整理収納アドバイザー、住宅収納スペシャリスト、クリンネスト2級。「家事は素早くラクに!」をモットーに、家事が時短になるテクや片付けに関する記事を「ESSE-online」「収納マガジン」などで多数執筆。
防災グッズや備蓄品について、「どこにどうやって置いたらよいかわからない」と思っている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は備蓄品を収納するときのコツを
そこで今回は、防災グッズや備蓄品の収納方法についてまとめました。収納ケースの選び方やおすすめアイテムもあわせて紹介しています。
備蓄品を収納するときの基本的な考え方
まずは防災グッズや備蓄品を収納するときの基本的な考え方を解説する前に、どういったものをそろえればいいのかから説明します。
防災グッズ・備蓄品としてそろえた方がよいものは?
必要最小限、必要とされているものをリストアップすると以下になります。
▼防災グッズ・備蓄品リスト
- 飲料水(一人1日3リットル必要。最低3日分はそろえる)
- 食料品
- 乾電池・モバイルバッテリー
- スマホ
- 簡易トイレ(避難所は混雑するため)
- ラジオ
- 懐中電灯・ライト・ランタン
- ホイッスル(居場所を知らせるため)
- 常備薬・救急セット
- ヘルメットor防災頭巾
- 皮手袋・軍手(けがの防止のため)
- 毛布・アルミブランケット・カイロなどの防寒具
- タオル・ウェットティッシュ
- 現金など貴重品
- 生理用品
- マスク、手指消毒用アルコール
- 衣類・下着
- マウスウォッシュなど洗面用品
- ライター・マッチ
- ラップ・ビニール袋
上記は以外にも、自分の家族にとって必要なものも一緒にそろえるようにしましょう。
赤ちゃんのおむつや粉ミルク、お子さまが落ち着ける「大好きなもの」、ペットのご飯や消臭剤、補聴器やお薬手帳など……身を守るものだけでなく、自分だけの「必需品」も確認しましょう。
防災グッズを収納するときの5つのポイント
備蓄品・防災グッズを収納するときのポイントは5つです。
- いざというときにすぐに取り出せること
- 持ち出し用と自宅待機用の2つを用意すること
- モノが落下したり家具が倒れても、持ち出せる場所に収納すること
- 自宅待機用の備蓄品は、リスクを回避のためまとめて収納しない
- 飲料水や食品の備蓄は「ローリングストック」で管理すること
防災グッズや備蓄品を「どこに」「どのように」収納すればよいか、具体的にみていきましょう。収納場所と収納方法を決めるポイントも5つあります。
「非常持ち出し袋」はすぐに取り出せる場所に収納する
緊急時にすぐに必要な非常用持ち出し袋。すぐに取り出せることが条件です。
「非常持ち出し袋」の収納場所は?
玄関や廊下に収納しても構いませんが、災害時に玄関や廊下までたどり着けないこともあり得るので、普段過ごしている部屋との距離が近いことが条件です。その意味で、リビングや寝室に収納しておくのが望ましいです。リビングなら収納棚、寝室ならクローゼットなどが収納場所として適しています。
「非常持ち出し袋」の収納ポイントは?
また、非常用持ち出し袋を収納ケースに入れてしまうと、ケースから取り出す時間のロスが生じます。緊急時にはわずかな時間のロスが命取りになってしまうかもしれません。ですから、非常用持ち出し袋はすぐに持ち出せるようにそのまま置いておくことが重要です。
悪目立ちしないおしゃれな防災リュックならインテリアにも馴染むので、壁面フックにそのまま掛けておくのもありです。
使う場所・持ち出しやすい場所に収納する
「使う場所」「持ち出しやすい場所」に収納するのが基本です。非常用トイレはトイレに……といったように、一部の防災グッズは、その場で使う場所に収納しておくとよいでしょう。
こうしておけば、災害時に気が動転していても防災グッズや備蓄品があることを忘れることもなく、すんなりモノを取り出すことができます。
<収納するモノと場所の一例>
- 非常用トイレ→トイレ
- 懐中電灯→ベッド脇か下
- スリッパ・靴→ベッド脇か下
備蓄品は、分散収納する
1箇所にすべての防災グッズをまとめてしまうと、自宅が倒壊したために備蓄品や防災グッズが取り出せなくなってしまう可能性があります。そんなリスクを軽減する意味でも「分散収納」を心がけてください。つまり、
「収納するスペースがなくて困っている」というお声をよく聞きますが、分散させて収納すればスペースを確保できます。
分散収納をするときのポイントは?
ただし、災害時に絶対必要になるもの、例えば「スマホの充電池」「常備薬」といったものは、家の倒壊してもよいように、全ての場所に入れておくようにしておくと安心です。
分散収納におすすめのアイテムは?
