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熱中症対策におすすめの飲み物・NGな飲み物

【管理栄養士が解説】熱中症対策におすすめの飲み物・NGな飲み物

おでかけ

年々厳しさを増し、猛暑日も珍しくなくなってきた昨今。熱中症対策は必須になってきました。

熱中症対策には「水分補給」が大切なのはみなさんご存知のはずですが、具体的にどんな飲み物がよいと思いますか?
実は、ひとくちに飲み物といっても、熱中症対策になる飲み物とそうでないものがあるのです。

この記事では、熱中症対策には適している飲み物とNGな飲み物、また、適切な水分補給のタイミングについてご説明します。

管理栄養士兼ライターをしている、2児の母です。部屋の片付けが少々苦手…。ハウジーのコラムを読みながらステキなおうちになるよう、悪戦苦闘中です。日々の暮らしに彩りを添えるような記事をお届けできればと思います。

熱中症対策におすすめの飲み物とは

熱中症対策で真っ先に思いつくのが、飲み物を摂取する「水分補給」です。
では、具体的にどんな飲み物を摂取するのが効果的なのでしょうか。

【おすすめの飲み物1】スポーツドリンク

スポーツドリンク

<おすすめのシーン>

運動前や作業前

スポーツドリンクは、電解質(塩分や各種ミネラル)が入っているので、汗で失われた成分を補給するのに適した飲み物です。
また、体に取り込まれやすいように成分が調整されているので、素早く水分補給ができるのもうれしい点。

ただし、糖分が多いので注意が必要です。汗をかいたり、運動をあまりしていないのにスポーツドリンクをたくさん飲むと、エネルギーの摂り過ぎにつながります。

【おすすめの飲み物2】経口補水液

経口保水液

<おすすめのシーン>

運動中や作業中
運動後や作業後

経口補水液はスポーツドリンクと混同されがちですが、スポーツドリンクよりも塩分が多く、糖分が少ないのが特徴です。
水分や塩分を含む電解質がより速く吸収できるよう、考えられています。

そのため、運動や作業中といった汗をたくさんかくときに飲むと、素早く水分や電解質が補給でき、熱中症予防につながるのです。

ただし、飲む量には注意が必要です。
ほかの飲み物より塩分やカリウムが多く含まれているので、1日あたり500~1000mlと目安量が決まっています

また、高血圧や腎臓病、糖尿病など持病がある場合は、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

【おすすめの飲み物3】塩分が入った清涼飲料水

清涼飲料水

<おすすめのシーン>

運動後や作業後

場合によっては、スポーツドリンクや経口補水液がすぐ手に入らないことがあるかもしれません。
そんなときは、「食塩相当量何g」という成分表記がある少量の塩分が入った清涼飲料水をおすすめします。
清涼飲料水は、自動販売機でも購入できるので、いつでも手に入れられるのがうれしい点です。

ただし、スポーツドリンクと同様に糖分が多いのが気になります。
また、スポーツドリンクや経口補水液のように、塩分やミネラルなどの電解質のバランスが考えられていると限りません

あと味や飲む量に注意して飲むようにしてくださいね。

【おすすめの飲み物4】麦茶などノンカフェインの飲料

麦茶などノンカフェインの飲料

<おすすめのシーン>

食事や就寝前など(運動・作業時以外)

運動や作業をしていないとき=日常生活では、麦茶などのノンカフェイン飲料をおすすめします。
起床後や就寝前などの水分補給にもピッタリです。

なお、お茶には緑茶やウーロン茶などカフェイン入りのものもありますが、こちらは熱中症対策の飲み物としてはおすすめできません。
その理由は次で説明しますね。

熱中症対策にはNGな飲み物や飲み方とは?

熱中症対策には飲み物が大切ですが、中にはおすすめできないものもあります。
どんな飲み物がよくないのか、また理由もあわせて説明していきます。

【NGな飲み物1】カフェイン入りの飲料

カフェイン入りの飲料

先ほど、おすすめ飲料の項目でカフェイン入りのお茶はおすすめできないと説明しました。
その理由は、カフェインに利尿作用があるからです。
せっかく水分を補給しても、出ていく量が多いと簡単に脱水状態になってしまいます。
運動や作業後にひと息つきたいときには飲んでもよいですが、運動や作業前~作業中には控えたほうがよさそうです。

【NGな飲み物2】アルコール

ビール

アルコールにも利尿作用があるため、熱中症対策の水分補給としては適切ではありません。
また、アルコールがおすすめできないもうひとつの理由が、ビタミンB1を大量に消費するところです。

ビタミンB1は、糖の代謝に必要な栄養素ですが、汗や尿で溶け出てしまうので夏場は特に不足しがちです。
ちなみに、ビタミンB1が不足すると疲れやだるさ、集中力の低下などといった、夏バテの症状を招きます。
夏バテ防止のためにも、アルコールの摂りすぎは控えるようにしてくださいね。

【NGな飲み物3】塩分を含まない飲料

塩分を含まない飲料

実は、運動や作業前~作業後の飲み物に水や麦茶などは適していません
その理由は、塩分を含まないからです。
塩分を含まない飲み物をいくら飲んでも、失われた電解質は補給できません。
汗をかいたときは、少量の塩分を含む飲み物をおすすめします。

おすすめの飲み物・NGな飲み物のQ&A

おすすめな飲み物とNGな飲み物をご紹介してきましたが、よくある質問にお答えします。

Q.水や麦茶ばかりを飲むとどうなる?

