調理師・ライター。つくること・食べることが大好きで調理師免許を取得。医療福祉施設での勤務経験を生かして、日ごろの衛生管理やおいしいご飯のレシピについて、お届けします。オムライスとモンブランが大好きです!
料理やお菓子を作るとき、一番大切なのは「下準備」。
特にお菓子作りにおいて「粉をふるうこと」は、お菓子の味や食感を左右する大切な工程です。
しかし、いざ粉をふるうとボウルの周りに粉が飛び散って、片付けが大変になったり、スムーズに作業ができなかったりしませんか?
そんな「粉ふるい」に関するお悩み、ちょっとしたコツで解決できるんです!
この記事では、調理師がお菓子作りや料理に役立つ「粉ふるいのコツ」を紹介します。
粉ふるい後の片付けや作業がきっとスムーズになるので、ぜひ参考にしてみてください!
そもそも「粉をふるう」とは?粉ふるいが必要な理由を解説
そもそも”粉をふるう”ことが、具体的にどんな作業なのかご存じですか?
簡単に解説すると、“粉をふるう”とは「網目状の道具に粉を入れて左右に振り、粉のダマをなくして均一なパウダー状にすること」です。
粉を均一の状態にすると、お菓子や料理を作るとき、次のようなメリットがあります。
ダマになりにくい
薄力粉などの粒子が細かい粉は、湿気を吸って粉のかたまりができやすく、袋に入った状態ではたくさん、かたまり(ダマ)がある状態です。
ダマが残っている粉を使うと、以下のようなデメリットが。
- お菓子の焼き上がりまでダマが残り、食べたときに粉のかたまりが出てくる
- ホワイトソースに粉のかたまりが残って、食感が悪くなる
ダマは生地を混ぜるだけではなかなか消えないため、あらかじめ粉をふるう必要があるんです。
空気が入ってほかの材料と混ざりやすい
袋にぎゅっと詰まった状態の粉をふるうと、粉の間に少し空気が含まれてふんわりとします。
空気を含んだ粉はほかの材料と混ざりやすいため、お菓子や料理がなめらかな食感になるんです。
ムニエルやソテーで食材の表面に粉をふるいながらまぶすと、薄く均一に粉が付き、軽い仕上がりになりますよ。
2種類以上の粉を均一に混ぜやすくなる
お菓子を作るとき、小麦粉と一緒にココアや抹茶を使ったり、ベーキングパウダーやアーモンドプードルを加えたりすることがありますよね。
このとき粉を別々に加えてしまうと、混ぜるときにムラができる可能性があります。
ムラをなくそうと混ぜる回数を増やすと、お菓子の食感が悪くなってしまうことも。
小麦粉とその他の粉を一緒にふるっておけば、混ぜる回数が少なくても生地が均一になるため、食感のよいお菓子が作れます。
異物混入を防げる
あまり多くはありませんが、粉に異物が混入したり、保存状態によっては虫がわいてしまったりすることがあります。
粉をふるうことには、そういった異物をあらかじめ除去するという意味合いもあるんです。
異物や虫が混入してしまった粉を、それ以上使わずに済むというメリットもありますね。
ふるう必要がない粉もある!
粉をふるってから使うとさまざまなメリットがありますが、実は粉の種類によって、ふるわずに使えるものもあるんです。
それが、強力粉(きょうりきこ)や上新粉(じょうしんこ)。
これらの粉は粒子が大きくダマが出来づらいため、ふるわずそのまま使えます。
その証拠に、パンを作るときには粉をふるわなくて大丈夫なんですよ。
ただし異物混入や空気を含ませるという意味では、粉をふるってから使うのがおすすめです。
粉を上手にふるうコツ
「粉をふるうメリットと理由」を確認したところで、さっそく粉を上手にふるうコツを解説していきます。
粉を上手にふるうコツは以下の2つ。
- 粉ふるいの大きさに適した量の粉を入れる
- 両手を使ってふるう
写真と共に、詳しく見ていきましょう。
粉ふるいの大きさに適した量の粉を入れる
粉を上手にふるうためには、粉ふるいの大きさに適した量の粉を入れることがポイントです。
粉ふるいが小さいのに使いたい粉の量が多いとき、一度にたくさんの粉を入れたくなることがあるかもしれません。
しかし、粉をたくさん入れすぎるとふるいにくく、粉が上からこぼれて周囲が汚れてしまう場合があります。
実際に粉をたくさん入れてふるおうとすると…
粉をこぼさないか心配になって動きがゆっくりになったり、粉がこぼれたり。
楽をしようとした結果、むしろ時間と片付けの手間がかかることになってしまいます。
一度にふるう粉の量は、粉ふるいの体積に対して半分くらいまでにしておきましょう。
使う粉の量が多いときは、2回に分けてふるうのがおすすめです。
両手を使ってふるう
粉ふるいは片手でも使えますが、きれいに効率をよくするなら両手を使ってふるいましょう。
具体的には片手でふるいを動かして、空いた手に軽く打ちつけるイメージです。
