練り切り菓子の作り方【2】生地の色付け・成形―初心者でも可愛く作れるコツと便利グッズ―

手作りの可愛い練り切り

前回の記事では、「練り切りの生地・あん作り」についてご紹介しました。

次のステップは生地の色付け成形
特に成形は、慣れないうちは時間がかかってしまい、うまくいかないものです。

そこでこの記事では、和菓子作り初心者でも練り切りを可愛らしく成形するための、失敗しない簡単テクニックをご紹介していきます。和菓子経験はまだ浅い調理師racssも実際に作ってみてやりやすかった方法ですので、ぜひ参考にしてくださいね。

練り切り作り【4】色付けの準備

練り切りはきれいな色使いが魅力のお菓子です。
生地ができたら乾燥しないようにラップで包んで保管しておき、続いて色付けの準備をしていきます。
家庭用着色料
色付けには食用の色素を使います。粉末状の色素を溶いて準備しておきましょう。
黄色、赤色、青色の3原色があれば、様々な色合いを作り出すことができます。

着色料の選び方や安全性については「練り切りとは?」の記事でも触れています。

色粉を溶くときのポイント

色粉は水で溶くだけでもいいのですが、初心者にはペースト状にすることをおすすめします。

液体だと飛び散ったりこぼしたりするリスクが高まりますし、色付けの際の量の調節が難しいです。
色素粉末と同量の砂糖を加えて、ややとろみのある液体にしておきます。

色粉を溶く手順

手順1
材料を準備する
色粉の準備
食用の色素、砂糖、お湯を用意します。
色素を溶いて入れておく器も準備します。

色粉を溶く器
今回はアイスクリーム用の樹脂製のスプーンを器として利用しました。
スプーンなら中央に色水が集まってくれるので、少量でも使い勝手がよく便利。100均で8本入りのものを購入しています。
手順2
色粉と同量の砂糖を器に
砂糖と色粉
色粉の容器に付属している小さなさじで色粉をすくい、器に入れます。
この小さじはすりきりで0.1gになります。同量程度の砂糖も入れてください。
手順3
お湯を垂らす
少量の湯
ほんのひとしずくのお湯を垂らします。
手順4
楊枝でよく混ぜる
楊枝で練る
爪楊枝を使ってよく混ぜます。
様子を見て硬すぎるようなら、もうひとしずくのお湯で伸ばし、なめらかなペースト状(ややとろみのある液状)にするといいでしょう。

3色並べる
同じ要領で3色を作ったら、使いやすいようにお皿に並べておきましょう。
下には濡らしたキッチンペーパーを敷くと、器にしているスプーンが滑らず安定します。
色を取るためには爪楊枝の頭側を使います。

上の画像では、一緒に小さな器に水を入れてあります。
これは色付けの際に、細工棒の先をちょっと濡らして拭いたりするのに便利ですが、濡れペーパーを用意してあればなくてもいいと思います。

色素を作るときのポイントと注意点

1回に使う色粉はほんのちょっと。1個分の生地に混ぜる色素は、爪楊枝でごくわずかのせるだけで十分です。
そのため、色素を作るときは色粉をたくさん溶き過ぎないようにしましょう

今回は黄、赤、青の3色を同量で作りましたが、実際に練り切りの色付けに使う色としては黄と赤が主になります。
和菓子では青をメインに使うことはあまりありません。
青は、緑や紫を作る時にほんのわずか黄や赤に混ぜるだけですので、もっと少なく溶いても良いかと思います。

ちなみに、色素が余ったらラップなどで覆って保管ができます。変質や虫予防のために冷蔵庫で保管するのがおすすめ。
しばらく経って水分が飛んでしまったら、再び水を足して利用も可能です。
短期間に何度か作る予定のときは、蓋のできる小さな容器に作っておくと保管に便利です。

