コンビニなどの商品開発業務に従事し、食の大切さに気づく。双子の男の子を育てながら、「食べ方」と「出し方」、ゆるいナチュラル生活の実践の仕方をお伝え中。
生でも加熱しても美味しく食べることができる大根は、夕食のメインになったり、他の食材を引き立ててくれたり、いろいろな顏をもっています。そんな大根の食べ方のひとつに「大根おろし」があります。
メインの料理にはならないものの、他の食材を引き立てることで料理の味わいを変えてくれる大根おろし。しかし、たまに辛みが強すぎて食べれなかったなんて話も聞きます。
そこで今回は、大根おろしの辛みの原因や大根おろしにおすすめの大根の部位、大根おろしの辛みを押さえる方法についてご紹介します。
大根おろしの辛みの原因
大根そのものを生で食べても辛みを感じることがなかったにも関わらず、大根おろしになると強い辛みを感じるという経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?
大根おろしは料理に添えることで、その辛みが食材を引き立たせるアクセントになる分には問題ないですが、たまに辛みが強烈すぎて食べられないなんてことを経験してしまう場合もあります。
しかし、これにはちゃんと理由があります。
理由を知ることで大根おろしの辛みを調整することができるので、まずは大根おろしがなぜ辛くなるのかをご紹介しましょう。
大根おろしの辛み成分
大根の辛みの元は、「アリルイソチオシアネート」という成分です。からしやわさびに含まれる辛み成分と同じものです。
実は、この成分は元々大根には含まれていません。そのため、大根おろし以外の食べ方で、強烈な辛みを感じることはないのです。
大根に含まれる「グルコシノレート」と呼ばれる成分と「ミロシナーゼ」と呼ばれる酵素が反応することで、辛み成分である「アリルイソチオシアネート」が発生します。
それぞれの成分は通常、それぞれ別の細胞に包まれているので、反応してもその量はわずかです。
しかし、大根をおろす行為で細胞が破壊されてしまうことで、通常以上の量の「グルコシノレート」と「ミロシナーゼ」が酵素反応を起こしてしまい、多量の辛み成分の「アリルイソチオシアネート」が発生してしまいます。
そのため、大根おろしは他の食べ方と異なり、辛みを感じてしまうことが多いのです。
ただし、この辛みの程度については、大根の種類や使う部位、大根おろし器の種類やおろし方によっても調整できるので、順次ご紹介しますね。
抗菌効果も
辛み成分の「アリルイソチオシアネート」には抗菌作用もあるので、風邪予防にも効果的です。
大根おろしに向いている大根の部位は?
大根は縦に長い野菜ですが、部位によって味や食感が違うことは知っていますか?
1本でいろいろな顏を持つ大根はその各部位の特徴を知っておくことで、よりおいしく食べることができるのです。
大根は大きく3つの部分に分けられます。
大根おろしにおすすめの部位は大根の上部です。
ただし、焼き魚やそば、刺身などの薬味として大根おろしを食べる場合には、辛みのある方がよいという人もいますよね。
辛い大根おろしがお好みなら、大根の下部を使用するのもよいでしょう。
簡単にはなりますが、大根の上部・中部・下部のそれぞれの特徴もご紹介します。
大根の「上部」の特徴
上部は大根の葉に近い部分です。
硬くて甘みが強いという特徴があるので、シャキシャキ感を楽しむために、生食でサラダや漬物などとして食べるのがおすすめです。
千切りやスティック状にカットすることで、よりシャキシャキ感を楽しむことができます。
辛いのが苦手という方は、この部分を大根おろしにするのもよいでしょう。辛みの抑えられたマイルドな大根おろしになるので、食べやすいです。
上部といえども、細胞をたくさん壊してしまうと辛さが増してしまうので注意しましょう。
大根の「中部」の特徴
中部はちょうど大根の真ん中の部分です。
甘みと辛みのバランスがちょうどよいのが特徴。
水分量もちょうどよいことから、固さや味のバランスもよいと言われており、1番万能な部分でどんな料理にでも使いやすいです。
