電子レンジで蒸し料理ができるシリコンスチーマーや繰り返し何度も使えるシリコン製のお弁当カップ、フライパンや鍋を傷つけないシリコン製のおたまやフライ返し、調理スプーンなど…。
耐熱性があり、しなやかで使いやすいシリコン製のキッチン用品は、とっても人気ですよね。
一方で、個人差や製品による差もありますが、シリコン特有のニオイや、調理後の食品のニオイ、洗ったときの洗剤のニオイなどが気になるという、お悩みの声も…。
今回は気になるニオイをすっきりと落とすための方法やコツ、おすすめの洗剤などを実際にあれこれ検証しながらお伝えします。
特有のニオイが気になる?便利なシリコン調理器具
いためたり、混ぜたり、すくったりと便利な「シリコンスプーン」。一つで何役もの仕事をしてくれる万能調理器具で、我が家でも以前から愛用しています。
また、身近なシリコン製品といえば、洗って何度も使えるシリコンカップ。こちらも、お弁当のおかず入れに使うと経済的で便利ですよね。
どちらもシリコンゴムの素材でできていて、便利なアイテムです。


台所用洗剤や漂白剤だけでは、残念ながら完全にニオイが取れずに残ってしまいます。
シリコン製品の「気になるニオイをすっきりと落として使いたい」……ということで、今回は身近な調理器具の中から、シリコンカップやシリコン調理スプーンのオススメの洗い方を色々と検証し、ベストな方法をご紹介します。
【検証1】使用前の「シリコンカップ」のニオイ取り
薬味入れやお弁当の作り置きに、利用できるシリコン製のケース・カップ。冷凍保存でき、電子レンジや食洗器で洗えるので人気のアイテムです。
↓のお弁当用のおかずケースは、ひだが大きく凸凹部分が少なく汚れが入り込まないので、お手入れもしやすい形状。
ただ少し気になるのが、開封したあとのシリコン製品特有のにおい。
パッケージに書かれた使用上の注意では、中性洗剤で柔らかいスポンジで洗うことをオススメされています。
また、「みがき粉」の使用は、なるべく避けるようにという注意書きも書かれています。
台所用合成洗剤でシリコン製品を洗うと、洗剤の香りがついてしまうので、無香料タイプの洗剤で洗うのがベストです。
ここでは、家にあるもので、それでもゴムのようなシリコン特有のニオイが気になる時の対処法を調べます。
一般的なシリコーンゴムは固めるために硬化剤(触媒)が必要になります。この硬化剤に用いられる有機過酸化物がシリコン製品特有の「におい」の原因であると言われています。なお、硬化剤に白金(プラチナ)化合物を使用した「プラチナシリコーンゴム」による製品も見られ、こちらはほぼ無臭です。
※法令の最新情報は「厚生労働省法令等データベースサービス」をご確認ください。
シリコンのニオイ取りの検証方法
今回の検証で使用したのは、5種類の洗剤。
これらを、同じ量の水に同じ量を溶かしました。
また、重曹水にクエン酸を混ぜて発泡したもの(中性)も一緒に実験してみました。

成分は炭酸水素ナトリウムで、弱アルカリ性。粒子が荒く、研磨効果が強い。

かんきつ類や梅干しなどに含まれる酸味成分。無色無臭の安全な物質で、アルカリ性の汚れに効果的。

重曹と炭酸ナトリウムで構成された、アルカリ濃度が高めの洗浄力が強い洗剤。ほぼ無臭。

主成分である「過炭酸ナトリウム」は酸素の力で汚れを分解するのが特徴で「油の分解」「除菌」「漂白」の3つの力をもっている。弱アルカリ性。

重曹とクエン酸を組み合わせたときに発生する泡の力で消臭できないか検証。

上の写真のように、それぞれの洗剤にシリコンカップを漬けおきします。
2時間つけ置いた後のニオイの変化は?
漬けおきした時間は約2時間。
その結果、クエン酸・重曹・クエン酸+重曹は、ニオイが残ってしまうという残念な結果になりました。
セスキは少しニオイが軽減し、オキシクリーンはニオイがだいぶ減りました。
- クエン酸
- 重曹
- クエン酸+重曹
- セスキ(少し軽減)
- オキシクリーン(だいぶ減った)
ただ、2時間も漬けおきするのは大変なので、今度はもっと短時間で洗えるものがないかを検証してみます。
漬けおきしなくても、ニオイが取れる洗剤は?
短時間で洗えそうな洗剤として、ご家庭にありそうなものを選んでみました。
- 台所用洗剤「キュキュット」(弱酸性・香料あり)
- 台所用洗剤「ヤシノミ洗剤」(中性・香料なし)
- クレンザー「クリームクレンザー」(弱アルカリ性・クリームタイプ)
- クレンザー「ハイホーム」(弱アルカリ性・半練りタイプ)
- 固形石鹸(弱アルカリ性)

