北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
ちゃんと砂抜きしたはずなのに、食べるときにジャリッ!
簡単で、失敗しない貝の砂抜きの方法ってどうするの?
そんなあなたに上手に砂抜きできる3つのポイントを解説します。これでもう失敗なしですよ。
記事の後半では、貝のおいしさを引き出す加熱法についても解説します。
貝はこすり洗いからスタート!
まず、貝はしっかりこすり洗いをして汚れを落とします。
潮干狩りで採った貝はもちろん、スーパーで売られている貝でも意外と表面が汚れているものです。
貝同士をこすり合わせて、ごしごしと水道水をかけながら洗ってください。
このときに口を開いた貝は死んでしまっていますので取り除きます。
次に、ざる付きのボウルかバット、水、塩を用意します。
- ざる付きのボウル
- バット
- 水
- 塩
1.塩分はきちんと量る
あさりは海水、しじみはおもに汽水(海水と真水が混ざり合った水)で生息しています。
砂抜きの際はそれに合わせた塩分濃度のお水を使う必要があります。
塩分が濃すぎる、または薄すぎると、苦しくてうまく砂をはいてくれない可能性があるからです。
きちんと計ってちょうど良い塩水を作りましょう。
- あさり用:水500ccに対し、塩大さじ1
- しじみ用:水500ccに対し、塩小さじ1
2.ざるとボウルの重ね使いがコツ
ちょうど良い濃さの塩水が用意できたら、よく洗った貝をひたします。
このとき、ざるとボウルを重ねて使うのがコツ。
ひたひたにした貝吐き出した砂を、もう一度貝が吸い込んでしまうのを防ぐことができます。
貝を入れたら用意した塩水を入れますが、量はひたひたに。
貝がぎりぎり浸る程度の少なめに調節します。
3.暗く静かな場所で貝をリラックスさせる
このあと1時間から3時間程度置いておきますが、必ずフタをして暗くなるようにします。
フタは大きさの合う鍋のフタでも良いですし、新聞紙などでもOK。
暗く静かな場所で貝をリラックスさせるそして、できるだけ静かな場所に置いておきます。
人が歩いたり、扉を開け閉めするなどの振動が伝わりやすい場所だと、貝はびっくりして閉じてしまうからです。
しょっちゅうのぞくのも貝がまぶしくて口を閉じてしまうので我慢。そっとしておいて、のびのびリラックスしてもらいましょう。
そっとフタを開けてみると、あさりはこんなふうに管を伸ばしてリラックスしています。
2本の管が見えますね。片方が水を吸う管で、もう片方は水を出す管です。
きれいな水を吸わせて、体内の砂混じりの水を吐き出して砂抜きができるわけです。
貝の塩分を忘れずに味付けする
砂抜きが終わったら、よく水洗いします。
調理するときは、貝の中に塩分が残っていますので、その分を差し引いて味付けします。
貝に含まれる塩分を忘れると、しょっぱすぎる料理になってしまうことがありますよ!
調理の前にしばらく水道水に浸けておくと、ある程度塩抜きができます。
すぐに調理しないときは、冷凍保存しましょう。
実は、貝類は冷凍するとうまみがアップするという研究結果もあるんです。
貝を入れるのは水から?お湯から?
さて、砂抜きの終わったあさりやしじみでお味噌汁を作る場合、「水から入れる」のと「沸騰してから入れる」という2つの方法があります。
これはベテラン主婦に聞いても料理店に聞いても、意見が分かれる場合が多いので、迷ってしまいますね。
判断ポイントは、濃いだしをとりたいのか、身をおいしく食べたいのか。
貝を使ったみそ汁例えば、しじみは貝の大きさが小さめ。しじみの身を楽しむより、だしをおいしくいただくことがメインになるのでは?
しじみのだしにはオルニチンがたっぷりで、疲労回復効果があるといわれています。
この場合は「水から」。じっくり加熱することでしじみのエキスを出し切ります。
しかし、あさりは、ふっくらした身を楽しみたいことが多いかもしれません。
その場合は「お湯から」。一気に加熱して貝の口が開いたらすぐ火を止めます。
繰り返しますが、貝が開いたら加熱しすぎないのが大切。そうすると貝の中にうまみが残るというわけです。
ただし、冷凍保存してあった貝の場合は、あさりでもしじみでも沸騰寸前のお湯に入れて調理します。
急激に加熱されないと、貝の口が開かないことがあるためです。
ちょっとひと手間でさらにおいしく
砂抜きした貝で作っても、汁の中に砂が混じることがあります。
貝の身の中は砂抜きできていても、貝殻に閉じ込められていた砂があった場合、加熱されて口を開いた時に砂が出てきてしまうのです。
丁寧に作るなら、ここでもう一手間!
1.お鍋の中で貝の口が開いたら、いったん貝を取り出します。
2.汁をこして砂を取り除きます。目の細かいざるがないときは、上澄みだけを他の鍋に移し、底に沈んだ砂が混じらないようにします。
3.汁だけを温めながら味噌を溶きます。
4.お椀に入れた貝に、熱々の汁を注いでできあがり!
貝を使った味噌汁ちなみにあさりやしじみのお味噌汁には、他のダシは不要です。(昆布やカツオ、市販の顆粒だしなど)
貝の栄養とおいしさをたっぷり味わってくださいね。