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よみがえった包丁

ボロボロの包丁をおうちで蘇らせるシリーズ【3】包丁を磨いて鏡面仕上げに

キッチン

サビてボロボロになってしまった包丁を蘇らせることはできるのか。

ボロボロに錆びてしまった包丁の「サビ」と「欠け」を直したあとは、包丁を磨く作業!
今回は鏡面仕上げにして包丁を蘇らせる様子を、実況形式でご紹介します。

「おいしいに国境なし!」──を合言葉に、料理の「?」や「!」を探しながらご家庭で役立つ知恵やアイデアを探求中! 料理のイロハを先生に師事して学びながら、ワンランク上のこだわり料理にもアクセル全開で挑戦します! たまには先生が記事に登場することも?

包丁を鏡面仕上げにする3つのメリット

そもそも、なぜ包丁を鏡面に仕上げる必要があるのか。実は、鏡面仕上げには合理的なメリットがあるのです。

【メリット1】サビにくくなる

表面についた小さな傷などに水分が入り込むことで、包丁は徐々にサビていきます。つまり、傷がなければサビにくいということ。

鏡面仕上げというのは表面を鏡のようピカピカに磨き上げる処理ですから、水気が入り込む小さな傷などが少なくなるのです。包丁を大切に使いたいと思うなら、鏡面仕上げは合理的な処理方法なんですよ。

【メリット2】汚れが落ちやすくなる

野菜を切っていると野菜クズが包丁にまとわりついたり、お肉を切っているとしつこい脂汚れに手間を取られたりすることが少なくありません。

包丁を鏡面に仕上げると、こうした悩みが軽減します。表面が滑らかになることでカスや汚れが落ちやすくなるからです。

その分、お手入れも簡単になるということ。包丁にとっていい状態を長く保つためにも効果的です。

【メリット3】清潔感がある

サビた包丁で調理して出されたお料理は、何となく気分があまりよくありませんよね。

板前さんが包丁をきれいな鏡面に仕上げるのには、お客さんに対するパフォーマンスという意味もあります。

実はサビ(酸化鉄)というのは、食べたところで体に害があるわけではありません。水道水などにも鉄サビが含まれていますし、何よりも鉄は人間にとって必要な栄養素。

でも、やっぱり包丁はピカピカに手入れしておいた方が気持ちいいですし、料理にもがぜん気合いが入るというものです。

包丁の鏡面仕上げに必要なもの

包丁を鏡面に磨いていくにあたり必要なのは、研磨剤だけです。
研磨剤にもペーパー状のものや液状のもの、ワックス状のものといろいろありますが、今回はホームセンターなどでお手軽に購入できる耐水ペーパーを使います。

ペーパーは、番目の数字が小さい方が目が荒く、数字が大きくなっていくにつれて目が細かくなっていきます。

包丁を磨くときは、小さい番目から徐々に大きい番目に上げていくのが鉄則。
表面は既にある程度磨いてあるので、800番から始めます。

それでは、いよいよ包丁を磨きあげていきます!

実践!鏡面になるまで包丁を磨く方法

最初に使うのは、800番の耐水ペーパー。

サビ落としなどせず、磨きから入る場合はもう少し番目の低いものから始めるのがいいかもしれません。

耐水ペーパーは水をつけながらゴシゴシこすっていきます。何も難しいことはなく、ただこすり続けるだけです。刃先で手や指を切らないよう十分ご注意ください。

全体をまんべんなく磨きあげていきます。特にコツなどもありません。できるだけ全体を均一に磨いてくださいね。

ちなみに、砥石など固く平らなもので包丁を磨きあげようとしても、うまくいかないとのこと。というのも、包丁というのは必ずしも平らではないからです。

特に和包丁は“裏すき”といって、刃の片側がえぐれています。今回の三徳包丁も手打ちという性質柄、表面がボコボコしていますから、固くて平らな砥石などではまんべんなく磨き上げることができません。

そんなわけで、包丁を磨くにはペーパー状のものが使いやすいのです。

800番で磨き上げたところ。

研磨剤でこするというのは「小さな傷をつける」のと同じことです。表面に細かい傷がたくさん見えますよね。少しずつ番目を上げていって、この傷をどんどん小さくしていきます。

ペーパーで包丁を磨くとき、先生はこうしてコルク栓をあてています。

こうすることで力が入りやすくなり、万一刃先に触れることがあっても指を切ることがありません。コルク栓、いたるところで大活躍です!

次は1000番で磨きあげていきます。

800番よりもかなり目が細かくなめらかな手触りですが、鏡面にはまだまだ遠い道のり。

800番は10分ほど磨いて終わりました。1000番も同じくらいの時間で完了。

さっきよりもずいぶんと光沢を帯びましたね。

写真の具合もあると思いますが、実際には小さな傷がけっこう目立ちます。

それにしても、最初のサビだらけだった姿からは想像もつかない光沢です。

今度は1500番です。

かなり目の細かいペーパーで、このあたりからグッと包丁の表情も変わってきます。鏡面が近づいてきているのを実感できるくらいの番目。

やはり10分程度磨き続けます。

いかがですか?

包丁にあたりの様子が映り込んでいるのがわかります。

この後2000番で包丁を磨き上げ、その後は3000番の研磨シート、4000番の研磨フィルム、8000番の研磨フィルムといった流れで磨き上げます。

磨き続けることおよそ一時間。できあがったのがこちら!

包丁がまるで鏡のように……。

写真下部に見えるのは、仕上げ砥石です。砥石がしっかりと包丁に映り込んでいますね。ここまで仕上げてもらえれば大満足。

それにしても刃欠けの修繕も大変でしたが、これもこれで大変な作業です。研磨していると指が痛くなってくるそうで、先生も途中で何度か休憩を挟んでいました。

所要時間は約一時間。もしご家庭に眠っている包丁があれば、ぜひ挑戦してみてください。

大切に使えば、包丁は一生もの!

包丁の錆落としに欠けの修繕、そして最後は鏡面仕上げと、道のりは決して楽ではありませんでしたが、お陰様で見るも無残な三徳包丁が見事に蘇りました。

最後にもう一度、最初のひどくサビた状態から、どのくらい蘇ったかを見てみましょう。

この通り、包丁はメンテナンスをしてあげることで蘇ります。

使用頻度や研ぎの頻度にもよりますが、通常であれば一本の包丁を一生涯に渡って大切に使い続けることもできるんですよ。

毎日のように包丁を使ったり研いだりするプロの板前さんなどでも、一本の包丁を20年から30年も使い続けます。

これを機に、ぜひともご自分の包丁と向き合ってみてください。

最後に

もともとはサビて使いものにならなかった三徳包丁。実は私は普段、牛刀を使うことが多く、三徳はほとんど使うことがありません。でも、そのせいでメンテナンスを怠り、ボロボロにしてしまったのは反省しなくてはなりませんね。

今回ここまで丹念に仕上げてもらい、この包丁に対する愛着がグンと強くなりました。
包丁の寿命は使う人次第。きちんとメンテナンスしながら大切に使えば、一生のパートナーにもなってくれますよ。

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