練り切り作り【5】生地を色付けする

練り切り菓子を作る際には、色付けもかなり重要な要素。
色付けを失敗しないコツも押さえておきましょう。

練り切りの生地を色付けするときのコツは、淡さ」を意識すること
せっかくの練り切り菓子が、「食べ物とは思えない粘土細工」や「カラフルすぎる海外製キャンディ」みたいになってしまっては残念ですよね。
そうならないためには、美味しく見える上品な色付けが肝心です。

生地を色付けする方法とポイント

できるだけ淡く柔らかい色使いを意識しましょう。
生地につける着色料はほんのちょっぴりで十分です。
生地を色付けする方法とポイント
画像では、10gほどの練り切り生地に爪楊枝の頭の部分にとった着色料をちょん、と付けたところです。

生地を練り込んで色付けする
折りたたむようにして色を練り込みます。

黄色に着色された練り切りの生地
すっかり混ざると、淡い黄色に染まった生地になりました。

練り切り生地は仕上げている間に多少水分が抜けますので、仕上がりの色合いは当初よりも濃くなります。
そのため、色を混ぜる段階では薄めに抑えるようにするのがコツ

色が濃すぎた時の対処法は?

白生地を足す
色が濃いな、と思ったら、白い生地を足して薄めます。
色の調節のためにも、白生地は余分に取っておきましょう。

色素を混ぜて他の色を作る方法

色を混ぜる
ピンクの生地に青を足すと紫になります。
色を混ぜるときは、このように着色料を乗せる方法と、それぞれ単色で練っておいた色生地を合わせてこねる方法があります。

色の合わせ方
  • 黄色に赤⇒オレンジ
  • 黄色に青⇒緑
  • 赤に青⇒紫
  • 赤に白⇒ピンク

ただ単に色を混ぜるだけではなく、完全に混ぜきらずマーブルにしたり、色同士の合わせ目をぼかす、穴をあけた場所に他の色の生地を乗せてから伸ばす、など様々なテクニックがあります。

着色料を扱うときの注意点

着色料は指先に付くとしばらく落ちません。
色が付いて困るときは、練り込むときにビニール手袋をするか、ある程度混ざるまで生地をまな板の上においた状態でヘラでこねる方法があります。
こうすると指が汚れないだけでなく、指に付いた色が他の生地に移ってしまう失敗も防げます。

布や木目に付いた着色料も落ちにくいので、不用意に飛び散ったりしないよう扱いには注意してください。

初心者向け生地成形のコツと成形に使うアイテム

練り切り菓子づくりの中で一番楽しく魅力的なのが成形する段階ですが、実際に作ってみるとなかなか難しく、最も技術が必要だと感じる部分でもあります。
初めはイメージ通りに作れないのは仕方ありませんが、失敗を最小限に抑えるポイントを知っておくと安心です。
そこで成形を始める前に、失敗しないための基本のコツや、成形に使える便利なアイテムをご紹介します。

成形を失敗しないコツ

生地をヘラで切る

▲シリコン型で成形した練り切り生地を細工ヘラで仕上げているところ

 
慣れないうちは、丁寧に作ろうと思うほど成形に時間がかかってしまいがち。
しかしあまり時間がかかると乾きが進み、あんの鮮度も下がってしまうので良くありません。

美味しさを半減させないためにも、生地はビニール袋やラップで覆って乾かないようにしましょう。
蓋付きの保存容器に入れておくのもおすすめです。

また、作りたいデザインはあらかじめよく考えておくようにしましょう。
必要な色生地や、色素の分量を計算しておいたり、イラストにした図案を用意しておくなど、できるだけ手早く作業を進められるようにしておくのがポイントです。

初心者におすすめの便利な道具やシリコン型

練り切りの成形には「三角棒」または「三角ヘラ」と呼ばれる専用の道具を使います。

三角棒は、練り切りに切れ目(ライン)を入れて細工するための道具。
先が丸くなっていたりくぼんでいたりして、これ1つでいろいろな表現ができるようになっているタイプもあります。