そのため、大根ステーキやおでんの大根など、素材そのものの味や食感を楽しむ時に使用するとよいでしょう。
大根の「下部」の特徴
下部は繊維質で大根の中で1番辛みの強い部分です。
水分量が少ないことで、調味料がしみこみやすいという特徴があります。
辛みがあるため、食べるのが苦手な人も多いかもしれません。
そのため、調味料でしっかりと味をつけて濃い味のお料理をすることで、辛みが苦手な人でも食べやすくなります。
ただし、辛いのが好きという場合には、サラダや大根おろしとして生食で食べるのもおすすめです。
大根おろしの辛みを抑える方法6つ
大根の使用する部位によって辛さ甘さを調整できる大根おろしですが、他にも辛さを調整する方法があります。
大根おろしの辛みを抑える方法【1】大根の部位を選ぶ
先ほどご紹介した通りですが、辛みを抑えた大根おろしを作りたい場合には、1番大根が甘い葉に近い部分の上部を使用しましょう。
大根おろしの辛みを抑える方法【2】おろし方を工夫する
「大根おろしの辛みの原因」でご紹介した通り、大根は細胞が壊れることで起こる酵素反応によって辛みを増します。
そのため、辛みを抑えるために、細部を壊さないようにおろすとよいでしょう。力いっぱいおろしてしまうと、細胞が壊れてしまいます。
大根おろしを甘くするためには、優しく円を描くようにおろすことで細胞が壊れにくくなります。
また、大根は繊維が縦に走っています。縦切りにしてカット面をおろし器にあてて、繊維に沿っておろすことで、細胞が壊れるのを防ぐことができます。
そして、おろす時のスピードでも細胞の壊れやすさは変わります。ゆっくりとおろしてあげると細胞が破壊されにくいです。
一方で、力強く早くおろすと細胞が多く壊されてしまいます。
大根おろしの辛みを抑える方法【3】大根おろし器を選ぶ
大根おろし器にもさまざまな種類があります。
大根おろし器の刃の鋭さにより、大根おろしの甘み・辛みは左右されます。
刃が鋭く切れ味がよいと細胞が壊れにくいため、辛みが抑えられやすいです。
フードプロセッサーやミキサーなどは切れ味がよいので、辛みが和らぎやすいです。
その他にも職人さんによって作られた刃が鋭い金属製やセラミックス、木製のものは、比較的辛みが抑えられやすいです。
画像のような鬼おろしという目の粗い大根おろし器は、大根の繊維を壊すことなくおろすことができ、辛みを抑えることができます。
また、おろす時に大根の繊維と水分が分離しにくく、栄養分が逃げにくいとも言われていますよ。
大根おろしの辛みを抑える方法【4】大根の収穫時期を選ぶ
品種改良などにより年中手に入る大根ですが、大根の旬は秋から冬です。
大根は旬の時期である寒い時に甘さが増します。
そのため、旬の時期の大根は、春夏に収穫する大根に比べると辛くなく食べやすいです。
大根おろしの辛みを抑える方法【5】大根の品種を選ぶ
大根はさまざまな品種のものがあります。
スーパーで一般的に目にする大根は青首大根と呼ばれる種類です。
それ以外にも、全体が白い白首大根もよく目にするかも知れません。
画像のような辛味大根(からみだいこん)と呼ばれる辛みの強い品種のものもあります。
他にも、からいね大根やねずみ大根など、大根おろし以外に使用するには辛すぎる品種のものもあります。
辛い大根おろしが好みの人は試してみてもいいかもしれませんが、苦手な方は注意してくださいね。
大根おろしの辛みを抑える方法【6】いい大根を選ぶ
スーパーや八百屋の店頭に並ぶものや、お家で長期間放置されてしまっていた大根の中には、「す」と呼ばれる中身がスカスカで空洞ができてしまっているものがたまにあります。
「す」が入ってしまっている大根は水分の含有量が少ないことで、甘さが少なく辛みを感じやすい傾向が強いです。
購入・使用する時には、断面や茎の部分を確認して筋が入っていないものを選ぶのがよいでしょう。
それ以外にも、「いい大根」の基準はあります。見た目で色が白いもので、硬くてハリツヤがあるのもおすすめです。
また、大根の表面にはひげ根の穴が並んでいますが、穴は少なくひげ根がまっすぐ並んでいるものを選ぶと良いでしょう。