上記画像のように両手を使えば、片手でふるうよりも粉ふるいを動かす幅が少なくなります。
また手に打ちつけた衝撃で粉が落ちるので、より早くふるい終わりますよ。
カップのハンドル型粉ふるい以外は、このふるい方が基本です。
粉ふるいの大きさに関係なく、きれいに早くふるえます。
粉ふるいの洗い方・お手入れ方法
粉ふるいのお手入れ方法で、「洗わない」と聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際に洋菓子店では、粉ふるいは洗わずに、ハケで粉を落として保管している場合もあるそうです。
しかし、家庭では使用頻度が少なく保管できる環境もバラバラなため、衛生面も考慮して洗って保管するようにしましょう。
洗い方のポイントは以下の3つです。
- 濡らす前にしっかり粉を落とす
- シリコンブラシやたわしで洗う
- 必ず水で洗い流す
ポイントを詳しく解説します。
濡らす前にしっかり粉を落とす
小麦粉は水を含むとドロドロした状態になり、網目の間や器具の隙間に詰まって洗いにくくなってしまいます。
汚れを残さず洗うため、洗う前に余分な粉を叩いて落としておきましょう。
粉をふるうように片手に打ちつけたり、ハケやブラシを使って払い落としたりすると、粉がほとんど残りません。
シリコンブラシやたわしを使う
網目が細かいふるいほど、普通のスポンジではきれいに洗えなくなります。
そのため網目を洗うときは、スポンジではなくシリコンブラシやたわしを使うのがおすすめです。
今は100円均一でも、手軽にシリコンブラシを購入できますよ。
必ず水で洗い流す
汚れはお湯を使うときれいに落ちるイメージがありますが、小麦粉を落とす場合にはNG。
小麦粉に熱が加わると、含まれているでんぷんがのり状になって、いっそう取りにくくなってしまうんです。
取りきれなかった小麦粉は、乾くとカピカピのかたまりに……こうなっては、さらに落とすのがむずかしくなってしまいます。
粉をふるった道具を洗うときは、最後まで水を使うようにしましょう。
粉ふるいを収納するときのポイント
粉ふるいを収納するときは、よく乾燥させて、湿気が多くない場所で保管しましょう。
水分や湿気が残っていると、次に使うとき小麦粉が水分で固まって、ふるいにへばりついてしまいます。
粉ふるいの継ぎ目に水がたまっている場合があるので、振って水分が出てこないか確かめてから収納するようにしてください。
粉ふるいがないときの代用品
普段それほどお菓子作りをしない人は、粉ふるいを持っていないという人もいらっしゃるでしょう。
「粉をふるいたいけれど、家に粉ふるいがない!」
そんなときは以下のものを使うと、一時的に粉ふるいとして代用できます。
- 茶こし・ザル
- 泡立て器
- ビニール袋
それぞれの使い方を詳しく解説しますね。
茶こし・ザルでふるう
粉ふるいは、原理が同じ「茶こし」や「ザル」で代用できます。
使い方は粉ふるいと同じく、粉を入れてふるうだけ。
ただし茶こしは網目がかなり細かく、網が二重になっている場合があるので、洗うときは粉が詰まらないように注意しましょう。
ザルを使うときも、金具部分や脚の部分(脚付きザルの場合)に小麦粉が詰まらないようしっかり洗浄してください。
泡立て器で混ぜる
スポンジケーキのようにふんわり感を重視する焼き菓子でなければ、泡立て器で粉ふるいの代用ができます。
やり方は、使いたい粉をボウルに入れ、泡立て器で何回かぐるぐると混ぜるだけ。
針金の本数が多い泡立て器を使うと、より効果があります。
大きなダマが残っているときは、手で潰してダマをなくしましょう。
ビニール袋に入れて振る
洗い物を出したくないときは、ビニール袋での代用もおすすめです。
やり方はビニール袋にふるいたい粉を入れ、空気を含ませながら口を閉じ、シャカシャカ振るだけ。
粉に空気が含まれ、粉同士がぶつかりダマがなくなることで、ある程度粉ふるいと同じ効果を得られます。
ただし泡立て器の代用と同じく、繊細さが必要な焼き菓子(スポンジケーキなど)には向かないので注意してください。
上手に粉をふるってお菓子・料理をおいしく作ろう!
粉をふるうことには食感や作業効率を良くしたり、異物混入を防ぐ役割があります。
きれいに素早く粉をふるうためのコツは、以下の2つ。
- 粉ふるいの大きさに適した量の粉を入れる
- 両手を使ってふるう
どのタイプの粉ふるいにも共通するコツなので、料理やお菓子作りで粉をふるうときは、ぜひ意識してみてくださいね。
また粉ふるいがご家庭にない場合は、身近にある道具で代用できます。
繊細さが求められるお菓子には不向きですが、クッキーやスコーン、マフィンといった家庭的な焼き菓子には代用品で十分ですよ。
この記事の内容が、少しでも参考になれば幸いです。