家事のコツや収納術、インテリアやおでかけにまつわる話などを通して「わたしらしい暮らし方」をご提案します。
ホットカーペットやこたつの敷き物などは、床からの冷気でなかなか温まらず、しばらく足やお尻が寒い思いをしますよね…。
そんなときに便利なのが、気になるフローリングの冷たさを解消してくれる床用断熱シート(保温シート)!
ホットカーペットなどの下に敷くだけで、床からの冷気を遮断してくれます。
エアコンの電気代などがかさむ冬に欠かせない、節電もできる防寒グッズです。
今回は本当に床用断熱シートを敷くだけで床からの冷たさを感じにくくなるのか検証します!
床からの冷気を遮断する「床用断熱シート」って?
床用断熱シートは「アルミ断熱シート」や「保温シート」「アルミシート」など、いろんな呼び方をされていますが、アルミ蒸着フィルムと発泡ポリエチレン層が組み合わさったもので、だいたいみんな同じものです。
これらのアイテムは、リビングなどのフローリングに敷いて、その上からカーペットなどを敷くと、床の冷気をシャットアウトしてくれる優れものです。電気代もかかりませんし、100均で売られているものもあるので、手軽に手に入るエコな防寒グッズとして魅力的なアイテムです。
中にはジョイントマットタイプの床用断熱シートも。パズルのように組み合わせができ、カーペットに合わせて大きさを変えることができるアイテムです。
広い場所に敷きつめたり柱などを避けて敷きつめることもできる上に、キッチンなど立ち仕事をする場所で、細長いキッチンマットの下に敷くこともできるという優れものです。
こちらの床用断熱シート、発泡ポリエチレン層の厚さはなんと7mm。1cm近い分厚さがあります。
床の冷気対策にはこれを使えば問題なし!と思いきや……。
編集部からは「こたつの下には気泡緩衝材(プチプチ)でしょ! あったかいし、タダだし!」という声が!
さらに、別のスタッフからは「うちは段ボール敷いてるよー」という声も。
床の冷気対策グッズに名乗りを挙げたのは、どちらも無料で手に入りやすい「気泡緩衝材」と「段ボール」でした。
果たして、アルミ製の床用断熱シートと気泡緩衝材、そして段ボールは、どのくらい床からの冷気を遮断できるのか。実際に比較実験をしてみました。
【比較アイテム】床からの冷気対策グッズを5つ集めてみた
今回保温効果を比べるのはこちらの5アイテム。ひとつずつ見ていきましょう。
【1】ジョイントタイプの保温マット「アルミホットンマット」
まずは、アルミ製ジョイントタイプ保温マット。その名も、アルミホットンマットです。
7mmの厚さに加えて、間取りに合わせて自在につなげられるところが大人気!
【2】オーソドックスな床用断熱シート「アルミホットンシート」
こちらは、アルミホットンシートという名前の床用断熱シート。
お手頃価格ですが裏面にカーペットなどがずれにくい機能がついたアイテムです。
【3】100均の保温シート
こちらは、100均で販売されている床用断熱シート。
床用断熱シートも100円でゲットできるんですね。こちらの保温シートはセリアで購入しました。
【3】気泡緩衝材(プチプチ)
そして、気泡緩衝材。通称プチプチと呼ばれてたりしますよね。
割れ物の保護や、キズ防止のために巻かれる梱包資材です。お皿や電化製品など衝撃に弱いものに巻かれるのをよく見かけます。
【4】段ボール
最後は、段ボール。無料配布するスーパーもよく見かけますし、どこでも手軽に手に入るアイテムです。
これら5つのアイテムを、アルミホットンマットの大きさに合わせてカット。
今回は気になる「保温力」の違いだけではなく、「耐久性」や「クッション性」を比較する実験も行いました。
【比較実験の方法】「床に敷くだけで保温力アップ」は本当?
まずは、3つの床用断熱シートと気泡緩衝材、ダンボールの5種類のアイテムを使って、保温効果を検証していきます。
「アルミホットンシート」の商品パッケージには、「敷くだけで保温力アップ」という気になる言葉が。本当に床に敷くだけで暖かいと感じられるのでしょうか?さっそく、調べてみたいと思います。
実験当日、撮影室の中の室温は10.1度。湿度は49%。床が冷たーい!
ですが、床用断熱シートの効果を調べるにはちょうどいい冷たさです。
温度差を計測して比較する方法は?
