北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
焼き魚を作るなら魚焼きグリルというイメージが強いと思いますが、普通のフライパンでもコツさえおさえれば、きれいに魚を焼くことができます。
焦げ付きやすい西京漬けや皮が薄くてはがれやすい魚はきれいに焼けるの? そう疑問に思ってる方必見の記事です。
フライパンで魚を焼くメリットは?
魚焼きグリルで魚を焼こうとすると、煙やニオイが気になったり、後始末が大変だったりしますよね。そんなときにおすすめなのが、日常的に使っているフライパンで魚を焼くことです。実は、フライパンで魚を焼くメリットはたくさんあります。
フライパンで焼くと、焼き色が見やすいので焼き加減のコントロールがしやすくなるのがメリット。また、網焼きよりもしっとり仕上がります。魚から出る脂をこまめに拭き取ることもでき、魚焼きグリルで焼くときのように、脂が燃えて煙が出ることもありません。さらに、フライパンの場合はフタを使うので、煙のニオイも感じにくくなります。
<フライパンで魚を焼くメリット>
- 魚の焼き加減のコントロールがしやすくなる
- 網で魚を焼くよりしっかり仕上がる
- 魚から出る臭みのある脂を拭き取れる
- 煙がでにくい
もちろん、直火や炭火焼きの味とは変わってきますし、大きい魚はフライパンのサイズに合わせて切らなくてはいけませんが、それを差し引いてもフライパンを使うのはメリットだらけ!
毎日忙しいママ向きの焼き方といえるのではないでしょうか。
フライパンで魚を焼くときに必要なアイテム
フライパンで魚をきれいに焼くには、シリコン加工されたクッキングペーパーもしくはフライパン用のホイル、そしてフライパンのフタを使います。
<フライパンで魚を焼くのに必要なもの>
- クッキングペーパーかフライパン用ホイル
- フライパンのフタ
フライパン用のホイルとは、フライパンの内側に敷いて使うアルミホイルのこと。食材に触れる面はこびり付きを防ぐシリコン加工がしてあり、通常のアルミホイルよりも厚手で穴が開きにくい特殊なホイルです。クッキングペーパーよりも熱伝導率がよいため、きれいな焼き目が付きやすいという特徴があります。
クッキングペーパーは比較的安価なので使いやすいものの、フライパンからはみ出す部分は燃え移りを防ぐために、フライパンのサイズにあわせてカットするか折り込む必要があります(カットしなくてよいフライパン専用の丸形タイプもあります)。
フライパンのサイズに合うフタが用意できない場合は、アルミホイルをかぶせて代わりにしてもOK。
フライパンで焼き魚を作る方法
ではさっそく、フライパンで魚を焼く方法をご紹介します。
1.大きい魚は切る
大きいサイズの魚は、あらかじめフライパンに収まるよう切っておきます。
2.フライパン用ホイルを敷く
フライパンにクッキングペーパーまたはフライパン用ホイルを敷き、その上に魚をのせます。
3.フタをして焼く
中火にかけてフタをし、まず表面を焼きます。魚の身の6割から7割火が通るまでじっくり焼いていきます。
切り身であれば、側面も白くなり裏面には焼き色が付くくらいが目安です。
4.裏面を焼く
4.魚を裏返し、裏面を焼いていきます。
このあとはフタをせずに水分を飛ばしながら焼きます。
好みの焼き目が付けばできあがりです。
フライパンできれいに魚を焼くポイント
焼き魚を作るとき、魚が焦げたり皮がはがれたりしてきれいに焼けない……と困ったことはありませんか?
フライパンで焼くときも、こういった失敗は起こりえるので、しっかりとポイントをおさえておきましょう。
魚を下ごしらえのポイント
魚をきれいに焼くためには、下ごしらえが大事です。
フライパンを使う使わないに限らず、魚を焼くときに覚えておきたい下ごしらえの方法をご紹介します。
【ポイント1】魚を焼く前に常温に戻す
冷蔵庫で冷やしておいた魚は、焼く前に必ず常温に戻すようにします。
下ごしらえの時間を含めて、30分ほど冷蔵庫から出しておくとよいでしょう。
常温に戻すことによって、外側は焦げているのに中がまだ生だった、という失敗を防ぐことができます。
また、急激な温度差による焼き縮みやパサつきの予防にもなります。
冷凍の魚を使う場合は、凍ったまま焼く方がおいしい場合もありますので、パッケージなどに調理法の記載があれば、そちらに従ってください。
【ポイント2】塩を振って身を引き締める
生魚の場合は、ひとつまみの塩を振り、15分ほど置いて身を引き締めましょう。
塩を振ることで、焼いたときに皮がはがれにくくなる効果もあります。
このとき生臭さの原因であるドリップが出てきたら、しっかり拭き取ります。
【ポイント3】漬魚は表面を拭く
焦げ付きやすい西京漬けや粕(かす)漬けを焼きたい場合は、表面の味噌や粕(かす)をきれいに拭き取ることで焦げ付きにくくなります。
量が多いときはゴムベラを使うと便利です。
