神奈川県在住。文章を書くのが苦手だったことから、克服するためにライティングを勉強。それがいつのまにか本職になってしまう。2016年、鎌倉市に引越したことをきっかけに、学生時代から勉強してきた知識を生かして写真教室の運営を開始。鎌倉を拠点にしながら各地でワークショップ、講演会を行う。趣味は韓国語、刺し子、編み物、ビーチコーミング、お料理等。2018年に出産し、現在は一児のママ。
ロシアの伝統料理ボルシチに入っていることでも知られる「ビーツ」。栄養価が高いだけでなく、丸ごと食べれてレシピの幅も広がるスーパーフードです。
今回はおすすめのレシピと一緒に「食べる血液」「奇跡の野菜」とも言われるビーツのヒミツと魅力に迫ります。
ビーツとはどんな野菜?
ビーツは根菜の一種。見た目は赤カブにも少し似ていますが、アブラナ科であるカブやダイコンとは違って、実はホウレンソウと同じアカザ科の野菜。
正式にはアカザ科フダンソウ属ビートに分類される植物です。同じビートと呼ばれる仲間の野菜には、砂糖の原料として有名なテンサイ(甜菜・砂糖大根)があります。
ビーツは地中海沿岸が原産地。海外ではテーブルビートと(ガーデンビートとも)呼ばれています。
ビーツの和名はカエンサイ(火焔菜)で、江戸時代の文献にも紹介されています。
実は意外と昔からある野菜だったのですね。
ビーツはなぜ赤い?
ビーツの赤い色素の正体は、ポリフェノールの一種「ベタシアニン」。なんと、あの抗酸化成分として有名な「アントシアニン」よりも、さらに抗酸化作用が高いそうです。
ただ、ビーツの赤い色素「ベタシアニン」は、分解する酵素を持っている人と持っていない人がいます。分解する酵素を持っていない人がビートを食べた場合でも、そのまま体から排出されるため、特に食べても害はありません。
ビーツの味って?
ビーツはほんのり甘く柔らかい、初めての方でも食べやすい野菜だと思います。
個人的には「ほのかにトウモロコシの風味がする」と思っています。
ハウジーマガジン編集部員によると「ボルシチを作ったことがあるけど、コンソメの素をいれるとビーツの味ってわからない」ということでした。(これも個人的意見です)
黄色いビーツも。ビーツの種類
ビーツには種類がいくつかあり、真っ赤な色をした定番のビーツ以外に、鮮やかな黄色をした「ゴールデンビーツ」、赤と白の縞になった「サラダビーツ」などがあります。
スーパーや八百屋さんでは、すべてをひとくくりにして「ビーツ」と呼ぶことも少なくありません。
とにかくすごい! ビーツの栄養効果とは?
ビーツの魅力は何と言っても、その栄養価の高さが魅力です。
「食べる血液」、「奇跡の野菜」と呼ばれるそのわけをご紹介します。
ビーツに含まれる栄養素とは?
ビーツには、ミネラル・ビタミン・抗酸化物質などをはじめ、とにかく豊富な栄養成分が含まれています。
<ビーツに含まれている主な成分>
- ミネラル:ビーツに含まれているのは主にカリウム、ナトリウム、カルシウムなど。岩や土に含まれる無機質成分です。私たちの身体の臓器や組織のいろいろな反応を円滑に働かせるために必要な栄養素です。
- ビタミンB群:ナイアシン(皮ふや粘膜の健康維持を助ける働きもする)や、パントテン酸(代謝を助け、エネルギー産生やホルモン、抗体の合成に必要)などが含まれています。
- 植物繊維:便秘や糖尿病、大腸癌、動脈硬化の予防が期待できる栄養素とされています。
- ラフィノース:オリゴ糖の一種。ある研究によると、肌の奥の乾燥を潤すという効果が期待できるそうです。
- ベタイン:アミノ酸の一種で、肝機能を高めたり、動脈硬化、糖尿病予防など、健康維持に役立つとされています。
- ベタシアニン:先ほどもご紹介したポリフェノールの一種。抗酸化作用がとても高い成分です。生活習慣病の予防に効果があるとされています。
ビーツの主な栄養効果とは?
発熱や便秘などの治療にビーツが用いられていたという記録は、なんと古代ローマの文献にも残っています。
日本ではまだ知らない人も多い野菜ですが、近年ではそのすばらしい健康効果から「奇跡の野菜」として世界中が注目しています。
<ビーツに期待できる主な栄養効果>
- むくみ解消
- 高血圧予防、動脈硬化予防
- 腸内環境を整える
- 肝機能を高める
- 肌を健康に保つ
- 血行不良改善、冷え性の改善
ビーツは、身体の中で一酸化窒素を作り出す働きを促進し、血管を拡張します。
それが、血行促進したり、血管を柔らかくしたりするのに繋がります。
このあたりが、ビーツが「食べる輸血」とも呼ばれる理由です。
また、血行が改善すると、持久力UP、疲労回復、基礎代謝UP、運動能力UP、ダイエット効果にも……。
実は、このようなビーツの働きを発見した科学者が、ノーベル生理学・医学賞を受賞しているのだそうです。ビーツの効果は、学術的にもちゃんと認められているんですね!
