油は何回使える?―揚げ物油の酸化を防ぐ上手な保存・再利用方法と正しい捨て方―

揚げ油は何回まで使える?

揚げたてがおいしい、唐揚げやフライ。
家族が喜んでくれるからと家庭でも出してあげたいものの「使い終わった油の処理が面倒で困る」と思うことはありませんか?

また、油の酸化が気になるので「毎回揚げ油を取り換えなくては」と思う方も多いかもしれません。
しかし、それではエコではないし、家計にも優しくありませんね。

そこでこの記事では、揚げ油の酸化を最小限にして使いまわす方法とおすすめの捨て方について、ご紹介します。

揚げ油は何回まで使える?

てんぷら油を使いまわす回数
何回も同じ油を使っていると、徐々に油が劣化していきます。
揚げ油の使いまわしは、何回まで出来るのでしょうか?

答えは・・・3回程度なら大丈夫。
しかし、揚げる食材や量によっても変わりますので、油の様子を観察して判断します。

何も対策をしない場合は、数回繰り返して使うと汚れや色が気になるようになり、揚げ物の味にも影響します。

油の劣化がすぐわかる特徴

油の様子がこんな風になったら、酸化が進んで「くたびれている」証拠です。

油の劣化サイン
  • にごった細かい泡が消えずに鍋の縁に溜まる
  • 油性塗料のような嫌なにおいがする
  • 色が黒ずみ、ドロっとしている
ここまで劣化すると再生がほとんど難しく、捨てることになってしまいます。

劣化してきた油で野菜を揚げたり、梅干しを揚げたりすると復活する、と聞いたことがある方も多いでしょう。
こうしたことは昔から言い伝えられていますが、実は科学的には証明できていません。

1~2回使った程度の油では効果があるように感じる場合もありますが、黒くなって泡立ちが消えなくなるほどの劣化油を再生させることは、家庭では難しいようです。

そこまで劣化する前に、きれいに保存して上手に使い切る方法を考えたほうが良さそうですね。

(参考:劣化油を復活させる様々な方法を実験したが、効果が得られなかったという研究報告もあります。「泡立ち油の再生法の検討」)

油の酸化を防ぐ保管の仕方

「油の酸化」はなぜ起こるのでしょうか?
大きく分けて、以下のような要因があります。

油の酸化要因
  • 空気に触れる
  • 光にあたる
  • 高温になる
  • 食材から出る水分や焦げと接する
油の容器を開封した時点で、空気と触れることによる酸化は始まります。
ですから、油は開封してから1か月~2か月ほどで使い切るのが理想的。

少しでも空気に触れずに済むよう、キャップはしっかりと閉めておきましょう。

一度揚げ物に使った油は、さらに酸化が早まりますので、再利用する油は意識して早く使うようにします。

油の容器やオイルポットの保存は、光の当たらない場所にしましょう
未開封の油も、日なたにおいてあると劣化が進みます。

調理の際に高温になることは避けられませんが、日常的に「コンロ周りなど熱の当たる場所」に油を保管しないようにしましょう
(油は常温で保存します。冷蔵庫に入れる必要はありません。冷蔵保存をすると室温との温度差が大きくなるため、水滴が発生して油はねの原因になったり、冷えすぎて固まってしまう可能性があります)

こまめに揚げかすをすくう
▲こまめに揚げかすをすくう

 
また、揚げている最中にこまめに「揚げかす」をとりましょう
これだけでも、だいぶ油の疲れ方が違ってきます。

揚げ油をきれいにして再利用するには

再利用するためには揚げ物が終わった後の処理方法が重要です。

てんぷら鍋にいれたままの油はNG
▲そのまま放置はダメ

 
揚げた天ぷら鍋のまま、コンロの上に置いておくなんていうのは、一番ダメ!
どんどん油の酸化が進んでしまいます。

汚れをろ過する

オイルポットでろ過
使い終わった油の汚れをできるだけ「ろ過」することが必要です。
揚げ油は少し冷ましてからまだ温かいうちに目の細かい網で漉(こ)すようにします。オイルポットに付属の網がない場合は、手持ちの漉し網とボウルなどで代用できます。
オイルポットの漉し網がないときの代用
目の細かい網がない場合は「ろ紙」を敷いて漉(こ)します。
油こし専用の「ろ紙」がありますし、キッチンペーパー、ティッシュペーパーやコーヒーフィルターで代用する人もいます。

MEMO
油こし専用ではないペーパーでは、紙に吸収される油の量が多くてムダになる場合があります。
ペーパーの重なりをはがし、薄い1枚にして使用するなどの工夫が必要です。

