ハウジーマガジンを運営するキッチン・雑貨の専門卸売り「クラスフィルグループ」で実験を担当するリケジョ。「何を買ったらいいの?」という悩みに応えるべく、商品を実験して徹底調査していきます!
食器を洗うときに使うキッチンスポンジ。泡立ちがよいものなら、何度も洗剤を足す必要がなく、お財布にも環境にもやさしく使えますよね。
今回はキッチンスポンジを選ぶときに気になる「泡立ちのよさ」を比較したので、ぜひチェックしてください。
キッチンスポンジにはどんなタイプがある?
キッチンスポンジには、主に以下のようなタイプがあります。それぞれの特徴をおさらいします。
ガンコ汚れも泡立ちも叶える「貼り合わせタイプ」
2層や3層構造の異素材が、貼り合わされて作られたスポンジ。洗剤をキープするウレタン層部分、ガンコな汚れを落とすナイロン不織布層部分、泡立ちや水切れをよくするウレタン層部分からなっているものがほとんどです。
汚れをネットで絡めとる「ネットタイプ」
ウレタンスポンジのまわりがネットで覆われたタイプ。中のウレタン部分でしっかり泡立ちをキープしながら、周りのネットで汚れを絡めとるよう設計されています。
地球環境にやさしい「セルロース」スポンジ
原料は木材やパルプなどから抽出された天然素材。つまり植物繊維からできているスポンジです。そのため、再生利用可能で地球環境にやさしいと話題に。
吸水性に優れているだけでなく、すぐ乾くので雑菌も繁殖しにくいのが特徴です。
キズが付きにくい「マイクロファイバースポンジ」
マイクロファイバーは通常より繊維の目が細かいため、汚れを落とす能力に優れているのが特徴。また、目が細かいためデリケートなアイテムの汚れを落とすのに向いています。
キッチンスポンジは薄手のものが多いので、曲線フォルムの食器にも使いやすいのがうれしい点です。
それ以外にも、ウレタン部分だけでできている「ソフトタイプ」と呼ばれるスポンジもあります。
今回は「貼り合わせタイプ」6種、「ネットタイプ」5種、それに「セルロース」と「マイクロファイバー」の上記の4タイプを比べて、泡立ちを調べていきます。
【実験1】「貼り合わせタイプ」のキッチンスポンジで泡立ちを比較
まずは6タイプの貼り合わせタイプのキッチンスポンジを使って、泡立ちがどう違うか実験します。
今回比べるキッチンスポンジは、この6つ
ロングセラー商品からスーパーでよく見かける人気のものを6つセレクトして、泡立ちを比較していきます。
【A】マーナの名品「おさかなスポンジ」
ユニークなキッチンスポンジの代表格と言えば、これ! ナイロン不織布・ウレタン・脱膜ウレタンの3層構造で、泡立ちや水切れも優秀。かわいいだけでなく、コップの底までしっかり洗える形状も人気の理由です。
【B】昭和生まれのキッチンスポンジの名品
今から約50年前に発売。ウレタンフォームのスポンジに、ナイロン製の不織布がドッキングした「貼り合わせタイプ」のキッチンスポンジの名品。昔から家にあったという人も多いのでは? おなじみのアイテムです。
【C】貼り合わせタイプの定番ソフトスポンジ
【B】と同じタイプの貼り合わせスポンジ。傷がつきにくい不織布とやわらかいスポンジの2層構造で、大切な食器や調理器具も優しく洗えます。
【D】研磨剤入りで磨き洗いもできるクリーナー
こちらは不織布の部分に研磨剤が含まれているハードタイプのクリーナーです。優しく洗いたいときにはウレタンフォーム部分、磨きたいときには研磨剤入りの不織布部分と用途に合わせて使い分けができます。
【E】バランスの取れた3層タイプのウレタンスポンジ
こちらは、3層のタイプのウレタンスポンジ。ウレタンフォーム部分が2層に分かれているのが特徴です。目が細かいウレタンフォームと目が粗いウレタンフォームの二種類使いで、泡立ちや泡持ちがよいと人気のアイテム。
【F】水切れにこだわった3層タイプのスポンジ
こちらは水切れにこだわった高品質の3層構造スポンジです。食器に傷がつきにくいソフトな不織布、泡立ち良くしっかり洗えるスポンジ、水切れの良いスポンジの3種類の素材でできています。
【実験方法】貼り合わせスポンジの「泡立ち」の調べ方は?
1.スポンジに台所用洗剤を垂らします。水で濡らしてキュッと絞り、スポンジに水を含ませます。
2.台所用洗剤の量は2ml。スポイドを使ってきっちり計ってから、スポンジに垂らします!
