甘い焼き芋にするには“〇〇させたさつまいも”を使おう

甘い焼き芋を作りたいなら、収穫から2ヶ月以上寝かせたさつまいもを使いましょう。

さつまいもは収穫したてはホクホク感が強く、甘みは少なめ。
それを適度な温度と湿度で寝かせることにより、甘みが引き出されます。

品種により収穫時期がやや早いものと遅いものがありますが、12月から2月の間にスーパーに並ぶのは熟成済みのものなので安心です。

さつまいもの切り口や傷から蜜が流れた跡があると、甘い証拠。
また、端を少しカットしてみて色が黄色いほど甘いさつまいもです。

さつまいもを自宅で保存するときは、10度以下にならないように注意する必要があります。
さつまいもは低温に弱く、10度以下では徐々に果肉が黒ずみパサパサになります。
このさつまいもの低温障害は、全体に広がると苦くて食べられなくなってしまいます。

さつまいもは1つずつ新聞紙で包んで冷気を防ぎ、15度前後の場所に保管しましょう。
冷蔵庫の野菜室に入れる場合は、設定温度が低すぎないか確認してください。

反対に、保存場所の温度が高いと芽が出てくることがあります。
自宅で保存するときのコツは別記事をご覧ください。

食感の好みで選ぼう！焼き芋向きなさつまいもの品種

焼き芋の味は、ほぼ品種で決まると言っても過言ではありません。
しっとり蜜のような甘さが好きなのに、ホクホク系の品種にそれを求めるのは無理というもの。

スーパーで購入する際は、さつまいもの品種名に注目して選びましょう。
近年人気の代表的な品種を挙げてみます。

ホクホク系の焼き芋が好きな人におすすめの品種

• 紅（べに）あずま…鮮やかな紅色の皮、濃い黄色の果肉、繊維が少なく甘い、最も多く流通している（店頭で品種名が書いていないときはこの系統のさつまいもが多い）
• 鳴門金時（なるときんとき）…黄金色の果肉、栗のような食感、上品な甘さ
• 高系（こうけい）14号…多くの品種の親となっている元祖ホクホク芋

しっとり系の焼き芋が好きな人におすすめの品種

• 紅はるか…濃い甘みとすっきりした後味、繊維質は多いがなめらかな食感、ホクホク感も残る
• 安納芋（あんのういも）…水分量が多く濃い甘みとねっとりした食感
• シルクスイート…水分量が多く絹のようになめらかな食感、すっきりした甘さ

さつまいものサイズで焼き芋の味わいが変わる？

さつまいもにはいろいろなサイズがあります。
家庭では小ぶりなものが調理しやすいですが、基本的には太ったもののほうが繊維質の割合が少なくでんぷん質の割合が多いため、調理後には甘さの比率が高くなり美味しく感じやすいのです。

焼き芋にするなら、ふっくらと均一された太さのものが、加熱ムラが出にくいのでおすすめ。
変形しているものはカットして大きさや厚みを揃えるか、他の料理に使うと良いでしょう。

Lサイズ以上になると、大きすぎて調理器具に入らないことがあります。
カットする場合は、一番太い部分で斜めに切ると太さが均一にでき、見た目も綺麗です。
ただし、カットすると糖分が垂れて焦げやすくなるので、クッキングシートを敷くなどの対策が必要になることも。

コロンと手のひらサイズや、細くて小さいタイプも食べやすくて人気です。
ただし、さつまいもは小さいものから傷みやすくなるため、早めに調理しましょう。

また、細いものほど手で割ると繊維の多さが気になることがあります。
焼き芋にしてから包丁で輪切りにすると繊維が断ち切れるのでいいですよ。

焼き芋をもっと美味しく！甘さを増やす加熱の方法

おいしいさつまいもを選んだら、さらに加熱の方法で甘さを増やすことができます。

さつまいもにはアミラーゼという酵素が含まれていて、デンプン成分を甘いオリゴ糖や麦芽糖に変化させる作用があります。
この作用をもっとも活性化させるのは、70度前後と言われています（80度を超える熱い温度ではアミラーゼが壊れてしまいます）。

そのため、低めの温度で時間をかけて焼き、長く保温することができれば最も甘く仕上げることができます。
焼き芋屋さんの「石焼き芋」は、この原理を最大限活用しているので美味しいのですね。

上記の原理を踏まえて、おうち焼き芋を更に美味しくするには？
芯まで火が通ったあとも余熱で保温し、完全に冷めるまで待ちます。

わたしは生産者さんに聞いた方法で、冷蔵庫で一晩冷やすという方法を実践しています。
こうすると糖分が全体に馴染むためなのか、甘さが増す実感があるんです。食べる直前に電子レンジで軽く温めると、ほっくり感が戻ります。

