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炊飯器や圧力鍋で美味しいふかし芋の作り方 ーふかし芋を焼き芋に変身させる裏技もー

キッチン

さつまいもの美味しい食べ方といえば、シンプルに「ふかし芋」にする方法があります。
皮までしっとりと食べやすいのが特徴で、さつまいもの甘さを引き出すことができる調理法です。

この記事では、ふかし芋の作り方を比較して、一番甘く作れる調理法を解説します。
また、ふかし芋を焼き芋に変身させる裏技も紹介しますよ。

幼いころから「つくること」全般が好きで調理師、ハンドメイド作家に。ハウジーでは主婦の負担になりがちな毎日の料理を楽しめるよう、ちょっとしたヒントをお伝えします。また「大人の食育」に直結する料理のおもしろさをシェアしたい!北海道での菜園づくりや調理の工夫はブログとインスタグラムでも発信しています。

お家でふかし芋を作る調理法

さつまいもを「ふかす」、つまり「蒸す」調理法には以下のようなものがあります。

炊飯器で「ふかし芋」

炊飯器でさつまいもを蒸すのは、非常に簡単で美味しいとして、SNSでも広まっている調理法です。

この記事では「調理モード」と「玄米コース」での比較をしています。

ただし、炊飯器を使う際には注意点があるため、危険な使い方にならないようにする必要があります。詳しくは後述します。

所要時間は60分から90分ほどかかります。

圧力鍋で「ふかし芋」

短時間で食材を柔らかくできる圧力鍋を使うと、最も短い時間でさつまいもを蒸すことができます。
出来上がりの特徴として、甘さはやや控えめになります。

所要時間ですが、「加熱最大15分+圧力が抜けるまでで合計30分程度」となります。加熱時間は鍋の圧力の違いにより変わります。

蒸し鍋で「ふかし芋」

蒸気でさつまいもを蒸し上げる昔ながらの方法。
最もさつまいもの甘さを引き出すことができる調理法です。

所要時間は30分から50分程度。

スイッチを押すだけ!炊飯器で作るふかし芋の作り方

炊飯器でふかし芋を作る方法はとても簡単。
内釜に200ccの水とさつまいもを入れてスイッチを入れるだけです。
しっとりと蒸し上がります。

「調理モード」など、調理用のメニューがある機種の炊飯器ではそれを選択し、60分に設定します。

できあがりはこんなかんじ。
しっとりなめらか、甘みも十分です。

炊飯器の「玄米モード」で蒸したものと比較

さつまいもは、70度前後での加熱を長く続けることにより甘さが引き出されます。
この原理を考えると、炊飯器の機能の中でもじっくり加熱するメニューを選べば、もっと甘くなる?!

多くの炊飯器についている「玄米モード」は、通常炊飯よりも長い時間をかけて固い玄米を炊き上げます。
この機能を利用してさつまいもを蒸す方法が、SNSでも話題になっています。

そこで実際に圧力炊飯器の「調理モード」で作ったものと、マイコン炊飯器の「玄米モード」で作ったものを食べ比べしてみました。

使用したのは、象印NS-WB10型、シンプルなマイコン炊飯器です。
作り方は前述の方法と変わらず、200ccの水とさつまいもを内釜に入れます。
「玄米モード」を選択し、スイッチを入れるだけです。

1時間半ほどかかりましたが、濃い黄色でしっとりとできあがりました。

左:マイコン炊飯器の「玄米モード」でスイッチが切れるまで(1時間半)加熱したもの
右:圧力炊飯器の「調理モード」で60分加熱し、その後30分程度保温したもの

見た目はそれほど変わらないしっとりさ。
ところが食べ比べると、玄米モードで蒸したもののほうが甘さが強く感じられました。

同じ品種、同じ店舗で購入した同じような大きさのさつまいもを使用したのですが、はっきりわかるほどの差が出るとはびっくりです

加熱の仕組みで甘みに差が出る

今回比較した圧力炊飯器の「調理モード」は、はじめに沸騰温度に近い高温にしてから徐々に温度を下げる仕組み(タイガーJPC-G10J)。
一方、マイコン炊飯器の「玄米モード」では、底面からの熱で長時間加熱するだけのシンプルな仕組みとなっています。

さつまいものデンプンを糖に変えるアミラーゼは、80度を超えると壊れてしまいます。
そのため、最初から高温になる「調理モード」の方がやや甘さが抑えられる結果になったと考えられます。
とはいえ、「調理モード」のさつまいもも十分に美味しいです。

お持ちの炊飯器の「玄米モード」の機能は要チェック!

