北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
いつも使っているフライパンで揚げものができれば、揚げもののハードルがグッと下がりますよね。
実は、天ぷら鍋ではなくフライパンを使って揚げものをする方がいいこともあるんです。
この記事では、フライパンで揚げものをするメリットやコツについてご紹介します。
天ぷら鍋よりフライパンで揚げものをした方がよい理由とは?
天ぷら鍋よりもフライパンで揚げ物をするほうが「気軽に調理できる」と感じる人も多いですね。
天ぷら鍋は熱伝導率・保温性に優れていて揚げものが失敗しにくいというメリットはありますが大量に油を使う分、後始末に手間がかかります。
その点、フライパンは油の量が少なくて済むため、油を大量に使わなくてもいいのは経済的でもあります。また「揚げ焼き」状態になるので、衣がカリっと仕上がるというメリットも。
ただ、少量の油で揚げるため、油の温度変化が激しく焦げたり色ムラができやすいというのが難点です。また、厚みのある食材は火が通りにくかったり、浅いフライパンだと周囲への油はねが増えてお掃除の手間が増えたりすることも。
しかし、ちょっとしたことに気を配るだけで、フライパンでも十分おいしい揚げものができます。くわしくは「フライパンで揚げものをするときのポイント」でご紹介しますね。
揚げものに適したフライパンを選ぶには?
揚げものに適したフライパン選びで最も注意したいことは、フライパンの素材(コーティングの有無)です。
ふっ素樹脂コーティングなど、食材がくっつかないための樹脂加工がされているフライパンが多く出回っています。これらのコーティングは、220度以上の高温になる油を使うと変質することがあります。
見た目は変わらなくても、フライパンの劣化が早まる可能性がありますので、お使いのフライパンの材質をよく確認してください。
フライパンの素材の中で、最も揚げものをするのに向いている素材は鉄です。鉄製のフライパンなら、油でフライパンが劣化することもなく安心です。保温性にも優れた素材なので、油の温度が下がりにくいのも特徴です。
ただし、鉄製のフライパンの中にはシリコン樹脂塗装などが施されているものがあります。高温の油と相性が悪い場合もあるので、塗装の有無を確認してから使うとよいでしょう。
鋳物のスキレットなども保温性に優れているのでおすすめです。
これは鋳物のスキレットでチキンカツを揚げているところです。数回ひっくり返しながら揚げると、厚さ3~4cmのチキンカツもしっかり揚げられます。
フライパンで揚げものをするときに気を付けたい4つのポイント
フライパンで揚げ物するとき、気を付けてほしいことは以下の4点。
【ポイント1】油の温度変化に注意する
フライパンを使って少ない油で調理している時は、食材を入れると油の温度が急激に下がります。
油の温度が下がると揚げものが焦げたり衣がはがれたりして、きれいに揚げるのが難しくなります。
食材を入れる前に一度強火にして、油をやや高温にしておくとよいでしょう。食材を入れた時にちょうど良い温度に下がるイメージで調整してみてください。
【ポイント2】油の入れすぎは厳禁!
フライパンに入れる油の量は、フライパンの深さの半分までにします。加熱すると油は少しかさが増えますし、食材を入れると油があふれたり激しく飛び散る可能性も。ガスコンロでは引火の危険も発生するので注意してください。
【ポイント3】しっかり油はね対策をする
フライパンは油はねをガードできる深さがないため、周囲に油が飛び散りやすいのも困りもの。
油はね対策には、フライパンのフタや「油はね防止ネット」とも呼ばれる網を利用しましょう。
調理中もこまめにコンロの周りをキッチンペーパーなどで拭くと、油汚れがこびりつくのを防ぐことができます。
【ポイント4】たくさん詰めて一気に揚げる
さらにおさえてほしいポイントは、「たくさん詰めて一気に揚げる」ということ。
たくさん詰めて揚げると油が回りやすく、少しの油でもしっかり揚げることができます。
これは天ぷら鍋で揚げものをするときとは逆の発想ですね。
鶏の唐揚げなどもこの方法でひっくり返しながら揚げると、きれいにこんがりとでき上がります。
フライパンで揚げておいしく!おすすめの揚げものレシピ
フライパンでは天ぷらや厚みのある揚げものは難しいですが、「揚げ焼き」は大得意。
フライパンで作るからこそおいしい揚げもの料理もたくさんあるので、代表的なものを2つご紹介します。
フライパン揚げもの料理のおすすめ「ミラノ風カツレツ」
ミラノ風カツレツは、薄くたたいた肉をチーズやハーブ入りの衣でカリっと揚げ焼きにする料理です。
元々は牛肉で作りますが、豚肉でもOK。 カツレツにすることでパサつきがちなヒレ肉が食べやすくなります。衣自体もおいしいのでビールにもワインにも合うおつまみとしてもおすすめです。
1.豚ヒレ肉は厚さ2cmから3cmにカットし、めん棒などで優しくたたいて8ミリくらいの薄さにします。
このとき、クッキングシートに肉を挟んでたたくと、ラップと違ってくっつかないので作業がはかどります。もちろんまな板もめん棒も汚れません。
2.通常のフライと同じく、肉に塩コショウし、小麦粉をまぶしてから溶き卵にくぐらせてパン粉を付けます。
パン粉は手や麺棒ですりつぶすようにして細かくしておき、粉チーズとドライハーブを加えます。ハーブはパセリやオレガノがおすすめ。
ガーリックパウダーやバジル、ローズマリーなど数種類入れて「香草パン粉」にしてもいいですね。
3.フライパンにオリーブオイルを深さ1cmほど入れて揚げ焼きにしたらできあがりです。
オリーブオイルを使わず、キャノーラ油で焼いてから仕上がる直前にバターを少々足して風味付けしてもおいしくできます。
ソースはピザソースやケチャップなどのトマト系がよく合います。
フライパン揚げもの料理のおすすめ「かき揚げ」
サクラエビやしらすなど小さな食材のかき揚げは、フライパンの浅さを活かせば天ぷら鍋よりきれいに揚げることができます。
フライパンでかき揚げを作るコツは、スプーンでかき揚げのたねをフライパンに入れたら、ところどころすき間が見えるくらい薄く広げること。固まっている部分がないようにすると、全体がサクッと仕上がります。
フライパンを使って気軽に揚げものを楽しもう!
揚げもの専用の天ぷら鍋があれば確かに便利ですが、フライパンで十分代用できる揚げもの料理はたくさんあります。今回ご紹介したフライパンで揚げものをするポイントを抑えて、気軽にできる揚げものレシピをマスターしてくださいね。