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最近人気の「拭けるキッチンマット」。買い物に失敗しないためにも、布製のキッチンマットとの違いやデメリットが気になりますよね?
そこで今回は、拭けるキッチンマットのトップメーカー「オカトー」の千田さんに監修いただきながら、布製のキッチンマットと拭けるキッチンマット4つを比較実験して、その違いを明らかにしました。デメリット・メリットも一目瞭然なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
キッチンマットにはどんな種類がある?
キッチンマットには主に2つの種類があります。昔ながらの布製の「洗えるキッチンマット」、もうひとつは油はねや汚れをサッと拭ける「拭けるキッチンマット」というものです。
布製「洗えるキッチンマット」とは?
主に化学繊維でできたものと天然素材でできたものがあります。天然素材にはコットン・リネン(麻)・ウールなどの種類があります。特徴は以下です。
- 化学繊維……安価で洗える。滑り止めがついたものや抗菌性の高いものも発売されている
- コットン……吸水性に優れている
- リネン……耐久性に優れているが、値段が高い
- ウール……毛足が長いのでクッション性に優れている
PVC素材「拭けるキッチンマット」とは
最近人気の「拭けるキッチンマット」。PVC(Poly vinyl chloride)という素材で「ポリ塩化ビニル」「塩ビ」とも呼ばれる熱可塑性プラスチックの一種。水分をはじくので、調味料をこぼしたりしてもサッと拭けば大丈夫と注目されています。
今回は、「拭けるキッチンマット」を発売する株式会社オカトーの千田さんに特徴を教わりながら、この2つのキッチンマットを比較しました。
実験に使用する4つのキッチンマットはコレ
今回実験に使用したのはこちらの4種類のキッチンマットです。まずは、今回の実験に使用するアイテムを簡単にご紹介します。
- (1)PVC素材のキッチンマット
- (2)100均のPVCキッチンマット
- (3)毛足が短い布製キッチンマット
- (4)毛足が長い布製キッチンマット
PVC素材のキッチンマットは100均でも「PVCクッションマット」として販売されています。
100均のものとメーカー品で差が出るのかも含めて調査すべく、今回の実験でも使用することにしました。
【1】北欧柄が人気「拭けるキッチンマット」
拭けるPVC素材のキッチンマットの中でも人気のアイテム。北欧柄でキッチンをおしゃれに演出できます。長さは180cmを用意。PVC素材のキッチンマットは布製では表現しにくい繊細で複雑な柄のものが多いのも特徴のひとつです。
【2】100均のPVC素材キッチンマット
100均で販売されているPVC素材のキッチンマットがこちら。500円ほどで販売されており、長さは最大で90cm。2つ購入して並べれば、180cmのキッチンマットとして使用することができます。
【3】毛足が短い布製「洗えるキッチンマット」
毛足が長いタイプのキッチンマット。こちらも長さは180cmを用意しました。素材は綿とポリエステルの混合で、丸洗いができきます。ずれにくいよう裏面には、滑り止め加工が施されています。
【4】毛足が長い布製「洗えるキッチンマット」
布製キッチンマットですが、こちらの毛足が長いタイプ。こちらも長さは180cmを用意しました。
毛足が長いだけあって一番触り心地がもこもこしています。素材は短いタイプと同じで、こちらにも滑り止め加工が施されています。
どっちが手軽? キッチンマットの【汚れの落とし方】を比較
一番の違いといえるのが、水をはじくかどうかということ! お手入れがどの程度しやすいかを【1】の拭けるキッチンマットと【4】の毛足の長いキッチンマットで比較してみました。
「拭けるキッチンマット」汚れの落とし方は?
PVC素材のキッチンマットの最大の特徴であり、布製キッチンマットとの違いは、汚れがすぐに染み込まず、その場でさっと拭くことができる、ということ。ケチャップをこぼしてサッと拭いたところ、汚れは特に目立たなくなりました。
ただ、オカトーの千田さんによると「汚れがまったく染み込まないわけではないので、すぐに拭いてください」とのこと。しばらく放置してすぐに拭き取らなかった場合、シミやアトが残ってしまう場合が。特に色の薄い拭けるキッチンマットは要注意。ケチャップやしょうゆといった色の濃い調味料の汚れを放置するとアトが目立ってしまうため、できる限りすぐに汚れを拭きとるようにした方がベターなようです。
「洗える布製キッチンマット」汚れの落とし方は?
