焼く・揚げる・炒めるなど、毎日大活躍のフライパン。
頻繁に使うものだけに、食材がくっついたり焦げついたりすると、結構ストレスですよね。無理にはがそうとして失敗、なんてこともあったり……。
そういう「思い通りにお料理できないなぁ」という経験、ありませんか?
最近では、テフロンなどフッ素加工以外のコーティングで、くっつきにくく長持ちするフライパンも増えてきています。
ダイヤモンドコートやマーブル加工、セラミックなど色々と種類はありますが、正直どれが一番いいのかわかりにくい!
調理ストレスのない、くっつかないフライパンがほしい!
・・・ということで、今回はフライパンのコーティングについて、あれこれ徹底比較・調査していきます。
目次
フライパンの比較実験!「くっつかないフライパンを探せ」
食材がくっついたり焦げ付いたりしないフライパンを調べるために、何をするのかといいますと…
くっついたらすぐに破けてしまう……そんな「うすーくて繊細な薄焼きたまご」を、敢えて油を引かずに焼いてみます。
「くらべルート」のキッチンには、実験材料が勢揃い。
今回は、わが編集部では初めてとなる「調理実験」。
なんだかワクワクしてきましたよ (^^)
実験に使うフライパンをグループ分けしてみよう!
さて、実験に使うフライパンも色々と用意してみました。全部で7種類!
色々なコーティング加工がされたフライパン以外に、鉄フライパンなどコーティング加工されていないものもあります。
フライパンをグループ分けしてみよう
まずはじめに、コーティングの有無で【A】と【B】の2つにグループ分けをしました。
なお、フライパンのサイズはすべて、3~4人分用に最適といわれる26cmのものを選びました。
【A】コーティング加工されているフライパン

ホームセンター、量販店などで、おなじみのフライパンですね。
【B】コーティング加工されていないフライパン

素材そのものに重厚感がありますね。
ぱっと写真をみただけでも、結構さまざまなコーティング加工がありますね。
それぞれどんな違いがあるのか、本当にくっつかないのか、すごく気になります!
【実験1】フライパンのコーティング比較!油なしでもくっつかない?
鉄フライパンやステンレスフライパンなど金属製のものでコーティングがないものに比べると、コーティング加工されているフライパンってくっつきにくいイメージがあるかと思います。
まずは、油をひかずに調理しても大丈夫だと言われている【A】コーティング加工されているフライパンのグループで実験してみましょう。
- チェリオットフライパン(株式会社コーベック)フッ素樹脂加工
- プレジデントストーン(和平フレイズ株式会社)フッ素樹脂加工
- グランマーブル(和平フレイズ株式会社)マーブルコート
- ダイヤモンドマーブルALキャスト(株式会社タフコ)ダイヤモンドコート
- 軽いねセラミック (パール金属株式会社)セラミックコート
実験の様子はこちら ↓ ↓
実験内容と手順


温度を測ったのはこちら。デジタルサーモメーターという赤外線を当てて温度を測る温度計です。



低価格フライパンの実力はお値段以上?
1番手は、①チェリオットフライパン。
ドラッグストアで購入、400円くらいのフッ素樹脂加工のフライパン。
手順通りに進め、たまごの表面が、しっかり固まったところで火を消し、薄焼きたまごとフライパンの間に、フライ返しをそっと入れてみました。
フライ返しは、スルッと入り、薄焼きたまごはくっついていないようす。
フライパンからお皿へ、薄焼きたまごをスムーズにのせることが出来ました。
さて、出来上がりは…
なかなかいい感じに焼けています。
価格が安くてもあなどるなかれ。
他のフライパンと比べるのが、とても楽しみになってきました!
コーティング加工別にチェック!
さて、どんどん焼いていきましょう。
2番手は、②プレジデントストーン。
フッ素樹脂加工で、お値段は2000円前後。
同じようにフライパンの中央を140度まで熱して…
焼きます!
このフライパンも薄焼きたまごはくっつかず、スムーズにお皿にのせることが出来ました。しかも仕上がりがきれい。
3番手は、③グランマーブル。
マーブルコートで、お値段は1000円前後。
薄焼きたまごはくっつきませんでしたが、焼ムラが気になりますね。
次は、④ダイヤモンドマーブルALキャスト。
ダイヤモンドコートで、お値段は1500円前後。
中央がちょっと焦げていますが、こちらも薄焼きたまごはくっつかず!