玄関に置くなら……
普段は玄関チェアとして使って、いざというときにはリュックにもなるアイテムです。避難所では、椅子としても使えるのも◎。シンプルなデザインでお部屋においてもすんなり馴染むのも人気の理由です。
車に積んでおくなら…
衝撃や汚れに強いコンテナー。インナーボックスがあるので、中で仕分けができるので、備蓄品とアウトドア用品を一緒に分けて収納することも可能です。
リビングには……
インテリアに馴染むアイテムを選ぶのがベスト。そういう意味で収納もできるスツールがおすすめです。あとは、ソファ下に入る薄めの収納ケースなどを使ってもいいかもしれません。
高い位置よりも低い位置に収納する
普段は使わないからといって防災グッズを収納棚の上部に置くと、落下して破損してしまう可能性があります。ですから、防災グッズはなるべく低い位置に収納するのが鉄則です。
丈夫な収納ケースに収納する
家が倒壊したり、家具が倒れてきたりしてもモノが取り出せるように、二次的な備蓄品は、丈夫で壊れにくい収納ボックスにまとめておくのがおすすめです。
収納ボックスに入れてしまうと中身を忘れてしまいがちなので、1年に1度は動作確認したり、期限切れがないかチェックしたりして、防災グッズの見直しをしましょう。
収納ケースを選ぶときのポイントは?
収納スペースがあるからといって特大サイズの収納ケースに飲料水や食料品などの重いモノを入れてしまうと、いざというときに動かせない可能性があるので注意が必要です。備蓄用として必要なモノの適正量を把握して、持ち運びやすさも考慮して収納ケースを選びましょう。
また、インテリアに馴染むものやベンチ代わりになるものなどを選ぶと便利です。
丈夫な収納ケースのおすすめは?
軽くて丈夫なトランク
耐荷重100kgというタフさ。しかも軽いので、水といった重いものをいれても◎。机やベンチとして使えるのも避難所で活躍しそうな予感です。別売りでテーブルトップもあります。
「備蓄用の食料品」はローリングストックで管理する
非常用の食料品は「ローリングストック」で管理するのが基本。長期保存できる非常食は値段が高くてそろえにくいので、食べ慣れているレトルト食品・インスタント麺・缶詰などを保存食として常備しておきます。
食料品の収納場所は?
保存食をほかの備蓄品と一緒にまとめて収納ケースに入れてしまうと、気づいたら賞味期限切れなんてことも……。そんな状況にならないように、備蓄用だとしても食料品はキッチンに収納するのがよいでしょう。そうすれば、消費したら買い足すことを繰り返していく「ローリングストック」を意識することができます。
どれぐらいの食料品を保管する?
ライフラインの復旧を待つのには、1週間分の水・食料が必要とされています。
1日に必要な飲料水は、東京消防庁や首相官邸ホームページによると、一人3リットルが目安。最低3日間、できれば1週間の飲料水を確保するのが望ましいとされています。つまり9~21リットルの飲料水を確保する必要があります。ちなみに飲料水だけでなく、それ以外にも生活用水も必要です。
食料は、1週間分を目安に確保しましょう。水が必要なカップラーメンではなく、そのまま食べられる缶詰やレトルト食品がおすすめです。
ティッシュやラップ、ゴミ袋などの日用品の備蓄も同じ方法で管理するのがおすすめです。
【番外編】収納スペースが足りないときは?
大きな収納ボックスを置くスペースが、必ずしも確保できるとは限りません。そんな場合は、海外旅行や長期旅行でしか使わないスーツケースがあれば、そこに防災グッズを保管しておくことをおすすめします。空っぽのスーツケースを置いておくだけではスペースがもったいないので、中のデッドスペースを有効活用しましょう。
ただし、実際の緊急時は床にモノが散乱しているかもしれないのでスーツケースのキャスターを転がしにくく、また、リュックと違い片手が使えないというデメリットがあります。そのため、スーツケースごと持ち運ぶのは、難しい可能性が高いでしょう。あくまでも、スーツケースは二次的な防災グッズの収納として利用してください。
防災グッズをベストな方法で収納して安全を確保しましょう
防災グッズは災害時の生命線です。
せっかくグッズをそろえておいても、収納に適さない場所を選んでしまったり、収納方法を間違えていたりすると、いざというときに活用できない可能性が高くなります。
ですから、自分にとってベストな収納方法を見つけて、緊急時に慌てずに防災グッズを取り出せるようにしてくださいね。
また、各自治体の防災マップを確認し、日ごろからご家族とどの避難先へ行くのか決めておきましょう。緊急時の連絡先や、伝言の残し方も決めておくと安心ですね。
「防災グッズセレクション」では非常時に役立つアイテムを多数ご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
参考資料
政府広報オンライン「災害時に命を守る一人一人の防災対策」検索日:2024/8/10
首相官邸ホームページ 防災特集 「<非常バッグの準備、できていますか?>」 検索日:2024/8/10
東京消防庁「備えよう!いざという時の非常物品」 検索日:2024/8/10