大学で建築・インテリアについて学んだのち、大手家具販売店に就職。現在はインテリア・ライフスタイル専門のママライターとして活動中。念願のマイホームを手に入れ、北欧インテリア×グリーンのある暮らしを楽しんでいます。
気軽にガーデニングを楽しむなら、植えっぱなしで何年も花を咲かせる植物が嬉しいですよね。
丈夫で手入れが楽なら、初心者でも挑戦しやすいはず。
今回は「植えっぱなしOK」な植物と、育て方のコツについてご紹介。
簡単に育てられる草花で、お庭やベランダをきれいに彩りましょう。
植えっぱなしOKな品種を選ぶなら多年草を!
草花には、1年で枯れてしまう「一年草」、2年で枯れる「二年草」、何年も花を咲かせる「多年草」という種類があります。
植えっぱなしにして何年も花を楽しみたいなら、この多年草を選ぶようにしましょう。
多年草の中には、休眠期も葉や茎が枯れずに緑のまま残るタイプ「常緑多年草」と、地上の葉や茎は枯れても地中で根が生きているタイプ「宿根草」があります。
どちらも生育期になると葉を増やして花を咲かせるので、環境があえば植えっぱなしが可能な品種です。
草花の中には原産地である海外では多年草でも、日本の暑さ寒さに適応できず1年で枯れてしまう場合があります。そういった品種は一年草の扱いになります。
多年草にはハーブや球根植物もある
ハーブにも多年草のものがたくさんあります。
花をつける品種も多いので、香りや料理のためだけではなく、ガーデニングを彩る草花のひとつとして取り入れてみるのもおすすめです。
また、チューリップに代表されるような球根から育てる植物も多年草のひとつ。
その中には、植えっぱなしにしてOKなものがあります。
植えっぱなしにおすすめの植物【多年草】
それでは、植えっぱなしにおすすめの多年草を紹介していきます。
ホームセンターの園芸コーナーでもよく見かけるような定番品種を集めましたので、初心者の人もぜひ参考にしてくださいね。
クリスマスローズ
冬のガーデニングに人気のクリスマスローズ。1~3月の寒い時期に開花するので、寂しくなりがちな冬の庭やベランダを彩ってくれます。
園芸店に出回る苗は、すでに開花しているものもあれば、1年以上育ててから開花する苗もあります。
購入する時はよくチェックしてくださいね。
多年草は暑さには弱いので夏は日陰になるような場所で蒸れに気をつけて管理します。
冬は日なたになる場所を選びましょう。
地植えでも大丈夫ですが、プランター栽培にすれば季節にあわせて移動が楽にできますよ。
ちなみに、クリスマスローズには「ローズ」という名前がついていますが、実はバラ科の植物ではないんです。クリスマス時期に咲くバラに似た花という意味で、クリスマスローズという名前がついたそうです。
オステオスペルマム
キク科のオステオスペルマムは、マーガレットにも似た見た目で華やか。
4~6月頃に開花し、満開時にはとても豪華で見ごたえがあります。花色も多いので選ぶのも楽しいですよ。
冬は緑の葉を残したまま休眠し、また翌年の春に生育期を迎えて花を咲かせます。
マイナス5度くらいまでなら戸外でも管理は可能ですが、寒冷地なら鉢植えにして冬は室内の明るい窓辺に取り込むのがおすすめ。
生育期の初めに伸びた茎の先端を切る「摘芯(てきしん)」をするとよいでしょう。
茎の数が増え、これを繰り返すことで花をたくさん咲かせることができます。
スーパーアリッサム
アリッサムは通常一年草として扱われる小花の品種で、秋の寄せ植えの引き立て役としても定番です。
しかし、暑さに弱いので気温が高くなってくると枯れはじめ、夏越しはできません。
そんなアリッサムを、暑さに強い品種に改良したのがスーパーアリッサムです。
夏越しできるため多年草となり、長い期間花を楽しめます。
通常のアリッサムに比べて大きな株になるのも特徴で、丈夫なので初心者にもおすすめです。
ガーベラ
切り花でおなじみのガーベラも実は多年草。
日当たりのいいところで、水はけのいい土で管理すれば毎年花を咲かせてくれます。
春と秋に花をつけますが、開花期以外は緑の葉を残したまま休眠します。
根が伸びやすいので、鉢で育てる場合は「根詰まり」していないか確認するのがおすすめ。
根詰まりとは、鉢の中で植物の根っこがいっぱいになって詰まってしまうこと。根詰まりすると、水の吸収が悪くなる、葉が変色するなどのトラブルを起こします。
もし根詰まりして、鉢底から根がはみ出しているようなら植え替えましょう。
ちなみに、筆者は2年ほど同じ鉢で植えっぱなしにしましたが、その時はちゃんと花をつけてくれました。
ヒメツルソバ
ヒメツルソバはソバの花に似たピンクの花が特徴の品種。
繁殖力が高く、自生しているのもよく見られます。
道端で見かけたこともあるのではないでしょうか?