最後は、⑤軽いねセラミック 。
セラミック加工で、お値段は2000円前後。
こちらのフライパンも、薄焼きたまごはくっつきませんでした。
でも、ポツポツとしたムラが気になります。
結果は、すべてくっつかないをクリア!
油を引かなかったので、薄焼きたまごがくっつくフライパンもあるのでは?と思っていましたが、①~⑤のフライパン、すべて薄焼きたまごはくっつきませんでした。
さすが、コーティング加工!恐れ入りました。
ここで、出来上がった薄焼きたまごをまとめて見てみましょう。
フライパンによって、こんなに違いが出るとは思っていませんでした。
これって、コーティング加工の違いが関係してるの?
・・・というわけで、コーティング加工の種類とそれぞれの違いについて、もう少し詳しく調査していきたいと思います。
コーティングの違いを徹底調査
くっつきにくいと評判のコーティングフライパンの実力を試すべく、今回の実験では油をひかずに薄焼きたまごを焼いて仕上がりを比べました。
結果は、すべてくっつかず!
みんなくっつかなかったけど、コーティングの種類はそれぞれ異なります…
これじゃあ、あまり違いがわからないですよね。
・・・ということで、次はフライパンのコーティングについて徹底調査をします!
コーティングによる違いをチェック!
先ほどの実験でも使用した、表面がコーティング加工されているフライパン。
- チェリオットフライパン(株式会社コーベック)フッ素樹脂加工
- プレジデントストーン(和平フレイズ株式会社)フッ素樹脂加工
- グランマーブル(和平フレイズ株式会社)マーブルコート
- ダイヤモンドマーブルALキャスト(株式会社タフコ)ダイヤモンドコート
- 軽いねセラミック (パール金属株式会社)セラミックコート
5つのフライパンを見て、ひと目でわかる違いといえば色!
セラミックコートの⑤軽いねセラミックは白い!ひときわ目立ちます。
それではまず、⑤軽いねセラミック以外の4つのフライパンを見てみましょう。
色は違うし、石目模様のようなフライパンもある…
実は、これら4つのフライパンは、みんな「フッ素樹脂加工」の仲間。
くっつきにくいフッ素樹脂で、フライパンの表面を加工するというベースは同じなんです。
えっ…マーブルコートや、ダイヤモンドコートも、同じフッ素樹脂加工なの?気になる…
ということで、フッ素樹脂加工について詳しく調査!
フッ素樹脂加工フライパンの歴史と進化
フライパンの表面加工の中では、よく耳にする「フッ素樹脂加工」という言葉。
始まりは、1960年代にアメリカのデュポン社が発売したフライパンでした。
「テフロン加工のフライパン」って、どこかで聞いたことありませんか?
結構耳にするなあと思われた方も多いと思います。
実は「テフロン加工」というのは商標名で、デュポン社の「フッ素樹脂を使った加工のこと」を指します。
ということは、つまりテフロン加工とフッ素樹脂加工は、コーティングの種類としては全く同じことなんですね。
「テフロン加工」という名前があまりにも一般化されているので、違う加工として認識されていた方もいるのでは?
ではでは、マーブルコート加工とダイヤモンドコート加工はどうなんでしょう?
こちらも1つずつ特徴を見ていきましょうね。
フッ素樹脂加工の進化系?マーブルコートの特徴
まずは、マーブルコートから。こちらは、③グランマーブル。
マーブルコートのマーブルとは大理石のことで、フッ素樹脂加工に大理石の粉が混ぜ込まれています。表面をじっくり見てみましょう。
表面の白い粒状のものが大理石の粉、マーブル。
粒子が硬いので、フッ素樹脂加工だけのものより、フライ返しやヘラなどのキッチンツールとの摩擦に強いといえます。
ダイヤモンドコードはくっつかない+コーティングの耐久性に注目!
