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三徳包丁は別名「万能包丁」と言われるほど、使い勝手のよい包丁。中でも小さめサイズの「小三徳包丁」は取り回しやすく初心者にもおすすめです。
今回は、そんな小三徳包丁のおすすめをご紹介します。
プロに聞いた!料理初心者に「小三徳包丁」をすすめるワケ
菜切包丁と牛刀のいいとこどりをした「三徳包丁(さんとくぼうちょう)」。野菜でも肉でも魚でも、どんな食材にも対応した万能包丁です。一般家庭で最も使われており、料理初心者にも扱いやすいのがその特徴です。
でもハウジーマガジンに寄稿いただいてる調理師、racssさんによると料理初心者には「小三徳包丁」がおすすめとのこと。
racss(調理師・食育インストラクター2級)
北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログで、その様子を公開中。
「小三徳包丁(しょうさんとくぼうちょう)」とは、刃渡り14cm前後の包丁をいいます。三徳包丁の標準サイズは約17cm。その名の通り、それより少し小さめの包丁ということです。メーカーによっては「ミドル三徳包丁」と表記されていることも。
では、なぜその「小三徳包丁」の方が、料理初心者は使いやすいのでしょうか?そのワケをうかがいました。
【小三徳包丁をおすすめするワケ1】取り回しがしやすい
一般的な三徳包丁より小さい分、軽い「小三徳包丁」。「そのため、取り回しがしやすく、包丁に慣れてない人でもしっかりコントロールすることが可能です」とracssさん。初めて包丁をもって「切る」作業をするのにぴったりといえそうです。さらに「扱いやすいので、手の小さい女性やお子さんには特におすすめです」とのこと。
【小三徳包丁をおすすめするワケ2】よく使う食材を切りやすい
「普段の料理で頻繁に使うニンジンやジャガイモといった食材を皮をむいたり、切ったりするのには、小三徳包丁で十分」とracssさん。しかも「小型の魚を捌(さば)くのには長い包丁よりずっと使いやすいんです」とのこと。調理師であるプロでも、小三徳を持っているとついついそちらばかり使ってしまうという人も多いのだとか。
一方、小三徳包丁は刃渡りがない分、カボチャやキャベツ、塊肉など大きい食材は切りにくいのだそう。でも料理初心者が、これらをざっくり切るという作業が発生することはまれ。確かに、料理初心者や頻繁に料理しない人は、キャベツやカボチャも切ったものを買ってくることも多いはず。
【小三徳包丁をおすすめするワケ3】小さいキッチンでも使いやすい
料理初心者や料理を頻繁にしない人が大きなキッチンを構えているということも少ないはず。で、あれば小さな調理台に置ける小さなまな板でも取り回しのきくサイズの包丁の方が使いやすいということです。
「料理の幅が広がって小三徳包丁では物足りなくなったら、大きい三徳包丁や牛刀を買い足すとよいでしょう」とracssさん。料理を始めようとしたときに「道具を買いそろえるところから始める」といういるかもしれませんが、使いにくくて料理をやめてしまうより、使いやすい道具を買った方がベターです。
【小三徳包丁をおすすめするワケ4】収納しやすい
「小三徳包丁は、長さも短いため収納しやすいというメリットがあります。そのためあまり料理はしないので、普段はしまっておきたいという人におすすめです」。確かに、普段あんまり料理をしない初心者なら、水切りカゴに出しっぱなしにするより、普段は引き出しにしまえる方がいいですよね。
なぜペティナイフではなく、小三徳包丁がいい? その違いとは
同じ小型包丁なら、一般的に果物ナイフと呼ばれる「ペティナイフ」をまず思い浮かべる人もいるのではないでしょうか? 「小三徳包丁を聞いたことがない」という料理初心者も「ペティナイフ」なら知っているという人もいるのでは?
