手軽に果物の栄養を摂り入れられるドライフルーツ。
ヘルシーなおやつとしても人気のドライフルーツを手作りしてみたいと思いませんか?
家庭でドライフルーツを作ると添加物の心配がないので、小さなお子さんのおやつや、フルーツ好きな犬やうさぎなどペットのおやつとしても活躍します。
この記事では、ドライフルーツの失敗しない作り方について、調理師racssが写真付きで詳しくご紹介します。
目次
ドライフルーツにしやすい果物
家庭でドライフルーツを作るときは、失敗しにくい果物からチャレンジしてみましょう。
干し柿のように切らずにそのまま干すこともできますが、最も手軽なのは薄切りにして乾かすことです。
そのため、水気が多すぎず、薄く切りやすい果物が最適です。
- りんご
- キウイ
- レモン
- 柿
- いちご
特に、りんごなど旬の季節に大量に手に入る果物の活用法として、ドライフルーツはおすすめ。
少々ボケてきたりんごでも、乾燥させることにより甘さが凝縮しておいしく食べられます。
上級者向けの果物
美味しくできるけれど、ドライフルーツにするには少しコツが必要な果物はこちら。
- 桃
- みかん
- バナナ
- パイナップル
- ぶどう
水分が多いため乾燥するまでに時間がかかったり、乾かす段階で崩れやすかったりします。
ドライフルーツ作りに慣れた頃に挑戦してみてください。
自家製ドライフルーツのメリット・デメリット
ドライフルーツを手作りするのは、メリットもあればデメリットもあります。
自家製ドライフルーツのメリットとは
- 砂糖や添加物の量を調整できる
- 仕上がりの硬さを調整できる
- 用途に合わせて作れる
なんと言っても市販品で使われていることの多い砂糖や添加物の調節が自分でできることでしょう。
そして、作り方によってソフトタイプの仕上がりにできるので、とても食べやすいのもメリット。
生のまま置いておくよりは保存がきくようになりますし、水分が減るのでパンやお菓子に混ぜる際にも扱いやすくなります。
用途に合わせた形で作ることができるのも手作りならではです。
- フルーツ紅茶やフレーバーティー用には…
レモン、キウイ、りんごのスライスのドライ - ケーキやパン用には…
小さめカットのりんごのドライやオレンジピール - チョコ掛けのスイーツ用には…
オレンジやキウイのスライスのドライ、大きく作ったオレンジピール
手作りドライフルーツのデメリットとは
一方で、手作りドライフルーツにはデメリットや注意点もあります。
- 完全ドライにはなりにくい
- 長期保存ができない
家庭でドライフルーツにする方法はいくつかありますが、水分を抜くのに長期間かかるため、市販品のようにカラカラにはなりにくいです。
そのため、乾燥中にカビが生えたり傷んでしまったりしないよう注意が必要です。
また、保存料などを使わないので出来上がってからの保存は数日程度となり、「作るのに手間がかかるわりに保存がきかない」と思ってしまうかも。
自家製ドライフルーツの保存方法
特に砂糖を使わないで作ったドライフルーツは日持ちがしません。
3~4日で食べきれない分は冷凍保存しましょう。
また、パウンドケーキやクッキーなどの焼き菓子に入れてしまえば、さらに日持ちさせることができます。
ドライフルーツを手作りする方法
家庭でドライフルーツを作るのには、「自然乾燥」、「電子レンジを使う」、「オーブンで低温乾燥させる」などの方法があります。
作りたい果物に合わせて方法を変えたり、組み合わせたりするとよいでしょう。
ドライフルーツを作る方法【1】自然乾燥(天日干し)

時折様子を見て裏返したり、位置を変えたりしながら好みの具合まで乾かします。
屋外に干す場合は雨や鳥、排気ガスなどに注意してください。
ドライフルーツを作る方法【2】電子レンジ

