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余ったグラニュー糖や粉糖を料理に使うと? おすすめの使い道を調理師が紹介

余ったグラニュー糖や粉糖を料理に使うと? おすすめの使い道を調理師が紹介

家事のコツ

お菓子作りにチャレンジしたはいいものの、余ったグラニュー糖や粉糖はどのように消費したらいいか悩んでしまいますよね。

実は、お菓子作りで余った砂糖類は、普段の料理に問題なく使えるんです。とはいえ、お菓子作りで使う砂糖を料理に使ってまずくならないか、実際に見ないと不安な方も多いはず。そんな疑問や不安を解決すべく、この記事では上白糖・グラニュー糖・粉糖を使って料理したときの、味や見た目の違いを比較します!調理師免許を持つ筆者が、グラム単位で計量してきっちり調理しました!

比較してわかった、おすすめの使い道をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

調理師・ライター。つくること・食べることが大好きで調理師免許を取得。医療福祉施設での勤務経験を生かして、日ごろの衛生管理やおいしいご飯のレシピについて、お届けします。オムライスとモンブランが大好きです!

グラニュー糖・粉糖・上白糖ってどう違う?

スーパーにいくと砂糖にもいくつか種類があって、料理初心者は「どう違うんだろう?」と思ってしまいますよね?

日本で一般的に砂糖といえば、上白糖のことをさしています。「砂糖を買ってきて」と言われたら、まず間違いなく上白糖を買ってきてほしいという意味です。白くきめが細かくしっとりしているのが特徴。実は日本独自の砂糖です。

グラニュー糖とは、上白糖より結晶が大きくサラサラとしている砂糖のこと。カフェなどでよくスティック状の袋に入っているのはこのグラニュー糖です。結晶が小さく、日本ではよくお菓子作りに使いますよね。ちなみに、海外で砂糖といえば、このグラニュー糖のことを指しています。

そして粉糖とは、このグラニュー糖を細かくくだいた砂糖のこと。フルーツやデコレーションによく使います。

バレンタインやクリスマスなどのイベント時期、お菓子作りにチャレンジした後、だいたい「グラニュー糖」と「粉砂糖」が残りがちなるわけです。

ここからは砂糖の種類ごとに、調理したときの味や見た目の違いを比較します。

使う砂糖は上白糖、グラニュー糖、粉糖の3種類。それぞれの砂糖で「卵焼き」「ホットケーキ」「ホットティー」を作りました。どんな違いがあるのか、写真付きでくわしく解説していきますね。

【卵焼きで比較】それぞれの砂糖で作ったとき、見た目や味の違いは?

まずはグラニュー糖・粉糖・上白糖で卵焼きを焼いてみて比較します。

基本的な卵焼きの材料は、以下のとおりです。

卵焼きの材料

  • 卵(Mサイズ)……2個(約100g)
  • 砂糖……10g(およそ小さじ2杯)
  • 醤油……2g(およそ小さじ1/3杯)
  • 塩……1g(およそひとつまみ)

