家事のコツや収納術、インテリアやおでかけにまつわる話などを通して「わたしらしい暮らし方」をご提案します。
使おうとしたコップや湯吞み、水筒などに茶渋がついていて、「あっ!」と思った経験はありませんか?
気にはなるけど、洗うだけではスッキリ落とせない頑固な茶渋もありますよね。
せっかくなら、お茶は気持ちよくおいしく飲みたいもの。
こちらの記事では、コップや水筒の茶渋を、簡単に落とす方法や茶渋落としに便利なアイテムをご紹介します。
気になる茶渋の正体は?
茶渋の正体は、お茶に含まれるポリフェノールの一種、「カテキン」という成分です。
このカテキンが、水分の中にわずかに含まれる金属イオンと反応して結合し、コップやボトルの内部に付着したものが茶渋です。
「タンニンじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれも正解です。
タンニンは特定の性質を持つ化合物の総称。カテキンという物質名がまだ決まっていない頃に、茶渋はタンニンと呼ばれていました。
つまり、茶渋に関してはタンニンとカテキンは同じものと言えます。
コップのふちなどに付着した茶渋が乾燥して時間が経つと、中性洗剤と柔らかいスポンジでは落ちない、とても頑固な汚れになります。
「茶渋」と言ってもお茶だけじゃない!
茶渋というとなんとなく日本茶の汚れをイメージする人もいらっしゃるかもしれませんが、実はコーヒーや紅茶などによるカップの汚れも茶渋に含まれます。
コーヒーや紅茶にも、日本茶と同じくポリフェノールが含まれており、コーヒーカップやティーサーバーなどにも茶渋が沈着(ちんちゃく)します。
ガラス製のティーサーバーや冷水筒の場合、うっすらと内部が曇ったように見えることもあります。
ポリフェノールにはたくさんの種類があり、紅茶にはカテキン、コーヒーにはクロロゲン酸が含まれていますが、どちらもポリフェノールの一種で、一般にイメージされる茶渋と同じ種類の汚れなんです。
それではさっそく、普通に洗っても落ちない茶渋の落とし方を見ていきましょう。
こするときにひとつまみ。簡単に茶渋を落とす方法
中性洗剤とスポンジで洗うだけでは落ちない茶渋。
実は「こするときにひとつまみ塗るだけ」で、茶渋を簡単に落とせるものがいくつかあります。
代表的なのは、重曹・あら塩・クレンザー・歯磨き粉と、どれも身近なものばかり。
それぞれの使い方をお伝えするので、ご家庭にあるものでぜひお試しくださいね。
重曹を使って茶渋を落とす
茶渋に重曹をひとつまみ塗り、固く絞ったスポンジでこすります。
重曹の細かな粒子が研磨剤となり、酸性の茶渋とアルカリ性の重曹が中和することで、茶渋が落ちやすくなります。
あら塩を使って茶渋を落とす
茶渋にあら塩をひとつまみ塗り、固く絞ったスポンジでこすります。
コツは塩が溶けてしまわないように手早くこすり取ること。塩の粒子が茶渋を落としてくれます。
クレンザーを使って茶渋を落とす
クレンザーには台所用中性洗剤とは異なり、研磨剤が入っています。
少量を塗ってこすり洗いすると、研磨剤と界面活性剤の働きで茶渋を楽に落とすことができます。
市販のクレンザーには、「ガラスやステンレスにも傷をつけない研磨剤が入ったクレンザー」と「固い研磨剤が入っているクレンザー」があります。
食器やガラスコップの茶渋取りをするときは、クリームクレンザージフなど、傷をつけない研磨剤が入ったクレンザーを選ぶようにしましょう。
歯磨き粉を使って茶渋を落とす
歯にはステインという着色物質がつくため、歯磨き粉(ペースト)にはごくごく微細な研磨剤が配合されています。
この研磨剤を利用して、茶渋を取ることができます。