その繁殖力の強さや丈夫さは、植えっぱなしにも最適。日なたでも半日陰でも育てられます。
ヒメツルソバは冬に地上部が枯れてしまう場合もありますが、根が凍って枯れない限りは、また春に生育を始めます。
肥料もいらず、暑さ寒さにも乾燥にも強いのでずぼらさんにもおすすめの植物です。
ただし、繁殖しすぎる場合があるので、花壇で他の植物に影響を与えそうなら刈り込みます。
管理を簡単にしたいなら、鉢植えの方がおすすめです。また、グランドカバーとして繁殖させる方法もありますよ。
シバザクラ
シバザクラはその名の通り、芝のように広がって地面を覆い、桜のような花をつける品種です。
4~5月頃に開花し、密集して花を咲かせる様子は見ごたえがあります。
花が終わって、枯れたりした状態を指す「花がら」と一緒に、茎が混み合った部分を刈り込みましょう。
梅雨前に刈り込んでスッキリさせ、蒸れないようにするのがポイント。
寒さには強いので、冬越しは何もしなくて大丈夫です。
植えっぱなしにおすすめの植物【ハーブ】
続いて、植えっぱなしにおすすめのハーブを紹介します。
花を楽しんでも、料理や香りを楽しんでもOKなハーブ。なんだかお得な感じがしますよね。
庭やベランダにあると重宝する植物です。
コモンセージ
セージにはさまざまな種類がありますが、肉料理のくさみ消しなどハーブとして使われるのはコモンセージです。
初夏には紫の花を咲かせ、花のない時期でもグレーがかった葉がカラーリーフとして花壇を彩ります。
耐寒性・耐暑性に優れていて丈夫なので育てやすい品種です。
植えっぱなしで大丈夫ですが、定期的に剪定(せんてい)して形を整えるようにしましょう。
花をたくさん咲かせたい場合は、花の終了後に剪定を行います。
ハーブとしてたくさん使いたい場合は、春先の花が咲く前に剪定して、そこから伸びた枝を切るようにします。
ラベンダーグロッソ
ラベンダーには、暑さに弱いイングリッシュラベンダーや寒さに弱いフレンチラベンダーなど種類がさまざま。
その中で、このラベンダーグロッソは、暑さにも寒さにも強いのが特徴。
育てやすいのでラベンダーの中でもおすすめの種類です。
背丈が高くて花も大きいので、開花期は見ごたえがあります。
また、香りも強いためカットして花瓶に生けたり、ドライフラワーにして飾ったりするのもおすすめ。
ポプリにしてもいいですね。
夏と冬は休眠期に入るので根元3分の1くらいを残して刈り込み、土が乾かないように水やりだけ注意して管理するのがポイントです。
ローズマリー
肉料理に添えたり、ハーブティーにしたり、ドライにして消臭に使ったりと使い道の多いローズマリー。
葉っぱはよく目にしますが、花は意外と知られていないかもしれませんね。
ローズマリーは、10~5月頃に青や紫系のかわいい花を茎の先につけます。
開花期が長く、常緑なので1年中お庭やベランダを彩ってくれますよ。
暑さや寒さ、乾燥にも強くて鉢植えでも育てやすいです。
花が終わった5月頃に剪定をしておくのがポイント。
花がらがついているところの下の部分でカットし、緑の葉っぱは残しておいて、新しい葉が伸びるようにしてあげましょう。
植えっぱなしにおすすめの植物【球根】
次は、植えっぱなしにおすすめの球根植物を紹介します。
球根植物も多年草なので毎年花を咲かせてくれますが、「植えっぱなしにできるもの」と「球根を掘り上げなければいけないもの」があります。
その中から、植えっぱなしでもOKな種類をピックアップしました。
原種チューリップ
球根植物の定番はチューリップですが、一般的なチューリップは花が終わったら球根を掘り上げて乾燥させて……と、ちょっと手間がかかります。
そのため、植えっぱなしにしたいなら原種チューリップを選びましょう。
原種チューリップとは野生種に近い品種で、ミニチューリップとも呼ばれ背丈が短いものが多いです。