3.しっかりと泡立てます。キッチンスポンジを30回ずつ揉んで、泡立てました。
モコモコモコ……。さっそく泡が出てきました。
4.スポンジから出てきた泡は、ビーカーへ。たまった泡の体積をはかります。
実験に使う洗剤の量は、みんな同じ。
だから、出てくる泡の量が多いほど、少ない洗剤で洗い物ができるエコなスポンジというわけです。
【実験結果】貼り合わせスポンジの「泡の量」の結果は
さっそく実験の結果をみてみましょう。
- 【A】マーナのおさかなスポンジ:300ml
- 【B】昭和の名品スポンジ:180ml
- 【C】定番のソフトスポンジ:320ml
- 【D】研磨剤入りクリーナー:350ml
- 【E】3層タイプのウレタンスポンジ:500ml
- 【F】水切れにこだわった3層タイプのスポンジ:300ml
一番泡立ちがよかったのは、【E】の3層タイプのウレタンスポンジ。30回もんでみた結果、なんと500mlも泡が出ました。
逆に一番泡の量が少なかったのは、【B】の昭和の名品スポンジで180ml。
ほかの4つのスポンジは、300~350mlとだいたい同じ量の泡が立ちました。
「貼り合わせタイプ」スポンジの実験結果まとめ
どうしてこんなふうな違いが出たのでしょう?
それは、泡のでき方に秘密があります。泡は空気が薄い水の膜で包まれたもの。なので、たっぷり空気を通すスポンジほど、たくさんの泡が作られます。
ここで改めてスポンジの表面に注目してみると、それぞれ目の粗さにかなり違いがあることに気がつきます。目の粗い脱膜ウレタンフォームの泡立ちがよかったのは、通気性がよく空気をたくさん含むことができたため。そのスポンジに含まれた空気が、泡が立つのを助けていたんですね。
【実験2】5つの「ネットタイプ」キッチンスポンジで泡立ちを比較
ネットスポンジはネット部分で汚れをからめとるように設計されていると先ほどご紹介しましたが、このネット部分の素材はさまざま。いろんな素材のネットタイプのスポンジを集めて比較しました。
今回比べるキッチンスポンジは、この5つ
【G】定番のネットスポンジ
5個セットでまとめ売りされているネットスポンジの定番アイテム。100円ショップやドラッグストアでもよく見かけますよね。ネット部分の素材はポリエステル製です。
【H】クリンプネットスポンジ
泡立ちがよく、汚れをからめとるクリンプネットが使われているネットスポンジ。しっかりとした厚みがあり、洗いやすそうな印象。ネット部分はナイロン素材でできています。
【I】ハイブリットネットスポンジ
太さの異なる糸で作られたネットが特徴のスポンジです。グリーンの太い糸は、汚れを吸着しやすいアクリル製。白くて細い糸は、こびりつきに強いポリエステル系フィルムでできています。
【J】2つの素材で編まれたストライプ柄スポンジ
こちらのスポンジも2種類の異なる繊維でできたネットが特徴的。緑色の部分はやわらかいナイロン製。白い部分はポリエステル製フィルムで、少しシャリシャリとした触り心地です。
【K】アルミネットスポンジたわし
こちらは抗菌ウレタンスポンジをアルミ蒸着ネットで包んだたわしです。他のネットスポンジに比べると固いですが、たわしに比べると食器に傷はつきにくそうです。
【実験方法】ネットスポンジの「泡立ち」の調べ方は?
先ほどの「貼り合わせスポンジ」の実験と同じく、2mlの台所用洗剤をスポイドで垂らし、30回ずつ揉んで泡立てたときの泡の量を測ってみました。
【実験結果】ネットスポンジの「泡の量」の結果は?
実験の結果は以下のようになりました。
- 【G】定番のネットスポンジ:500ml
- 【H】クリンプネットスポンジ:350ml
- 【I】ハイブリットネットスポンジ:450ml
- 【J】異種素材のストライプ柄スポンジ:400ml
- 【K】アルミネットスポンジたわし:500ml
若干の差はありますが、貼り合わせスポンジほどの差は感じられませんでした。泡立ちという点だけで見ると、100均のネットスポンジも優秀。また、アルミネットスポンジたわしみたいに固いスポンジでも同じくらい泡立ちがよいという結果に。
「ネットスポンジ」実験結果まとめ
空気を通しやすい構造かどうかで泡の量に違いが出ていた「貼り合わせスポンジ」。一方ネットスポンジは、表面がネットで覆われている構造なのはどれも同じ。表面のネットの穴から内部にしみ込んだ洗剤が均等に出てくるため、泡立ちに差が出にくかったのかもしれません。
また、表面のパイル部分は空気を含みやすいので、しっかりと泡立つのを助けてくれているとも考えられますね。
【実験3】「セルローススポンジ」で泡立ちを実験
圧縮されていてはじめはカチカチのものが多いセルローススポンジ。泡立ち実験をする前に、その特徴から見ていきます。
「セルローススポンジ」を使い始める前の特徴は?
