大学で建築・インテリアについて学んだのち、大手家具販売店に就職。現在はインテリア・ライフスタイル専門のママライターとして活動中。念願のマイホームを手に入れ、北欧インテリア×グリーンのある暮らしを楽しんでいます。
観葉植物をベランダや庭など外で育てている場合は、冬を迎える時にちょっとした対策が必要です。
あたたかい季節の管理と全く同じだと、葉をたくさん落としてしまったり、最悪の場合枯れたりすることも……。
そこで今回は、観葉植物の冬越しの方法についてご紹介します。
観葉植物の寒さ対策を始めるタイミングは?
観葉植物は気温が高い地域を原産とする植物が多く、日本の寒い冬は耐えられないものがほとんどです。秋になって気温が下がってきたら、屋外で育てている観葉植物は室内へ取り込む方が安心です。
そのことを頭の片隅に置いて、肌寒くなってきたら、天気予報で最低気温をチェックするようにしましょう。
最低気温が観葉植物の耐寒温度を下回ってしまうようであれば、室内へ取り込むタイミングです。
品種によって耐寒温度は異なります。わからない場合は、だいたいの目安として最低気温が10℃を下回ったら対策をはじめる頃合いと考えておいてもいいと思います。
観葉植物を室内へ取り込むまでにやっておくべき4つの準備
庭やベランダなど屋外で管理していた観葉植物は、そのまま室内へ入れていいわけではありません。
急に取り込んでしまうと、植物が弱ったり虫がわいてしまったりする恐れがあります。
そのため、しっかり事前準備をしておくことが大切です。
【1】段階的に明るさを弱めて慣らしておく
ベランダや庭で育てている観葉植物は、日光をたっぷり浴びています。
冬は日照時間が短くなり、日差しもやわらかくなるので、急に室内へ入れると日光不足になる場合も。
植物は急な環境の変化に弱いので、室内に取り込む時は、段階的に日光の明るさを弱めていくのがおすすめです。
屋外の日差しがよく当たる場所に置いていたものは、そのまま屋外の明るい日陰へ移動させ1週間くらい慣らします。
それから室内へ入れるようにしましょう。
【2】虫対策もしっかりとやっておく
外で管理していた観葉植物の鉢には、虫が付着している可能性があります。
目に見えなくても土の中に卵がある場合も……。
室内へ取り込むとあたたかくなるので、虫も元気になってしまうかもしれません。
取り込む前にしっかり対策しておきましょう。
確認の方法
まずはなるべく丁寧に、虫がいないか目視でチェック。葉の裏や土の表面などを確認しておきましょう。
虫を見つけた場合は、割りばしなどで捕殺します。
虫が小さくて捕りにくい場合は、割りばしの先に両面テープを巻いて、虫をくっつけるといいですよ。
また、殺虫スプレーもまいておきましょう。植物用の殺虫スプレーを持っておくと安心です。
食品由来で安心して使えるスプレーもあります。
殺虫剤の使い方
目視で虫がいないか確認したら、土の中に殺虫剤をまいておきましょう。
室内へ入れる3~4日前にまいておくのがおすすめです。
わが家で使用している「オルトラン」という殺虫剤は、根から薬剤を吸収して全体に浸透するので、葉を食べた虫にも効果が期待できるもの。
もちろん土の中にいる虫にも効きますよ。
ただし、オルトランはニオイがきついので、外でまいてしっかり土に混ぜてから室内へ入れましょう。
ちなみに筆者は以前、殺虫剤を使わずに観葉植物を取り込んだところ、春にコガネムシが室内でわいてしまいました……。
虫が苦手な人は特に殺虫剤の用意をおすすめします!
【3】鉢のまわりをきれいにし、鉢底もチェック
外で管理している観葉植物の鉢は、土やホコリなどで汚れています。
鉢のまわりをしっかり拭いてから室内へ取り込みましょう。
病原菌やカビ菌などが付着しているといけないので、消毒しておくと安心です。
筆者は一度水拭きで汚れを落とし、乾拭きしてからアルコール除菌しておきました。
また、この時に鉢底の状態もチェックし、虫がいないかも見ておきます。
受け皿付きの鉢なら、受け皿は一度洗っておくのがおすすめです。
鉢底をチェックした時に根が出ていることがあるかもしれません。
根があふれている場合は根詰まり気味なので、本来は植え替えするタイミング。
しかし、観葉植物は冬になると休眠期に入るため、生育はストップしています。
休眠期の植え替えは植物へのダメージが大きいため、春まで待ちましょう。
植え替えは、しっかり気温が上がる5月ごろに行うのがおすすめです。
【4】葉を拭き、枯れた葉があれば取っておく
最後に葉を拭いておきましょう。
屋外で管理していると葉っぱも汚れています。砂ぼこりや排気ガスなどがついている場合も。
室内では霧吹きで葉水を与える必要がありますが(これは後ほど説明しますね)、その時に葉が汚れていると、汚い水が床に垂れることもあります。
そのため、ぬれた雑巾などで葉を拭いてきれいにしておきましょう。
細かい葉の植物なら霧吹きでしっかり水をかけ、洗い流すようにしておくとよいですよ。
また、枯れた葉があればきれいに取り除いておくことも忘れずに。すっきりした状態で室内へ取り込みましょう。
観葉植物の室内での置き場所で、気をつけたいポイントは?
