家事の効率化、家庭でのSDGsを専門にテレビ・ラジオ・講演・コラム連載などで活動。時短家事、便利グッズ、業務用品の情報にも精通し、大手メーカーの生活用品の企画にも携わる。ブログ・SNSでの生活情報発信は20年以上の実績。 著書「シンプルライフの節約リスト」「素材まるごと&使いきりアイディア術」ほか。
キッチンの使い方は、万人に共通する「正解」というものがありません。
家によってキッチンの造りが違う、持っている調理器具が違う、家族の人数が違う、料理のメニューが違う等々、キッチンには様々な条件があります。
そういった条件から、その人にとっての使いやすいキッチンが決まってくるからです。
しかし、正解がないと言っても、キッチンの使い方にはいくつか基本となるルールがあります。
その基本を踏まえた上で、使うアイテムを選び、収納を決めていくことで、その人にとって一番使いやすいキッチンを作り上げていくことができます。
今回は、自分が使いやすいキッチンにするためのアイテムの選び方と収納のルールについて、前半では「基本となる考え方」、後半では「実用例」をご紹介します。
使いやすいキッチンにするための2つのポイント
まずは、自分にとって使いやすいキッチンを作るための基本となる考え方をご紹介していきます。
ポイントとなる、やっていただきたい作業は2つあります。
【1】アイテムの使用頻度を意識しグループ分けする
まずは、キッチンにある全てのものを出し、使用頻度別にグループ分けをしていきます。
キッチンアイテムのグループ分け
- 1軍 … 毎回の調理に使うもの
- 2軍 … 1日1回は使うもの
- 3軍 … たまに使うもの
- 4軍 … 年に1回使うか使わないか程度のもの
さらに、1軍と2軍の中で、「作業前から使うことが分かっているもの」と、「作業中に突然使いたくなるもの」に、それぞれ分けていきます。
例えば、鍋であれば調理に入る前から使うことが分かっているもの、キッチンペーパーは作業中に突然使いたくなるもの、というイメージです。
【2】アクション数を考慮して収納場所を選ぶ
グループ分けをしたら、次は収納場所を決めていきます。
このときに意識したいのは、手に取るまでのアクション数です。
調理台に出してあるものや壁に掛けてあるもので、手に届く範囲にあれば1アクション。
扉を開けてすぐに取り出せるなら2アクション、扉を開けてさらに何かの奥から取り出すのであれば3アクション…というように増えていきます。
収納場所をランク付けすると、
キッチンアイテムのグループ分け
- 1位 … 姿勢を変えずにものを取れるかつ、一歩も動く必要がない場所
- 2位 … 場所は左右に動くけれど、姿勢を変えずにものを取り出せる場所
- 3位 … かがんだらものを取り出せる場所
- 4位 … 高い位置で、ものを取り出すために踏み台が必要になるような場所
このように、アイテムを使用頻度に応じてグループ分けし、頻繁に使うものをできる限りアクション数が少なくて済む場所に収納していきます。
こうすることで、おのずと「使いやすい」と感じるキッチンになっていくのです。
続いて、実例のご紹介です。
【収納実例1】キッチンの引き出し・戸棚の使い方
まずはキッチンの引き出しや戸棚の収納方法です。
引き出しや扉を開けるだけでものが取り出せるので、比較的よく使うものをしまっておくのに向いている収納場所と言えます。
引き出しタイプは高さがあるので「縦収納」
シンク下などの空間が引き出しタイプの場合は、深さ(高さ)があるので、重ねて収納してしまうと下のものが取り出しづらかったり、見えなくなってしまいます。
そのため、「引き出しは縦収納」が基本です。
大きめのフライパンや高さがある鍋でも、こういったフライパン(鍋)スタンドを使うと立てて収納することができ、サッと取り出せます。
また、こちらの伸縮鍋蓋&フライパンスタンドには他の使い方も。
引き出しの収納に対して横に置いて使うだけでなく、筆者は縦方向に置いて、倒れてきてしまう大きな洗い桶を立てて収納するのに利用しています。
引き出しタイプの収納なら、お皿も立てて収納することで、どのお皿も取り出しやすくなります。
シンク下やコンロ下、引き出しの使い分けも重要
シンク下やコンロ下など「どこの引き出しに入れていくか」も重要です。
例えば、コンロ前での行動を考えてみます。
コンロで使っている鍋やフライパンは、そこに立つ時点で必要になると分かっているので、最初に取り出すことができます。
そのため鍋やフライパンは、コンロの下に収納します。
一方、調理中に使うようになるツールや調味料は、どのタイミングで必要になるかわからないので、立ち位置を変えないでも済むコンロの隣の引き出しに収納してます。
