TVや雑誌などのフードスタイリング、メニューや商品開発の傍ら、「お料理の基礎からアレンジまで楽しく美味しく!」をモットーに料理教室を開催しています。また、発酵食品の魅力に魅了された近年は、無農薬味噌作り教室も。食材を簡単にアレンジさせる技などをご紹介していきます。
にんにくを余らせたときに作ってほしい「にんにく醤油」。いろいろな用途に使える万能調味料として知られています。
実は、家にある調味料で簡単に作ることができる上に、アレンジレシピもいっぱい。
今回は、そんなにんにく醤油の作り方とアレンジレシピをお届けします。
自家製「にんにく醤油」がおすすめのワケ
万能調味料とも呼ばれるにんにく醤油ですが、簡単に作れるという以外にもいろいろなメリットがあります。
【ワケ1】にんにくを長期保存できる
生のにんにくの保存期間は、常温で2週間程度、冷蔵で1か月程度。ところが「にんにく醤油」を密閉容器に入れて冷蔵保存すると、賞味期限が1年以上に。飛躍的に長持ちさせることが可能になります。
【ワケ2】ニンニクを大量消費できる
「にんにくは好きだけど、使い切るのは大変!」ということってありますよね。「にんにく醤油」は、自宅に常備している調味料で気軽に作ることができること、また長期保存ができるため、余ったにんにくの大量消費にもぴったりです。
【ワケ3】料理に独特の風味をプラスして格上げする
「漬け込まず、生のにんにくと醤油を料理に入れても味は同じじゃない?」と思っている方も多いのではないでしょうか?でも、実は材料は同じでも、漬け込むという工程を経ると味がガラッと変わってきます。
たとえば、炒め物やパスタにちょっと足すだけで、いつもの料理がワンランク上の味わいに大変身!(のちほど、にんにく醤油チャーハンやパスタのレシピをご紹介します)。
「生のにんにく+醤油」だととがった味になるところが、にんにく醬油はまろやかで奥深く嫌味のないにんにくの風味が楽しめます。大げさに聞こえるかもしれませんが、本当に魔法のような調味料なんです。そのおいしさは、じっくり漬け込まないと味わえない特別なものといえるでしょう。
【ワケ3】漬け込んだにんにく自体も活用できる
にんにく醬油を作るのに使った「にんにく」自体もそのまま食べてもOK。ほかにも「刻んで料理に混ぜる」「トッピングに使う」など様々な活用方法があります。長期間醤油に漬け込むことで、にんにく独自の辛さがマイルドになり、食べやすくなっていますよ。
3ステップで簡単! にんにく醤油の作り方
にんにく醤油の作り方といっても、レシピというほど大した材料や手順は必要ありません。
たった3ステップで簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみてください。
材料と必要な道具
- にんにく
- しょうゆ
- 保存用の耐熱瓶
- (瓶を取り出すためのトング)
いろんな種類があるしょう油ですが、にんにく醤油をいろんな用途で使いたい場合は「こいくち醤油」で作るのがおすすめです。減塩しょうゆ油で作る場合は、普通の塩分量のしょうゆ油で作るよりもカビや菌の発生しやすいので、保存ときに注意が必要です。ほかの薄口しょう油、再仕込(さいしこみ)醤油などで作ってももちろんOKです。風味がそれぞれ異なるので、いろいろと試してみてもよいかもしれません。
にんにく醤油を保存する容器は、ふた付きの密閉できる耐熱ガラスの瓶を選びましょう。
にんにく醤油の作り方
1.保存容器をしっかり煮沸消毒する
まずは保存に使うビンを90度以上のお湯で、5~6分ほどグツグツと煮沸します。
やけどに注意しながらトングなどで取り出し、キッチンペーパーなどの上で乾かします。
瓶に水滴が残ったままだと、雑菌の繁殖につながりかねません。煮沸消毒した後はしっかりと瓶を乾燥させるのがポイントです。
2.にんにくの皮をむく
にんにくの皮をむきます。むき方はお好みですが、大量に漬け込む場合は、以下のどれかの方法をとるのがおすすめです。
<大量のにんにくをむく方法>
- ふた付きの瓶に入れて振る
- ある程度ほぐしたにんにくを水に3~4時間つける
- 電子レンジでチンする
- にんにくの皮むき器を使う
下記の記事でも、簡単にむける方法をくわしくご紹介していますので、そちらも合わせて参考にしてみてください。
3.瓶ににんにくとしょう油を入れる
煮沸した瓶に、にんにくを入れます。そのあと、醤油をにんにくが空気にふれない程度まで入れます。にんにくが空気にふれてしまうと、酸化して傷む原因になってしまうので、必ずにんにくがしっかり漬かる分量までしょう油を入れるようにしましょう。
4.1カ月以上漬け込む
涼しい季節なら日が当たらない冷暗所で、また夏は冷蔵庫で保存します。
漬けたばかりだと、にんにくの辛みと醤油のしょっぱさが立つ味わいになっていて、すぐに使うことはできません。味に丸みが出てくるのはその先です。