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和菓子用道具

三角棒の代わりに、専用の細工ヘラセットがあれば細かい細工が簡単。
スプーンや竹串などキッチンにあるものを活用してもいいでしょう。

また、大まかな形作りには和菓子向きデザインのシリコン型を使えば便利です。
写真は、千鳥、ひょうたん、うさぎの形が作れるシリコン型です。

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今回の記事では、こうしたいくつかの種類のアイテムを使って練り切りを成形してみました。
さっそく、今回使用したアイテム別に、成形の方法をご紹介していきますね。

「シリコン型」を使って成形する
「抜き型」を使って成形する
「手のひら・スプーン」を使って成形する

練り切り作り【6-1】シリコン型を使って成形する

シリコン型を使って成形する練り切りは、練習しないとうまくできない「包餡(ほうあん)」が簡単なので、初心者さんにぴったり。

型を使う和菓子成形自体は、落雁(らくがん)などの干菓子を作る際、プロの職人さんも使う技です。
ここでは、小ぶりな一口大の練り切りが作れる、貝印の「和菓子用シリコン型」を使ってうさぎの形の練り切りを作ってみましょう。

シリコン型を使った成形の手順

このうさぎ型では、20g強(22g)の生地を用意し17g程度を取り分けて丸めた後、少し平らにつぶしてから型に押し込みます。
生地の分量は、付属のレシピブックに記載されていますので、その通りの分量を用意します。

手順1
シリコン型に生地を入れる
シリコン型に生地をぴったり入れる
シリコン型のくぼみに、ぎゅっと押し込むように練り切りの生地を入れ込みます。
指先や丸い先の細工棒を使って、密着するようにしっかり押さえます。
手順2
あんを入れる
あんを入れる
あん玉をの入れ、フタになる生地をかぶせます。
あん玉は約5g、フタは1の工程で残しておいた5g前後の生地を使います。
手順3
生地をなじませる
生地をなじませる
すき間が埋まるよう押し込み、つなぎ目を指や丸棒でなじませます。
手順4
表面にラップをかける
シリコン型に生地を詰めたところ
しっかり生地が入りました。
乾かないよう出ている表面にラップをかけておきましょう。
手順5
冷蔵庫で冷やす
冷蔵庫で冷やす
冷蔵庫で冷やし、固くしてから取り出します。
手順6
目を付けて完成
目を付けて完成
表面を整え、目の部分に食紅で色を付けて白うさぎのできあがり。
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練り切り作り【6-2】抜き型を使って成形する

和菓子作りでは抜き型もよく使われます。
クッキー作りなどで使う小さめの抜き型があれば、ぜひ活用してみましょう。

抜き型で作る練り切り
2枚の生地であん玉を挟んでから、表面に押し模様をつける方法で作ったのがこちら。
これには、直径4cm弱の花の抜き型を使いました。

手順1
生地を抜き型で抜く
花型で抜く
生地を3mmほどの厚さに平らに伸ばし、花の抜き型で抜きます。
生地を伸ばすときは、クッキングペーパーを敷いておくとくっつきにくく作業がはかどります。
手順2
生地の上にあんを乗せる
生地の上にあんを乗せる
生地の上に5gほどに小さく丸めたあん玉を乗せます。
手順3
花の形に成形する
むらさきをのせて成形
色を変えて作ったもう一枚の生地をかぶせ、中心に白の余った生地を丸くしたものを載せて花芯に見立てます。
花びら部分は押し棒を使ってくぼませ、花芯部分にはヘラでラインを付けます。

紫と白でキキョウをイメージしたのですが、ハーブのボリジの花のようになりましたね。
ヘラでの細工の仕方次第でいろいろな花にできそうです。

練り切り作り【6-3】手のひらで包餡しスプーンで細工する

手で作る練り切り
あんを生地で包むことを「包餡(ほうあん)」と言います。
包餡(ほうあん)は和菓子作りの基本で、手のひらできれいに均一に包むのは練習が必要な技です。

難しいですが、自分で食べる分なら少々失敗しても大丈夫。まずはやってみましょう。
スプーンで線を入れる「さじ切り」という手法を使って、バラの形の練り切りを作ります。