今回は次のような手順で比較実験を行います。
手順1.まず同じ大きさにカットした床用断熱シート、気泡緩衝材、ダンボールを床に敷きます。
手順2.次にデジタル・サーモメーターで温度をチェック。
手順3.その後、床の表面の温度は測るタイミングによって変化したので、床の温度と床用断熱シートなどの表面温度の温度差を計算します。
アルミホットンマットの場合は…
床の温度が7.8度のとき、アルミホットンマットの表面の温度は8.4度でした。
つまり、8.4-7.8=0.6で、温度差は0.6度。
床の冷たさを0.6度やわらげている、ということになります。
床と床用断熱シートの表面の温度差比較まとめ
実験の結果をこちらのようにまとめてみました。
冷たい床との温度差が最も大きかったのは、意外にも100均の保温シートで床との温度差は1.6度でした。
しかし、床との温度差は最大でも1.6度。床用断熱シートなどを敷くだけでは、シートの上は床とほとんど変わらない冷たさということが分かります。
表面温度にほとんど差がないのに、床用断熱シートを触ってみると…
触ってみると分かるのですが、床用断熱シートの表面はものすごく温かいんです。
床は触るのもためらうくらい冷たいのに、床用断熱シートの表面はホッとする温かさ…。
床を触ったときには感じないこのぬくもりの秘密とは!?
床用断熱シートの「保温機能」のヒミツ
床用断熱シートは前述の通り、保温シートや銀マット、アルミシートなどなど、いろんな呼び方をされています。
そして、どれもアルミ蒸着フィルムと発泡ポリエチレン層が組み合わさったものです。
こちらは、アルミホットンマットのパッケージのイラスト。アルミ蒸着フィルムと発泡ポリエチレン層のそれぞれの役割が記されていました。
床用断熱シートの保温力を比較するためには、ホットカーペットやこたつなどの熱源を用意し、実際に使っているときと同じような環境で性能を比べてみる必要があるようです。
というわけで、今回は「こたつ風装置」を制作し、実験を継続しました。
【実験1】こたつ風装置で床用断熱シートの保温力比較
用意したものはダンボールと熱湯。これらを使って、ラグの上にこたつと同じような環境を作り、実験していきます。
床用断熱シートの保温力比較方法
まずは、実験方法をご紹介。
手順1.同じ大きさにカットした床用断熱シートやマット、気泡緩衝材、段ボールを床に敷きます。
その上にラグを敷いて、実際に使うときと同じ状況にします。
手順2.ラグの上には、こたつ…ではなく、段ボールを置きます。
手順3.穴のあいた段ボールの中に、熱湯が入った計量カップをセットします。熱湯は、それぞれ300mlずつ用意しました。
手順4.段ボールの穴を塞ぎ、こたつ布団の中に熱を閉じ込めるこたつと同じ状態にして5分放置します。
手順5.放置した後、デジタル・サーモメーターで温度を測ります。
熱湯を入れたカップから半径約5cmの10箇所程度で温度をはかり、一番高かった温度を記録します。
100均の保温シートとアルミホットンマットはどちらが優秀?
まずは、床に敷いただけの状態で温度を測ったときに1位だった100均の保温シート。
100均の保温シートの上にラグを敷いたところ、表面温度は10.9度。その上に熱湯と段ボールを置き、フタをして5分待ちます。
5分後、同じラグの上の温度を測ってみると、温度は26.9度。13.7度アップしたので、それだけの熱を段ボールの中にキープしたと言えます。
お次は、厚さが0.7mmもある分厚いアルミホットンマット。
実験スタート前にラグの表面の温度を測ると12.5度。フタをして5分後、ラグの上の温度を測ってみると、温度は31.9度。なんと、19.4度もアップ!100均の保温シートと比べてもその差は5度ありました。
【実験結果】床用断熱シートの保温力は?
今回行った床用断熱シートの保温力比較実験。
その他の実験結果を図のようにまとめてみました。
リストの中の「+●度」という数字は、実験スタート前のラグの表面温度から、どれだけ温度がアップしたかを示しています。
大本命であるジョイントタイプのアルミホットンマットが、他の床用断熱シートなどに大差をつけて圧勝という結果となりました。
残念ながら、ビリは気泡緩衝材。100均の保温シートは段ボールと同じという結果に。
100均の保温シートとアルミホットンマットの最大の違い
今回は、圧勝したアルミホットンマットと、前回の実験で1位だった100均の保温シートをさらに10分ずつ放置し、経過を観察してみました。
実験をスタートしてから15分後のラグの上の温度は、アルミホットンマットを敷いた場所では25.4度、100均の保温シートを敷いた場所では21.3度。5度あった温度差は、4.1度まで縮まっていました。でも、まだアルミホットンマットの方が保温効果が高いと言えますね。
お湯の温度を測ってみると、意外なことが分かりました。
アルミホットンマットの上に置いた方の水温は69.1度、100均の保温シートの上に置いた方の水温は69.5度でした。100均の保温シートの方がお湯の温度が高かったのです。
熱源であるお湯の温度はほとんど変わらないのに、ラグの表面の温度が4度も違う。
つまり、ラグの下に敷いた床用断熱シートの保温力の差が大きいということが言えます。
今回使った床用断熱シートの1番の差は、「厚み」です。
つまり、保温力の要は発泡ポリエチレン層の分厚さということが分かりました。
【実験2】床用断熱シートはつぶれやすい?耐久性比較
床用断熱シートはホットカーペットやこたつの敷き物の下に敷くことで、それらの熱を逃がさず早く温めてくれます。
その保温力の要は、熱が逃げるのを防ぐ「発泡ポリエチレン層の分厚さ」であることが実験で明らかになりました。
では、分厚い床用断熱シートは体重やこたつの脚でつぶれることはないのでしょうか?
