北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
何となく寒い時期のものに思えるスープジャーですが、実は夏にもおすすめのアイテムです。
冷製スープだけでなく、冷たい麺料理なども楽しめ、食欲のない日のランチにもぴったり。
そこで今回は、涼しくスープジャーランチを楽しむポイントや簡単でおいしい冷たい夏レシピなどをお伝えします。
暑い時期にスープジャーを使うときに気になるポイントや保冷力をアップする裏技などもご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
食中毒を防ぐために知っておきたい3つのポイント
食中毒の原因菌にはいろいろありますが、主にお弁当によるものは、黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌などです。
一番気をつけたいのは、これらの菌が一番活発になる30度~40度の温度。夏場にお弁当を持ち歩くと、だいたい常温でこのくらいの温度になるため、とても心配ですよね。
そこでポイントとなるのは、外気温の変化に強い保温保冷機能のあるスープジャーで、食中毒の原因菌が増殖しない10度以下あるいは65度以上を保つということ。
また、他にも食中毒を防ぐために気をつけたいポイントはいくつかあります。ランチタイムをより楽しいものにするためにも、しっかりと抑えておきましょう。
ここでは、「夏にスープジャーを使う時に気をつけたいポイント」をご紹介します。
【注意点1】細菌がつかないように気をつける
スープジャーに限ったことではありませんが、お弁当を調理する際に手指や調理器具の清潔を保つことは大事です。
また、食事の前後の手洗い、使用後のスープジャーやパッキンのお手入れなどもおこたらないようにしましょう。
【注意点2】腐りやすいものを避ける
スープジャーに生肉や生魚など傷みやすい生モノを入れることは、避けたほうがよいでしょう。また、乳製品など腐敗しやすい食品を入れることは控えましょう。
特に、加熱処理をしていない生モノは、スープジャーの中で腐敗することがあります。
食中毒の原因になるので、生で食べられない食材には、しっかりと火を通した状態で入れてくださいね。
【注意点3】温度管理に気をつける
スープジャーのパッケージや本体には保温・保冷効力の時間が書かれているかと思います。例えば6時間と書かれている場合なら、その時間以内に食べきる必要があります。
熱い料理は熱さを、冷たい料理は冷たさをキープする(保温・保冷をしっかりと)ことが、食中毒を防ぐうえでも大切です。
容器を熱湯などで余熱、あるいは冷水で保冷することで、保温・保冷性はさらに高まります。
ここからは、スープジャーの中身を10度以下に保つコツである、予冷方法について、くわしくご紹介します。
冷蔵庫に入れるだけ?スープジャーの保冷力UPの裏技
保温だけでなく保冷機能もあるスープジャーですが、中に入れる料理によっては生ぬるくなってしまうため、あらかじめジャーを冷やしておき、温度上昇を抑える必要があります。
冷たいメニューをおいしく安全に持ち運ぶため、事前に容器を冷やしておく「予冷」をしましょう。
「スープジャーの予冷」にはいくつかの方法があります。
3つの代表的な「予冷」方法
- 少量の冷水を本体容器に入れ、2~3分置く方法
- 氷水をジャーに入れ、ぐるりとかき混ぜて1分ほど置く方法
- フタをあけた状態で冷蔵庫で冷やしておく方法
急ぐときには氷水を入れて冷やすこともできますが、簡単なのは冷蔵庫に入れておくこと。
前の晩から、スープジャーのフタを開けた状態でまるごと冷やしておけばOKです。
それでは、冷たいスープジャーの簡単レシピを3つご紹介します。
ミキサーで簡単!ほうれん草とポテトの冷製スープ
ポテトの冷たいスープで「ビシソワーズ」がありますが、今回はほうれん草も入れて栄養たっぷりに作ります。
ジャガイモ入りなのでスープだけでもボリュームがあります。小さなパンを添えてどうぞ。
材料
- ジャガイモ(今回は5cm前後の小さなジャガイモ2個・レンジで加熱したもの)
- ほうれん草(ゆでて刻んだもの・約100g)
- コンソメスープ(固形コンソメをお湯に溶かしたもの・100cc)
- 牛乳(冷たいまま・150cc)
- 塩こしょう少々
- 氷1個
分量は360cc入るスープジャー用ですが、お好みで調節してください。
材料をすべてミキサーにかけます。
塩こしょうで味を整え、予冷しておいたスープジャーに入れて完成。
ミキサーがない場合は、ほうれん草はできるだけ細かくみじん切りにし、ジャガイモは温かいうちにつぶして牛乳でのばす、という方法でもできます。
これだとなめらかさは足りませんが、食感があって満足できるスープになりますよ。
食欲のない日には、野菜たっぷりそうめん
暑くて食欲がないときでも、そうめんなら食べられるという人は多いのではないでしょうか。
スープジャーで冷たいつゆを持って行けば、お昼に冷たいそうめんが食べられます。
麺は別容器に入れて持って行きます。麺がくっついても取りやすいよう、一口分ずつ丸めて容器に入れるのがポイントです。
つゆは少し薄めにし、氷1個とたっぷりの具を入れておきます。
具はお好きなものでいいですが、加熱せずにそのまま切って入れられる具は、それほど時間をかけずに作れるのでおすすめです。香味野菜を入れることで食欲増進も期待できます。
おすすめの具
- キュウリの薄切り
- トマトのざく切り
- ちくわ
- ミョウガ
- ショウガなど
もし時間があれば、ササミ、きのこ、ナスなどの加熱が必要な具も合わせてみてください。
ただし、冷えると脂が固まるもの(豚肉など)は避けた方が良さそうです。
野菜もしっかりとれる、北海道名物ラーメンサラダ
冷やし中華とはちょっと違う、北海道名物の「ラーメンサラダ」でランチはいかがでしょうか?
通称「ラーサラ」として親しまれているラーメンサラダは、野菜が主役の「麺入りサラダ」。
居酒屋の定番メニューですが、地元ではお昼ご飯に作ることもよくあります。
お店や各家庭で味は違いますが、大抵はごまだれやマヨネーズであえることと、シーフードが入っているのが特徴です。
今回は、アスパラ、レタス、ベビーリーフ、さらしタマネギなどサラダ用の野菜たくさんと、ボイル小エビ、カニカマを用意しました。
中華麺はゆでてから水でしめておきます。
サラダ用のゴマドレッシングに、お好みで少量のめんつゆを混ぜたタレを使用します。
また、冷やし中華のタレ(しょう油ベース)とマヨネーズを混ぜて作るタレもラーサラに合います。お好みで試してみてください。
通常は野菜と麺をお皿に盛り付け、上からタレをかけていただきますが、お弁当で持って行く場合は、先に麺とタレをあえておきます。
ひんやりランチで夏を楽しもう
夏のお弁当作りは、食材が傷んでしまわないよう色々と工夫が必要で、ついついおかずもマンネリ化しがち。
でもスープジャーを使うと、ふつうのお弁当箱では難しいメニューも安全においしく持ち運べます。
暑い夏も、スープジャーを活用したひんやりランチで、夏バテを吹き飛ばしたいものですね。
参考資料
花王プロフェッショナル・サービス株式会社「食中毒の予防」検索日2020/7/6厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」検索日2020/7/6