球根の大きさも、一般的なチューリップに比べて小ぶりなのが特徴。
花が終わったら散る前に花首をカットして、種に養分がいかないように気をつけましょう。
球根に栄養を残すため、花のすぐ下をカットするのがポイントです。
原種チューリップは、3年くらいは植えっぱなしでも大丈夫です。
クロッカス
小ぶりの花がかわいらしいクロッカス。春らしさが感じられる球根植物です。
多くの球根植物はクロッカスも含めて、ヒヤシンスのように水耕栽培が可能です。
しかし、十分な寒さに当てないと花芽をつけないので、初心者は屋外で鉢植えや地植えにした方が簡単でおすすめ。
クロッカスは4~5年程度は植えっぱなしでも大丈夫で、初心者にもぴったりな育てやすい品種です。
花が終わったらチューリップと同様に、種に養分を取られないように花がらを摘むようにしましょう。
ムスカリ
ブドウのような見た目の壷状の花が印象的なムスカリ。特徴的な花の形は寄せ植えにもぴったりで、メインの花を引きたててくれます。
ブルー系の花を咲かせるので、赤や黄色などのチューリップと一緒に植えると、色のコントラストも楽しめますね。
ムスカリは丈夫な性質なので、日当たりと水はけのよい場所であればどんなところでも育てやすいです。
肥料もほとんどいらないため、植えっぱなしに向いている植物ですね。
毎年花を咲かせるための育て方のポイント
植えっぱなしがOKでも、毎年花を咲かせるためには少し気をつけておきたいポイントがあります。
花の品種によって管理方法は多少異なりますが、基本的なことをお伝えします。
【ポイント1】花がらを摘む
花が咲き終わってしおれたり枯れたりした状態の花を花がらといいます。花がらをそのままにしておくと、種をつけようとして次の花が咲きにくくなります。
そのため花がらは、定期的にチェックして、こまめに摘み取るようにしましょう。
花がらを摘み取ることを、花がら摘みといいます。
どんどん花を咲かせるには、株に栄養がいくように花がら摘みを行うことが大切です。
【ポイント2】品種にあわせて適切な肥料やりを
多年草には、肥料があまりいらないものも多くあります。
しかし、多年草といってもハーブや球根植物もあり、種類はさまざま。当然、品種ごとに特徴が異なります。
育てる時は、苗を購入した時のタグなどを確認して、肥料を与える頻度やタイミングを確認しておきましょう。
ほかにも、お礼肥(おれいごえ)といって花が終わったあとに肥料を与える方法もあります。
これは「きれいな花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めた肥料やりなのですが、次のシーズンに向けて栄養の補給を行い、株の回復をするための意味もあります。
【ポイント3】季節にあわせて切り戻してサッパリさせる
花をつけるシーズンが終わったら、夏越し・冬越しのために切り戻しを行います。
切り戻しとは、伸びすぎた枝や茎を切り落として株を小さくすること。
これも、頻度やタイミングは品種によって異なるので、あらかじめチェックしておきましょう。
たとえば、高温多湿に弱くて夏は休眠する植物の場合は、葉や茎が茂ったままだと蒸れて枯れてしまう恐れもあります。
そのため、風通しをよくするためにも、切り戻しをして刈り込みサッパリさせておきます。
同じように、冬越し対策でも「切り戻した方がいいもの」と「そのままでOKなもの」とがあります。
多年草を植えっぱなしにして毎年花を楽しもう
今回は「植えっぱなしにしても毎年花を咲かせる植物」について紹介しました。
毎年開花する多年草には、さまざまな種類があります。
基本的にはほったからしでも楽しめますが、花がら摘みや切り戻しなど、ちょっと手をかけてあげるとさらに元気に育ってくれますよ。
多年草には球根植物やハーブなどもあって特徴もさまざま。
寄せ植えにしてみたり、1種類ずつ鉢植えにしてみたりと、好みの育て方で楽しんでくださいね。