同じ「玄米モード」の表示でも、炊飯器の機種によって仕組みが異なります。

通常炊飯モードより高い圧力をかける圧力炊飯器、玄米に吸水させる時間を長く取っている炊飯器などでは、「玄米モード」でさつまいもを調理しても同じ仕上がりにならないと考えられます。

故障の原因にならないよう、お手持ちの炊飯器の取り扱い説明書をよく確認することをおすすめします。

手軽かつ美味しいふかし芋ができる炊飯器、試してみる際は、以下の注意点をしっかり守って活用してくださいね。

知っておきたい「炊飯器調理」の注意点

炊飯器はお米を炊くために開発されたもの。
そのため、お米以外の調理に使う場合は故障やケガの原因になることもあります。

「調理モード」や「煮込みモード」などがある炊飯器なら、必ずその設定で調理します。
この設定がついているということは、通常の炊飯モードで他の食材を調理することを避けて欲しいからだ、と理解しましょう。

中には、使ってはいけない食材が指定されている炊飯器もあります。
使い方の詳細な注意点は、お持ちの炊飯器の取り扱い説明書をよく確認してください。

炊飯器にクッキングシートを敷くときの注意点

さつまいもの蜜が内釜に焼き付くと非常に取りにくいです。
予防として、さつまいもの下にクッキングシートを敷くとよいでしょう。
水はクッキングシートの下側に注ぎ入れます。

ただし、クッキングシートで上部を覆うような使い方は危険です。

特に圧力炊飯器では、万が一調圧孔がふさがってしまうと内部の圧力が異常に高まり、内容物が吹き出す可能性があります。
その他の炊飯器でも、蒸気孔がふさがると同じ状況になることがあります。

そのため、どのタイプの炊飯器でも、ビニール袋やクッキングシート、アルミホイル、ラップなどを使うことにはリスクがあることを覚えておきましょう。

焦げ付き防止のためにクッキングシートを底面に敷く場合は、端を折り込むなどして危険がないかよく判断して行ってください。

時短したいときに!圧力鍋で作るふかし芋の作り方

圧力鍋を使うと、短時間で固い根菜も柔らかくなるのが魅力。
大きなさつまいもでも、あっという間にふかし芋にすることができます。

圧力鍋は200cc程度の少量の水分で加熱ができます。
それで皮ごとのさつまいもならそのまま入れても水に溶けて煮崩れる心配はありませんが、セットできるザルや蒸し板があれば水と接触しなくて済むので使用すると良いでしょう。

圧力鍋を使ってふかし芋を作る手順

手順1.圧力鍋にカップ1の水とさつまいもを入れます。
今回は他の鍋の蒸し板が入ったので、その上にさつまいもを載せています。

手順2.フタをして、おもりが揺れるまで強火で加熱します。

手順3.おもりが揺れて音がしだしたら中火に落とし、指定の時間加熱して火を止めます。
圧力鍋の最大気圧により、加熱時間は異なります。お手持ちの圧力鍋の取扱説明書で指定されている「根菜」を柔らかくするための時間に設定してください。

※60キロ気圧のタイプなら15分、100キロ気圧のタイプなら12分が目安です。今回は146キロ気圧の「活力鍋」を使用し、高圧で3分加熱しました。

手順4.火を止めた後、鍋肌が冷めるまで余熱で15分くらい放置します。

合計で30分程度でできあがりました。
食感は炊飯器で作ったものより固め、ホクホク感が勝っています。
甘さも炊飯器で作ったものに比べると控えめです。

味わいはちょっと物足りない感じがします。ただし、大きいさつまいもでも短時間でしっかり火が通るのはメリット。
味が物足りないときは、最後に紹介する裏技もおすすめですよ。