バリエーション豊富！お家で焼き芋を作る方法

おうちで焼き芋を作る方法はたくさんありますが、作り方によって焼き芋の仕上がりはそれぞれ違います。

手軽さ重視＋あっさり好きなら「電子レンジ」

電子レンジを使う場合はつきっきりでなくても良いため、手軽さを重視する方におすすめ。
また、水分量の多い焼き芋よりも栗のようにホクホクしている方が好き、あっさりした甘さが好きという方にも合います。

電子レンジでさつまいもを加熱する方法はとても手軽ですが、水分が失われやすいため、ぱさついてしまうリスクがあります。
低いワット数でゆっくり加熱すると成功率が高いので試してみてください。

また、このような電子レンジ用の焼き芋鍋で加熱する方法もあります。
どちらの方法も約30分でできあがり、焼き芋の調理法の中では最も早く仕上がります。

じっくり焼くなら「トースター・オーブン・鍋やフライパン」

焚（た）き火の灰の中や、ストーブの上でじっくり焼いたような味わいが出せるのが、鍋で焼く方法です。
厚手の鍋や小石を使うなどして、熱の伝わり方を均一化するのがコツ。トースターで焼く方法もあります。

いずれも1時間程度じっくり焼くことで旨味が凝縮します。
トースターの場合は、黒いアルミホイルに包むと時間短縮ができます。

• 鍋（土鍋、鋳物鍋）…フタをして弱火でじっくり
• トースター…小型のさつまいもならこれ
• オーブン…大きいさつまいもも丸ごと焼ける
• フライパンで石焼…小石を敷いて遠赤外線効果

ふかし芋でしっとり甘くしたいなら「炊飯器・圧力鍋・蒸し器」

蒸してさつまいもを加熱すると、蒸気により優しく徐々に火が通るので甘く仕上がります。

ふかし芋にすると皮まで食べやすいのが特徴。
更に裏技、この「ふかし芋」を仕上げにフライパンなどで焼くと、濃厚な甘さと香ばしさが加わり石焼き芋に近い味わいになります。

• 炊飯器…放ったらかしOK
• 圧力鍋…時短できる
• 蒸し器…最も甘い？！

焼き芋の皮は食べる？残す？

焼き芋の皮を食べる人、必ず剥（む）く人、と好みが分かれるところですね。

栄養的に見てみると、皮の部分にポリフェノールのクロロゲン酸（抗酸化作用）、アントシアニン（視力サポート）などが多いため、食べないのはもったいない！

また、食物繊維も多いので、「さつまいもダイエット」を行う人はまるごと食べるほうがおすすめです。
焦げていたり、皮が乾いていたりすると食べにくいですが、しっとりしていてきれいな皮の部分は無理に剥（は）がさず、一緒に食べるようにしてくださいね。

お家で作った焼き芋の保存方法

焼き芋は3日間程度冷蔵保存が可能です。

また、焼き芋は冷凍保存も可能です。
解凍しやすいように食べやすい大きさに切ってからラップで包んで冷凍します。

解凍するときは自然解凍がベスト。
半解凍状態の冷やし焼き芋をアイスクリームのように食べるのも美味しいですよ。

お家焼き芋に失敗したときのアレンジレシピ

お家で焼き芋やふかし芋を作ったけれど甘さが足りなかった、ぱさついてしまったときは他の料理にアレンジしましょう。
既に火が通っていますので、短時間で作れるのがメリットです。

我が家のいとこ煮

さつまいもを一口大にカット、ゆでかぼちゃ、甘いゆであずき缶と一緒にかるく温めるだけです。
ぜんざい風に食べられます。

全国各地で小豆と根菜を使う「いとこ煮」と呼ばれる料理はいくつもあり、名前の由来もいろいろ。
我が家では「かぼちゃやさつまいもなどは食感が似ている親戚（いとこ）みたいだから」という解釈が気に入って、このぜんざい風をよく作ります。

さつまいもサラダ

ヨーグルト2対マヨネーズ1で合わせたソースと、カットしたさつまいもを和えます。
ハムやミックスビーンズを混ぜてボリュームアップしてみました。
ポテトサラダの要領でアレンジは無限です。ほんのりした甘みが絶妙な美味しさを引き出します。

他には、定番のスイートポテトや大学芋、甘酸っぱいレモン煮などにしてもよいです。
シチューや肉料理に使うのもおすすめですよ。

まとめ

お家で焼き芋を作る方法やコツ、焼き芋に向いているさつまいもの選び方などを紹介しました。

さつまいもは栄養価が高く美容にも良いので、まとめて焼き芋を作ったら冷凍保存してみては？好きなときに食べられますよ。

詳しいレシピや調理法の比較は他の記事も参考にしてください。