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パンを切るときに使う「パン切り包丁」。パン切り包丁の刃はギザギザなので、ほかの包丁とはちょっと違う「特別なポイント」があります。
このギザギザの刃にどんな効果があるのか、パンの切りやすさや断面の違いを、くわしく見ていきましょう。
パン切り包丁にはどんな種類がある?
ブレッドナイフとも呼ばれる「パン切り包丁」。ギザギザの刃のモノをよくみかけると思いますが、実は2つのタイプがあります。まずそれぞれの特徴からご紹介します。
【タイプ1】ギザギザの波刃タイプ
よく見かけるのが、この刃がギザギザになった波刃タイプ。
波刃の突起したところがパンの表面に引っかかることで、包丁がパンにスムーズに入っていく仕組みになっています。
ちなみに、刃の形は2種類あります。
ひとつは凹刃(おうば)で、丸みのある凸刃(とつば)というもの。
切れ味も少し違います。その比較も食パンを使って実験していますので、下記を参考にしてください。
【ブレッドナイフタイプ2】平刃タイプ
波刃ではない刃は平刃といいます。三徳包丁や牛刀包丁など、包丁のほとんどはこちらのタイプとなります。平刃には、もちろんギザギザはありません。
パンの中身(クラム)はやわらかい反面、外側の焼色のついた部分(食パンでいうと耳の部分)はパリッとしていてハリがありますよね。
パンの種類によって柔らかさはまちまちではるものの「パンの表面をうまく突破できるの?」、「パンをつぶしてしまうのでは?」と疑問を感じるのでは。
そこで、こちらの2種類の包丁の切れ味を実験して比較したいと思います。
【比較1】パンくずが出にくいのは?
まずは「フランスパン」を切ってみます。
波刃のパン切り包丁を使ってみると、刃のギザギザが切り始めのきっかけを作ってくれるよう。フランスパンの表面に自然に包丁が入っていきます。
次に平刃の包丁でフランスパンを切ってみると……。パンを押しつぶすこともなく、最初から最後までスムーズに切ることができました。
どちらの包丁も、使い心地にそれほど差は感じられませんでしたが、波刃のパン切り包丁で切った後のまな板にはパンくずが残ってしまいました。
平刃の包丁で切った後のパン粉はこれより少なく、ほとんど気にならない程度でした。
波刃は極端にいうと、切り始めから終わりまでパンの表面に引っかかりながら、そぎ落とすように切っていきます。だから、どうしてもパン粉が出てしまいます。
フランスパンをまるまる1本、食パンをまるごと1斤切るといった場合には、パン粉がほとんど出ない平刃の包丁のほうが、後片付けがラクになるといえます。
【食パンで比較2】カットしやすいのは?
次に「食パン」を切ってみました。
食パン1枚を切るときの包丁の往復回数を数えてみると、
- 波刃のパン切り包丁……7回
- 平刃の包丁……13回
という結果に。
平刃の包丁は刃渡りが短いので、小きざみに包丁を往復させなければならず、13回も包丁を往復させることになりました。
これは、断面の小さなフランスパンを切ったときには気づかなかったこと。
大きな食パンを切るには、刃渡りが長い波刃のパン切り包丁のほうが切りやすいといえます。
【食パンで比較3】断面のデコボコが目立ったのは?
ただ、波刃のパン切り包丁で切った食パンの断面はデコボコになってしまいました。
これは、波刃の特徴ですが、平刃の包丁で切った断面と比べてキレイとはいえませんね。
でも、このデコボコはパンの表面積を広げているのです。だから空気をたくさん含んで、パンがさらにふわふわになりました。
パン切り包丁の波刃は、パンの食感を考えられた形といえますね。
また、波刃のパン切り包丁にある2タイプ、凸刃と凹刃。
この凸刃のパン切り包丁でも、食パンを切ってみると、先ほどの凹刃のパン切り包丁より、抵抗が少なく切りやすい印象でした。
切った食パンを見てみると、デコボコは少しありますが、凹刃のパン切り包丁よりキレイです。
凸刃のパン切り包丁は、食感の良さと断面のきれいさ、両方に配慮された包丁といえますね。
【実験結果】波刃と平刃のパン切り包丁を比較した結果まとめ
実験結果をまとめます。
パン粉がでにくい | 少ない回数で切れる | 切り口 | |
パン切包丁(波刃) | 少し出る | 7回 | デコボコに (食感は◎) |
ステンレス三徳包丁(平刃) | あまりでない | 13回 | デコボコなし (切り口◎) |
波刃のパン切り包丁は、素人には研ぐのが難しいものの、パンを切るだけでは切れ味はちょっとやそっとでは落ちません。切れ味を長続きさせるためにも、パン以外の食材を切ることのないようにしたいですね。
自分に合ったパン切り包丁を選ぼう
パン切り包丁の切れ味が落ちてしまうと、パンをうまく切れないストレスを感じるだけでなく、パンのおいしさも半減してしまいます。
よくパンを切るという人は、今回ご紹介したパン切り包丁の切れ味比較を、自分に合ったパン切り包丁を選ぶときの参考にしてください。