茶渋に歯磨き粉を塗りつけてスポンジでこすると、頑固な茶渋を落とすことができます。重曹も、あら塩も、クレンザーもないという時は、歯磨き粉で代用するのが便利ですね。
こすっても落ちない!頑固な茶渋を落とす方法
こすっても落ちない頑固な汚れがあるときや茶渋を落としたいものがたくさんあるときは、まとめて「浸け置き」をするのもおすすめです。
キッチンの洗い桶などで浸け置きをしておくだけで、茶渋がするりと簡単に落ちる方法も。
洗剤の種類によって効果や使える素材が異なるので、それぞれ用途によって使い分けてくださいね。
重曹を使って浸け置きする場合
茶渋は酸性の汚れなので、アルカリ性である重曹で中和させて落とすことが可能です。
やかんやコーヒーポットなど、内部が茶渋でコートされているような長年蓄積された茶渋もペロリとはがしてくれます。
使い方と手順
1.60度くらいのお湯1Lに対して、重曹30~50gを溶かします。
2.茶渋を落としたいものを1時間ほど浸け込みます。
3.取り出してすすぐと、茶渋は落ちています。
浸け置き後も茶渋が残っている場合は、スポンジでこすり洗いしましょう。
重曹の量については、明確な量は決まっていないようです。
個人の経験談になりますが、コーヒーポットの渋取りには1Lに50gを使うと良いでしょう。このくらいの量で、面白いほど落ちますよ。
使うときの注意点
重曹はクリスタルガラスとアルミ製品には使えません。
クリスタルガラスに含まれる酸化鉛と重曹のアルカリ成分が反応してガラスが曇ってしまいます。また、アルミ製品は黒っぽく変色しますので気をつけてください。
塩素系漂白剤を使って浸け置きする場合
塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を使えば、陶磁器やガラス・プラスチック製品などの茶渋をすっきり落とします。
においが強いので換気をしながら作業してくださいね。
使い方と手順(キッチンハイターの場合)
1.5Lの水に対して、50mlの塩素系漂白剤を入れます。
2.茶渋を落としたいものを30分浸け置きします。
3.浸け置きが終わったら充分にすすぎましょう。
※使用量・用法はお使いになる塩素系漂白剤の説明書きをご確認ください。
※この分量は花王の公式サイトを参考にしています。
使うときの注意点
塩素系漂白剤は、ステンレス製品には使えません。サビの原因になります。
また、メラミン製品にも使えませんのでご注意ください。
酸素系漂白剤を使って浸け置きする場合
酸素系漂白剤(オキシクリーンなど)は、塩素系漂白剤とは違い、独特のツンとした刺激臭がありません。
陶磁器やガラス・プラスチック製品はもちろん、ステンレス製品やパッキンも漂白することができます。
使い方と手順(オキシクリーンの場合)
1.30度~50度のお湯2Lに対して、大さじ1杯程度の酸素系漂白剤を入れます。
2.茶渋を落としたいものを30分~1時間浸け置きします。
3.浸け置きが終わったら充分にすすぎましょう。
※使用量・用法はお使いになる酸素系漂白剤の説明書きをご確認ください。
クエン酸を使って浸け置きする場合
クエン酸は茶渋落としより、カルシウムなどの水垢に効果があります。
コップや水筒の内側が茶渋ではなく白っぽくざらついてきた時や曇ってきたときは、クエン酸を使った浸け置きを試してみましょう。
使い方と手順
1.ボトルに40度くらいのぬるま湯を入れます。
2.500~600mlのぬるま湯に対して、小さじ2杯程度のクエン酸を入れて溶かします。
3.フタをせずに2~3時間放置したあと、スポンジできれいに洗って充分にすすぎます。
水筒についた茶渋を落とすには?
