家事のコツや収納術、インテリアやおでかけにまつわる話などを通して「わたしらしい暮らし方」をご提案します。
キンキンに冷えたビールって、たまらなく美味しいですよね!
でもビールって、すぐぬるくなりませんか?
「最初のキンキンに冷えた美味しさを、最後までキープしたい!」
……というわけで、ビールの美味しさ・冷たさをキープできる各種タンブラーの保冷力を比較する実験を行ってみました。
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
ビールの美味しさUP!ステンレス製タンブラーの魅力
缶ビールをグラス等に注がずにそのまま飲むという方も多そうですが、実はビールグラスを使ったほうが、より美味しく飲めるんです!
しかも、ビールグラスの形状や素材によって、ビールの泡のクリーミーさ、泡が長持ちするかどうか、のど越し、風味なども色々と変わってきます。
なかでも特に「冷たいビールを味わえるグッズ」として人気なのが、ステンレス製のタンブラー。
タンブラーというとガラス製や陶器製のものをイメージしがちですが、銅や錫など、金属製のタンブラーは「ビールを注ぐと味がまろやかになる!」と、ビール好きの方に好評なんです。
冷たさや美味しさをキープできる秘密、ちょっと気になりませんか?
ここからは、数種類のタンブラーを比較し、美味しさと冷たさをキープできる理由を調査していきます!
見た目では違いがわかりにくい?ステンレスタンブラーを比較
金属製のタンブラーの中でも、断熱二重構造のステンレス製タンブラーは、その優れた保温&保冷力の高さでとても人気です♪
ホット&コールドどちらもOKなので、ビール以外の飲み物にも便利に使えそうですよね。
断熱二重構造のタンブラーは、色々なブランドやデザインで販売されています。
こちらは、その中の3種類。
- 1.真空断熱タンブラー(サーモス株式会社)
- 2.ステンレスタンブラー(和平フレイズ株式会社)
- 3.真空ジョッキ(パール金属株式会社)
※(カッコ)の中はメーカー名、以下省略。
どれも見た目はよく似ていますが、③の真空ジョッキは取っ手がついているので、「タンブラー」ではなく「ジョッキ」の仲間ということになります。
断熱二重構造の保冷力の秘密は「二重の壁」
ステンレスには、熱伝導率がアルミや鉄など他の金属に比べて低いため、熱が伝わりにくいため保冷・保温性に優れているという性質があります。
さらにその保冷力を高める鍵となっているのが、断熱二重構造です。
「断熱二重構造ってどんなもの?」と気になった方のために、少し詳しくみていきましょう。
外見からはわかりづらいんですが、タンブラーの内側を覗いてみると、側面に厚みがあり、やや膨らんでいるのがわかるでしょうか?
これ、実はタンブラーの内側と外側にそれぞれステンレスの「壁」があって、二重になっているからなんです。
商品パッケージに、内側の構造がわかるイラストが載っていました。
空洞の部分-ステンレスとステンレスの間に空気層ができ、断熱効果が得られます。つまりタンブラーを手に持ったときに、手の熱でビールが温まってしまうという現象が起きにくいということですね。
冷たい飲み物の場合、表面に水滴が出にくいというメリットもあります。
断熱二重構造のさらに上をいく「真空断熱構造」とは?
保温&保冷力の高い断熱二重構造ですが、そのさらに上をいく「真空断熱構造」というものもあるんです。
今回用意した3種類のステンレス製タンブラーとジョッキのなかでは、1の真空断熱タンブラーと3の真空ジョッキが、「真空断熱構造」の特徴を持っています。
並べてみても、外見からはどこが違うのかわかりませんね。
実は、ステンレス製の壁面が二重になっている構造はどちらも同じ。
違うのは、壁と壁に挟まれた空洞の部分が真空になっているか、空気が入っているか、ということ。
下は、1の真空断熱タンブラーの構造をあらわしたイラストです。
このイラストのように、「真空断熱構造」の場合は、二重の壁の内側が真空になっているんです。
真空というのは、「空気がとても少ない状態」を表します。
この、「空気がとても少ない状態」というのがミソなのです。
空気が少なければ、熱を伝えるものが少なくなるので、真空の部分は強力な断熱材になります。
熱がほとんど伝わらずに遮断されるので、たとえば、もしもタンブラーの中に熱い飲み物が入っていても、外側は熱くなりません。
逆に冷たいものを入れた場合も、外側に水滴がつくということがないんです。
同じ断熱二重構造でも、内側が真空になった「真空断熱構造」の方が、保温力と保冷力が高いというわけです。
「真空断熱構造」かどうかの調べ方
ステンレスタンブラーが「真空断熱構造」かどうかは、パッケージをチェックしましょう。
基本的に「断熱構造」とパッケージに書いてあっても、「真空」という言葉がない場合は、壁と壁の隙間に空気が詰まっている「中空断熱構造」の商品です。
「真空断熱構造」よりも保温力が劣るかも?
