「おいしいに国境なし!」──を合言葉に、料理の「?」や「!」を探しながらご家庭で役立つ知恵やアイデアを探求中! 料理のイロハを先生に師事して学びながら、ワンランク上のこだわり料理にもアクセル全開で挑戦します! たまには先生が記事に登場することも?
日本人のソウルフードのひとつでもある「豆腐」。
お味噌汁をはじめ、冷ややっこや湯豆腐、豆腐ハンバーグなど、食卓に欠かせない食材ですよね。
そんな豆腐ですが、実は家でも簡単に手作りができ、市販品とは違った格別なおいしさを味わえるんです!
今回は、おうちにある身近な道具を使ってお豆腐を作る方法をご紹介します。
おうちで豆腐を手作りするメリット
食べ物って基本的に、新鮮なものがおいしいですよね。
動物性のたんぱく質は熟成することで旨み成分が増えることがありますが、野菜をはじめ、大豆を原料としたお豆腐の場合は「作りたて」がおいしいんです。
――とは言っても、実はお豆腐は完成してすぐに食べるよりも、水にさらしてアク抜きをしてから食べた方が◎。
なぜなら、お豆腐を作るためには“にがり”を使いますが、このにがりが独特の苦みを持っているんです。
このため、完成したお豆腐はしばらくの間水にさらして、にがりの苦みを抜いてあげる必要があります。
また、お豆腐と言えば、豆腐づくりの副産物ともいえる「おから」も忘れてはいけません。
実はおからは、できたてが一番おいしいんです!
作ってから時間がたつとパサつきやすいですし、何よりも風味がどんどん落ちていってしまいます。
豆腐作りではおからが大量にできますから、常備菜を作ったり料理のボリュームアップや栄養摂取を図ったりするのに便利ですよ。
できたてのおからは大豆の豊かな風味をたくさん含んでおり、とってもおいしいんです。
卯の花はもちろん、ハンバーグに混ぜたりチヂミやお好み焼きの生地に混ぜたりと、色々な使い方ができるのもうれしいですね。
「おからは食べにくいし、使いにくいからちょっと……」という方は、ぜひ一度、できたての「おから」のおいしさを味わってみてください。
豆腐作りに必要なものや事前にしておきたい準備って?
それではさっそく、豆腐を作っていきますよ。
豆腐作りに必要な材料は、以下のとおりです。
<豆腐づくりの材料>
- 乾燥大豆 300g程度(2~3丁分)
- にがり 12.5ml
- 白湯 50cc
豆腐づくりに欠かせないのが、「にがり」。
にがりの主成分は塩化マグネシウムですが、海水から作られるため、塩化マグネシウム以外に天然のミネラルなどを豊富に含んでいます。
豆腐作りにおいては凝固剤としての役割を果たします。
豆乳に含まれるタンパク質がにがりと反応することで沈殿し、固まることで豆腐になります。
材料はとてもシンプルですが、豆腐を作るときには用意しておくと便利な道具がいくつかあります。
下記のものも、事前に用意しておきましょう。
<豆腐づくりの道具>
- 大きめの鍋
- 大き目のボウル
- さらしなど
- ざる
- おたま
- 計量カップ
- 木べら
- 料理用温度計
- ミキサー
前日にしておきたい準備
豆腐作りをする前に、色々と前日から準備をしておきましょう。
【準備1】乾燥大豆を戻す
まずは、乾燥大豆を一晩水に浸けて、戻しておく必要があります。
大豆を水洗いして表面の汚れを落としてから、たっぷりの水に浸けます。
大豆は水で戻すことで3倍程度にまでふくれるので、大豆の3倍以上の水で戻してくださいね。
時間を有効に活用するため、寝る前に水につけて一晩置いておくのがおすすめ。
ただし、浸水時間の目安は夏季で8~9時間、春秋で15時間、冬季で20時間程度と季節によって変わってくるので気をつけてください。
【準備2】牛乳パックで「型」を作る
豆腐を作る専用の型なども市販されていますが、今回は豆腐作りに初めて挑戦するという方向けに、牛乳パックを使って作った型を使用します。
作り方は簡単!
1.牛乳パックの口を開いて、キレイに洗います。
2.牛乳パックの口の面と側面(一面だけ)を、ハサミなどで切って取り除きます。
3.牛乳パックの首部分に、折り目に合わせた切れ目を入れます。
4.首部分を折りたたんで、テープなどで固定します。
5.豆腐の水をしっかり切れるように、底面にスリットを入れておきます。
6.さらしなどを敷いて完成です!
いよいよ本番! 自家製豆腐の作り方
大豆を戻し終えたら、いよいよ豆腐作りを開始しますよ!
