘いニオイがするものに敏感。保存容器はなるべく密閉性に優れたものを選びたいですね。
砂糖の種類によってはダニにも注意
ダニの一種で、「サトウダニ」と呼ばれる種類がいます。
サトウダニは一般的な上白糖では生育できないのですが、三温糖、、中白糖、黒砂糖の場合は、温度や湿度の条件がそろってしまうと生育できてしまいます。
これらの砂糖の場合は、温度や湿度の高い場所で保管しないように注意が必要です。
砂糖を固まらせないために
NGな砂糖の保存方法や砂糖の状態見分け方について色々ご紹介してきましたが「意外と知らなかった!」という方も多いのではないでしょうか。
砂糖を常においしい状態を保つためにも、できれば密封できる保存容器を選び、湿気や温度などに十分気をつけて管理したいですね。
どうしても環境的に固まりやすいという方は、固まりを防止できるアイテムを取り入れてみてはいかがでしょう?
砂糖をほぐすのは結構面倒なので、固まらないように日頃から上手に保管したいものですね。