コンロの前に立っていることが多いため、調理中に取り出す際に隣の引き出しのほうが場所を移動せずに取り出すことができるからです。
扉タイプは奥行きがあるので「引き出す収納」
観音開きタイプなど、扉が付いている場合は奥行きがあるので、奥のものが取り出しづらくなってしまいます。
そのため、「奥から引き出せる収納」を考えます。
市販で、シンク下のサイズに合わせて幅を調節して使える引き出し収納もありますし、収納ケースを利用して引き出しのように使うのも便利です。
【収納実例2】吊戸棚など高い位置の収納の使い方
吊戸棚など、高い位置で踏み台を利用しなければならない場所の収納は、前述でご紹介した基本ルールの通り、年に1回使うか使わないか程度のものを入れます。
高くて奥行きがある場合は特に、奥のものが見えづらく、また取り出しづらくなってしまいます。
そのため、箱にまとめて入れておき、必要なときは箱ごと下に下ろすほうが便利です。
ただし、年に1回使うか使わないか程度だと、何を入れているか分からなくなってしまうので、入れてあるものを箱に明記しておくと便利です。
筆者は、中に入れてあるものをスマートフォンで撮影し、コンビニにあるシールプリントで印刷したものを貼り付けています。
個別に写真を撮っておき、廃棄した場合はそのシールを剥がすだけ。
シールでなくても家で印刷したものをテープで貼ってもよいですし、もちろん文字だけでも十分です。
【収納実例3】同じ種類のものも数によっては分けて収納
同じ種類のものは、一箇所にまとめて収納したい気もしますが、数が多い場合は使用頻度で収納場所を分けると使いやすくなります。
例えば、箸やスプーンなどのカトラリーは、普段家族が使う分と来客用を一箇所に入れておくと、普段用を取り出すのに邪魔になってしまうこともあります。
筆者の場合は、普段使うカトラリーは一番取り出しやすい場所に入れ、お客様用のものは蓋付きのカトラリーケースに入れて高い収納場所に入れてあります。
使いやすいキッチンに近づけるアイテム選びのポイント
使うアイテムを変えることで、手に取るまでのアクション数を減らすこともできます。
アクション数が減れば、それだけキッチンでの作業が楽になり、「使いやすい理想のキッチン」に近づきます。
例えば、頻繁に使う食器洗い洗剤。
食器を洗っている途中、洗剤を追加したくなる度に洗剤ボトルを手に取りスポンジにつけるのは面倒ですよね。
そのため、手に持ったスポンジで上から押すだけで洗剤が出てくるタイプのボトルに変えることで、アクション数を減らすことができます。
また、頻繁かつ突然使いたくなるキッチンペーパーもアクション数を減らしたいものです。
筆者は以前ロールタイプのキッチンペーパーを使っていましたが、ロールタイプのものだとどうしても手で押さえてカットするという必要があり、両手が必要になっていました。
それを、カットされているキッチンペーパーに変え、収納場所も吊戸棚の下に吊るしておくように変更。
手前に出ているペーパーを片手で取るだけなので、調理中でもスピーディーに、ストレスなく取り出せるようになりました。
自分にとっての「不便」を常に意識!
キッチンで作業をしているときに、少しでも「不便」と感じることがあれば、それを書き留めておくようにしましょう。
不便と感じてもやり過ごしていると忘れてしまい、不便な状態が続いてしまいます。
書き留めることでちょっとした不便さを意識するようになり、解決策となる、自分にとっての最適アイテムが見えてきます。
例えば、筆者は、洗ってから出す資源ゴミの水切りをする場所が決まらず不便さを感じていました。
缶やペットボトル、レトルトパウチや食品トレー、牛乳パックなど、様々な形のものを洗ってから出さなければなりません。
そこで本来は生ゴミを捨てる三角コーナーを資源ゴミに出すものの水切り場所として用意。
水切りが最小限の場所で済み、ペットボトルやレトルトパウチが倒れてくることもなく水切りができるようになりました。
食器洗い乾燥機がNGな食器などを洗うとき、「水切りかごを用意すると場所を取るし水受けの掃除をしなければならないのが手間がかかる」。
そんな不便さを解決してくれたのはロールタイプの水切り。
「ペットの食器を洗う用のスポンジは、人間用のスポンジとは別の場所に収納しておきたい」という不便さも、水栓に引っ掛けられるスポンジラックが解決してくれました。
まとめ
収納場所と使う道具を意識して選ぶことで、自分が一番使いやすいキッチンを作り上げていくことができます。
1日の中でも過ごす時間が長いキッチン。
是非、自分にとって一番使いやすいキッチンに仕上げてくださいね。