お次は、ダイヤモンドコート。④ダイヤモンドマーブルALキャストです。
ダイヤモンドコートは、フッ素樹脂加工にダイヤモンド粒子が混ぜ込まれています。
このフライパンは、マーブルコートとダイヤモンドコートが、ダブルで加工されています。わかりにくいですが、白い粒状がマーブルで、矢印の先、青い小さな粒状のものがダイヤモンド。
ダイヤモンドは、硬い物質ですから、ダイヤモンドコートは、さらに摩擦に強いといえますね。
マーブルコートもダイヤモンドコートも、コーティングの強度や耐久性をアップするため、フッ素樹脂加工に、硬い大理石やダイヤモンドを混ぜているんですね。なるほど…
コーティングが何層かをチェック!
フッ素樹脂加工の進化形、マーブルコートとダイヤモンドコートのそれぞれの特徴をあげたものの、ご紹介したフライパンはあくまでも一例。
メーカー各社が、オリジナルの技術で加工されているので、マーブルコートだから、ダイヤモンドコートだからこうだ…という絶対的な性能の違いは、はっきりいえないのが現実。
「じゃあ、使ってみないとわからないじゃない!」
と思われるかもしれませんね。
確かにそうですが、フライパンを購入される際は、ここをチェック!
それは、コーティングが何層か?という点。
例えばこちらは、④ダイヤモンドマーブルALキャストのパッケージ。
熱伝導が良いアルミ本体に、内面5層、外面3層のコーティングがされていることが記載されています。
特に内面が何層かは重要。コーティングが剥がれると、お料理がくっつきます。
使い方にもよりますが、層が多いほど、コーティングは長持ちすると考えられます。ご参考までに。
フッ素樹脂加工(コーティング)のフライパンは消耗品?
【実験1】で使用したフライパンは、みんな新品!薄焼きたまごがくっつかなかったのは、当たり前かもしれません。
ということで、当社スタッフ1年使用の ④ダイヤモンドマーブルALキャストが登場!
うーん、使い込まれた堂々たる風格。新品のものとは内面の色がぜんぜん違いますね。コーティングが剥がれていると考えられます。
同じように油を引かず、薄焼きたまごを焼いてみました。さて…
薄焼きたまごはくっついてしまい、フライ返しで、ガリガリっと!
なんという無残な姿…
油を引けばなんとかまだ使えそうですが、調理ストレスがたまりそうですね。
コーティングが剥がれる原因と長持ちさせるための使い方
コーティングが剥がれる原因のひとつは、フライパンで作った料理をすぐにお皿に盛りつけないで、しばらくフライパンに入れたまま置いておくこと!
フッ素樹脂は、熱伝導を良くするために、薄く塗装されていて、目には見えない小さな小さな穴があいています。
その穴から油や塩分がどんどん樹脂の下に入り込んで、本体をあらし、コーティングを壊していくんだとか……。
温め直すために、そのままお料理を置いておく。洗い物減らしたいし、大皿の代わりになるし!なんてこと、私もよくあります……。
でも、フッ素樹脂加工のフライパンを長持ちさせたいなら、一度、フライパンの使い方の見直しをしてみるのもいいかもしれませんね。
セラミックコートとフッ素樹脂加工の違いを徹底調査!
さて、続いてはセラミックコートvsフッ素樹脂加工!ということで、特に人気のこの二種類のフライパンの違いを調査したいと思います。
耐熱性や熱伝導による余熱時間の違いや安全性など、コーティングによる気になる違いを、比較実験しながら調べていきます。
セラミックコートのセラミックって?
セラミックを広い意味でとらえると、陶磁器や、レンガ、セメントなどもそう。
フライパンのコーティングとしては、新しいセラミックですが、歴史はとても古いんです。
約1万年前、農耕が始まったころには、土をこねて焼いた鍋や器が使われていました。硬くて耐熱性に優れているので、昔から、暮らしを支えてきた素材なんですね。
フライパンコーティングのセラミックには、そんな歴史がベースにあります。フライパンだけでなく、他のキッチングッズにも、セラミックが使われているものがありますよね。例えば、包丁や、ピーラーの刃。
こういったセラミックの製品には、硬くて耐熱性に優れているといった長所を、さらに引き出すために、人工的な原料や工程を加えています。
ファインセラミックといって、陶磁器などの自然なセラミックとは、区別されることもあるみたいです。
でも、はっきりした決まりはないので、「セラミック=陶磁器」と理解してもいいですね。
だとすると、フッ素樹脂加工は、その名の通り樹脂だから、セラミックコートとは、素材そのものがぜんぜん違う…!?