次の比較実験では、床用断熱シートの耐久性をチェックしていきたいと思います。
こたつテーブルの脚で踏まれ続けた床用断熱シートはどうなる?
「床用断熱シートに一番ダメージを与えるものってなんだろう?」と考えたところ、「こたつテーブルの脚かな?」という結論に。
床用断熱シートの上にこたつを置いた場合、冬の間中、ずっとこたつテーブルの脚に踏まれ続けるということになります。これは床用断熱シートにとってかなりダメージがあるはず。
そこで、こたつの脚で床用断熱シートが踏まれる状況を再現することにしました。
今回は編集部のモデルスタッフに、イスに座った状態で床用断熱シートを踏んでもらいました。それぞれ30秒間、全体重をかけてもらいます。
実験の結果は、大きく二分されることに。まずは耐久性が高かったものをご紹介します。
耐久性の高い床用断熱シートは?
実験の結果、「アルミホットンマット」、「アルミホットンシート」、「100均の保温シート」は大きなダメージを受けませんでした。
アルミホットンシートと100均の保温シートは薄い分、凹むこともありませんでした。
注目すべきはアルミホットンマット。
段ボールと熱湯を使った実験で、こたつ風の装置を作って保温力を比べたところ、大差をつけて圧勝したアイテムで、1cm近い厚みがあります。
30秒経った後、イスの脚を動かした直後は痕がつきました。しかし、2秒くらいでスルスルっと元に戻りました。
クッション性があるんですね!
保温効果も耐久性もバッチリという、とても優秀な結果となりました。
気泡緩衝材と段ボールは長く使えない
一方、気泡緩衝材と段ボールは耐久性に難ありという結果に。
こちらは、残念ながら痕がついてしまった段ボール。一度凹んでしまうと二度と元には戻りません…。
また、段ボールには、水に弱いという弱点も。
こちらは、前回の実験に使った段ボール。実験後は、お湯の蒸気をたっぷり浴びたせいで、表面が湿ってしまいました。
冬場の段ボールは、気をつけないとカビの温床になってしまわないよう注意する必要があります。
編集部が一番心配していたのは気泡緩衝材。
手でも簡単に「プチッ」とつぶせるので、今回の実験でもすぐにつぶれてしまうと考えていましたが、椅子をよけてみると意外にも無傷!
「ほんとに無傷?すごい!」と確かめていると、「プチッ」という音とともに簡単につぶれてしまいました。
気泡緩衝材は中に空気を含んでいるので、力のかかり方によってはすぐにつぶれてしまい、元には戻りません。
【実験結果】床用断熱シートの耐久性は?
結果をまとめると、こうなりました。
3種類の床用断熱シートは、どれも耐久性がありそうです。
一方、気泡緩衝材と段ボールは耐久性が低く、一度つぶれると元に戻らないため、長く使うことはできないということが分かりました。
保温シートや保温マットをネットで買ったときなどに、届くまでの急場しのぎとして使う程度にしましょう。
【実験3】床用断熱シートのクッション性比較
リビングは家族でくつろぐ場所。ホットカーペットやこたつの敷き物の上に長時間座って身体が痛くなるのは避けたいですよね。
続いて、床用断熱シートをラグの下に敷いたときのリアルな踏み心地を比べてみます。
3種類の床用断熱シートと気泡緩衝材、段ボールをラグの下に敷いた状態で踏んでみました。
踏み心地も快適!アルミホットンマット
編集部が一番驚いたのは、アルミホットンマット。
ラグの下に敷くと、「さっきまでのラグが、ワンランク上のラグになった!」とびっくりするほど、踏み心地がやわらかく心地良くなりました。7mmの厚みのたまものですね。
ラグを季節ごとに変えるのが面倒な人は、薄いラグの下にアルミホットンマットを敷けば、冬でも暖かく座り心地も良くなりますよ。
不快な音と滑るのが難点な気泡緩衝材
一方、気泡緩衝材は踏んだ瞬間プラスチックのシートがガサガサと擦れる音がしてかなり耳障りでした…。
さらに、気泡緩衝材はプラスチック製の薄いシートなので、床の上で滑りやすいのがネック。
上に敷くラグやマットの素材によっては皺が寄りやすくなったり、ズレたりするので、子どもが走り回って滑って転ぶことも起こりえるかもしれません。
その他の床用断熱シートや段ボールもしっかりと踏み心地を比較。
段ボールは、意外にもしっかりした踏み心地でしたが、踏む度につぶれていってしまうので、踏み心地を長く維持することは難しそうだと感じました。