今回用意した布製キッチンマットはどちらも丸洗いOK。ただ気になるのが、大きいものだと「運ぶのが重くて大変」「洗って干すのに時間がかかる」ということ。
こちらの記事でアンケートした際にも洗うときの大変さがネックとなり、キッチンマットを敷いていないという人もいました。「洗濯が必要だから」というだけで布製キッチンマットのお手入れが大変と決めつけることはできませんが、洗濯して干すということに手間がかかることに違いはありません。
編集部が気になったのは、洗濯して水分を吸ったキッチンマットは重くて運ぶのが大変なのではないか、という点。
実際に【4】の毛足が長い布製キッチンマットを洗濯してみて重さを測ってみました。180cmのサイズで、その重さはわずか1kgでした。想像より軽い!
大変というイメージの布製キッチンマットのお洗濯ですが、しっかり脱水さえしていれば一人ではできないくらい重労働ということはなさそうです。
キッチンマットの【クッション性を卵を落として】比較
先ほどオカトーの千田さんもおっしゃっていたように、PVCでできた「拭けるキッチンマット」は「クッション性」が高く「疲れにくい」というのも特徴のひとつです。そこで、布製のキッチンマットとPVC素材のキッチンマットのクッション性を比較してみることにしました。
クッション性を測るための比較方法1
比較の方法はとてもシンプル。キッチンマットを敷き、調理台とほぼ同じ高さの約80cmの高さから卵を落としてみます。
「拭けるキッチンマット」に卵を落としてみた
まずは【1】北欧柄の拭けるキッチンマットと【2】100均のPVC素材キッチンマットに卵を落としてみます。どちらも卵が割れることはありませんでした。
布製の「洗えるキッチンマット」に卵を落としてみた
今度は、【3】の毛足の短い布製キッチンマットと【4】の毛足の長い布製キッチンマットに卵を落としてみます。
「毛足が短いキッチンマットではさすがに割れるかな」と覚悟していましたが、意外にも毛足が短い【3】のキッチンマットもセーフ。もちろん、毛足が長い【4】キッチンマットでも卵が割れることはありませんでした。
【キッチンマットのクッション性】を卵で比較した結果
実験の結果、4種類どのキッチンマットでも卵が割れることはありませんでした。心配だった毛足が短い布製キッチンマットや100均のPVCキッチンマットでも卵の悲惨な姿を見ることがなく、驚かされました。
キッチンマットを「敷いている」か「敷いていない」かでは違いがあるかもしれません。その点、どんなキッチンマットでも、1枚敷いているだけで物を落とした時の衝撃を和らげることができるということが分かりました。
卵を落とす実験の後に、水の入った重い保存容器も落としてみました。
すると、いずれのキッチンマットの場合も水がこぼれることはなかったものの、布製キッチンマットの上に落とした時とPVC素材のキッチンマットの上に落とした時とでは「音」が少し違うということが分かりました。
布製キッチンマットの上に落とした時の方が、「ゴンッ」という激しい音がします。
PVC素材のキッチンマットでも大きな音はしましたが、布製キッチンマットに比べるとかなり鈍い音でした。
キッチンマットの【クッション性を水を入れた容器】で比較
卵を落としても4種類とも割れなかったので、水の入った重い保存容器も落としてみます。
すると、いずれのキッチンマットの場合も水がこぼれることはなかったものの、布製の洗えるキッチンマットの上に落とした時とPVC素材のキッチンマットの上に落とした時とでは「音」が少し違うということが分かりました。
布製キッチンマットの上に落とした時の方が、「ゴンッ」という激しい音がします。PVC素材のキッチンマットでも大きな音はしましたが、布製キッチンマットに比べるとかなり鈍い音でした。
もっと重いものだと、床に傷がつく・つかないなどの違いが出ていたかもしれません。
冬の味方になる?【足もとの温かさ】を比較
