中学生、高校生、大学生の娘3人を持つズボラ主婦。娘3人+夫という家族構成だけに、毎日家事の時短を追求。その結果、時短アイテム、手抜きネタのエキスパートに。現在「やめ家事」の連載中。
災害時の必需品として注目が集まっている「アイラップ」。
今回はアイラップを使った蒸しパンレシピに、ズボラ主婦ひらこが挑戦。やってみて分かったポイントもご紹介します。
災害時にも活躍!アイラップで湯煎調理
南海トラフ地震が近いということで、在宅避難をしたときの調理用品として脚光を浴びているのが「アイラップ」。岩谷マテリアル株式会社が開発した、ポリエチレン製の袋のことで、こんな特徴があります。
- 耐熱温度が120度で、熱湯に耐えられる
- 添加剤が入っておらず、安心して使える
湯せん調理に使えるので、「カセットコンロ・鍋・水・アイラップ」があれば、米を炊いたりおかずを作ったりでき、ライフラインが止まった時の必需品として注目されています。
今回は、このアイラップを使って、湯煎で作る「蒸しパン」にチャレンジします。蒸しパンは、おいしいのはもちろん、やわらかいので子どもでも高齢の人でも食べやすいのが魅力。作り方は、調理師の滿端ペチカさんに教えてもらいました。
満畑ペチカ
調理師・ライター。つくること・食べることが大好きで調理師免許を取得。医療福祉施設での勤務経験あり。おいしいご飯のレシピや暮らしの便利なもの、日ごろの衛生管理について執筆中。
ペチカさんは、以下の記事で「パッククッキング」のレシピも紹介されています。こちらもぜひ参考にしてください。
>>ポリ袋で調理できる「パッククッキング」災害時に重宝するレシピ6選
材料2つで簡単!「豆乳とホットケーキミックスの蒸しパン」
まずは、ヘルシーな食材「豆乳」と、ご家庭に常備している人も多い「ホットケーキミックス」を使って、基本の蒸しパンを作ります。
牛乳や水でもおいしくできますが、豆乳は常温保存で数か月もちます。その上、栄養価が高くそのまま飲んでも料理に使ってもOK。災害時の備蓄用として、保存しておいて間違いない食材です。
「豆乳の蒸しパン」の材料
- ホットケーキミックス……1袋(約200g)
- 豆乳……200ml
材料は、ホットケーキミックスと豆乳(液体)を同じ量入れると覚えておけばOK。
「加える液体を変えたり、具材をプラスしたりすれば、自由自在にアレンジできますよ」と、ペチカさんもおすすめのレシピです。
「豆乳の蒸しパン」の作り方
1.材料を入れる
アイラップに、ホットケーキミックスと豆乳を入れます。
2.粉と豆乳を混ぜ合わせる
ホットケーキミックスの粉と豆乳がよく混ざるよう、アイラップの上から手でもんで混ぜ合わせます。
「粉のかたまりが残っていたら、アイラップの上から指でつぶしてなじませてください」とペチカさん。
3.アイラップをねじって端で結ぶ
中身を手で押さえながら、空気が入らないように、袋の余った部分をくるくるねじり上げます。端まできたら、水が入らないようしっかり結びます。
ねじりながら結ぶワケは後ほど説明します。
4.お湯を沸騰させてふきんを敷く
鍋を用意してお湯を沸かします。蒸しパンはふくらむので、大きめの鍋を使うのがおすすめ。写真は直径20cmの鍋です。
お湯が沸いたら、アイラップが触れて溶けないよう、鍋底に陶器の皿かふきんを敷きます。
「アイラップが鍋肌に触れていると溶ける可能性があるので、菜箸などに巻きつけておくのもおすすめ」とペチカさん。
5.お湯に入れて15分加熱する
沸騰したお湯にアイラップの袋を入れて、約15分加熱します。火加減は中火から弱火で、軽く煮立つくらいをキープします。
6.ひっくり返して15分加熱する
全体に火が通るよう、裏返してさらに15分加熱します。
7.ふきんの上に取り出す
アイラップの結び目付近を持ち、やけどに気を付けながら、ふきんの上に取り出します。
8.火が通っていたら完成
つまようじや菜箸を刺して、液体がついてこなければ完成です。
ズボラ主婦が作ってみた感想
割ってみると、中まで火が通って上手に仕上がっていました。アイラップの袋だけで蒸しパンができるなんて正直ちょっと疑っていたのですが、やってみると本当に簡単に完成してビックリ! しかも、口に入れると、ふっわふわでやさしい甘みが広がってめっちゃおいしい! 素朴な味で食べやすく、家族にも好評でした。実は子供たちは豆乳が苦手なのですが、豆乳が入っていることに気付かず、「おいしい!」と完食していました。
「アイラップで作る蒸しパン」失敗しないポイントとは?