甘さが最高!蒸し器で作るふかし芋の作り方

蒸し器でさつまいもをふかす方法は、昔ながらのやり方で「時間がかかりそう」「蒸し器を出すのが面倒」というイメージがあり、敬遠する人もいるかもしれません。
しかし、他の調理法と比べても時間は同程度です。
しかも甘さは最も強く出るという結果になりました。

いつもの深鍋に脚付きのザルをセットするだけでも蒸し器の代用となりますので、ぜひ蒸しさつまいもを試してみてください。

蒸し器を使ってふかし芋を作る手順

今回はパスタ鍋と付属していた蒸し板を使って蒸しています。

手順1.鍋の底に水を入れます。蒸し板やザルをセットしたときにさつまいもが水に浸からない量にします。
多めの方が途中で水がなくなる心配がありません。

手順2.蒸し板やザルをセットし、よく洗ったさつまいもを載せます。
蒸すと皮まで食べられるのできれいに洗いましょう。

手順3.フタをして水が沸騰するまで強火で加熱し、その後は弱めの中火に落とします。
※フタには大量の水滴が付きます。食材に直接水滴が落ちないよう、フタに布巾をかぶせると安心です。

手順4.40分を目安に加熱を続けます。
今回は、一番大きいさつまいもに串がすっと通るまでは50分かかりました。
竹串を刺してすっと通っても、そこから更に5分程度蒸すとしっとり感が増します。

手順5.火を止めてから冷めるまでそのまま置きます。
余熱で太いさつまいもにもしっかり熱が回ります。
表面が乾いてほしい場合は、手でつかめるくらいになった段階で取り出し、蒸気を飛ばしましょう。

炊飯器や圧力鍋と同じ品種のさつまいもを使っていますが、こちらの方が色が濃くきれいな断面をしています。
味わいもとても甘く、しっとりです。

炊飯器の「玄米モード」で蒸したものと食べ比べても、こちらのほうが甘みが強くでていることにびっくり!
蒸気でじんわりと加熱する方法が、さつまいものアミラーゼを活性化させたようです。

大きいサイズの鍋を使って蒸すなら、一度にたくさん入れられるのもメリットに感じます。
たくさん作って冷凍保存する場合におすすめ!

【番外編】ふかし芋を焼き芋に変身させる裏技

ふかし芋は美味しいけれど、焼き芋の香ばしさとはちょっと違います。
ふかし芋の表面が濡れた感じが苦手、という人もいますよね。

しかし、そんなふかし芋をもっとおいしくする方法があります。
それは、表面をフライパンで焼くこと!

ふかし芋の皮の内側の水分が凝縮され、香ばしさもついて最高の仕上がりになるんです。

フライパンを使ってふかし芋を焼き芋にしてみよう

焦げ付き防止のため、フライパンにはフライパン用のアルミホイルを敷きます。
こうすることで、蜜が流れ出すさつまいもも焦げ付かずに焼き目がつけられます。

アルミホイルの上にさつまいもを載せ、向きを変えながら焼きます。
皮がパリッとし、焼き目がついてきたら完成です。

できあがり。
切り口には蜜がにじんで見えます。
皮が焼けた風味がプラスされ、見た目も味も完全に「焼き芋」です。ひと手間かける価値がありますよ。

蒸してみたらあっさり味だったさつまいもにも香ばしさを加えられるので、とてもおすすめできます。

まとめ

さつまいもを蒸すときの方法を比較しました。
結果をまとめてみると…

  • 甘さを最も引き出すのは蒸し鍋
  • 手軽で満足できる甘さは炊飯器
  • 時短するなら圧力鍋

ぜひ、やりやすい方法でお試しくださいね。

ふかし芋の味わいは、元のさつまいもの美味しさに左右されます。
さつまいもの選び方は別の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。


参考資料
TIGER「<開発担当者が解説!>これなら安心、炊飯器調理の正しい方法」検索日2021/12/21

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