室内で管理する観葉植物はその置き場所にも気をつける必要があります。
冬の間は家の中といえども、観葉植物にとっては寒い場所もあるもの。
また、日光や暖房機器の位置にも注意し、置き場所を考えましょう。
日当たりに気をつける
観葉植物は冬の間に休眠するといっても日光は必要です。
日中は窓際に観葉植物を置いて、しっかり日光を当ててあげましょう。
観葉植物は直射日光だと葉焼けしてしまうので、レースカーテン越しがベストといわれています。
ただそ冬の日差しはやわらかいので、直接日光を当てても問題ない場合もあります。
お家の日の当たり具合をチェックし、冬でも日差しが強そうならレースカーテン越しがベターです。
暖房器具の位置に気をつける
暖房器具の近くに観葉植物を置くのはおすすめできません。
特にエアコンの風はあまり当たると乾燥してしまいますよね。
人間も葉っぱも同じなので、観葉植物に風が直接当たらないように気をつけましょう。
乾燥対策として加湿器を併用するのもおすすめですよ。
また、エアコンだけでなくファンヒーターなどの風も要注意です。
そのほか、ストーブなど高温のものの近くに置くのもNG。なるべく離しておきましょう。
床暖房の上に直接鉢を置くと熱くなりすぎてしまうので、台や家具の上に置くようにしましょう。
夜間に気温が下がる場所に気をつける
窓辺に置いて日光を当てておくのが大切とお話ししましたが、日没後は窓から離すのがおすすめ。
夜間は窓際の気温が下がりやすく、室内でも観葉植物にとっては寒すぎる場合があるからです。
なるべく室内寄りの気温が下がりにくい場所に置いてあげましょう。
たくさんの鉢があって毎日移動させるのが大変という場合は、ワゴンや台車などキャスターつきのものにまとめておくのがおすすめ。
一気に移動でき、毎日の管理も楽になりますよ。
大きな鉢もキャスター付きプランター台に乗せておくと便利です。
寒暖差に気をつける
日中は暖房を入れてあたたかい部屋も、夜間に暖房を切ると一気に室温が下がってしまう場合があります。
日中と夜間の温度に差がありすぎると観葉植物にとって負担が大きいため、なるべく寒暖差の少ない部屋に置くのがおすすめです。
お家の中でどこが観葉植物にとって快適か考えてあげましょう。
春から秋とは違う! 観葉植物の冬の水やりの注意点
冬は休眠期に入る観葉植物。春~秋の水やりの仕方と同じにすると根腐れしてしまう場合もあります。
冬にはどんな水やり方法が適切なのか紹介します。
冬の水やりの適切な頻度は?
休眠期の植物はあまり水を必要としなくなります。
そのため、水やり頻度は控えめにするのが大切。
土が乾いてから2~3日あけて水を与えます。
土が乾いたかどうかは、直接指で触って確認するのが確実。
土の中に少し指を入れて、土がパラパラと落ちるようであれば乾いているサインです。
また、注意したいのは「控えめにするのは頻度であって水の量ではない」ということ。
水やりするときは土の中に新しい空気を送りこむため、鉢底からあふれるくらいたっぷりあげるのが基本です。
水やり後は、受け皿にたまった水を必ず捨てましょう。
葉水の与え方はどうしたらいい?