というわけで、気になる違いを先ほどとは別の実験で、調査していきたいと思います。
【実験2】セラミックコートvsフッ素樹脂加工!熱伝導がよいのはどっち?
今回注目するのはフライパンの「熱伝導」。つまり、どのくらい熱が伝わりやすく、すぐに熱くなりやすいかを調べていきます。
熱伝導率が高いと、食材に早く火を通しやすいため良いことのように思えますが、一方で、熱が回りやすいということは食材が焦げ付きやすいとも言えるんです。
今回の場合は「くっつかない」「焦げ付かない」をテーマにしているので、とても大事なポイントですね。
先ほどの【実験1】では、薄焼きたまごを焼いた際に、フライパンの中央の温度が140度になってから、たまごを投入したのですが…
140度になるまで時間が、フッ素樹脂加工のフライパンより、セラミックコートのフライパンの方が、少々長かった印象。
ということで、1分間!と時間を決めて、フライパンの温度が何度まで上がるのかを調べてみることにしました。
比べるフライパンはこの3点。
①チェリオットフライパン【株式会社コーベック】フッ素樹脂加工
②グランマーブル【和平フレイズ株式会社】フッ素樹脂加工(マーブルコート)
③軽いねセラミック 【パール金属株式会社】セラミックコート
※【カッコ】の中はメーカー名、以下省略。
3つのフライパンの本体は、すべて熱伝導が良いといわれるアルミ素材。
裏側の形状もよく似たものをピックアップ。
温度計測には、デジタルサーモメーターという、赤外線を当てて温度を測る温度計を使います。
【実験手順】


さて、何度くらいになるんでしょう?
セラミックコートとフッ素樹脂加工とでは違いはあるの?
最適な予熱時間と温度を知ろう!
3つのフライパンの温度計測が終わり、結果を表にまとめました。
フッ素樹脂加工の①チェリオットフライパンと②グランマーブルは、たった1分間熱しただけで、200度超え。
セラミックコートの③軽いねセラミックは、フッ素樹脂加工の2つのフライパンより、25度ぐらい低いですね。
フライパン調理の温度の目安は、お料理にもよりますが、140度から180度ぐらい。
セラミックコートの③軽いねセラミックは、中火だと予熱時間は、1分間がちょうどいいかんじ。
フッ素樹脂加工の2つのフライパンは、中火だと、1分より短くていいみたいですね。
コーティングの耐熱温度は?
実験の結果、フッ素樹脂加工のフライパンは、1分間熱しただけで、200度を超えました。
『すぐに温度が上がっていいじゃない!』
と思われるかもしれませんが、実はこれは、注意しなければならないポイント!
実はコーティングには、「耐熱温度」があります。
フッ素樹脂は、あくまでも樹脂なので、耐熱温度は、250度前後。
熱し続けると、有害なガスが発生するともいわれています。
セラミックコートの耐熱温度は、さすが焼き物!400度前後。
フッ素樹脂のように、ガスが発生することはないので、安全性では優れています。
400度って、ふだんのお料理シーンでは、なかなか遭遇しない高温。
例えば、あの石窯で焼くピザの石窯の温度が400度くらいだそう。
だったら、ちょっとぐらい熱しすぎても大丈夫?
いえいえ、それは違うんです。
コーティングがダメになる理由とは?
セラミックコートのように、耐熱温度が高くても、予熱のしすぎはNG!
実験では、何度も熱して、フライパンは空だき状態。フライパンを酷使しすぎました。
フライパンを空だき状態にするのは、コーティングを劣化させる原因のひとつ。
これは、フッ素樹脂加工にも、セラミックコートにもいえることです。
こちらは、フッ素樹脂加工の②グランマーブルの説明書。
空だき厳禁、火力は中火以下で使用と記載されています。
そうなんです。火加減も注意すべきポイント!
セラミックコートの③軽いねセラミックの説明書にも同じ内容が記載されていました。
気をつけなければいけない火加減!