光を遮断して保存

油の酸化を防ぐオイルポット
ろ過した後の油を保管するときは、光を遮断できる容器にいれるのが理想的です。それにはやはり、オイルポットが最適です。オイルポットに入れることで、光を遮断し、できるだけ空気と触れないようにすることができます。
オイルポットにはいろいろなタイプがありますが、網だけではなく「ろ過材」をセットできるタイプはさらに油をきれいにしてから保管できるので便利。

食品油の「ろ過材」の種類

家庭用の食用油用ろ過材は、網やペーパーでは取り切れない細かな汚れや匂いを吸着してきれいにする効果があります。
専用オイルポットとセットで使う必要があるものがほとんどですが、揚げ物が多いご家庭なら油の再利用のために重宝するはず。

活性炭フィルター

活性炭フィルター
容器の中に活性炭を細かくしたものが入っています。
活性炭は水の浄化や不純物の「ろ過」に使われるもので、多孔質。目に見えない小さな穴に細かな汚れを吸い込みます。
炭の成分が油に溶け込むようなことはありません。
このような紙製容器にパックされているので、このままオイルポットにセットして使います。

ろ過パウダー

ろ過パウダー
活性白土のパウダーです。活性白土は天然の粘土質の土から作られるもので、多孔質のため、汚れや色を吸着する性質があります。食用油を製造する際にも使われる物質で食品添加物として認可されている安全なものです。

ろ過パウダーの使い方とコツ

オイルポットにセットした「ろ紙」にパウダーを入れてから油を注ぎます。
パウダーが油の汚れを吸着し、そのパウダーを「ろ紙」が漉(こ)すときれいになった油と分離できます。
急いでいるときは、揚げ油が入った鍋にパウダーを入れてかき混ぜ、沈殿してから上澄みだけを「ろ紙」で漉(こ)すという裏技も。
油を漉す裏技
こちらは我が家で使っている「ろ過式オイルポット」を分解したところです。

漉し網の下に「ろ過材」をセットするくぼみが付いたパーツがあります。
このろ過材で漉(こ)された油が下の部分に落ち、そのまま保管できる仕組みです。
ろ過材を油が通って「ろ過」が終わるまでには時間がかかりますので、この部分が浅いと使用後の油を一度に入れられません。
我が家では揚げ物に使う油の量が多めなので、容量があるオイルポットを選びました。

オイルポットの代用にティーポットを使うアイデア

オイルポットの代用
少量の油しか使わない場合は、大きなオイルポットは必要ないかもしれません。
そんなときは代用として使っていないティーポットを活用してはいかがでしょうか。
茶こしとペーパーで細かいかすを漉(こ)して入れておきます。
コンパクトで注ぎやすいのがメリットです。

上手な揚げ油の使いまわし方法

揚げ油の再利用
揚げ油は使い方次第で劣化を遅らせることができます。
油を使う料理の順番を考えて1、2週間の献立を考えましょう。

油が傷みにくい使い方の順番

  1. 新しい油は、まず野菜の素揚げなどに使います。野菜の素揚げでは油はあまり汚れません。
  2. 2回目に使うときは、きれいな衣にしたい天ぷらに。
  3. その次に、油が汚れやすい唐揚げやフライ、竜田揚げなどを作ります。

衣に味がついているものは焦げやすく調味料の味が移って油の汚れも早くなるので、このように作る順番を考えると料理の仕上がりに影響しにくくなるというわけです。
揚げ油が減ってきたら、新しい油を継ぎ足して使います。

揚げ油に新しい油を継ぎ足す

油を上手に使いまわすコツ

そして揚げ物をしない日も、ちょっとした炒め物に揚げ油を使いまわしができます。

肉や魚など、食材自体に脂があるものはその脂が揚げ油のなかに溶け出し、においや味が変わってしまいます。
でも逆に考えるとこれは食材の旨みが油に移った状態。だから揚げ油を炒め物に使うとコクが加わって美味しくなるんです。
 
このように油を順番に使っていると古い油はほとんど残らず、継ぎ足して使っていけます。
我が家もこの方式ですが、使いきれないうちに油が古くなって捨てるということは滅多にないですね。

酸化しにくい油で揚げ物をしよう

酸化しにくい食用油
揚げ物に使ったときに酸化しやすい油としにくい油があります。
精製の方法や、加熱しても酸化しにくい「オレイン酸」の割合によって差があるのです。
できるだけ酸化しにくい油を揚げ物に使うようにすると、健康への悪影響も抑えられますね。

揚げ物によく使われる油を比較してみると・・・。

キャノーラ油・・・揚げ物用に調整された菜種油です。菜種油のオレイン酸は64%。高温でも疲れにくいのが特徴。
オリーブ油・・・オレイン酸が約76%と多い。オリーブの実から作られる。独特の風味がある。
ごま油・・・オレイン酸約40%、焙煎ごま油は酸化安定性に優れ独特の風味がある。焙煎していないあっさりした「太白ごま油」もある。
米油・・・オレイン酸約43%。米ぬかから作られる。
紅花油・・・従来の紅花油はオレイン酸が少ないが、「ハイオレイック」品種のものはオレイン酸約80%。紅花の種子から作られる。
大豆油・・・オレイン酸約24%。独特のうまみがある。サラダ油やマーガリンの原料でもある。
グレープシードオイル・・・オレイン酸約16%、ブドウの種子から作られ、あっさりした味。ビタミンEやポリフェノールがオリーブオイルの2倍。