前回編集部が行ったキッチンマットの使用に関するアンケートでは、「PVC素材のキッチンマットは見た目が寒い」「踏むとひんやりしそう」という声もありました。確かに、布製キッチンマットに比べると、PVC素材のキッチンマットはつるつるした触り心地で、触ると何となくひんやり感を感じます。
調理中や洗い物など、キッチンで最も長く立つことになるシンクやコンロ周り。長く立っているのに、底冷えがするのは冬には酷ですよね。そこで、キッチンマットの上に立った時を想定して、キッチンマットの温かさを比べてみることにしました。
足もとの温かさの比較方法
50度前後のお湯を用意。これを同じ分量、容器に入れ、それぞれのキッチンマットの上に置きます。
同じ室温の状態で、お湯の温度の下がり幅を比較します。
手順1:キッチンマットを同じ条件下に並べる
まず4種類のキッチンマットを並べます。この時点で室温は17.7度。実験が終わるまで17.7~17.8度を維持していました。
手順2:キッチンマットの上に容器を置く
それぞれのキッチンマットの上にお湯が入った容器を置いていきます。いうなれば、足の代わりです。
容器の中には50mlずつのお湯を入れました。比較のため、キッチンマットを敷いていない床にも容器を置きます。
手順3:お湯の温度を計測する
キッチンマット、もしくは床に置いた時点でのお湯の温度を計測します。
手順4:お湯の温度を5分後と10分後に計測する
しばらく待ち、容器に入ったお湯の温度を5分後、10分後に計測します。最初に置いた時点でお湯の温度にはわずかながらも差が生じていたので、最初に計った温度からどのくらい下がっていたのかをまとめていきます。
【キッチンマットの温かさ】を比較した結果
最初に容器を置いた時のお湯の温度と、10分後のお湯の温度を測り、どれくらいお湯の温度が下がったのか「温度差」を比べてみると、次のような結果に。
実験開始時 | 5分後の温度 | 10分後の温度 | 温度差 | |
【1】北欧風拭けるキッチンマット | 47.1度 | 43.2度 | 39.4度 | 7.7度 |
【2】100均の拭けるキッチンマット | 46.8度 | 42.5度 | 38.3度 | 8.5度 |
【3】毛足の短い洗えるキッチンマット | 44.1度 | 38.9度 | 35.5度 | 8.6度 |
【4】毛足の長い洗えるキッチンマット | 45.6度 | 40.3度 | 37.1度 | 8.5度 |
【5】床(マットなし) | 45.8度 | 41.8度 | 37.0度 | 8.8度 |
実験の結果、お湯の温度変化が最も少なく、高い温度を保つことができたのはPVC素材のキッチンマットでした。他が8.5度以上温度が下がっている中、温度差を7.7度に抑える奮闘を見せました。
意外だったのは、触り心地もふかふかで温かみを感じる毛足が長い布製キッチンマットが100均のPVCキッチンマットと同じ順位だったことです。
拭ける・洗えるキッチンマット比較した実験結果まとめ
今回行ったキッチンマットの比較の実験結果を振り返っていきましょう。
汚れの落とし方は大きく異なる
PVC素材の拭けるキッチンマットは撥水性があるので、すぐに拭きとれば汚れが落とせるのに対し、布製の洗えるキッチンマットは汚れが染みつくので洗濯が必要という違いが存在します。
手軽さでいうとPVC素材の拭けるキッチンマットがおすすめです。ただ撥水性があって汚れが染み込まないため、食器洗いのときに飛び散った水滴を踏んでしまうと「靴下が濡れてしまう」ということも。
汚れや水滴が染み込むかどうかは、「使い心地」にも差が出てくるところ。自分にとってどちらが使い心地がいいかを考えて選ぶといいでしょう。
クッション性はどちらも申し分ない
卵を落とす実験をしてみたところ、PVC素材の拭けるキッチンマットも布製の洗えるキッチンマットも卵が割れることはありませんでした。キッチンマットが1枚あるかないかで、足もとの疲れにくさには確実に影響しそうです。