中火の目安は、火の先端がフライパンの底につくぐらい。
このぐらいまでの火加減で調理するのが、コーティングフライパンでは必須。
ガスの火は1000度以上。熱すると、フライパンは膨張します。
本体とコーティングの膨張具合いが違うので、急激に熱するとコーティングが剥がれやすくなってしまいます。
なるほど…
ちなみに、弱火は、火元から、フライパンの底までの半分くらいの高さ。
火加減を守ることは、コーティングを長持ちさせるだけでなく、エコにもつながりますね。
一度、フライパンの説明書をじっくり読んでみるのもいいかもしれません。
きっと「それ知らなかった!」なんて、意外な発見がありますよ。
【実験3】鉄vsステンレス比較!焦げ付かせずに調理できる?
最後の比較は、コーディング加工のないフライパン・・・「鉄」とステンレス。
「コーティングがないとお料理がくっつきやすそう」
「焦げ付きやすいのでは?」
・・・さて、本当のところは?
どんなふうになるのか、実際に薄焼き卵を焼きながら比べていきたいと思います。
コーティングなしのフライパンの素材の種類って?
コーティングのないフライパンってどんなものがあるんでしょう?
「くらべルート」では、2つのフライパンをピックアップ。
①ネオキャスチール(株式会社タマハシ) 鉄製
②ビタクラフト オレゴン(ビタクラフトジャパン株式会社)ステンレス製
(カッコ)の中はメーカー名、以降省略します。
鉄とステンレス!存在感たっぷりですね。
コーティングがはがれるといった心配がないので、一生ものともいわれるフライパン。
まずは、それぞれのフライパンのポイントからみていきます。
鉄製フライパンのポイント!
鉄のフライパンを使いはじめる時は、「空焼き」をしてから「油ならし」をするという、ちょっとした準備が必要。カンタンにご紹介しておきます。
- 空焼き(からやき)の方法
- 油ならしの方法
酸化被膜をつくり、油をなじみやすくするために、フライパンが玉虫色になるまで、強火で空焼きし、火を止めます。
フライパンが手で触れるくらいに冷えたら、油をフライパンの3分の1くらいそそぎ、弱火で5分くらい熱します。そのあと、油を油ポットに戻して、キッチンペーパーで、油をすりこみます。

強火や、空焼き、油をすりこむなど…フッ素樹脂加工などの、コーティングがあるフライパンの使い方とは、真逆。ちょっと手間だなとも思うことも…
空焼きがいらない鉄フライパンもある
先ほど実験に使うフライパンとして紹介した鉄製の①ネオキャスチール。
このフライパンはシリコンが塗装してあるので、「空焼き」と「油ならし」がいりません。
予熱をしてから、油を塗って使うことを繰り返すうちに、酸化皮膜ができて、くっつきにくいフライパンになっていくんだとか。
これなら、特別な手間はいらないですね。
また、あらかじめ空焼きされてある鉄フライパンもあるそうですよ。ちょっとおっくうだなと思っている方は、ぜひチェックを!
ステンレス製フライパンのポイント!
こちらは、ステンレス製の②ビタクラフト オレゴン。
持ってみると、鉄フライパンも重いですが、こちらは、さらにずっしりという感じ。
ステンレス製とはいうものの、2層のステンレスの間に3層のアルミがはさまれている全面多層フライパン。
熱伝導のよいアルミと、耐久性のよいステンレスが合体したフライパンなんですね。
水滴が転がったら予熱OK!
②ビタクラフト オレゴンのパッケージを開けて、目に飛び込んできたのはこちら。
水滴がコロコロ転がる状態が、予熱OKのサイン!なんだか、楽しくなりますね ♪
これは、ビタクラフトに限らず、ステンレス製の多層フライパンでは、共通のポイントです。こちらは、フィスラーの説明書。同じ内容が記載されています。
なるほど…水滴が転がる=予熱完了なので、とてもわかりやすい合図。これなら、迷わずに調理がスタートできますね ♪
さらなるポイント!油は引く?引かない?
コーティングのないフライパンには、材質によって、調理前の下準備や、予熱の方法が様々だということが分かりました。
でも、コーティングがないから、油は引いて調理するよね?これは、鉄もステンレスも同じ?
いえ、そうでもないんです!そこには、さらなるポイントが…
鉄製フライパンは油を必ず引きます ↓ ↓
ステンレス製フライパンは、料理によって、油を引くときもあれば、引かないときもあります…
えっ??どういうこと?