(参考:「日清オイリオ 植物油のヘルシー成分」「日清オイリオ ごま油のチカラ」「J-オイルミルズ 代表的な油の種類」)

酸化しにくいオリーブ油とごま油
▲酸化しにくいオリーブ油とごま油

 
このように比べてみると、スーパーで特売になることも多い「キャノーラ油」は比較的酸化しにくいバランスの取れた食用油だということがわかります。
酸化安定性に優れた(空気や光の影響を受けにくい)焙煎ごま油をキャノーラ油に何割か混ぜて使うのもおすすめ。天ぷら屋さんのような美味しい風味が出せます。

オリーブオイルもおすすめ

また、酸化しにくいオリーブオイルを揚げ油として使うのは海外では一般的。
我が家でも、料理によってはオリーブオイルで揚げています。オリーブの独特の風味が強すぎると思う場合はにおいのないグレープシードオイルで割るとあっさり仕上げられます。
和食の天ぷら以外は、フライ、素揚げ、アヒージョなどオリーブオイルでとても美味しくできますよ。

上手に油を使い分けよう

ここでは特に加熱しても酸化しにくい「オレイン酸」に注目して比較しました。
オレイン酸は酸化しにくいだけでなく、悪玉コレステロール数値を上げにくいという嬉しい効果もあります。
しかし食用油にはそれぞれいろいろな成分による特徴があります。
味や価格のことも考えながら、健康のために油の使い分けをするといいですね。

廃油を市町村のリサイクルに出すときは

ほとんどの自治体では、廃油のリサイクル回収をしています。
多めの油を捨てなくてはいけないときは、リサイクルに出せないかをまず検討しましょう。

廃油のリサイクルと捨て方
私の住む場所の自治体では、「揚げかすや沈殿物はろ過してから密閉ボトルへ」と規定されています。
空のペットボトルや、油が入っていた容器が使えます。
ふたがしっかり閉まるかどうか、確認が必要です。

油の空きボトルは捨て方に迷うもののひとつですが、リサイクル油を入れて回収に出せばいいのなら一石二鳥ですね。
市役所やスーパーの入り口などに回収ボックスが設置されています。

捨てる前に確認を

廃油のリサイクル回収については各市町村のホームページなどで案内されていますので、一度チェックしてみてください。
未開封で期限が切れてしまった食用油も同じく回収できます。
回収された油は、飼料や肥料に加工されたり、バイオディーゼル燃料として活用されています。

安全な油の捨て方・処分方法

使いまわししても残ってしまった油や、一度総入れ替えをしたいときは捨てることになります。
油の安全な捨て方も確認しておきましょう。

揚げ油の捨て方

油を吸わせて可燃ゴミにする方法

冷めた油を新聞紙や布などに吸わせて、袋や空の牛乳パックなどに入れ密封します。
廃油は自然発火する可能性もあるので、予防として湿らせた紙や水分の多い野菜くずなどを一緒に入れるようにします。
地域のごみ処理のルールに合わせて「普通ゴミ」「燃えるゴミ」に出します。

片栗粉・小麦粉で油を固める方法

油の凝固剤は市販されていますが、家庭にある片栗粉や小麦粉も使えます。
揚げ物に使って残った衣も全部油の中に入れてしまいましょう。
ポイントは油がまだ熱いうちに入れることです。
粉が油を吸ってゆるい粘土のような状態になればOK。
油をそのまま捨てるよりゴミ箱に捨てやすくなります。

生ごみコンポストで処理する方法

家庭で出る食用油の廃油は、少量ずつなら生ごみコンポスト(※)に入れて処理ができます。
油を加えるとそれを食べる微生物が活発になるので発酵温度が上がり、生ごみの分解力がアップします。
一度に加える量はカップ1杯程度までです。
揚げかすや鍋底に溜まる沈でん物も、同じように生ごみコンポストに入れられます。
家庭菜園などで生ごみ堆肥作りをしている場合はぜひ活用したい方法です。

※生ごみコンポストとは、微生物の力を利用して生ゴミを堆肥に変えることができる「生ごみ処理機」の事です。

おわりに

家庭での揚げ物を美味しく仕上げるには、劣化していない油を使うことがポイント。
揚げ油は酸化のスピードを抑えるために漉(こ)してきれいに保管し、上手に使いまわししましょう。
 
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