ペティナイフってどんなときに便利な包丁?使い方を調理師が徹底解説

ペティナイフとは、刃渡り80mmから150mmの小さな洋包丁です。
プロの料理人が使いこなしている道具でもありますが、実はこのペティナイフ、家庭でも2本目の包丁としてとても便利なんです。

でも、「小さすぎるのでは?」「果物ナイフとどう違うの?」と思う人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、家庭のキッチンでペティナイフを使いこなす方法をご紹介します。

調理師racss

今回使うのは、ちょっと大きめのペティナイフ(濃州政宗作・150mm)です。
2ヶ月ほどいろいろな料理をする際に使用してみました。当初予想してたより便利でびっくり!

ペティナイフとはどんな包丁?

ペティナイフとは、シェフナイフとも呼ばれる「牛刀」を小さくした包丁で、先が尖(とが)った細身の形が特徴です。
「ペティ」はフランス語「petit」に由来し、小さいものを指す言葉です。両刃なので洋包丁の部類に入ります。

ペティナイフと呼ばれる包丁は、刃渡り80mm~100mmのごく小さなサイズからあり、最長で150mmまでのものを指します。

ペティナイフの大きさ比較

自宅にある包丁とペティナイフを並べて比較してみました。
ペティナイフと他の包丁を比較
上は、刃渡り210mmの三徳包丁、真ん中が今回使う150mmのペティナイフです。150mmというと、ペティナイフとしては最大サイズ。
下は、我が家で通常果物や野菜の皮むきに使っている120mmの包丁です。
「ペティナイフ」と聞いて真っ先にイメージする大きさはこのくらいかもしれません。

ペティナイフを持ってみたサイズ感
わたしが150mmのペティナイフを手に持つとこのくらい。
女性の手ならそこまで小さいナイフという感じもしませんね。

ペティナイフは小さくて持ちにくい?

ペティナイフは刃渡りは短いですが、持つ部分は通常の包丁と同じく持ちやすさが考えられていますので、小さくて持ちにくいという心配はありません。
ペティナイフを持ってみたサイズ感
握った感覚は、いつも使っている同じオールステンレスの三徳包丁と比べて非常に軽いです。
また、先端は尖っていますが、大きな牛刀と比べて誤ってひっかけてしまう心配のない長さが安心だと感じました。

調理スペースが狭い場所でも取り回ししやすいことが、ペティナイフの最大の魅力ですね。

ペティナイフと果物ナイフの違い

ペティナイフと似ている包丁に果物ナイフがありますが、どういう違いがあるのでしょうか?

ペティナイフは果物ナイフと兼用ができます。
しかし、いわゆる「果物ナイフ」はペティナイフのようにいろいろな調理に使うことはできません。

日本では台所で使う包丁の他に、食卓などで果物ナイフを使う習慣がある家庭が多いため、「小さいナイフは果物専用」というイメージが定着しているかもしれませんね。

果物ナイフの用途は限定的

ペティナイフと果物ナイフ
いわゆる「果物ナイフ」は「フルーツナイフ」や「テーブルナイフ」と呼ばれることもあり、引き出しにしまっておけるように鞘(さや)付きのものが多く販売されています。

食卓でも安全に使えるよう、とても軽いのが特徴。
先端はペティナイフほど尖っていなかったり、刃先の方はあまり刃付けがされていなかったりするものも。

このようなタイプのナイフは、やはり果物や柔らかいお菓子などちょっとしたものを切り分けるときに使うもので、他の調理には使いにくいものです。
果物ナイフ
とはいえ、果物用として使っているナイフでも、きちんと研いで切れ味を良くすると料理用に使える場合もあります。
お手持ちの果物ナイフが研げるタイプのものか、一度確認してみてもいいかもしれません。

それに対して、ペティナイフは果物専用というわけではありません。
サイズが小さいだけで牛刀と同じつくりなので、野菜、肉や魚などいろいろなものの調理に使えるのです。

調理師が実践!おすすめの用途

ペティナイフにはいろんな用途があります。
実際に様々な料理の際にペティナイフで食材を切って比較してみました。
それぞれ使い心地や感じたことを解説しますね。

今回使用したペティナイフはこちら。

ペティナイフで野菜を切ると?

ペティナイフで長ネギを切る
長ネギの小口切りをしてみました。
ペティナイフは刃の高さがないので、握った手がまな板に当たるかもしれないと思っていましたが、このナイフは刃元と持ち手のスペースが考えられていて、大丈夫でした。

刃の面積が狭いので、切ったネギが張り付いたり思わぬところに転がっていくことが少なく、続けて切るときもストレスがないというのがメリットに感じます。
これは刃がスリムな牛刀型ならではの特徴でしょう。

他に玉ねぎのみじん切り、ピーマンの千切りなど細かい作業もしやすいです。
じゃがいもやニンジンといったほとんどの野菜もスムーズに切れました。

大きな野菜は切りにくい

しかし、キャベツなど大きい野菜を切り分けるのは難しいです。
大きい大根の輪切りもしにくく感じました。

やはり高さのある大きな野菜を切るのは難しいようです。

ペティナイフで果物を切ると?