缶ホルダーや缶クーラーの保冷力の秘密も真空断熱構造?
家でビールを飲む「おうちビール」で多数派なのが、「グラスを使わないで、缶や瓶のまま直接飲む!」という意見。
缶のままでも十分冷えている気がするし、「グラスを使わない=洗い物が増えない」というのは嬉しいメリットですよね。
また、「缶のままビールを飲む派の人」にオススメなのが、缶ホルダー。
缶をすっぽり包んで、冷蔵庫の中にあった時のままの冷たさをキープしてくれます。
「缶クーラー」と呼ばれることもありますね。
こちらの缶ホルダーは、内側が「真空断熱構造」。
はじめに紹介したステンレスタンブラーと同じです!
ステンレスタンブラーVS冷凍庫で冷やしたグラス!満足度はどう変わる?
「冷たいビールを味わえる!」と人気のステンレスタンブラー。
パッケージにも、「キーンと冷えた美味しいビールが飲めます」と書いてあります。
先ほどご紹介したように、真空断熱構造が冷たさがキープできる秘密だとは分かりましたが……
「それって、本当?」
「どのくらいキープできるの?」
……というわけで、実際に試してみました!
手順1.用意したグラスやタンブラー、ジョッキに、水を350mlずつ注ぎます。
実験に使う水は、ペットボトルに入れて冷蔵庫でひと晩冷やしました。
直前に温度を計ったところ、水温は8.3度。
キンキン!という温度ではないですが、充分冷えてます。
手順2.水を入れた直後から3時間後までの温度を計ります。
1時間後までは15分おきに、それ以降は1時間おきに計っています。
保冷の比較実験に使うのは、こちらの7種類のアイテム。
- 1.真空断熱タンブラー(サーモス株式会社)
- 2.ステンレスタンブラー(和平フレイズ株式会社)
- 3.真空ジョッキ(パール金属株式会社)
- 4.アルミ缶
- 5.保冷缶ホルダー(サーモス株式会社)+アルミ缶
- 6.DURALEX タンブラー(株式会社ケーアイ)※冷凍庫で冷やす
- 7.DURALEX タンブラー(株式会社ケーアイ)
※(カッコ)の中はメーカー名、以下省略。
1~3のタンブラーとジョッキは、どれもステンレス製の断熱二重構造。
保冷力が高いといわれているタイプです。
4と5で使うアルミ缶には、中に水を入れて、実験の直前まで冷蔵庫で冷やしました。まさに、「プシュッ」と缶を開けた直後の状態で実験します。
アルミ缶のうちひとつには5の保冷缶ホルダーをセットします。
もうひとつは、アルミ缶のみ。缶のまま飲む場合の保冷力を調べます。
「ビールは缶のままゴクゴク飲むよ!」という方は、おうちビールの多数派ですからね!
6と7のDURALEXのタンブラーは、色違いの同じグラスです。
こんな風に冷凍庫でグラスを冷やした経験、ありませんか?
ガラス製のDURALEXのタンブラーについては、透明な方のグラスは室内に置いておき、ブルーの色がついたグラスを冷凍庫で冷やします。
ステンレスタンブラーVS冷凍庫で冷やしたグラス!実験の結果は?
早速水を入れてみると、6の冷凍庫で冷やしたタンブラーの表面がサーッと真っ白になって、見るからに涼しげな雰囲気に!