上白糖、グラニュー糖、粉糖は、それぞれ小さじ1杯あたりのグラムが異なります。

グラムが変われば甘さの感じ方も変わるので、今回は計量スプーンではなくキッチンスケールで計量し、甘さをできるだけ統一しました。

【卵焼き比較1】混ざりやすさを比べてみた

まずは、混ざりやすさの比較です。
一般的な卵焼きと同じように、卵に上白糖とその他調味料を入れ、箸で切るように混ぜ合わせます。

上白糖とグラニュー糖は、いずれも卵のコシが切れたところで、しっかり全体になじんでいました。
一方、粉糖は水分を弾くのか、混ぜたときのダマが気になります。

グラニュー糖・粉糖・上白糖を卵の混ざりやすさで比較

この写真を撮影したあともしばらく混ぜ続け、ダマがほぼなくなったのは、体感時間で上白糖やグラニュー糖の2倍ほど混ぜたころ。

しっかり混ぜればダマはなくなりますが、少し手間に感じますね。

【卵焼き比較2】焼き上がりを比べてみた

上白糖・グラニュー糖・砂糖で作った卵焼き

焼き上がった3種類の卵焼きを並べてみました。いずれも弱めの中火〜中火で焼き上げています。

上白糖・グラニュー糖・砂糖で作った卵焼きの断面

こちらは表面と断面を並べた様子です。

上白糖はほんの少し茶色っぽく、粉糖は卵の黄色が濃く見えます。
グラニュー糖は、もっとも色が明るい焼き上がりになりました。

【卵焼き比較3】味を比べてみた

上白糖を使った卵焼き

上白糖を使った卵焼きは、コクのある甘さが感じられました。

お菓子のようになりがちな甘い卵焼きですが、甘さがしつこくなく、しょうゆの風味も感じられて食べやすい味わいです。

グラニュー糖を使った卵焼き

グラニュー糖を使った卵焼きは、上白糖の卵焼きよりも甘さが強い印象。コクのある甘さではなく、すっきりとストレートな甘さです。試食に同席してくれたパートナーは「一番甘く感じた。お菓子っぽい卵焼き」と話していました。

粉糖を使った卵焼き

粉糖を使った卵焼きは、どちらかといえばグラニュー糖に近い味わいでした。しかし、グラニュー糖ほど強い甘さではなく、上白糖のようなコクがあるわけでもなく……。何度か交互に食べ比べましたが、本当にわずかな差です。

またコーンスターチ入りの粉糖を使用したからなのか、他の2つと比べて食感が少しやわらかいように感じました。

【卵焼き比較まとめ】主な違いは甘さ。色はわずかに違いが出る

卵焼きを調理したときの違いとまとめました。

  • 上白糖……混ざりやすい、焼き色がやや濃いめ、コクのある甘さ
  • グラニュー糖……混ざりやすい、焼き色がやや濃いめ、ストレートな甘さ
  • 粉糖……やや混ざりにくい、焼き色が薄い、上白糖とグラニュー糖の中間の甘さ

卵焼きにグラニュー糖や粉糖を使うと、主に「甘さ」の部分で差が出ます。
上白糖のコクのある甘さに対して、グラニュー糖や粉糖はすっきりした甘さです。
またコーンスターチ入りの粉糖を使った場合は混ぜにくくなりますが、やや食感がやわらかくなったように感じられました。

いずれも料理として成立しており、十分おいしく食べられます

【ホットケーキ比較】それぞれの砂糖で作ったとき、見た目や味の違いは?

続いて、ホットケーキを焼いて砂糖の違いを比較します。違いがわかりやすいよう、厚みのあるホットケーキのレシピを採用しています。材料は以下のとおりです。

ホットケーキの材料(1枚分)

  • 薄力粉……35g
  • ベーキングパウダー……1.5g
  • 卵……12.5g(1/4個分)
  • 砂糖……12.5g
  • 植物性の油……3g
  • 生クリーム……12.5g
  • 牛乳……20g

卵焼きと同じく、砂糖ごとの甘味をそろえるために分量はグラムで計量しています。
写真で違いをくわしくみていきましょう。

【ホットケーキ比較1】混ざりやすさを比べてみた

今回採用したホットケーキのレシピでは、粉に砂糖を混ぜるのではなく、卵と牛乳に砂糖を混ぜてから粉と混ぜ合わせます。

上白糖とグラニュー糖はきれいに混ざりましたが、やはり卵焼きのとき同様、粉糖は混ぜるとダマになりました。しばらく混ぜ続けるときちんと混ざりますが、やや時間がかかります。