セルロースがウレタンフォームと大きく違うのは、乾くとカチカチになるところ。
スポンジというよりは、乾パンかビスケット? ビックリするほどカチカチです!
でも、水を含ませると……。
あっというまにフンワリ。
むしろ、ウレタンフォームのスポンジよりも滑らかな肌ざわりになります!
【実験方法】セルローススポンジの「泡立ち」の調べ方は?
これまでの実験と同じく、2mlの台所用洗剤をスポイドで垂らし、30回ずつ揉んで泡立てたときの泡の量を測ってみました。
【実験結果】セルローススポンジの「泡の量」の結果は?
実験の結果は以下のようになりました。
出てきた泡を集めると、200ml! ウレタンフォームのスポンジと比べると、ちょっと少なめの結果になりました。
「セルローススポンジ」実験結果まとめ
使い始めに水を含ませるとフワフワになった通り、吸水性は抜群。でもその分泡立ちはウレタンフォームには劣るという結果に。ただ泡持ちはとてもよいように感じました。
【実験4】「マイクロファイバースポンジ」で泡立ちを実験
他のスポンジと比べて薄いのが特徴の「マイクロファイバースポンジ」。あまり泡立ちそうにありませんが、実際どうなのか調べていきます。
【実験方法】マイクロファイバースポンジの「泡立ち」の調べ方は?
これまでの実験と同じく、2mlの台所用洗剤をスポイドで垂らし、30回ずつ揉んで泡立てたときの泡の量を測ってみました。
【実験結果】マイクロファイバースポンジの「泡の量」の結果は?
結果は、100ml。泡が少なめなのは、このスポンジのサイズのせいかも?
「マイクロファイバースポンジ」実験結果まとめ
今まで比べてきたどのスポンジより泡立ちはしないという結果に。確かに薄くて泡をうけとめる部分がないように思います。
ただマイクロファイバーは細かい繊維の目で絡め取って汚れを落とすよう設計されているので、洗剤の泡の力を借りるように作られてないのかもしれません。お皿の表面についた油をサッとあらかじめ落とすために洗剤を使うという認識のほうがあっているのかも。
「泡がちゃんとついてないと、食器を洗った気がしない」という人は、ちょくちょく洗剤を追い足ししてしまうと思うので、不経済になってしまうかもと思いました。
ただ、マイクロファイバーは傷付きにくいのでワイングラスや透明のお皿などに向いていると思います。
4タイプのキッチンスポンジを比較した泡立ちの結果は?
では結局、何が一番泡立ったのでしょうか。
まず4タイプで比較してみます。
<4つのタイプのキッチンスポンジの泡立ち比較>
- 貼り合わせタイプのスポンジ:180ml~500ml。平均泡立ち量は、325ml。
- ネットタイプのスポンジ:350ml~500ml。平均の泡立ち量は、440ml。
- セルローススポンジ:泡の量は、200ml。
- マイクロファイバースポンジ:の泡の量は、100ml。
泡立ちだけを比べると、一番泡の量が多かったのは「ネットスポンジ」という結果に。
ただ、アイテム別にみると、ナイロン不織布・ウレタン・脱膜ウレタンの3層でできた【A】マーナの「おさかなスポンジ」、【G】の定番「ネットスポンジ」、アルミで覆われた【K】の「アルミネットスポンジたわし」は同じ500mlの泡の量。
一概にネットタイプが貼り合わせタイプよりよく泡立つということではなく、ウレタンフォームに使われている繊維の細かさや厚みといったことに左右されているようでした。
また【B】の「昭和の名品スポンジ」はが泡の量はイマイチだったものの、もっちりと上質な泡が立っていました。これだと泡持ちがよく、お皿を洗い始めてすぐに泡が消えることもなさそう! ただし、泡持ちがよすぎて、洗剤を流す時になかなか泡が切れないのがちょっと気になりました。
泡立ちが全てではない? 理想のキッチンスポンジを見つけよう
普段何気なく使っているキッチンスポンジ。「泡が立ってないと洗った気にならず、つい洗剤を多く使いすぎてしまう」という人はぜひ参考にしてみて、泡立ちのよいものを使ってみてくださいね。
とはいえ、キッチンスポンジは、泡立ちだけでなく、その泡がよくきれるか、細かい汚れがからめとれるかといったことも大事です。とくに泡切れや水切れが悪いと雑菌が繁殖する原因にも。雑菌が繁殖すると、キレイにしたのか雑菌を広げたのかもわからないので、清潔さが保たれるかといった要素も鑑みて選んでください。
下記の記事では、スポンジを清潔に保つ方法をのせていますので、よかったら参考にしてみてくださいね。
>>「キッチンスポンジを清潔に保つには? 毎日できるお手入れ方法」
毎日使うアイテムだからこそ、安易に決めてしまわず使いやすいものを選びたいですよね。あなたの理想のキッチンスポンジを探すお手伝いになればうれしいです。