ペティナイフは、三徳包丁よりスラっと長い洋包丁の形をしているのが特徴です。長細いため持ちやすく、片手で食材を持って皮をむいたり削ったりするのには向いています。その一方、刃の高さがないので、まな板を使って上から食材を刻む作業はしにくいのが難点。
持ったまま食材を切りやすく、まな板の上にのせて刻むのも得意なのが「小三徳包丁」です。しかも、刃の後ろ側の角部分「あご」を使えば、ジャガイモの芽をくりぬく作業も得意。ペティナイフのように刃の先が尖っていないというのも、初心者にはうれしいですよね。
つまり初心者には扱いやすい包丁ということです。
失敗しないための小三徳包丁の選び方
日常的に使う包丁は、扱いやすいものを選びたいですよね。初めての1本という初心者なら、どのような点に気を付けて買えばいいのか分からないという人もいるのでは。包丁を選ぶ際のチェックポイントをご紹介しつつ、最後に包丁に詳しいバイヤーに、総合的にみてどういう包丁がよいかも聞きました。
【ポイント1】切れ味が長持ちするか「素材」
包丁を使い慣れてない人は「切れ味いい包丁は怖い」と感じるかもしれません。でも「よく切れない包丁の方が、かえって危険です」とracssさん。「切れない包丁だと、必要のない力を入れなくてはならなくなり滑って怪我をする事故も起きやすい」とのこと。料理初心者こそ、よく切れる包丁を選ぶようにしましょう。
また切れ味をキープできる素材かどうかもチェックポイントです。料理初心者なら、頻繁に包丁を研がなくても切れ味が持続する素材を選ぶとよいでしょう。
- 鋼(はがね)……切れ味のよさが魅力。赤サビが出やすいのでこまめに水分を拭き取ったり、切れ味をキープするため定期的に研いだりする必要がある。
- セラミック……刃が薄く軽い素材。切れ味がよい反面、衝撃に弱いので硬い食材を切るときは注意が必要。
- チタン……ステンレスに比べると切れ味は劣るが、サビに強く軽量で扱いやすいのが特徴。硬いものを切ると刃こぼれしやすい素材。
- ステンレス……サビに強い素材。お手入れしやすく頻繁に研がなくても切れ味が持続するのがメリット。最近の包丁では主流の素材。
最近、包丁によく使われている素材は、ステンレスです。ひと口に「ステンレス」と言っても、約200以上の種類があり、それぞれに特徴が異なります。ちなみによく目にする「18-8ステンレス」は、刃物には使用されず、カトラリーや調理小物に使われる素材です。
包丁に主に使用されるのは、鉄にクロム、炭素を加えた「ステンレス刃物鋼」と呼ばれる素材で、さまざまな特徴を持つものが開発されています。中でも人気があるのが「モリブデンバナジウム鋼」や「ダマスカス鋼」です。
「モリブデンバナジウム鋼」は通常のステンレスより丈夫で切れ味が落ちにくいのが特徴。プロの料理人にも重宝される素材で、切れ味にこだわって包丁を選びたいという人におすすめです。
「ダマスカス鋼」は、芯材に鋼材を何層にも重ねてつくられた金属。刃の表面に浮き出た美しい波紋が魅力です。切れ味のよさとかっこいい見た目から、料理人や料理好きの男性から絶大な人気を集めています。
【ポイント2】「持ち手」の素材とデザイン
包丁の柄は直接握る部分なので、包丁の使い勝手に大きく関わります。タイプによって特徴が違うので、持ちやすさやお手入れのしやすさをチェックしておきましょう。
和タイプ
昔から使われている柄が木製のタイプ。手になじみやすい反面、柄の固定がゆるんだり木が腐ったりすることがあるので、定期的なメンテナンスが必要。
洋タイプ
柄の部分が黒い合板で作られたものが一般的。握りやすいのがメリット。刃と柄のつなぎ目に汚れがたまりやすい。
ステンレスタイプ
刃の部分とハンドルが一体型になったタイプ。柄がはずれる心配がなく、つなぎ目がないので洗いやすいのが特徴。
上記を踏まえた上で、調理師racssさんが料理初心者におすすめするのは「ステンレス製の包丁」とのことです。