水で洗い流すと簡単ですが、焼くと水っぽくなるので、洗った後はクッキングペーパーなどで十分に水気を拭き取るようにしてください。
魚を焼くときのポイント
前述のポイントをおさえて魚の下ごしらえをしたら、次はいよいよ焼く段階です。
フライパンで魚を焼くときに気をつけたいポイントは次の3つ。ちょっとしたことですが覚えておくときれいに焼くことができます。
【ポイント1】魚から出る脂をこまめに拭き取る
焼いている最中にフライパンの中に魚の脂がたくさん出てきたら、ペーパーで拭き取るようにしましょう。
こうすることで、余分な焦げができにくくなります。
【ポイント2】盛り付けの際に上にする面から焼く
盛り付けるときに見せたい面(表面)を先に焼くのが、きれいな仕上がりになる鉄則です。
表面を焼くときは、時々フタを開けてどのくらい焼き色がどれくらい付いたかを確認しましょう。ただ、このときに何度もひっくり返したり菜箸で刺したりしないようにしてください。
フライパンを軽く揺すって魚を滑らせるようにするとムラなく焼き目が付きますが、うまくできないときは動かさなくてもOKです。
【ポイント3】裏返すときはフライパンから出す
魚を裏返すのに失敗すると、きれいな見た目になりません。
魚が身崩れしそうなときは、魚の下に敷いているペーパーやホイルごとフライパンの外に取り出して、平らなところでひっくり返すと失敗しません。
身崩れしやすい魚をきれいに焼く裏ワザ
身崩れしやすい魚は、ひっくり返さずに火を通すことができれば失敗する確率がぐんと減ります。
実は、魚をひっくり返さずに焼く裏ワザがあるんです!
その裏ワザとは、魚を蒸し焼きでしっかり加熱したあと、家庭用のハンディバーナーを使ってあぶるという方法。これなら魚をひっくり返す必要もなく、味も香ばしくなります。
今回は西京漬けのサバをこんがり香ばしく焼いてみました。
1.フライパンにクシャクシャにしたアルミホイルを敷き、盛り付けるときに見せたい面(あぶりたい面)を上にして乗せます。
2.アルミホイルとフライパンの間に水少々(50cc程度)を入れ、フタをして火を入れます。
高温の蒸気で蒸し焼きにして、魚にしっかり火を通します。
3.ホイルごと金属トレイの上に取り出し、バーナーで表面をあぶります。
好みの焦げ目が付いたらできあがりです。
クッキングシートやシリコン加工されたホイルにのせて魚を焼いた場合は、そのままバーナーを使うと燃える危険があるため、必ず金属トレイの上に取り出してからあぶるようにします。また、燃えやすいものを周りに置かないよう注意してください。
このとき使うのは、一般的なガス缶にセットできるハンディバーナーが便利!
「あぶり料理ができるバーナーの使い方」の記事でこのバーナーの使い方をくわしく解説していますので、あわせて確認してみてください。
フライパンのフタを使わずに魚を焼く方法
基本的にフライパンで魚を焼くときはサイズがピッタリのフタを使いますが、フライパンのフタがないときは魚を包んで焼く方法をおすすめします。
一切れずつ包んで焼くので、味が違う魚も隣で焼けるというメリットも。
1.クッキングシートまたはフライパン用ホイルで魚を包み、フライパンの上にのせて6〜7割ほど火が通って焼き目が付くまで焼きます。
2.焼き目が付いたら、包みを開けて裏返して焼きます。
厚みのある魚なら側面も焼き付けると良いでしょう。菜箸で挟み、立てた状態で1~2分焼きます。
3.裏面と側面もしっかり焼けたらできあがり。
焦げやすい粕(かす)漬けの銀だらもこんがりホクホクに焼くことができます。
クッキングシートを使わずに魚を焼く方法
クッキングシートやフライパン用ホイルが手元にないときもありますよね。
魚の焦げ付きを防ぐためのアイテムなので、あればぜひ使ってほしいのですが、これらを使わずフライパンだけで魚を焼くこともできます。
フライパンだけで魚を焼きたいときは、まずごく少量の油をひきます。
鉄のフライパンの場合は、先に強火にかけてフライパンを熱くしてから魚をのせるのがこびりつかないコツです。魚をのせたら弱火に落とし、基本の焼き方と同じようにフタをしてじっくり焼きます。
表面が樹脂加工がされたフライパンの場合は、最初から弱火から中火でじんわりと焼きます。
フライパン用ホイルではなく、普通のアルミホイルを使って焼くことも可能。アルミホイルをくしゃくしゃにしてから敷くことで代用ができます。
普通のアルミホイルを敷くと熱の伝わり方は少々遅くなりますが、魚がフライパンにくっ付きにくくなります。また、シワになった部分に余分な油がたまるのがメリットです。
魚焼きグリルを使わなくても焼き魚は作れる
フライパンで上手に魚を焼くには、
- シリコン加工されたクッキングシートやフライパン用ホイルを活用する
- フライパンのフタを使ってしっかり火を通すこと
魚の塩焼きは魚焼きグリルで、焦げやすい漬魚の切り身を焼くときはフライパンで、といったように使い分けるのもおすすめ!ぜひお試しください。