焦げないよう数分加熱を数回繰り返します。
そのあと自然乾燥させるか、低温のオーブンでさらに焼くなどして仕上げます。
ドライフルーツを作る方法【3】オーブン

砂糖をまぶしてつくることで、表面の砂糖がぱりっと焼き固まってお菓子のような仕上がりになります。
記事の後半でオーブントースターを使った作り方を紹介していますので、参考にしてください。
電気で干すドライフルーツメーカーなら失敗なし
そのほか、家庭用のドライフルーツメーカー(「食品乾燥機」や「フードドライヤー」とも呼ばれます)を使う方法もあります。
ドライフルーツメーカーには干す場所が何層もあり、一度に大量のドライフルーツが作れます。
また、タイマーや温度調節機能がついている機種なら、好みの乾燥具合に仕上げられます。
天日干しでドライフルーツを作ろうとすると晴れた日や乾燥した季節を選んだり、夜間は室内に取り込むなどの手間がかかりますが、ドライフルーツメーカーなら天気を気にせず調理できるのもメリット。
ただし、食材の種類や切り方によって24時間以上つけっぱなしでいる必要がある場合もあるので、機械だからといってあっという間にできるわけではありません。
干し肉(ジャーキー)や干し野菜にも使えますので、頻繁に作りたい方は購入を検討してもいいかもしれませんね。
※肉類を乾燥させる場合は高温にセットできるタイプの機種が必要です。
では、ここからは実際にドライフルーツを作る手順をいくつかご紹介しますね。
まずチェックしてみてほしいのは、一番失敗しにくい作り方である「電子レンジを使う方法」。他にも、天日干しだけで仕上げる方法や、オーブンがなくてもトースターの「あたため」モードで乾燥させる方法もご紹介するので、参考にしてください。
【1】電子レンジと自然乾燥でキウイのドライフルーツ作り
基本的な作り方は、電子レンジである程度水分を抜いてから、好きな固さまで自然乾燥させる方法。
この方法は失敗が少なく、いろいろな果物で応用できます。
電子レンジと自然乾燥でドライフルーツを作る手順
今回はキウイを使用しました。

キウイは皮をむき、5mm厚以下でカットします。

耐熱容器に重ならないように並べ、電子レンジに入れて500Wで2分加熱します。
この写真ではレンジ皿の上に水分吸収用のペーパータオルを敷き、その上に電子レンジ対応のザルに乗せたキウイを置いています。
ザルを使わない場合は、くっつかないようにクッキングシートを敷いてから並べてください。
様子を見ながら繰り返します。出てきた水分はその都度拭き取ります。
表面が乾いて見えればOKです。水分が抜けて糖分が凝縮するほど焦げやすくなりますので、目を離さないようにしてください。
3回繰り返した状態です。かなり水分が抜けました。
電子レンジ加熱によって煮えた状態となり、色は少し変わっています。
砂糖をまぶす場合はこのあと行います。

クッキングシートの上に移し、通気性の良いところで自然乾燥します。

晴れた冬の窓際で2日間自然乾燥させた状態です。
表面は手に付かないくらい乾いていますがカチカチではなく、食べると弾力のある柔らかさ。
味が凝縮して甘酸っぱく、このままおやつとしてつまむのにも向いています。
ヨーグルトやアイスに散らすのもおすすめ。
【2】天日干しだけで極薄干しりんごをドライフルーツに
スライサーで果物を極薄にカットした場合は、天日干しだけでも早く乾きます。
自然乾燥させる際は、ザルに乗せたり、野菜干し用の網を使います。
天日干しだけでドライフルーツを作る手順
今回は薄く切りやすいりんごを使用しました。

りんごはスライサーでカットします。

芯の部分は数枚重ね、包丁で三角に切り取ります。型抜きでもOKです。

通気性の良い場所で2日程度天日干しします。

紙のように薄く、口に入れると溶けてしまうような楽しい食感にできました。
りんごは厚さや形を変えていろいろ試してみてもいいですね。
スライサーを使わず包丁で切る場合の天日干しをする時間は、「5mm厚で5日間」、「1cm厚で1週間」が目安です。
【3】オーブントースターでレモンのはちみつ漬けをドライに
シロップ煮やはちみつ漬けの果物をドライにすることもできます。
果実酒に使ったあとの果物を干すのもおすすめ。
オーブントースターでドライフルーツを作る手順
今回ははちみつ漬けのレモンを乾かし、つまめるおやつにします。