日本の三大刃物産地「岐阜県関市」「大阪府堺市」「新潟県三条市」のメーカー見学をしてきたバイヤーによると、総合的にみるとオールスステンレスの包丁が使いやすいとのこと。頻繁に研がなくても切れ味をキープしやすく、サビにくいのがその理由です。気軽に料理を始めたい人に、まさにぴったりといえる包丁です。また刃と柄に継ぎ目がないタイプなら、汚れがたまらず洗いやすいのも◎。
初心者だけでなく、キッチンがせまい一人暮らしの人にもおすすめしたい包丁です。
初心者にぴったり!小三徳包丁のおすすめ9選
これまで紹介したポイントを押さえたステンレスの小三徳包丁をピックアップしました。日本製の名品からお手頃なものまで、料理初心者におすすめのアイテムを揃えました。
食洗機OKでお手入れがラクな小三徳包丁
「シェルビー」卓上包丁(135mm)
継ぎ目のない一体型の設計で、洗いやすい小三徳包丁。オールステンレスで食洗機が使えるのもうれしいポイントです。素材にはモリブデンバナジウム鋼を使用。切れ味も折り紙付きの一本です。
モリブデン鋼素材で耐久性抜群の小三徳包丁
「PISCES」小三徳包丁(135mm)
衛生的かつ防水性・耐久性に優れたオールステンレス製の小三徳包丁です。握りやすいシンプルな柄の部分と、清潔感のあるシルバーのデザインや切れ味のよさが魅力。手ごろなお値段で、気軽に料理をはじめたい人にぴったり。
とりわけ小さく気軽に使える小三徳包丁
「濃州正宗作」モリブデンステンレス鋼( 135mm)
小三徳の中でも特に小さいサイズの包丁。柄の先端に返りがついているので握りやすく、ツバがあるため柄と包丁の継ぎ目に汚れがたまりません。モリブデンを使ったステンレス刃、柄は木のように見える樹脂製でカビが生える心配がないのもうれしい点。日本製のこだわりの逸品。
人工大理石ハンドルの小三徳包丁
貝印「SELECT100」キッチンナイフ 145mm
実用性と使いやすさを追求した基本の調理道具シリーズ「SELECT100」の小三徳包丁。曲線を取り入れた丸みのあるラインが特徴。持ちやすさにこだわったハンドル形状と太さがポイントです。人工大理石のハンドルで食洗機が使えてお手入れ簡単。
柳宗理によるオールステンレスの逸品
柳宗理 キッチンナイフ(140mm)
プロダクトデザイナー柳宗理の手によるオールステンレスの包丁。持ち手に凹凸がないデザインながら、洗いやすさだけでなく、握りやすさも実現した逸品。日本製で愛着を持って長く使いたい人におすすめ。
かわいいのによく切れる小三徳包丁
「メルペール」小三徳包丁 140mm
刃部分はもちろん柄の部分にまで猫がデザインされた、かわいさ満点の小三徳包丁。刃の部分にはモリブデンバナジウム鋼を使用し吸い付くような切れ味。かわいさと切れ味のギャップがたまらない一本です。
白木のハンドルが美しい小三徳包丁
貝印「関孫六」しらあい 145mm
刃幅がスリムで小回りの利く小三徳包丁。美しく手になじむ白木のハンドルが特徴。柄尻まで全体に金属が通った本通し仕様なので、コントロールしやすく長時間使っても疲れにくくなっています。
「関孫六」の高級感あふれる小三徳包丁
貝印「関孫六」いまよう 145mm
日本の包丁の代名詞として用いられるほど有名な「孫六」。槌目(つちめ)模様が美しく高級感のある逸品です。柄は頑丈に加工された木製で、金属の持ち手では手になじまないと感じる人にもおすすめです。
切れ味をとことん追求した小三徳包丁
貝印「コンポジット」小三徳包丁 145mm
切れ味をとことん追求した小三徳包丁。ハンドルは木製でやさしい握り心地。箱入りでお祝いや記念日の贈り物としてもおすすめです。
最初の1本は「小三徳包丁」を
小三徳包丁は、一人暮らしの人にもぴったりなアイテムです。今回はバイヤーISEKIと相談しつつ、切れ味とコスパをみて編集部でセレクトしました。
三徳包丁、ペティナイフ、牛刀……いろんな包丁があって迷うという人は、とりあえず取り回しのきく「小三徳包丁」を選んでみてはいかがでしょうか。
まずは「小三徳包丁」に慣れてから、2本目の包丁を買うのがいいのかもしれません。