ステンレス製フライパンの無油調理とは?
実は、ステンレス製の②ビタクラフト オレゴンは無油調理ができるフライパン。お肉などを焼くときは、お肉自体の油のみで調理ができるので、はじめに油を引かなくてもいいのです。
余分な油を使わないので、ヘルシーですね。ただ、食材自体に油分がないものはダメ。
例えば、たまご料理や、ホットケーキなどは、油を引くのが必須です。
ポイントをおさえれば、金属製フライパンでもくっつかない!
鉄製、ステンレス製のフライパンのポイントをおさえたところで、くっつかないかを調べるために、薄焼きたまごを焼く実験をします。
実験の様子はこちら ↓ ↓
実験内容


それぞれの「正しい使い方」で実験
この実験では、それぞれのフライパンの正しい扱い方に沿って使っています。
鉄製の①ネオキャスチールは、油を引いて、中火で140度になったら、たまごを入れました。
フライパンの温度測定には、デジタルサーモメーターという赤外線を当てて温度を測る道具を使用。
たまごの表面が固まったところで、フライ返しを、そーっと入れてみました。
くっついていない様子。お皿にスムーズに移すことができました。
さて、薄焼きたまごの仕上がりは…
少し、焦げ目ができていますね。中火だと、火力が強いのかもしれません。
次は、ステンレス製の②ビタクラフト オレゴン。油を引いて、2分たったら、水を落としてみました。
本当に水滴が、コロコロ転がったー。予熱OKのサイン出ました!
ということで、たまごを入れて焼いていきます。
たまごの表面が固まったところで、フライ返しを入れてみると…
②ビタクラフト オレゴンも、薄焼きたまごはくっつかず!お皿にスムーズに移すことが出来ました。
焼きムラもなく、きれいな仕上がり。とてもおいしそうです(^^)
仕上がりの結果は…
鉄製フライパンも、ステンレス製フライパンも、ポイントをおさえれば、くっつかない!はクリアできそうですね。
実験結果を表にまとめて見てみましょう。
仕上がり結果には、ずいぶん差が出ました。
フライパンの材質によって、熱の伝わり方に違いがあるようですね。
その違いが分かれば、もっとうまくフライパンを使いこなせるはずです。
【実験4】どちらも見逃せない!フライパンの熱伝導&熱効率
鉄とステンレスでは、調理の仕上がりにだいぶ大きな差が出ましたね。
ここからは、さらに詳しく熱伝導性や熱効率についても実験しながら調査していきます。
先ほどの【実験3】では、コーティングのない2つのフライパンで薄焼きたまごを焼きました。
①ネオキャスチール(株式会社タマハシ) 鉄製
②ビタクラフト オレゴン(ビタクラフトジャパン株式会社)ステンレス製
(カッコ)の中はメーカー名、以降省略します。
結果をおさらいすると、①②のフライパンともにくっつくことはなかったものの、薄焼きたまごの仕上がりには、ずいぶん差がありました。
同じ中火で焼いたのに、①ネオキャスチールの薄焼きたまごには、焦げ目がつきましたね。
焦げ目がついたらダメ!ということではないですよ。少し焦げ目がついたほうがおいしいメニューもありますもんね。例えば、ハンバーグとかステーキとか(^^)
でも、どうして焦げ目がついたのか気になる…
無視できないのは、フライパンの材質。材質によって、熱の伝わりやすさが違うんです。ということは、焦げ目がついた鉄のほうが熱が伝わりやすいってことだよね?
鉄vsステンレス!熱の伝わりやすさを比較
鉄のほうがステンレスより熱が伝わりやすいって、ほんと?ということで、いざ実験!