ビーツの基本的な食べ方と保存方法は?
ビーツはボルシチのように煮込み料理に使うというイメージがあるかもしれませんが、生などいろんな食べ方ができる食材です。まずは基本の食べ方をご紹介します。
サラダなど、生で食べる
ビーツはサラダやスムージーにしてもOK。その際には、皮を厚めにむいて薄切りにするとよいでしょう。
ただし、少し土臭くて歯ごたえもあるので、食べにくく感じる場合も……。
独特の臭みが苦手な方は、加熱して食べたほうがいいかもしれません。
生で食べるなら、皮を厚めにむいてからスライサーなどで薄切りにするか「サラダビーツ」などの食べやすい品種を選びましょう。
ゆでて食べる
ビーツはゆでてから食べるのが一般的。その際、皮をむかずにゆでるようにします。皮をむいてしまうと、色と栄養が流れ出てしまうため注意しましょう。
<ビーツの下ごしらえとゆで方>
1.ビーツは固いので皮付きのまま茹でるようにします。
2.竹串が通ったら、お湯からあげて水に取り、熱を冷まします。
3.粗熱が取れたら、スプーンでビーツの皮を削ります。
ビーツの保存方法は?
ゆでたビーツは、保存袋で密閉すれば冷凍保存も可能です!
数か月は持ちますが、おいしいうちに食べたいなら、1か月くらいを保存の目安にしてください。
簡単でおいしい! ビーツを使ったおすすめレシピ3選
それでは、最後にビーツを使ったおすすめのレシピをご紹介します。
ビーツ特有の「赤」の見た目も鮮やかなレシピで、食卓が華やぎます。
とても簡単!ビーツのヨーグルトサラダ
こちらのレシピは何と、ビーツ農家さん直伝のレシピです。
真っ白なヨーグルトがこの通り……。
あっという間に真っ赤に染まりました。
ツナやコーン、プロセスチーズの角切りなどとあえてもおいしいと思います。
<ビーツのヨーグルトサラダの材料>
- ビーツ……1/2個
- マヨネーズ……小さじ1
- ヨーグルト……大さじ2
<ビーツのヨーグルトサラダの作り方>
1. 茹でたビーツ1/2個を食べやすい大きさに切る。
2. マヨネーズ小さじ1、ヨーグルト大さじ2と一緒に和えるだけで完成!
代謝アップで冷え解消! ビーツの肉じゃが
意外かもしれませんが、ビーツは和食にも合います。
分量は参考程度にして、ご家庭の肉じゃがにプラスすればOKです。
好きな野菜、好きな味付けにしてください。
お肉と食べることで代謝がさらにアップするので、夏の冷房による冷えからも身体を守ってくれます。
<ビーツの肉じゃがの材料>
- じゃがいも 2個
- ビーツ 1個
- にんじん 1本
- 牛肉 200g
- 酒・醤油・砂糖 各大さじ2
<ビーツの肉じゃがの作り方>
1. じゃがいも2個、ビーツ1個、にんじん1本、牛肉200gを食べやすい大きさにカットします。
2. 1の肉、野菜を油で軽く炒めたら、かぶるくらいの水を入れます。
3. 酒、醤油、砂糖を大さじ2入れて、中火で煮てください。
4. 野菜が柔らかくなったら、味を整えてできあがりです。
葉っぱの消費に!ビーツの葉の味噌汁
葉付きのビーツが手に入ったら、新鮮なうちにお味噌汁に入れていただくのもおすすめ。
葉っぱも栄養豊富で、鉄分、ビタミンA、C、K、カルシウム、葉酸がたっぷり。食物繊維も豊富です。
もちろん、ビーツの根もお味噌汁に入れてもいいですよ。
<ビーツの味噌汁の作り方>
1.ビーツの葉をあらみじん切りにします。
2.好きな具でお味噌汁を作ります。
3.お味噌を溶かしたら、ビーツの葉を加え、ひと煮立ちさせてできあがりです。
その日食べきれない場合は刻んでおいて、保存袋に入れて冷凍しておくといいですよ。
奇跡の野菜「ビーツ」を積極的に食べよう
いかがでしたか? 栄養満点、味も美味しい、和食にもぴったりな野菜なビーツ。
血行をよくする働きもあるので、冷えや肩こりにお悩みの方にもおすすめですよ。
ちなみにビーツは、鶏肉のようにあっさりしたお肉よりも、牛肉やラム肉など獣臭いお肉のほうが合います。
塩コショウして一緒に炒めるだけでもおいしいので、ぜひ一度、試してみてくださいね。