塩分を含まない水や麦茶などをたくさん飲むと、脳がこれ以上水を飲むなという指令を出します。
水をたくさん飲むと血液中のナトリウムが薄まるのですが、あまりにも薄まると体の機能に影響が出ることも。
そのため、血液中のナトリウムをキープするために、脳が水分を拒否するよう指令を出すのです。

脳が水分を拒否すると、一時的にのどの渇きがおさまりますが、実は水分が不足しているケースも多々あります。
「水を飲んでのどの渇きがおさまったのに、熱中症になってしまった」というケースは、塩分を含まない飲み物を飲んだからかもしれません。

塩分を含まない飲み物ばかり飲んでいると脱水症状になる可能性があるので、汗をかいたら塩分を含む飲み物を補給しましょう。

Q.アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の違いとは?

スポーツドリンクや経口補水液などの説明でよく見かける「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」。この2種類の飲料の違いからご紹介しますね。

アイソトニック飲料とは、血液や体液の浸透圧と等しい飲み物のことを言います。
スポーツドリンクなどが該当します。

水分だけでなく、糖分や塩分がバランスよく体に吸収されるのが特徴です。
運動前など、安静時には体液と浸透圧が等しいアイソトニック飲料が吸収されやすくなります。
また、糖分が多いので運動や作業中のエネルギー源として◎です。

代表的なアイソトニック飲料には

  • スポーツドリンク
  • GREEN DA・KA・RA(サントリー)
  • ビタミンウォーター(サントリー)

ハイポトニック飲料とは、血液や体液の浸透圧より低い飲み物のことを言います。
経口補水液などが該当します。

糖分が少なく、塩分が多めなのが特徴です。
運動や作業中など汗をかいて、血液や体液の浸透圧が低くなっているときに吸収がよくなります。

代表的なハイポトニック飲料には

  • 経口補水液
  • SUPER H2O(アサヒ飲料)
  • ヴァームウォーター(明治)

Q.アイソトニック飲料を薄めるとハイポトニック飲料になる?

アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の違いは浸透圧の違いにあります。
では、アイソトニック飲料を薄めるとハイポトニック飲料になるのでしょうか?

たしかに、糖分が多いアイソトニック飲料を薄めると、浸透圧が低くなるので運動や作業中は吸収されやすくなります。
しかし、アイソトニック飲料の糖分は商品によって差があります。
糖分が少ないアイソトニック飲料を薄めると、かえって水分の吸収が悪くなるので、注意しましょう。
薄める際は、栄養成分値をよく確認してくださいね。

熱中症対策に重要な「飲むタイミング」

飲み物が体に吸収されやすいタイミングは飲み物によって異なります。

そのため、先ほどご紹介したおすすめの飲み物にも効果的な「飲むタイミング」があります。
具体的に「運動前」「運動中」「運動後」の3つのタイミングに分けて、具体的にどんな飲み物が効果的かお伝えします。

「運動前」に効果的な飲み物は?

ヨガの水分補給

運動や作業前には、スポーツドリンクなどのアイソトニック飲料をおすすめします。
先ほども説明したように、運動や作業前は安静にしている状態です。
血液や体液も浸透圧が変わっていないので、アイソトニック飲料の方が吸収されやすいのです。

「運動中」に効果的な飲み物は?

運動中の水分補給

運動や作業中は、経口補水液などのハイポトニック飲料がおすすめです。
汗をかいた状態では、浸透圧が低くなります。
スポーツドリンクなどアイソトニック飲料は吸収されにくいので、ハイポトニック飲料の方が適しているのです。

「運動後」に効果的な飲み物は?

「運動後」に効果的な飲み物は?

運動や作業後も、ハイポトニック飲料がおすすめです。
やはり汗をかいて、浸透圧が低くなっている状態なので、ハイポトニック飲料で速やかに水分補給を行いましょう。

シーンに応じて飲み物を使い分けよう

飲み物で熱中症対策をするポイントを最後におさらいしましょう。

  • 塩分と糖分を適度に含む飲み物がおすすめ
  • アルコールやカフェイン飲料は熱中症対策に適していない
  • 汗をかいたときは必ず塩分を含む飲み物を摂る
  • 運動や作業前などはスポーツドリンク
  • 運動や作業中~後は経口補水液

今年も暑い日が続きます。

以上のポイントを抑えて、熱中症対策に役立ててくださいね。

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参考資料

鈴木志保子著「理論と実践 スポーツ栄養学」日本文芸社 2018/7/14

疲れに効くコラム powered by リポビタン「夏バテになった時こそビタミンB1を!」検索日2021/3/11

塩百科「浸透圧・脱水作用」検索日2021/3/11

SUNTORY お客様センター「アイソトニック飲料とは、どのような飲料ですか?」検索日2021/3/11

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