実験内容
鉄製の①ネオキャスチールと、ステンレス製の②ビタクラフト オレゴンを1分間熱して、温度を計測してみます。鉄の方が温度が高ければ、熱が伝わりやすいといえますね。
温度計測には、デジタルサーモメーターという、赤外線を当てて温度を測る温度計を使用。
実験の手順はこちら。
①フライパンを、1分間中火で熱します。
<②フライパンの中央と、ふちに近い部分の温度を測ります。
中央とふちに近い部分の2ヶ所を計測することで、フライパン全体に、熱が伝わっているのかどうかをみます。
赤い光が見えますね!ふちに近い部分はこのあたり。
こんなにも違う!衝撃の結果
結果はこうなりました。
鉄製の ①ネオキャスチールは、中央の温度が、169.0度、ふちに近い部分の温度が、113.6度でした。
中央とふちに近い部分の温度差を計算すると、169.0-113.6=55.4なので55.4度。
温度の差が結構ありますね。でも、ガスの火元から近いフライパン中央と、ガスの火元から遠いフライパンのふちに近い部分に、温度差があるのは当然といえば当然。
ステンレス製の ②ビタクラフト オレゴンは、中央の温度が、42.9度で、ふちに近い部分の温度が、37.5度。中央とふちに近い部分の温度差は、5.4度でした。あまりにも温度が低くてびっくり!
それに、中央とふちに近い部分の温度の差が5.4度ですよ!温度差が小さいことにもびっくりです(・o・)
熱が伝わりやすいのはステンレスより鉄!
実験結果を表にまとめました。
鉄製の①ネオキャスチールは、ステンレス製の ②ビタクラフト オレゴンより、圧倒的に熱が伝わりやすいということが分かります。
中火で1分間熱すれば、食材を入れる予熱温度としては最適。
ただ、このまま中火で熱し続けると、熱が伝わりやすいので、どんどん温度が上昇するということに…
調理する際、食材を入れると、いったんフライパンの温度は下がりますが、火加減には注意が必要。焦げの原因になります。
熱効率に優れたステンレス!
ステンレス製の ②ビタクラフト オレゴンの、中央の温度は42.9度と、手で触れるくらいの温度。鉄製の①ネオキャスチールより、温度が伝わりにくいことが分かりました。
でも、中央とふちに近い部分の温度差5.4度に注目!鉄製の①ネオキャスチールの温度差55.4度とは、比べものになりません。
温度差が小さいのは、フライパン全体に、まんべんなく熱が伝わっている証拠。これ、すごいことです!
薄焼きたまごの、きれいな仕上がりもうなずけます。ステンレスは、熱は伝わりにくいけど、熱を効率よく伝えてくれる材質なんですね。
特に、 ②ビタクラフト オレゴンのようなステンレス製で多層のものは、なおさらです。
「予熱に時間がかかりそう」と心配されるかもしれませんが、中火で2分間熱すれば、調理がスタートできます。
ご安心下さい(^^)
熱伝導が良い=熱が伝わりやすい
実験では、フライパンを熱して温度をはかり、熱の伝わりやすさを比べたわけですが、熱の伝わりやすさは、熱伝導率という値で表され、物理の公式で計算できるそうです。
フライパンのキャッチコピーで、「熱伝導が良い」や「熱伝導性に優れた…」って、よく目にしませんか?
熱伝導とは、温度の高いほうから低い方へ、熱が移動するということ。
実験に当てはめると、ガスの火の熱が、フライパンへ伝わって移動していくということです。
「熱伝導が良い」とは、熱が伝わりやすいということ。
今回の実験では、ステンレスより鉄のほうが熱伝導が良いということが分かったわけです。
鉄よりも熱伝導が良いアルミ!
他に熱伝導が良い材質は?いうと、アルミがあげられます。
実験でも使用していたフッ素樹脂加工のチェリオットフライパン(株式会社コーベック)の本体の材質はアルミ。中火で1分間熱した時の中央の温度は、201.7度でした。
コーティングのあるフライパンは、本体にアルミが使われていることが多く、こちらのグランマーブル(和平フレイズ株式会社)も本体はアルミ。
中火で1分間熱した時の中央の温度は、200.4度だったので、鉄よりもアルミは熱伝導が良いといえますね。
まとめ
フッ素樹脂加工をはじめとするコーティング加工されたフライパンのそれぞれの特徴や、材質・加工の違いによる料理の出来上がりの違いについて色々とみてきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回のさまざまな実験を通して、フライパンの材質によって熱の伝わり方に違いが出ること、熱伝導(熱効率)の実験では熱が伝わりやすいのはステンレスよりも鉄だということが分かりました。
意外と深いフライパンの世界! 今度新しいフライパンを探す際にはぜひ、材質だけでなくコーティングの種類やコーティングの層の数なんかもチェックしてみてくださいね♪
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