冬は水やりの頻度は少なくなりますが、その代わりにこまめな葉水を与えます。
エアコンなどの暖房で乾燥気味になるのを防ぐためです。
植物の湿度を保つために、霧吹きでシュッシュッとしておきましょう。
日光にしっかり当たっている場合も乾燥しやすいので葉水が必要です。
また、土が乾いたか微妙な時も、葉水をしておくといいですよ。
乾燥するとハダニが発生しやすくなるので、それを防ぐためにも葉水は役立ちます。
水やりの水温にも注意が必要
水やりの時には少し水温にも気を配ってあげましょう。
水道水が冷たすぎる場合は、しばらく置いておくか少しぬるま湯を混ぜて常温にしたものを与えるのがおすすめです。
土や根が冷えすぎないように注意してください。
室内でも冷える場合はどうする? 観葉植物の防寒対策
観葉植物を室内に置いているからといっても安心できません。
お家の中でも場所によっては気温が下がる場所もありますよね。
またリビングで管理している場合も、夜間に暖房を切ったら急激に寒くなることも。
このように室内でも冷える場合には保温や断熱の対策をする必要があります。
どんな保温方法があるのか、詳しく紹介してきましょう。
【対策1】鉢の下に段ボールや発泡スチロールを敷く
まずは簡単にできる方法として、鉢の下に段ボールや発泡スチロールを敷くという手段があります。
特に床が冷えやすい場所におすすめの方法です。
また、寒さとは反対に床暖房の熱から守るのにも役立ちますよ。
床暖房の上にしか観葉植物を置く場所がないという時は、段ボールなどでさえぎって鉢に熱が伝わらないようにしましょう。
【対策2】ひとまわり大きい鉢に入れて二重にする
続いて簡単にできる方法は、鉢を二重にすること。
鉢カバーなどを使うと、土や根が冷えるのを軽減できます。
鉢の間に隙間があれば空気の層となって、断熱効果も高まるはず。
【対策3】バークチップで土の表面を覆う
「マルチング」といって、土の表面を覆うことで寒さ対策をすることができます。
今回使用したのはバークチップ。100均でも購入できますよ。
寒さ対策になるほか、虫の侵入防止にも役立ちます。
また、見た目がよくなるメリットもあるので、土をあまり見せずインテリア性をアップしたいという時にもぴったりです。
【対策4】紙袋をかぶせる
大きめの紙袋を上からかぶせることで保温になります。
さっとかぶせるだけなので、鉢が重たくて移動させるのが大変なときにもおすすめです。
床からの冷えが気になる場合は、段ボールを敷いておくとさらに安心。
また、台や家具の上で管理している時にもやりやすい方法です。
【対策5】段ボールに入れる
たくさんの鉢がある場合は段ボールにまとめておくと便利。
昼間は日光の当たる窓際に移動し、夜間は窓から離す時も一気に動かせます。
段ボールは保温効果も高いので一石二鳥ですね。
冷気が気になるときは、上に「プチプチ」とも呼ばれる気泡緩衝材(きほうかんしょうざい)をかぶせておくとさらに安心。
【対策6】「プチプチ」で鉢ごと包む
鉢全体をプチプチ(気泡緩衝材)で包んでおけば、冷気をしっかりカットできます。
日光に当てると蒸れてしまうことがあるので、上部が開くようにしておくのがポイント。
口をピンチで固定する方法にしておくと、プチプチをすべて外さなくても開閉できて楽です。
また、大きな観葉植物の場合は、鉢だけぐるっとプチプチで囲い、上からは透明のごみ袋をかぶせておくといいでしょう。
この場合も日中は袋を外して、蒸れないように気を付けてくださいね。
【対策7】発泡スチロールで簡易温室を作る
寒冷地など室内がとても冷え込むようなら、簡易の温室を用意してあげましょう。
冷凍食品などを入れる発泡スチロールと竹串、プチプチがあれば簡単にできますよ。
<用意するもの>
- バーベキュー用の長い竹串(工作用の竹ひごでもOK)
- 発泡スチロールの箱
- プチプチ(シート状の気泡緩衝材)
<簡易温室の作り方>
1.発泡スチロールの箱に竹串を挿す
発泡スチロール箱の四隅に竹串をまっすぐ挿していきます。
観葉植物の高さにあわせて、竹串の挿し具合を調節。
このとき、竹串4本の高さがそろうようにしましょう。
2.プチプチを横方向にかぶせる
竹串を柱にして、プチプチをかぶせていきます。
先に横方向にかぶせて両サイドをテープで固定しましょう。
3.プチプチを後ろから前へかぶせる
次に後ろから前に向かってプチプチをかぶせます。
はみ出ているプチプチは折り込んでおき、後ろ側をテープで固定します。
前側は通気や水やりのためにも開閉できるようにしておきましょう。
4.完全に覆ったら前をピンチで留める
日光に当てる時は前を開いて通気性をよくしておきます。
夜間の冷えが気になる時は、プチプチを前まで覆って両サイドをピンチなどで固定すれば、簡易の温室になります。
屋外で管理できる観葉植物とは?
観葉植物は寒さに弱いものがほとんどとお話ししましたが、中には寒い冬でも屋外で管理できるものもあります。
どうしても室内で観葉植物を育てられないという場合は、そういった品種を育てるのもひとつの方法です。
寒さに強い観葉植物の例を以下に紹介します。
ただし、寒さに強いといっても雪や霜に当たると枯れてしまう恐れもあるので注意しましょう。
<寒さに強い観葉植物の一例>
- アイビー(ヘデラ)
- ワイヤープランツ
- シュガーバイン
- シェフレラ
- トックリラン
- ユッカ
観葉植物の冬越し対策をして、寒さを乗り越えよう!
観葉植物の冬越し対策をする上で大切なのは、土や根を冷やさないこと。
葉っぱだけ守っても、鉢が冷えてしまったらあまり意味がありません。
このことをふまえておくと、対策方法も考えやすいですよ。
今回ご紹介した、冬の水やりなどの管理方法をチェックして、必要に応じて防寒対策も取り入れてあげると、観葉植物は冬でも生き生きとした緑の葉をキープできます。
上手に冬を無事に乗り切れば、また春にはきっと新しい芽を出し、大きく育っていきますよ。