水の温度をはかってみると、5.6度でした。
注ぐ前の水の温度は8.3度だったので、注いだだけでグーンと冷えました。
1~3のステンレス製のタンブラーとジョッキの場合、水温はどれも8.1度~8.9度程度で僅差。
4のアルミ缶のみの場合の水温は7.6度、5の保冷缶ホルダーを使った方は7.1度でした。
1時間後までの水温の変化をグラフで見てみましょう。
冷凍庫で冷やしたグラスやアルミ缶は、10分くらいの間は、中の飲み物をかなり冷たくしてくれました。
ステンレス製のタンブラーやジョッキの場合、注ぎ入れることによって飲み物がわずかにぬるくなってしまうようです。
でも、1時間後までその温度を変わらずにキープ。
容器によって、ここまで差が出るんですね!
「はじめの10分間だけでもシアワセに浸りたい」という方は、冷凍庫で冷やしたグラスを使ったり、缶からそのままゴクゴク飲んだりしたりする方がビールの冷たさを味わえるかもしれません。
「美味しいビールをじっくり味わいたい」「ビールはタンブラーやグラスに注いで飲みたい」「冷たすぎるビールは好きじゃない」という方には、ステンレス製のタンブラーやジョッキがオススメかもしれませんね。
さらに、3時間後までの温度変化をグラフで見てみましょう。
はじめはキンキンに冷えていた6の冷凍庫で冷やしたグラスや5のアルミ缶など、保冷機能がない容器に入った水はすぐにぬるくなっていきます。
それに対して、1~3のステンレス製のタンブラーやジョッキは、中の水温がほとんど変わりません。
陸上競技でたとえると、短距離走選手とマラソン選手のような違いかもしれませんね。
たとえば、1の真空断熱タンブラーだと、2時間後の水温は10.2度。3時間後にはかってみても、11.4度でした。ほぼ、冷蔵庫から出したときのまま!
水の温度が一番ぬるくなってしまったのは、常温で置いてあった⑦のガラス製のタンブラー。
2時間後の水の温度は18.8度で、3時間後になると、21.8度に。
この日の天気は晴れで、実験室の室温は30.7度まで上がっていました。
暑い日に、グラスの中の水がぬるくなるのは仕方のないこと。
それなのに、同じ場所に置いたにもかかわらず、中の水の冷たさをキープするステンレス製タンブラーやジョッキの力には本当にびっくりしてしまいます。
実は、1時間後まで中の水を一番冷たく保っていたのは、5の保冷缶ホルダーでした。
缶をセットするだけで使えるお手軽な缶ホルダーですが、保冷力はステンレス製のタンブラーやジョッキとほぼ同じ、という結果になりました。
1杯のビールを何時間もかけて飲むことは、そうないですよね。
お手軽な上に保冷力も高いなんて、かなりの実力派アイテムなのでしょう!
…
でも、ちょっと待った!
5の保冷缶ホルダーはたしかに優秀だったけど、一番の理由は、缶そのものが冷たかったからかもしれません。
触ってみても、かなり冷たい!
ステンレス製のタンブラーやジョッキは室内に置いてあったので、そう冷たくはありません。
赤外線を当てて表面の温度をはかってみたところ、25.8度。
うーん……冷たいどころか、ぬるいという結果になりました。
タンブラーやグラスは冷蔵庫で冷しておくのがおすすめ!?
ビール用のタンブラーやグラスは冷蔵庫で冷やすとイイ!
と、よく耳にしますが、本当?
というわけで、赤外線を当てて、室内に置いておいたステンレスタンブラーの表面温度を計ってみました。
温度は、25.8度。
室温は27.4度だったので、だいたい室温と同じ温度です。
食器棚にしまったタンブラーも、きっと同じように、お部屋の室温に近い温度になっているでしょうね。
このステンレスタンブラーを冷蔵庫に入れて、ひと晩冷やした後で、同じように温度を計ってみます。
すると、表面の温度は12.6度まで冷えていました。
冷やす前とくらべると、差はなんと13.2度!かなり冷たくなりました。
冷蔵庫で冷やしたタンブラーvs.食器棚に置いたタンブラー
ステンレスタンブラーだけでなく、ほかのアイテムも冷蔵庫を使って冷やして、再度実験!