葉付きの大根を購入してきた場合には、すぐに葉と根は切り分けて保存しましょう。
葉を付けたままにしておくと、葉に水分や栄養が吸収されてしまい、根の方がしわしわになってしまいます。
そうすると、甘みが感じにくく辛みの方が強くなってしまう可能性が高いのでご注意ください。
おろした後に辛みを抑える方法4つ
大根おろしの作り方を工夫することで、すでに辛みの強い大根おろしの辛みを抑える方法もいくつかあります。
おろした後に辛みが強すぎてそのまま食べるのはきつい!という場合には、ぜひお試しください。
おろした後に辛みを抑える方法【1】おろしたものをすぐに食べない
大根おろしは、おろしたてが1番辛いです。
しかし、この辛味成分である「アリルイソチオシアネート」は、揮発性が高いということで、時間が経つと辛みが抑えられていきます。
目安としては、大根おろしを30分ほどでおくことである程度辛みが抜けると言われています。
辛い大根おろしが苦手な場合には、料理の1番最初に大根おろしを作っておくことで、食事をする時には辛みの抑えられた大根おろしを楽しめるはずですよ。
おろすタイミングを調整するだけで、他に準備することもないので、まずはぜひやってみましょう。
放置しすぎは厳禁
1時間以上大根おろしを放置してしまうと、臭みが出てきてしまう可能性もあるので注意しましょう。
おろした後に辛みを抑える方法【2】大根おろしを加熱する
辛み成分である「アリルイソチオシアネート」は、熱に弱いという特徴があります。
通常、加熱して6分以降に辛み成分が減り始めて、約15分後には半減してしまいます。
そのため、煮物の大根などは辛みがなく、ほんのりとした甘さも感じながら美味しく食べることができます。
大根おろしの加熱は注意が必要!
大根おろしを煮物と同じように長時間加熱をしてしまうと、大根の味と風味が変わってしまうので注意が必要です。
よく目にする情報では、「電子レンジで30秒~1分ほど加熱」というのをおすすめしているものも多いです。
ただし、個人的には、電子レンジで加熱をしたものは風味が落ちてしまう傾向が強いと考えるので、あまりおすすめではありません。
できれば他の方法で、辛みを落とす方がおすすめです。
できあがった熱々のお鍋やスープなどに大根おろしをトッピングするのは、加熱しすぎることなく、熱を入れてあげることができるので、試してみても良いかもしれませんね。
おろした後に辛みを抑える方法【3】大根おろしを水にさらす
大根おろしをたっぷりの水にさらしてあげるというのも、辛みを抑えるのにはよいでしょう。
水にさらすのは、数分もあれば十分です。
逆に、水にさらしすぎてしまうと、辛みだけでなく、必要な栄養素も溶け出してしまうので、水にさらす時間は注意が必要です。
つけすぎには注意をしましょう。
また、食べる前には水気もしっかりと切ってあげましょう。
水気がいっぱい残っていると、大根おろし自体が水っぽくなってしまい、美味しく食べるのは難しいかもしれません。
おろした後に辛みを抑える方法【4】大根おろしに調味料を加える
大根おろしそのものは味がついていないので、辛みがでた場合にはお好みの調味料と混ぜ合わせて楽しむのもありでしょう。
酸性の強いものは辛みを中和して和らげてくれます。
酢やポン酢、醤油、レモン果汁などを加えてあげるのがおすすめです。
また、味がつくことで、辛みや苦味が気にならなくなり、甘みが感じやすくなりますよ。
お好きな調味料で味付けをしてみるのも楽しいかもしれませんね。
大根おろしに加える調味料を選ぶ時には、原材料がシンプルなもので昔ながらの製造方法で作られたものを選ぶのがおすすめ。
大根おろしだけでなく、自宅で作るお料理の味も変化するでしょう。
自分好みの大根おろしを見つけてみよう
大根おろし=辛みのある食べ物というイメージが強いかもしれません。
もちろん、辛みを楽しむことで大根おろしを味わうというのも間違いではありません。
しかし、辛みが抑えられた食べやすい大根おろしにしたい時もあるでしょう。
大根おろしの辛みを抑える方法は、本日ご紹介しただけでもたくさんあります。
ご自身が1番やりやすいと思うものから取り入れてみてください。