簡単にできるアイラップ蒸しパンですが、気に入って何回か作るうち、実は失敗も経験しました。うまくできなかった時の原因を探りつつ、失敗しないポイントをご紹介します。
アイラップの中の空気をしっかり抜く
アイラップの結ぶ時、うっかり空気を抜くのを忘れて結んでしまった時のことです。
加熱しているうちに、アイラップがパンパンにふくらんで、ぷかぷかと浮いてきてしまいました。
時間通りに引き上げても、中身がまだ液体の状態。
加熱を続けるとなんとか火は通ったものの、見た目が悪く、食感もぼそぼそした仕上がりになってしまいました。
ペチカさんも「アイラップの袋の中に空気がたくさん入っていると、お湯に入れたとき浮力で浮いてしまい、しっかりと加熱ができません」とのこと。「空気を抜く」は大事なポイントだと実感しました。
アイラップはできるだけ端のほうで結ぶ
また、ペチカさんによると「食材ギリギリの位置でアイラップを縛ってしまうと、食材に含まれる水分が水蒸気になって膨張し、膨らむ力に耐えきれず破裂する危険がある」そう。特に蒸しパンは、食材自体がふくらむので、できるだけ端で結ぶとよいそうです。
ただ、空気を抜きながら端で結ぶのは、意外と難しいもの。
コツは、アイラップを指に袋を巻き付けるようにして、ネジネジしながら結ぶこと。
こうすることで、不器用な私でも、簡単に空気を抜きながら端で結べました。
「空気を抜く」と「端で結ぶ」の2つのポイントを押さえれば、私のように失敗することもないはず。ぜひ覚えておいてください。
アイラップで他にも!蒸しパンのアレンジ
プレーンな味で食べやすい豆乳蒸しパンですが、ちょっと味気ないなと感じたら違うバージョンを楽しむのもおすすめ。今回は、常温保存できる材料でできる、おかず系とおやつ系の2つのアレンジレシピに挑戦してみました。作り方は、豆乳の蒸しパンと同じです。
コーンとソーセージの蒸しパン
まずは、子どもが好きなソーセージとコーンを入れてみました。どちらも常温で保存できて災害時にも使える食材です。
<コーンとソーセージの蒸しパンの材料>
- ホットケーキミックス……1袋(約200g)
- 豆乳(好きな液体)……200ml
- 常温保存の魚肉ソーセージ……1or2本
- 缶詰のコーン……約大さじ2
食べてみたところ、生地の甘味とソーセージの塩気が絶妙にマッチして、おいしい! ソーセージがゴロっとした食感で、ハムを使うより満足感がありそうだなと思いました。コーンのプチプチした食感が楽しくて、子どもにもウケていました。
ココアの蒸しパン
次は、ココア味の蒸しパンにチャレンジしました。粉末のココアは、チョコのように溶ける心配がないので、災害時の備蓄用としてもよさそうです。
<ココア蒸しパンの材料>
- ホットケーキミックス……1袋(約200g)
- 豆乳(好きな液体)……200ml
- ココア……約大さじ1
食べてみると、しっかりした濃いめの味で食べ応えバツグン。子どもたちも、チョコのような風味が気に入ったようで、一瞬でたいらげていました。このままでも十分おいしいですが、ナッツやレーズンを混ぜると、さらにリッチな味を楽しめそうだなと思いました。
普段にも取り入れたい「アイラップ調理」
ズボラな私にできるのかな?と思っていたアイラップ調理ですが、やってみると本当に簡単にできて驚きました。しかも、調理器具が汚れずほとんど洗うものがないのも、洗い物嫌いの私にはうれしいところ。湯せんに使ったお湯を、また別の湯せん調理に使ったりして再利用できるところもいいなと思いました。
ライフラインが止まった時の予行練習も兼ねて、普段の料理にもアイラップ調理を取り入れていきたいと思いした。