北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
雑貨コーナーや文具コーナーに沢山並んでいるマスキングテープ。
可愛いデザインをついつい集めてしまうという人は多いですね。
100円ショップでの品揃えも増えていますが、メーカー品との違いってあるのでしょうか。
それぞれの強みと使い方を押さえておきましょう。
「マスキングテープ」の定義とは
ご存知の方も多いと思いますが、もともとマスキングテープは工業用として開発されたテープです。
汚したくない部分を覆って保護する(マスクする=マスキング)用途で、塗装作業やコーキング作業の際に使うもの。
マスキングテープには3つの大きな特徴があります。
- 紙のように手でちぎることができる
- 重ね貼りができる
- 糊残りがなくきれいにはがすことができる
これらの特徴は、どれも作業効率を上げるために工夫されたもので、「弱粘着」のテープとなっています。
素材は和紙やクレープ紙、ビニール系などが用途別に使い分けられています。
しかしこの「貼ってはがせる」特性は、包装や文具系の雑貨としても魅力となり、広く注目されるようになったわけです。
雑貨用マスキングテープのメーカーといえば、「カモ井加工紙株式会社」が代表的。
もともと工業用のマスキングテープ製造の老舗ですが、2008年から文具系の雑貨としての和紙マスキングテープ「mt」を発売し、大ヒットしています。
ところで、mtのマスキングテープと100円ショップで手に入るマスキングテープは、デザインでは似たようなものも見つかりますが、違いはどこにあるのでしょうか。
100円ショップのマスキングテープの特徴
100円ショップのマスキングテープは新しいデザインが次々に発売され、どれも100円均一で購入できるのが魅力ですね。
ただし素材の質感や粘着力については、ばらつきがある印象。
実際に開封して使ってみるまでわからないのがネックかもしれません。
同じ100円の商品でも仕入れ先、委託先が異なるためか、すべて同じ品質というわけにはいかないようですね。
100円商品のテープの長さは…
定番の15mm幅のもので6mないし7mで100円の商品が主流。
幅が35mm、40mmなどの太いタイプは4mまたは5mと短い商品が多いです。
7mmの細幅タイプでも同じく6mないし7mの1巻が100円で販売されていました。
デザインと企画は日本ですが、製造に関しては主に「made in China」です。
また素材は「紙」または「パルプ」と書いてあるものがほとんどのところを見ると、素材は和紙とは限らないようです。
ラメ系など一部は「ポリプロピレン」製の商品もあります。
また「この商品は強粘着です」との注意があるタイプも。
パッケージに記載されている素材、サイズ、使用に関しての注意書きをよくチェックして、自分の使いたい用途に合うものを選びましょう。
mtブランドの特徴・コスパ
カモ井加工紙のmtブランドのマスキングテープは、何といっても安定した品質と高度な印刷技術による発色の良さが魅力です。
こちらはすべて「made in japan」の和紙製となっています。
コスパは100円ショップと差がないorスリム幅だとお得なモノも
品質が良いだけにコストは高くつくのではと思われがちですが、細かく比較してみると思ったよりも差がないことがわかりました。
15mm幅×長さ10mの定番商品で150円から160円(値段はデザインにより前後)です。
そして定番商品にはお得なセットがあり、同柄8巻セットでは1本あたり130円から140円で購入可能。
これを1mあたりの値段に換算すると、100円ショップと比べてもほとんど変わらないことになるのです。
そのほか、6mmのスリム幅(slim baicシリーズ)は10m長さの3本セットで170円ですから、こちらは100円ショップのスリム幅の商品と比べてかなりお得ということになります。
そして、人気のLisa Larson(リサラーソン)などの有名作家とのコラボデザインやこだわりのシリーズものが手に入るのは、100円商品にはない魅力ですね。
デザインや加工のしやすさ、使い心地などを比較
手持ちのマスキングテープを並べてその使い心地を比較してみました。
ダイソー、セリアなどの100円ショップで見つけたものと、カモ井加工紙のmt for kidsシリーズのものです。
・デザイン、めくりやすさ、ちぎりやすさ
デザインを見ると、似た雰囲気のものも見つかります。
特別なこだわりがなければ、100円ショップのデザインも十分魅力的です。
ロールからめくるときの感触は、一番上の100円ショップのものがやや重い感じ。
逆に上から3番目の100円ショップのものは、軽くめくれますがやや硬い感じがします。
一方、mtのテープはしなやかでスムーズにめくれる感触があります。
手でのちぎりやすさ、ハサミでのカットの感触はどれも良く、大きな違いは感じられませんでした。
・はがしやすさ
つぎにはがしやすさを比べてみました。
この中では上から3番目の100円ショップのマスキングテープが、ややはがし残りができてしまいました。
・文字の書きやすさ
無地タイプのマスキングテープへ、ペンでの書き込みやすさも比較してみました。
ゲルインクのボールペンで書いてみたところ、無地のものに関して言えば100円商品、mt商品の差はほとんど感じられませんでした。
ただし一部の書き込みスペースのある100円商品には、ゲルインクのペンで書けないとの注意書きがあるものもあります。
その場合は油性のサインペンを使う必要があります。
工業用のマスキングテープは雑貨用に使える?
建築用、工業用のマスキングテープは単色ですが割安なのが魅力です。
例えば「塗装用」であれば1巻が18m巻で60円から80円で販売されていることも。
こういったテープも雑貨用として活用できるのでしょうか?
もちろん使うことができますが、いくつか気を付けたい点があります。
一般的に、「自動車塗装用」のマスキングテープは熱に強い素材でできていて、「建築塗装用」は水や溶剤に強いが熱には弱いという特徴があります。
また「シーリング用」はガラス用、外壁用など使いたい場所の素材別に特化しているものがあります。
用途別にそれぞれ粘着力が異なりますし、いずれも作業後はすぐにはがすことを前提に作られています。
ですから工業用のマスキングテープは、文具として販売されているタイプと同じ感覚で使用するとダメなことがあります。
使う素材、場所や期間等を考慮して選ぶ必要がありますね。
集めたマスキングテープが使い切れないときは?
定期的に新デザインが発売されるマスキングテープ。mtでも季節ごとに新作が発表されます。見つけた時に買っておかないと手に入らなくなる可能性があるので、ついつい自宅の在庫が増えてしまうかもしれませんね。
可愛くて使えない!という悩みも。
そんなときは、「貼ってはがせる」というマスキングテープの性質を利用して小分けにしてみませんか?
コレクションとして取っておく分と使う分とを分けてしまうアイデアです。
例えば、コルクや紙製の糸巻きなどにセロハンテープまたはメンディングテープを貼った上から、マスキングテープを巻き取っていきます。
数個合わせて同じ趣味のお友達におすそ分けするのも楽しいですね。
mtでは「mt makimaki」という小分け専用キットもあります。
おわりに
雑貨や文具として大人気のマスキングテープの素材や特性について比較してみました。
品質にこだわりたい、有名作家のデザインものが欲しいならmtなど専門メーカーのもの、季節に合わせた新柄をどんどん集めたいなら100円ショップをこまめにチェックする、といった使い分けができそうです。
マスキングテープはその特性上、「封をする」「しっかり固定する」という使い方は苦手です。お手紙の封かん用や荷物の梱包用としては向いていませんので、ご注意を。
そのかわり「貼ってはがせるシール」と考えると、ラッピングや手帳管理に、インテリアにもと使い道が広がりそうですね。