【ホットケーキ比較2】焼き上がりを比べてみた

使った砂糖と焼き上がったホットケーキ

使った砂糖と焼き上がったホットケーキを、縦に並べています。左から上白糖・グラニュー糖・粉糖の順番です。

一番焼き色が濃いのは、上白糖を使ったホットケーキ。食欲をそそるおいしそうな色味をしています。グラニュー糖と粉糖は焼き色がほとんど同じで、上白糖よりも薄め。

写真ではグラニュー糖の焼き色が少し濃く見えますが、肉眼では大差ありませんでした。

ホットケーキの断面の比較

続いて、断面の比較です。写真のとおり、上から上白糖・グラニュー糖・粉糖の順番で並べています。

厚みの差はほとんどありません。粉糖のホットケーキだけ、少し断面がなめらかに見えます。

【ホットケーキ比較3】味の違いを比べてみた

上白糖のホットケーキ

「これぞホットケーキ!」という見た目に仕上がった、上白糖のホットケーキ

食感はふかっとしつつも、しっとり、もっちりしています。奥行きのある甘さで、懐かしさを感じる味わいです。

グラニュー糖のホットケーキ

少し焼き色が薄くなったグラニュー糖のホットケーキは、さっぱりした甘さ。

食感は表面がサクッとしており、内側はふんわりふかふか。歯切れが良く、食べやすい印象です。

粉糖のホットケーキ

粉糖のホットケーキは、甘さとふわふわ感がグラニュー糖とほぼ同じ。表面のさっくり感もよく似ています。

少し違いを感じたのは、生地のなめらかさ。砂糖の粒子が細かいためか、グラニュー糖の生地よりもワンランク上のきめ細かな食感に感じました。

【ホットケーキ比較まとめ】甘さと焼き色、なめらかさに違いあり

比較の結果を簡単にまとめました。

  • 上白糖……焼き色が濃いめ、しっとりふわふわ
  • グラニュー糖……焼き色薄め、ふんわりふかふか
  • 粉糖……焼き色薄め、口溶けになめらかさあり

ホットケーキにグラニュー糖と粉糖を使うと、上白糖に比べて甘さ・焼き色に違いが出ます。
グラニュー糖を使ったホットケーキは、焼き色が薄く、すっきりした甘さ。
粉糖を使ったホットケーキも焼き色が薄く、甘さすっきり。加えて、食感のなめらかさが際立ちました。

どの砂糖を使っても、おいしいホットケーキが作れますよ。

【ホットティー比較】それぞれの砂糖の溶けやすさ・色の違いは?

最後に比較するのは、飲み物に入れたときの違いです。

今回は飲み物の色や透明感、味の違いをわかりやすくするため、酸味のあるフレーバーティーをガラス容器に入れて比較しました。使う砂糖の分量は、お茶150mlに対して3gです。

同じく、写真付きで詳しく解説していきます。

【ホットティー比較1】溶けやすさ・色を比べてみた

以下の写真は、紅茶150mlに対してそれぞれの砂糖を3g入れ、スプーンで混ぜたあとの様子です。まずは上白糖から。

上白糖を入れたホットティー

側面からも見てみましょう。

上白糖を入れたホットティー

上白糖はお茶に入れてから数秒できれいに溶け、色のにごりもありませんでした。

続いてグラニュー糖です。

グラニュー糖をいれたホットティー

側面から見た様子。

グラニュー糖をいれたホットティー

グラニュー糖も入れてから数秒かき混ぜたところで、きれいに溶けました。
こうして見比べてみると、グラニュー糖のほうが液に透明感がある気がします。

最後は粉糖です。

粉糖を入れたホットティー

溶かしきったところで、グラスの底が見えなくなりました。

側面からも見てみます。

粉糖を入れたホットティー

グラニュー糖と比べると、違いは一目瞭然。粉糖を溶かしたお茶は向こう側が透けず、全体的に濁っています。

おそらく、コーンスターチ入りの粉糖を使用したことが原因です。

【ホットティー比較2】味を比べてみた

砂糖を溶かした酸味のあるフレーバーティー。ひとくちずつ慎重に飲み比べると、思った以上に違いが感じられました。

以下に味の特徴をまとめます。

  • 上白糖…甘さが濃い、酸味がまろやかになっている
  • グラニュー糖……シンプルに甘さがプラスされただけ、酸味や風味はそのまま
  • 粉糖……コーンスターチが入っているからか、全体的にまろやかな味