手のひらとスプーンを使った成形の手順

手順1
生地にあんを乗せる
ピンクを重ねて
白生地にピンク生地を重ねて平らにしたところへ、あん玉を乗せて包みます。
これはうっすらとピンクが透けて見える仕上がりになる作り方です。
手順2
手のひらであんを包む
手のひらであんを包む
左の手のひらをややくぼませ、親指全体を軽く生地に押し付けるように持ちます。
右手は指数本であん玉を軽く押さえます。
そのまま、左手全体を使いながら生地を時計回りに回すと、表面の練り切り生地が徐々に伸び、あん玉を包むことができます。
親指で生地を押し上げるような意識でするとうまくいきます。

文章では伝わりにくいですが、何度かやっているうちにコツがつかめるはずです。

手順3
きれいに丸くする
練り切りを丸くする
見えているあん玉が小さくなってきたら、口をすぼめるようにして生地を綴じます。
綴じ口を下にし、手のひらで転がして全体をきれいな丸にします。
手順4
スプーンでラインを入れる
スプーンでラインを入れる
スプーンでバラをイメージしたラインを入れます。
軽く押し広げるようにすると、内側のピンクが見えやすくなります。
手順5
葉をつけて完成
バラの葉をつける
緑色にした小さな生地を葉に見立てて乗せます。
ヘラで葉脈を入れてできあがり。

【番外編】練り切りの成形テクニック

今回ご紹介したのはごく簡単な成形方法ですが、他にも練り切りには様々な細工の技があります。

成形した練り切りの菊
こちらはオレンジの生地にたくさんのラインを入れ「菊」にしたもの。
均等にラインを入れるのは難しかったのですが、とても和菓子らしいフォルムになりました。

同じ菊でも、交差させたラインを加えてより複雑な模様にする方法や、ハサミで切り込みを入れて花びらを表現する方法、丸棒を使い頂点から下へ押し下げる模様を入れて花びらに見立てる方法などがあります。奥が深いですね。

練り切りの細工の技法

練り切りの細工の技法
他にも、練り切りには細工の技がたくさん。
目の細かい布でひねりを加える「茶巾絞(ちゃきんしぼ)り」や、網目を通して細かくした生地をあん玉に貼り付ける「きんとん」、糸を使って生地を切り、数種の色を放射状に合わせるものなど、代表的なものだけでも様々な形があります。

一度には覚えられませんが、少しずつ作れるバリエーションを増やしていきたいものです。
お手本となる形を見ながら、線の間隔や組み合わせ方などを練習してみましょう。

作った練り切り菓子の保存方法と食べ方

練り切りは「生菓子」ですので、作った日のうちに食べるようにしましょう。

その日のうちに食べない場合や保存しておきたい場合は、ラップに包むか容器に入れて冷凍保存します。
食べるときは自然解凍してからいただきます。
練り切り菓子をカップに入れる
保存する際は、市販の和菓子専用容器が便利。
すぐ手に入らないときは、お弁当用などの小さなカップを逆さに使い、フタ部分に練り切り菓子を乗せると良いでしょう。

容器に1つずつ入れると、衛生的ですし他の人に食べてもらうときにも見栄えがします。

おわりに

練り切り菓子を、初心者でも可愛く仕上げる工夫をいくつかご紹介しました。

一朝一夕にはいかない成形も、シリコン型や抜き型を使えばそれなりに形になるもの。多少いびつな形も逆に可愛らしく見えるかもしれませんね。手軽に和菓子作りを始めるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

とはいえ創作の自由度で比べると、やはり手で包餡(ほうあん)してから成形する方法が最も優れています。
難しさはありますが、その分様々な表現がしやすいので、ぜひマスターしたいところです。

他の人にも食べてもらえるような和菓子を美しく手早く作れるようになるには、和菓子作り教室や講習会でプロの技を見ながら、直接教えてもらうのが上達の早道。
分かりやすい和菓子の本や動画もありますので、参考にしましょう。

芸術性が高く、日本ならではの繊細さが求められる和菓子の世界ですが、手作りでもっと身近に楽しんでいけるといいですね。

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