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包丁を選ぶときは「両刃(もろは)」か「片刃(かたば)」かというのも重要なポイントのひとつ。
両刃の包丁と片刃の包丁では切り方にも大きな違いがあります。
そこで今回は、それぞれの刃の構造の違いについて、くわしく解説します。
包丁で食材を切ったときの食材の断面や切り方の違いについても、くわしく比べていきたいと思います。
「両刃と片刃ってどう違うの?」「どっちを選べばいい?」とお悩みの方、ぜひチェックしてみてくださいね♪
両刃と片刃の包丁ってどんなもの?
包丁の刃には「両刃(もろは)」と「片刃(かたは)」という2つの構造の種類があります。
両刃とは、左右両方に刃がある包丁。これに対して、片刃とは、片方にしか刃ついていない包丁を指します。
一般家庭でもよく使われている「両刃」
とがった切っ先や刃先のカーブ、まっすぐな刃元で使いやすいため、一般家庭でもっともよく使われている「三徳包丁」。
以前の記事で「三徳包丁が本当に万能かどうか」を調査した際、菜切り包丁や牛刀包丁との違いを比べてみました。
実はこれらの3種類の包丁は全て両刃という共通点があります。
一方で、出刃包丁や刺身包丁などの和包丁には片刃のものが多いです。
アップにすると見た目にも違いが
三徳包丁の刃をよく見てみると、左右同じように角度がついているのが確認できますね。
続いては、片刃である出刃包丁の刃のアップ画像を見てみましょう。
さきほどの両刃の三徳包丁より、刃の厚みはありますが、片方にしか刃がないので、刃の角度は鋭くなっています。
両刃と片刃の見た目の違いは、何となく画像からもお分かり頂けたと思いますが、実際に使うときにどんな違いがあるのでしょうか?
――というわけで。
両刃と片刃の包丁を使って、実際に食材を切ってみたいと思います。
【両刃vs片刃】大根を切った時の違いは?
一般家庭でよく使われる両刃の三徳包丁と違って、どちらかというと片刃の包丁はプロ向けという印象。「片刃の包丁は使ったことがない」という方も多いのでは?
使い勝手にどんな違いがあるのか、まずはシンプルに大根を切ってみることにしました。
想像以上に使い勝手の差が
片刃の出刃包丁で切ると……「あれれ?」。
普通にまっすぐに切っているつもりなのに、刃が左に曲がっていきます。
きれいに垂直に切るには、かなり力加減が難しいです。
食材の固さによっても力の加減が変わりそうなので、うまく使いこなすにはかなり慣れが必要そうですね。
一方で、両刃の三徳包丁は、家で使っている包丁の使い勝手とも特に変わりません。特に力加減を気にしなくても、まっすぐ垂直に刃が入っていきます。
さすが万能包丁と呼ばれるだけあって、余計な力を入れる必要もなく、すっと下までスムーズに切ることができました。
切った大根を見比べてみる
それぞれの包丁で切った大根を並べてみると、このとおり。
片刃の包丁で切るときも、なるべく垂直に切れるように意識したつもりですが、かなり斜めになってしまいました。
両刃の包丁は、左右均等に力がかかるので、垂直にまっすぐ切ることができます。
それに比べて片刃の包丁は、右の刃角から力がかかるので、刃が左に曲がっていってしまうんです。
つまり、両刃と片刃の包丁の大きな違いは、垂直にまっすぐ切れるか切れないかということなのですね。
片刃の主な用途と構造の秘密とは?
ただし、出刃包丁で大根を切ることはめったにありません。もともと、そういった用途の包丁ではないからです。
出刃包丁は、ウロコを取る、頭を切り落とす、内蔵の処理をする、身をおろすなど、魚の下ごしらえ全般によく使われる包丁。
そのため、魚をおろしやすいような刃の構造になっているのです。
魚をおろすなら、両刃よりも片刃?
魚をおろすときは、包丁を傾けて左方向へと切っていきます。
片刃の出刃包丁の場合は、右の刃角から力がかかることで、自然と刃が左に進みやすくなります。
つまり、垂直にまっすぐは苦手だけど、左方向にまっすぐ進むのは得意ということ。
魚の骨から身をはなすという作業がしやすいといえますね。
一方で、垂直にまっすぐが得意な両刃の三徳包丁だと、魚の骨にぶつかったり、魚の身に入りこんでしまったりすることが考えられます。
左方向へまっすぐ切り進めるのは、なかなか手こずりそう。
万能といわれる三徳包丁も、本格的に魚をおろすとなるとこんな不便があるんですね。
それに比べて片刃の出刃包丁は、用途は限られるものの、魚をおろすときにはとても優れた包丁だということが分かりました。
片刃の刃の裏に隠された秘密とは?
出刃包丁の特徴は他にもあります。
片刃の刃のついていないほうを、刃の裏といいますが、実はこの部分は裏すきと呼ばれ、少し凹んでいます。
改めて、画像でも見てみましょう。
ゆるやかにカーブを描いているのがわかるでしょうか?
この凹みが、包丁と食材との間にすき間を作ります。
そのため出刃包丁で魚をおろすときは、魚との間にすき間ができるので、包丁に魚がくっつかず、スムーズに切り進めることができるというメリットが!
刃の裏にもしっかりと役割があるのにはビックリですね。
【両刃vs片刃】刺身を切った時の違い
片刃の包丁に食材がくっつかないということは、食材との摩擦が少ないということ。出刃包丁だけでなく、刺身包丁も片刃で同じ構造です。
先ほどは大根で比較を行いましたが、今度は包丁の「切り離れ」を比べるために、片刃の刺身包丁と両刃の三徳包丁で刺身を切った時の違いを比較してみましょう。
刺身がくっつかずにスッと切れるのは?
まずは刺身包丁でサーモンのお刺身を切ってみます。
スッと包丁がとおり、食材がくっつくこともなく一気に切ることができました。
では、次に両刃の三徳包丁で切ってみると……?
「あれー!サーモンがくずれる!」
両刃の包丁には、刃の裏の凹みはありません。
サーモンが包丁にくっつき、包丁の動きについてきてしまったので、形がくずれてしまったのです。
切った刺身を比べてみよう
それぞれの包丁で切ったサーモンを比べてみます。
両刃の三徳包丁で切ったサーモンは、残念ながら形がガタガタ。
片刃の刺身包丁で切ったサーモンのほうが断然キレイ!表面もなめらかで整っています。
包丁との摩擦が少ないと、食材を傷めないので、鮮度が保てるということもいえます。片刃の刃の裏のわずかな凹みは、とても大切な仕事をしているんですね。
【まとめ】両刃と片刃を比べてわかったこと
最後に両刃と片刃のそれぞれの違いについて、簡単にまとめてみました。
形状だけで見ると両刃と片刃の違いはとても単純なように思えますが、このように切り方によって得意不得意があったり、食材がくっつきやすいかどうかなどの違いがあります。
それぞれの調理方法や食材によって上手に包丁を使い分けることで、より料理の仕上がりが美しく、何より料理自体がとても楽しくなりそうですね。