アルミホットンシートと100均の保温シートは、薄さのせいか、ラグの下に何も敷いていない場所と比べても踏み心地はほとんど変わらず…。
アルミホットンシートの方が若干やわらかいと感じる程度で大差はなく、どちらもクッション性をあまり感じませんでした。
【まとめ】床用断熱シートを選ぶ3つのポイント
今回、床用断熱シートの「保温力」「耐久性」「クッション性」の3つの機能を比較し、どれが最も優秀なのかを比較してみました。
3つの実験結果を見ると、アルミホットンマットが群を抜いて高性能であることが分かりました。
床用断熱シートを選ぶときに重視していただきたい3つのポイントと一緒に、今回の実験結果の整理をしていきたいと思います。
保温力重視で選ぶなら「アルミホットンマットorシート」
床用断熱シートを必要とする理由の多くは、「床からの冷気を感じる」からではないでしょうか。
1番解決したい悩みが「床からの冷気」であれば、熱を逃がさない発泡ポリエチレン層が分厚いものを選びましょう。
「アルミホットンマット」くらいの厚みがあれば、冷たい床からの冷気をしっかりシャットアウトできます。
さらに、厚みがあればクッション性が増すので、ラグやカーペットにふんわりした踏み心地を求める場合も、こちらがおすすめです。
実験で使ったアルミホットンシートも、保温効果はしっかり実感できました。
厚みは2mmと薄くクッション性はありませんが、床用断熱シートは冬以外は使わないので、すっきり畳んで収納しておくことができます。
また、ジョイントタイプのマットとは違い、広い場所に1枚敷くだけで済むので、敷く手間がかからないというメリットもありますよ。
床用断熱シートは電気代の節約にも効果的!
ちなみに、私も自宅のこたつ敷の下に厚さ4mmほどの床用断熱シートを敷いています。
床用断熱シートを敷いていなかった頃は、こたつの設定温度を7段階中の「5」にしていましたが、敷いた後は「1」に下がりました。
使う電力が下がっている分、電気代が節約されているはずです!
使う電気量が下がったのに体感温度が変わらず、さらに、こたつ敷にふわふわ感がプラスされたので大満足しています。
使い勝手重視で選ぶなら「アルミホットンマット」がダントツ!
アルミホットンマットのようなパズルのように組み合わせできるジョイントタイプのマットは、敷きたい場所やラグの形に合わせてカスタマイズができるというのが最大のポイント。
さらに、ジュースや食べ物をこぼして汚れたり傷ついたりしても、取り替えたい部分だけ取り替えられるという手軽さも!
また、今回は実験では取り上げませんでしたが、アルミホットンマットを含め、一部の保温マットや保温シートには「防ダニ加工」などの加工がされているものも。
湿気が籠りやすく、掃除機をかけにくいこたつの敷き物などはダニも心配ですよね。
小さいお子様がいるご家庭などは、防ダニ加工があるかないかで床用断熱シートを選ぶのもおすすめです。
他にも、ラグやホットカーペットがずれないよう、裏面に「滑り止め加工」が施されているものも。
ずれてしまった敷き物を元に戻すのは重労働なので、滑り止め加工の有無もチェックしてみてもいいかもしれません。
価格重視で選ぶなら「100均の保温シート」
「防ダニ加工」や「滑り止め加工」など、機能的な床用断熱シートはそのぶん値段は上がってしまいます。
性能もそこそこ良くて、安く手に入るものがいいなら、100均の保温シートははかなり優秀と言えるでしょう。
保温力はアルミホットンマットやアルミホットンシートに劣る結果にはなりましたが、気泡緩衝材や段ボールにはない「長持ちする」というメリットがあります。
今回使用した100均の保温シートはセリアで購入したもの。
1サイズしか選べなかったので、床一面を覆うような大きなラグの下に敷く場合は何枚も買う必要がありますが、普通のリビングに敷くだけなら十分な大きさでした。
床の上に敷くだけで、手軽に保温効果が期待できるので、「まずは100均の保温シートで試してみたい」という方にはおすすめです。
手軽な床用断熱シートで真冬でも暖かいリビングに
寒さが厳しい真冬は特に、「ホットカーペットを敷いたり、こたつを置いてもなんだか寒いなあ」と感じる方は多いはず。床から伝わる底冷えは、冷え性にはとてもつらいですよね…。
ホットカーペットやこたつの保温効果を手っ取り早く高めたいなら、床用断熱シートを1枚下に敷いてみてください。暖かく快適なリビングになること間違いなしです!