豆腐作りの肝は、温度管理です。温度管理さえうまくいけば成功したようなもの。
そう難しくはありませんから、あまり緊張せず気楽にトライしましょう。
1.にがり液を作る
豆腐を固めるためのにがり液を作ります。これは必ず直前に行ってくださいね。
にがり液の作り方は、50ccの白湯ににがりを溶かすだけです。
2.大豆を砕く
水で戻した大豆を、ミキサーで細かくします。
戻した大豆をミキサーに入れたら、大豆を戻した水を少し加えてミキサーにかけます。
ミキサーが空回りしないよう、大豆と同量程度の水を加えてください。
ミキサーがない場合はハンドブレンダーでも構いません。
できるだけなめらかにした方が濃厚な豆腐になり、副産物として手に入るおからの口当たりもよくなります。
こうしてできあがったなめらかな大豆を、生呉(なまご)といいます。
3.生呉(なまご)を煮る
大きな鍋に生呉を入れ、1300ccの水を加えて煮立たせます。
底が焦げやすいので、木べらやターナーなどを使って混ぜてください。
沸騰したら一度火を消し、泡がおさまるまで待ってください。
その後、弱火で10分程度煮込みます。
小さな鍋を使うと泡が鍋からあふれ出してコンロが大変なことになるので、できるだけ大き目の鍋を使いましょう。
4.煮た生呉をざるでこす
生呉を煮たものをザルでこし、ボウルにとります。
このとき、ザルにさらしなどを敷いて、おからを絞るようにして水気を絞ります。
ここでおからと豆乳ができあがります。
さらしに残った絞りカスが「おから」、絞って出てきた水分が「豆乳」です。
熱いので、やけどをしないよう気をつけて作業してくださいね。
木べらにさらしを巻きつけるようにして絞れば、手で触れる必要がないので安全に絞ることができますよ。
5.豆乳の温度を70度に調整する
さて、いよいよ豆腐作りの要です。
大豆からではなく、豆乳から豆腐を作る場合は、この段階から手順を始めてください。
理想の温度は70℃。
料理用温度計を使って、温度をうまくコントロールしてください。
豆腐を作る際、豆乳の温度が低いと、にがりを入れてもなかなか固まってくれません。逆に温度が高すぎると、今度は固すぎる豆腐になってしまいます。
また、このとき液体の表面に張る薄い膜が「湯葉」です。
菜箸などで慎重にすくいとり、冷ましてからわさび醤油などで食べるとおいしいですよ。
6.にがり液を加える
温度を調整した豆乳に、にがり液を加えます。
豆乳をボウルなどへ移し、木べらをそえながらにがりを全体にゆっくり回しかけてください。すべて入れたら、木べらを使って底の方からゆっくり2回かき混ぜます。
あまりかき混ぜすぎると豆腐が固くなってしまうので、気をつけてくださいね。
7.型に入れる
15分くらいたつと、全体的に固まってきているのがわかると思います。
そうしたら、牛乳パックで作った型にさらしを敷き、そこに豆腐を入れます。
型に入れず、このまま寄せ豆腐として楽しむのもいいですね。
8.豆腐を固める
「固める」と言っても、することは重しを乗せるだけ。
重しは水を入れたペットボトルやポリ袋、漬物石、あるいは水を入れたコップなど、何でもいいですよ。
重しをしたら、そのまま15分程度放置しておきます。
重しは大体500~800g程度のものを使ってください。あまり重いと、固い豆腐になってしまいます。
9.水にさらして完成
自家製豆腐の作り方豆腐が固まったら、水を張ったボウルなどにとってさらしておきます。
型に敷いておいたさらしごと水に移し、水の中でさらしを取ってください。
こうすることで、豆腐が崩れるのを防げます。
30分ほども水にさらしておけば、もう食べられますよ!
すぐに食べない場合は冷蔵庫で保管し、できるだけ早めに召し上がってくださいね。
手づくり豆腐ならではの大豆の豊かな風味を楽しもう
できたての豆腐とおからのおいしさは、本当に格別です。
何よりも、豆腐を自分好みの固さに調整して作れるのがうれしいですよね。
重めの重しを使って豆腐の水分を多めに出せば、それだけ固くなりますが濃厚な味になります。
大量生産されているお豆腐にはない、大豆の豊かな風味と濃厚さを味わえますよ。
おからも、豆乳を思いきり絞ればカラッとしたものに、完全に絞り切らないよう加減すると、しっとりとした食感になります。
私はできたてのおからが大好きなので、豆腐を作るためにというよりは、ほとんど「おから」を作るために、こうしてたまに豆腐作りを楽しんでいます。
豆腐作りは手順が多く感じるかもしれませんが、シンプルにまとめると「砕いた大豆を煮て、ざるでこし、にがりを入れて固める」だけです。
一番のポイントは温度管理。
ここだけ注意して、ぜひご家庭でのお豆腐作りを楽しんでみてくださいね!