【ホットティー比較まとめ】風味を変えないのはグラニュー糖

もっとも飲み物の味が変わらなかったのは、グラニュー糖でした。喫茶店やカフェで提供される砂糖が「グラニュー糖」なのには、ちゃんと理由がある。砂糖ごとの味を比較してみて、そう感じました。

そのほかの砂糖も、味に違和感はありません。しかし、風味には違いがはっきりと出ます。

コーヒーや紅茶などの繊細な味を楽しみたい方は、できるだけグラニュー糖を使うとよいかもしれませんね。

グラニュー糖・粉糖が余ったときの使い道は?

3種類の砂糖を使い、卵焼き、ホットケーキ、飲み物(ホットティー)で違いを検証した結果、筆者は以下のように感じました。

  • グラニュー糖と粉糖は、料理やお菓子作り、飲み物に問題なく使える
  • 味の違和感もなく、見た目も問題ない
  • しかし、3種類を並べて見た目や味を比較すると、やや違いがあることがわかる

どの砂糖も「甘味を加える」という意味では、どんな調理にも使えることがわかりました。

しかし一方で、調味料にこだわりがある方や味・食感の違いが気になる方は、砂糖による違いが気になってしまうかもしれません。
砂糖を多めに使う料理(煮物や照り焼きなど)の場合、味の違いがよりはっきりと出てしまう可能性があります。

料理の砂糖をグラニュー糖や粉糖に置き換えるときは、使う砂糖の量が少ないレシピ、または砂糖の一部を置き換えるとよいでしょう。

グラニュー糖・粉糖のおすすめの使い道は?

  • 使う砂糖の量が少ないレシピに使用する
  • 砂糖の一部をグラニュー糖・粉糖に置き換える

上白糖の代わりにグラニュー糖・粉糖を使う際の注意点は?

  • レシピに記載されている分量を全て置き換えてしまうと味わいが変わるので、少量ずつ加えて味見する
  • 砂糖の量をあまり使わない料理で使う

こうすることで、余ったグラニュー糖や粉糖を無理なく使い切れますよ。

グラニュー糖・粉糖を大量消費したい場合は?

しかし「収納場所を取ってしまうので、できるだけ早く消費したい」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

そこでおすすめするのが、グラニュー糖と粉糖をたっぷり使うメレンゲ菓子です。

メレンゲ菓子

メレンゲ菓子なら、クッキーやカスタード作りであまりがちな卵白と、砂糖を一度に消費でき一石二鳥!

メレンゲクッキーやパブロバは、メレンゲさえ作れれば、お菓子作り初心者の方でも気軽に作れるスイーツです。

お菓子作り初心者の方でも失敗しにくいので、ぜひチャレンジしてみてください。

余ったグラニュー糖・砂糖を無駄なく使い切りましょう

ちなみに、グラニュー糖と粉糖には、ほかの砂糖と同じく基本的に賞味期限がありません

ただし粉糖に限り、「コンスターチ入り」「オリゴ糖入り」「でんぷん分解物、乳化剤などの添加物入り」など、砂糖以外の成分が入っているとより劣化が早く進みます。例として、筆者が2021年11月に購入したコーンスターチ入りの粉糖は、賞味期限が約1年半でした。

どんな形であれ、砂糖は長期保存が可能な食品ですので「保存しておく」というのもひとつの手ではあります。

ただ、今回の実験のようにどの料理にも使えるので、無駄なく上手に使い切りたいものですね。


参考資料

日清製粉「シュガーラボ」検索日:2024/10/07

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