ペティナイフでレモンをスライス
果物が切りやすいのは予想していましたが、レモンのスライスも刃に張り付かないので快適です。
刃の先端で種を軽く取り除くこともできて便利。

ジャムを作るときなど、大量に果物を切らなくてはならない時、軽いペティナイフを使うと疲労の軽減に役立ちそうです。

ペティナイフで魚介類を切ると?

ペティナイフは魚介の下ごしらえにぴったり。
例えば、エビの背わた取り、魚の腹骨(はらぼね)をすき取る、皮をはがすなど。

骨が硬い魚の頭を落とすのは無理ですが、たいていの魚の三枚おろしはペティナイフでできます。
中でもサンマ、イワシのような細身の魚はペティナイフの得意分野です。

MEMO
使う時の注意点は後述しますが、硬い骨の部分をペティナイフで切るのは刃が欠ける恐れがあるため避けましょう。

ペティナイフで刺し身
スリムな形は刺し身用の柳刃(やなぎば)包丁にも似ています。
そこで、150mmのペティナイフを刺し身を切るのに使ってみました。

今回切ったのはマグロとカレイ。さすがに片刃の柳刃包丁のようにはいきませんが、比較的きれいな断面で切ることができました。

厚みのある魚の「柵とり」は難しい

魚の柵
ただし、ペティナイフは刃の長さがないので、大きな魚の柵1魚を切り身や刺し身にする際、扱いやすいように切り分けた身を柵(さく)と呼びます。 とりや、厚みのある柵から刺し身を作る際にはやりにくさがあります。

刺し身をきれいに作るには、包丁の根本から刃先までの長さを使って一気に引き切りしなくてはなりません。
しかし、高さ(厚み)があると短いペティナイフでは一度に切れず、刃を入れなおさなくてはいけない部分も出てくるため、身が崩れやすくなってしまうのです。

一方、ヒラメやカレイなど柵の厚みがなくそぎ切りするタイプの刺し身はとても切りやすいです。

いずれにしても、小型の刺し身用の柵を買ってきて切るのであれば、ペティナイフで十分対応できるでしょう。

ペティナイフで肉を切ると?

ペティナイフで肉の筋切り
ペティナイフは先端が尖っているので、肉の筋や脂部分を切り取るのに向いています。
小さい刃先は手元がよく見えるのがメリット。余分に切り落としてしまうこともありません。

大きな肉の固まりを切るのは大変ですが、鶏肉を切り分けたり、とんかつ用の切り身の筋切りをするなどの作業には非常に適しています。

ペティナイフで食材を手に持って切ると?

ペティナイフはまな板を使わずに切る場合にも向いています。
野菜や果物の皮むきはもちろん、ゴボウのささがきのように鍋やボウルの上で削ったり切ったりするのにもおすすめ。

まな板文化のない欧米では、こうした使い方のほうが一般的のようです。

ペティナイフで飾り切りをすると?


ペティナイフは尖った先端を生かして、細かい飾り切りをするのにも向いています。
お弁当用に頻繁に飾り切りをするご家庭なら、ペティナイフは必須ではないでしょうか。

ゆで卵のチューリップ切り、ウインナーの花と「ソーセー人」を作ってみました。
三徳包丁でも作れないことはないものの、やはりペティナイフだと小さく切り込むなどの細かい作業がとてもしやすいですね。

ただ、この150mmのペティナイフでも十分使いやすかったですが、このような小さいものの飾り切りにはもっと小さいサイズのペティナイフでもよいと思います。

ペティナイフを使うときの注意点

ここまで見てきたように、ペティナイフは野菜、肉、魚などあらゆるものを切るのに使うことができます。

しかし、他の包丁と比べて比較的刃が薄く作られているという特徴があります
そのため、刃こぼれや怪我を避けるために、注意したいことが3つあります。

【1】固いものを無理に切らない

ペティナイフで固いもの(骨付きの肉・魚、凍ったものなど)を無理に切ってはいけません。

特に凍ったものを切ると、冷たい温度が刃に伝わると同時に衝撃が加わることになり、刃こぼれしやすくなります。

【2】先端だけを使わない

ペティナイフの細い先が便利だからといって、先端でグリグリとえぐるような使い方もだめです。

先端が欠けてしまうと、その部分を直すにはすべて削るまで研がないといけなくなり、刃の長さが変わってしまいます。

【3】こまめに研ぐ

ペティナイフは他の包丁と同じく、こまめに研いで切れ味を保ちましょう。

切れ味が落ちると、余分に力を入れることになって切るのが大変ですし、切り口も汚くなってしまいます。

おわりに

この記事では、家庭でのペティナイフの便利な使い方を見てきました。

個人的には、厨房勤務の際にペティナイフが大量の海老の下ごしらえに活躍していて、とても使いやすかったのを思い出します。

家庭では「果物ナイフ」と混同されがちなペティナイフですが、ぜひいろいろな用途で使い回してみてください。
一度使い慣れると手放せなくなるかもしれませんね。


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