1本で、スポンジ・まな板の除菌・除渋・除臭・くすみ落としの4つの効果をもつ台所洗剤。液性は弱酸性。グレープフルーツの香り。

ヤシの実由来の洗浄成分でつくられた手肌を刺激する事なく、力強い洗浄力を発揮する台所洗剤。無香料、無着色。液性は中性。

界面活性剤によって浮き出た汚れを、研磨剤で削り落とす洗剤。こまやかな粒子ですすぎも簡単なクリームタイプ。液性は弱アルカリ性。使用したのは研磨剤(50%)のもの。

無香料・無着色。高純度。純石けん分(98%脂肪酸ナトリウム)
これらの洗剤を、それぞれ直接シリコンカップに塗りつけて優しく洗います。
キュキュット
香りつきの食器用洗剤を利用したものは、やはりシリコンカップに洗剤の香りが強く残ってしまいました。
ヤシノミ洗剤
無香料のヤシノミ洗剤は、洗剤のニオイはつきませんが、シリコンカップ自体のニオイを減らせませんでした。
ですが、もし日頃のシリコン製品のお手入れ用に中性洗剤を使われるのであれば、ニオイうつりの心配がない無香料のヤシノミ洗剤がオススメです。
クリームクレンザー
クリームクレンザーは優しくカップ全体に広げるようにして伸ばします。しっかりすすげばニオイがほとんど残りませんでした。
ハイホーム
ハイホームも半練りタイプのクレンザーですので、優しく伸ばしながら洗います。
ほとんどニオイが残りませんでしたが、粘度があるため少しすすぎにくかったです。
固形石鹸
固形石鹸も、ニオイがほとんどなくなりました。
【検証1】シリコンカップの洗浄実験まとめ
やはりシリコン製品を洗う場合は香りつきの食器用洗剤を使うと洗剤の香りが残ってしまうので、避けたほうが良いという結果になりました。
また、重曹などによる漬けおきも、時間がかかるわりにニオイが取れませんでした。
漬けおきするのであれば、オキシクリーンかセスキがオススメです。
- セスキ
- オキシクリーン
- クリームクレンザー
- ハイホーム
- 固形石鹸
研磨剤を含んだ洗剤を利用するとシリコン表面が傷つく可能性があるので、頻繁に利用するのはオススメしません。
そう考えると、固形石鹸がもっともニオイ取りには優れていますね。
【検証2】調理後のシリコン調理スプーンのニオイ取り
わが家では、無印良品の「シリコン調理スプーン」を愛用しています。
とても便利ですが、やはり調理後に食品の香りがつきやすいのが難点。
特にカレーライスの場合は独特のスパイスの香りが残りやすいので、今回の実験ではあえてカレーのニオイを強くつけた状態で検証を行いました。
検証方法
さきほどの実験と同じように重曹、セスキ、クエン酸、オキシクリーン、重曹+クエン酸、に4時間漬けおきしました。



続いて、他の洗剤でも試してみます。
使ったのは、香料なしの食器用洗剤(中性)、クリームクレンザー(弱アルカリ性)、ハイホーム(弱アルカリ性)、固形石鹸(弱アルカリ性)。
それぞれの洗剤でシリコンスプーンを洗ってから、すぐに香りを確かめました。
固形石鹸はカレーの油分はしっかりとれましたが、肝心の気になるスパイスの香りは残りました。
ニオイが残りにくかったのは、クリームクレンザーとハイホームでした。


【検証2】調理後のシリコンスプーンのニオイ洗浄まとめ
シリコンカップの実験より、強力で手ごわかったカレーのニオイつきのシリコン調理スプーン。
漬けおきでは、すべてカレーの香りがほとんど残ってしまう結果になりました。
シリコンカップの実験では有効だったセスキとオキシクリーンも、カレーのニオイには勝てませんでした。
効果が見られたのは粒子の細かいクレンザー類
研磨材入りのクリームクレンザーとハイホームが、今回も健闘。
どちらも研磨剤の細かい粒子が、目に見えない隙間まで入り込んだ油分やスパイスを取り除いてくれたようです。
より表面に傷をつけにくいという意味では、半練り状態のハイホームより、クリーム状のクリームクレンザーの方が安心かもしれません。
ただし、粉末状や半練りタイプより粒子が細かいとはいえ、クリームクレンザーも研磨剤を含んでいるので、毎日こすると傷がつき素材を劣化させてしまいます。
カレーのニオイがついて、どうしても気になる場合の最終手段にしましょう。
一度で完全に無臭に戻すのは難しい
ただしクリームクレンザー、ハイホームの場合でも、完全にカレーのニオイがなくなるのではなく、スパイス臭が微かに残る感じです。
一度にニオイを完全に取ろうとせず、何度かにわけて挑戦すると取れてきます。
シリコンカップの実験では有効だった固形石鹸も、シリコンスプーンについたカレーのニオイまでは取れませんでした。
最後に
シリコンカップの使用前のニオイは、比較的かんたんに落ちました。
傷をつけずにオキシクリーンかセスキで漬けおきか、固形石鹸で洗うのがオススメ。
研磨剤入りのクレンザー類は、ここぞという時のみに使用します。
カレーのスパイス臭は、結構がんこで、なかなか汚れが落ちませんでした。
ニオイが減ったのは、研磨材を含むクレンザーのみという結果に。
カレーにかかわらず、強い香りの料理やスパイスを使用する料理の時は、できるだけ食品や調味料に触れる時間を短くし、使用後すぐに洗えばニオイがこびりつくのを避けられるようです。なるべくクレンザーを使用する機会がグンと減るように、普段から気をつけて使ってみてくださいね。
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