レモンを一晩はちみつ漬けにして水分を出してから、表面の水分を拭き取り、砂糖をまぶします。

オーブントースターの「低」または「あたため」モードで、片面10分、裏返して10分焼きます。

つやつやとコーティングされたような仕上がりです。
食べてみるとパリパリとした食感で部分的にカラメルのような香ばしさがあります。
このまま紅茶に入れて甘いレモンティーにするのも美味しそうです。
オーブントースターの設定温度は?
オーブントースターで作る際、「低」や「あたため」モード以外で行う場合は時間を短くしますが、火力が強いので乾く前に焦げてしまう確率が高くなります。
今回使用したオーブントースターの「あたため」モードは260Wで、120度前後のかなり低温で加熱しています。
W数や温度が設定できるオーブントースターの場合は設定温度もできるだけ低くしましょう。
100度程度の低い温度設定で作る方が失敗しにくくなります。
庫内が狭いものは同じ温度設定でも早く焦げやすい可能性があるので、こまめに観察しながら作ってみてください。
柑橘類の果物でドライフルーツを作るときのポイント
柑橘類を美味しくドライフルーツにするための工夫をご紹介します。
砂糖をまぶすと食べやすい食感に!
ドライフルーツを作る際、砂糖をまぶして乾燥させると早く水分が抜けます。
また、砂糖のコーティングのおかげでガチガチにはならずに食べやすい仕上がりになります。
「砂糖漬け」の状態なので、比較的保存もしやすいです。
そのままでは酸味や苦味が際立ってしまう柑橘類、野性的なベリー類などは、砂糖をまぶす作り方が向いています。
砂糖を使うかは用途で決める
糖分を控えたい場合は砂糖を使わないで作ることもできるのが、自家製ならではのメリットです。
自然の味わいに慣れると砂糖なしでも美味しくいただけます。
さらに「料理に使いたい」など、ドライフルーツの用途によっては、砂糖を使わないで作るほうが利用しやすいでしょう。
はっさくのドライフルーツ作り!柑橘類は「茹でこぼし」がポイント
柑橘類はそのまま乾かすと皮が固くなりますし、苦味が強く出ます。
そのため、食べやすくするために一度茹でこぼしてから乾燥させるのがおすすめです。
また、柑橘類に限らず皮ごとドライにする場合は、しっかりこすり洗いをして表面の汚れを落としましょう。
茹でこぼす手順
今回は柑橘類のはっさくを使用しました。

はっさくは横向きにカットします。厚さは5mmが目安です。

お湯を沸騰させたところへ、切ったはっさくを入れます。

3分ほど煮てから、はっさくをザルにあげます。

ペーパータオルでそっと押さえるようにして水分をとります。
茹でこぼしが終わったら、前述のキウイの場合と同じく電子レンジで水分を飛ばし、それから風通しの良い場所で自然乾燥します。
丸2日干したところです。表面はピンと張ったように乾いています。
まだ内部は柔らかい部分もありますので、完全に乾燥させるにはまだ数日必要です。
【番外編】はっさくオレンジピールの作り方
オレンジやレモン、はっさくや夏みかんなどの皮は、砂糖で煮て「オレンジピール」にできます。
ケーキやパンのアクセントに使われることが多く、ドライフルーツと一緒に扱われることもあるので、今回はっさくで作ってみました。
はっさくオレンジピールを作る手順

表面をよく洗ったはっさくを用意し、皮部分を切り取ります。
はっさくは白い部分が苦いので、なるべく入らないようにします。

皮を細切りにします。厚みは2mm~3mmを目安にしてください。

沸騰したお湯で1分煮て苦味を抜きます。
一度ザルにあげて、2回繰り返したあと流水で流します。

続いてシロップで煮ます(シロップは砂糖100gを水100ccに溶かしたもの)。
水気が少し残るくらいで火を止めます。水気が完全になくなるまで煮てしまうと、飴のように固くなるので注意!

ザルにあげて粗熱をとってから、砂糖をまぶします。
クッキングシートの上に並べ、ラップ等はかぶせずに冷蔵庫で冷やして固めます。

保存容器に入れて冷蔵庫で保存すれば、数ヶ月は大丈夫です。
オレンジピールは中身を食べた後の皮でもできます。
白い部分をとりのぞくのがやりにくいですが、表面だけをそぐようにして少しずつ削り取るとOKです。
まとめ
りんごやキウイなど身近な果物をドライフルーツにする方法をご紹介しました。
果物を干すと味が凝縮し、食感も変わって味わいのあるおやつになります。
時間はかかりますが、作る過程も楽しめますので、お子さんと一緒に観察しながら作るのもいいですね。
▼ドライフルーツの種類や栄養について詳しく見る

▼ドライフルーツの食べ方のアイデアについて詳しく見る