また水を入れた容器の音を比べてみると、PVC素材の拭けるキッチンマットは布製の洗えるキッチンマットに比べると衝撃吸収能力は高そうです。
PVC素材の拭けるキッチンマットが「冷たい」は誤ったイメージ
温かさを比較した結果、お湯の温度を保てたのは、布製の洗えるキッチンマットではなくPVC素材の拭けるキッチンマットという結果でした。
つまり「PVC素材のキッチンマットは冷たい」というのは誤ったイメージでした。
キッチンマットの上に乗った時にひんやりしていると感じるのは、冷たい床の温度がキッチンマット越しに伝わってくるからです。マットの厚みを計ってみたところ、一番分厚かったのがPVC素材の洗えるキッチンマットで、厚みは8ミリありました。厚みがあるおかげで、床から伝わる冷たさを遮ることができ、お湯も冷めにくかったと予想されます。
キッチンマットの厚みはクッション性だけではなく、乗った時の温かさにも影響してくるということが分かりました。
ただ、手で触れた時の体感温度は、毛足の長い洗えるキッチンマットが一番の温かく感じました。見た目が温かいのはもちろん、長い毛が空気を含むので、実際に温かいようです。
拭けるキッチンマットと布製の洗えるキッチンマット違いは?
今回の実験で分かったことをまとめます。それぞれのアイテムのメリット・デメリットもまとめました。
PVC素材の「拭けるキッチンマット」の特徴まとめ
拭けるキッチンマットから見ていきます。
PVC素材の「拭けるキッチンマット」のメリットは?
- 洗濯が不要。汚れたらすぐに拭きとることができる
- クッション性があり、疲れにくい
- 床からの冷気を遮ることには十分。厚みのあるものがより◎
- 好きなサイズにカットできるタイプもある
PVC素材の「拭けるキッチンマット」のデメリットは?
- すぐに汚れを拭かないと、アトが残ることがある
- 飛び散った水滴を踏むと、足裏が濡れる
- リネン・コットンといった素材質感を楽しむことはできない
- 厚みのあるものを買うと、ロボット掃除機が使えない
- 丸洗いできない
とにかく、お手入れが手軽で小まめに拭き取り掃除ができるなら、PVC素材の拭けるキッチンマットがおすすめです。逆に、こまめに汚れを拭き取ることができないズボラさんには向いていないことも。クッション性があるので、立って家事をしているとき疲れにくいというのもポイントです。
布製の「洗えるキッチンマット」の特徴まとめ
では布製の洗えるキッチンマットを見ていきましょう。
布製の「洗えるキッチンマット」のメリットは?
- ほとんどのものは丸洗いできる(一部できないものもある)洗
- 吸水性には優れているので、水滴が飛んでも足裏が濡れにくい
- 素材にはよるが、クッション性も◎
- 毛足の長いタイプなら、見た目の温かさもある
- インテリアに合わせて素材を選ぶことができる
布製の「洗えるキッチンマット」のデメリットは?
- 汚れは拭きとれないので、シミになりやすい
- ほとんどのものは丸洗いできる(一部できないものもある)
- ホコリや髪の毛などのゴミが毛足に絡まることがある
- ズレ防止タイプでないと、ズレやすい
サッと拭きとるだけではキレイになった気がしない!丸洗いしたいという人は布製を選ぶのがベター。またコットンやリネンなど自然素材を選ぶこともできるので、インテリアにこだわる人向きです。ただ、油ハネの汚れは蓄積してしまってべとべとになることも。
「拭けるキッチンマット」も「洗えるキッチンマット」も一長一短があります。汚れを落とす際、丸洗いにこだわるか、手軽さにこだわるかでどちらを選ぶか決めましょう。またロボット掃除機を使っている人は邪魔にならないかどうかも考慮してみるといいかもしれません。それぞれ一長一短はあるので、自分が重視するポイントを考えながら、キッチンマットを選んでみてくださいね。
(実験日:2020/12/14)