冷蔵庫でひと晩冷やした状態で、8.3度の冷水を350mlずつ入れて、2時間後までの温度変化を調べました。
今回の実験に使うのは、こちらの3種類のアイテム。
- 1.真空断熱タンブラー(サーモス株式会社)
- 2.保冷缶ホルダー(サーモス株式会社)+アルミ缶
- 3.DURALEX タンブラー(株式会社ケーアイ)
※(カッコ)の中はメーカー名、以下省略。
水を入れた直後に水温を計ってみたところ、温度が一番低かったのは、2の保冷缶ホルダーでした。
実験前の水の温度は8.3度でしたが、すこし冷やされて6.8度に。
冷蔵庫で冷やさずにおこなった実験と同じく、保冷缶ホルダーが一番!という結果になりました。
1の真空断熱タンブラーの中の水の温度は8.5度。
3のDURALEX タンブラーの中の水の温度は8.3度。
保冷缶ホルダー以外は、ほとんど変わりませんでした。
2時間後までの温度変化をみてみましょう。
2時間後、3のDURALEX タンブラーの中の水は、21.1度とかなりぬるくなりました。
1の真空断熱タンブラーと2の保冷缶ホルダーは、2時間たっても温度にほとんど変わりナシ。
温度変化が一番小さかったのは、1の真空断熱タンブラーでした。
なんと、2時間たっても2.1度しかぬるくなりません。
実験後、水を捨てるときに手で触ってみましたが、ものすごく冷たい!
手の感覚だけだと、まさに「冷蔵庫から出したときのまま」。
ガラス製タンブラーは冷蔵庫で冷やすと満足度アップ!
実験の結果を、冷蔵庫を使わないでおこなった時の実験結果と比べてみました。
すると、温度差に意外な違いを発見しました。
表の中の赤い数字は、冷蔵庫で冷やした場合と、そうでない場合の、水温の最大差です。
3のDURALEX タンブラーは、冷蔵庫で冷やすことによって、中に入れた水の温度が大きく下がりました。
これなら、冷蔵庫で冷やす甲斐がありますね♪
1と2のステンレス製のタンブラーと保冷缶ホルダーは、ガラス製のグラスほどの変化がありませんでした。
「これだけの差?」と残念に思う結果になりました。
この現象、実は・・・保冷の仕組みがすこし違うからなんです。
たとえば、3のDURALEX タンブラーは、保冷機能がついた容器ではないので、保冷する力はもともとありません。
ただ、冷蔵庫に入れると表面が冷えるので、表面が冷たい間だけ、中に入れた飲み物がぬるくなっていくのを抑えます。
1の真空断熱タンブラーと2の保冷缶ホルダーも、冷蔵庫で冷やすことで表面が冷えて、同じ効果が加わります。
でも、もともと持っている保冷力は、「断熱二重構造」といって内側の構造に由来しています。
今回の実験の結果をみると、「断熱二重構造」そのものは、冷蔵庫で冷やしてもあまり影響を受けないようでした。
ちょっと大げさにいうと、もともともっている保冷力を利用するだけなら、冷蔵庫で冷やす必要がない!ということなんです。
そういえば、冷蔵庫で冷やさない状態でテストしたとき、1の真空断熱タンブラーに入れた水の温度は8.1度、2の保冷缶ホルダーに入れた水の温度は7.1度でした。
冷蔵庫で冷やしたグラスでは、水の温度が8.5度だったので、どちらもその温度を下回っています。
冷やさなくても、冷やしたグラスと同じになるなんて、魔法みたいですね
保冷力の高いステンレスタンブラーと保冷缶ホルダーですが、ひとつ、大きな違いがあります。
それは、氷が入るか、入らないか。
焼酎やハイボールなど、氷を入れてこそ楽しめる飲み物には、タンブラー型やジョッキ型がオススメです!
「ステンレスタンブラーに氷を入れても、ほとんど溶けないらしい」という噂を聞いて、くらべルートでもテストしてみました。
すると、3時間経っても中の氷は溶けませんでした。
「10分間のシアワセ」「1時間の満足」「手軽さ」どれを選ぶ?
さて、これまで3回に渡って、6種類のアイテムを使ってビールグッズの保冷力を調べてきました。
調査結果をまとめると、こうなりました。
「冷たいビール」と一言でいっても、いろいろな冷たさがありますよね。
冷たいビールを飲むときに「これだけは譲れない!」と感じるものが、もしも初めの一口だったら、「10分間のシアワセ」。
できるだけ長く楽しみたいなら、「1時間の満足」。
あなたのお好みに合わせて、選んでみてくださいね。