水筒の口の部分や、フタやパッキンのなどについた茶渋は、重曹や塩などを塗りつけてこする方法で落とすことができます。
深さのあるボトルと複雑な形の中ブタは、浸け置きで茶渋を落とす方法が便利ですね。
水筒を浸け置きする際には、少し注意が必要です。
洗い桶などに丸ごと浸けてしまうと、水筒の場合は柄のシールがはがれる、隙間に水が入って錆びるなどのトラブルが起こる原因になるので、丸ごと浸けないようにしましょう。
浸け置き時に水筒のフタをするのはNG。フタをすると、浸け置き液の作用で内部の圧力が上がり、膨張したりフタが飛ぶ可能性があります。
また、お子さんなど自分以外の家族の誤飲を防ぐために、必要であれば『洗浄中の張り紙』をしておくと安心ですね。
その他、
- こすり洗い時は、こすりすぎて傷をつけないように注意する
- ステンレスには塩素系漂白剤は使わない
- 洗った後は完全に乾くまでふたをしない
などの注意点に気を付けるようにしましょう。
茶渋を落とすのに便利なアイテム
茶渋を落とすのに特別なアイテムは不要。
普段ご家庭で使われているスポンジでも落とすことができます。
ただし、スポンジには様々な種類があるので、こちらでは茶渋を取るのにおすすめのスポンジの種類についてご紹介します。
底まで洗うには柄つきスポンジ
水筒や高さのあるコップを中までしっかり洗い、茶渋を落とすことを考えるなら柄つきスポンジがおすすめ。
菜箸でスポンジを押し込んで回すという方法もありますが、均一に力をかけるのはなかなか難しいため、1つあると便利です。
ナイロンの不織布のたわしつきスポンジ
やや硬めの不織布のナイロンがついたスポンジも、茶渋を落とすときには強い味方になってくれます。
マグカップや水筒のパーツを洗うときには、こういった微妙な形にも沿ってくれるスポンジが便利です。
ただし、固いたわし部分でガシガシこすると洗うところに傷がついてしまうので気を付けてくださいね。
水だけで茶渋を落とすアクリルたわし
アクリル100%の毛糸で編んだアクリルたわしがブームになった時期があります。
洗剤を使わずに水で汚れを落とすのでエコなアクリルたわし。アクリルの微細な繊維が絡み合って茶渋を絡め落すことができるので、茶渋落としも得意なんです!
水に濡らしてこするだけのメラミンスポンジ
水に濡らしてこするだけで、こびりついた茶渋を削り落とすメラミンスポンジ。
ガラスやマグカップ、湯吞みなどの茶渋を落とすのにとても便利です。
ただし、プラスチック素材のマグカップやコップを洗うのはNG。表面に傷がついたり、表面の柄や模様を削り取ってしまうことがあります。
塗装や光沢のあるステンレスや陶器なども、表面を削られてしまうため向いていません。
また、次亜塩素酸ナトリウムや塩素系漂白剤とは一緒には使えないので、洗剤の種類にも気を付けてください。
そもそも茶渋をつけないためには?
そもそも茶渋をつけないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
水筒やマグボトルに茶渋をつけないためには、使い終わったらすぐに洗うことが大切です。
会社や学校に持っていく水筒だとなかなか難しいかもしれませんが、せめて湯呑みやマグカップは、飲み終わったらすぐに残った飲み物を捨ててすすいでおきましょう。
水筒なども、帰宅後すぐにバッグから出して、流し台に持っていくのを習慣にしてください。
お子さんがいらっしゃるなら、帰宅したら水筒のフタを開けて残りを捨てて、水を入れておく」ことを習慣づけましょう。
ずっとこの習慣を守ってくれれば、水筒の茶渋落としの手間がぐっと減りますよ。
最低限、ここまではやっておき、「その日のうちに忘れずに洗う」ようにします。
茶渋をつけないようにするためには、毎日きれいに洗うことが大切ですが、もう少しゆるく考えて「週に一度、重曹か酸素系漂白剤での浸け置き洗いを習慣にする」のもおすすめ。
これも、しつこい茶渋になる前にできる予防方法のひとつです。
明日のおいしいお茶のために
お気に入りのマグカップや水筒がきれいであれば、お茶もおいしく感じますよね。
もし今悩んでいる茶渋があれば、一旦汚れをリセットしてみましょう。
「明日のおいしいお茶のために今日中に洗う」を目標にしてくださいね。