醤油に味がなじむ目安は、だいたい2週間から1カ月後くらい。冷蔵庫よりも常温で漬けた方が、味がなじむのが早いように思います。しょうゆ油を継ぎ足した場合は、また少し寝かせて味をなじませましょう。
漬け込んだにんにくは、しっかりとしたしょう油色になったら食べ頃。生で丸ごと漬けた場合は、約3カ月後くらいかかるでしょう。もっと早めに食べたい場合は、丸ごと生でつけるのではなく、以下の方法をとってください。
早く食べたいときの裏ワザ「にんにく醤油」の他の調理法
また、漬け込むにんにくは、生のまま以外にも下記のような調理をほどこして漬け込んでもOKです。
- 皮ごと漬ける
- 皮をむいて半分にカットする
- 皮をむいて薄切りにする
- 皮をむいて電子レンジでやわらかくする
- 皮をむいて素揚げする
- 皮をむいて焼き目をつける
私は早く味をなじませたいので、にんにくを2ミリくらいの薄切りにして漬けています。こうすると2週間ほどで使い始めることができます。
ちょい足しで風味に変化を。にんにく醬油のアレンジ方法
にんにく醬油の基本は、「にんにく」「しょう油」の2つだけですが、ここにプラスアルファのアレンジをするのもおすすめです。いくつかにんにく醤油のアレンジ方法をご提案するので、ぜひ試してみてくださいね。
【にんにく醤油アレンジ1】唐辛子をプラスする
ベーシックなアレンジが、唐辛子を入れること。ピリッとした辛さが味に奥行きをもたらします。
また、辛味成分のカプサイシンは防腐作用があることから、にんにく醬油をより長持ちさせたい場合にもおすすめの方法です。
【にんにく醤油アレンジ2】「酒+みりんor砂糖」をプラスする
酒とみりん(あるいは砂糖)を足すことで甘さとコクが加わり、より万能な調味料になります。煮切って足すとよいでしょう。これひとつで味が決まるといっても過言ではありません。
ただし、にんにくと醤油のときよりも保存容器にカビが生えやすくなるので、冷蔵庫で寝かせるようにしましょう。
【にんにく醤油アレンジ3】昆布をプラスする
昆布を加えると、うま味がプラスされます。よりまろやかで奥深い味わいに。和食と相性抜群です。
一緒に漬け込んだ昆布は1~2週間程度で取り出しましょう。
【にんにく醤油アレンジ4】ハーブ類をプラスする
ハーブとも相性抜群です。特に香り高いローズマリーやローリエはおすすめ。漬け込むハーブは、水分が多いバジルやタイムなどの葉物より、ローズマリーやローリエなど枝物の方が向いています。
漬け込んだハーブは、1~2週間で取り出すようにしてくださいね。
【にんにく醤油アレンジ5】しょうがをプラスする
にんにくと相性のよいしょうがもおすすめの食材です。しょうがを薄くスライスしたものを一緒に漬け込むと、さわやかな風味が楽しめます。
また、このにんにく醤油に使ったしょうが自体もポークジンジャーなどの料理に使うことができます。
ご飯のおともから下味まで! にんにく醤油を使った活用レシピ
にんにく醤油は、そのまま卵かけごはんにかけたり、いわしやサンマなど青魚のお刺身にかけたり、唐揚げの下味に使うだけでも、ふだんのお料理がワンランクアップします。
こちらでは、にんにく醬油や中身のにんにくを利用した絶品簡単レシピをご紹介します。
にんにく醤油の冷奴
豆腐に、刻んだ醬油漬けにんにくをプラスするだけの簡単レシピです。
いつもの冷奴がおいしいおつまみに大変身しますよ。
<にんにく醤油の冷奴(1人分)の材料>
- 豆腐…… 1/2丁
- 醬油漬けにんにく…… 適量
- 好みの薬味(ねぎ、かつお節、大葉など)…… 適量
- 醤油やポン酢 …… 適量
<にんにく醤油の冷奴の作り方>
1.豆腐に刻んだ醬油漬けにんにくと、好みの薬味を乗せる。
2.醬油やポン酢で味を整えたら完成。
ごま油やラー油をプラスするのもおすすめです。ただし、にんにくに味がしっかりついているので、醬油は控えめに。
にんにく醤油チャーハン
いつものチャーハンににんにく醤油を加えるだけで、プロ顔負けの味わいに。我が家の定番レシピです。
<にんにく醤油チャーハン(1人分)の材料>
- ごはん …… 茶碗山盛り1杯
- 卵 …… 1個
- ねぎ …… 適量
<調味料> - ☆にんにく醬油 …… 小さじ1
- ☆塩こしょう …… 適量
- ☆鶏がらスープの素 …… 小さじ1強
- (お好みで)ハムやチャーシュー、野菜など
<にんにく醤油チャーハンの作り方>
1.あたためたフライパンに油をしき、溶きほぐした卵を入れる。野菜を入れる場合は卵の前に炒めて おき、お皿に取り出します。
2.手早くあたたかいご飯を投入し、卵とよくなじませるように炒める。炒めた野菜やハムなどを入れるときはこの時点で。
3.☆の調味料を加え、よく混ぜる。
4.仕上げにねぎを加えて軽く炒めれば完成。
にんにく醬油は鍋肌に沿わせて入れると香ばしくなります。ご家族が喜ぶこと間違いなしですね。
にんにく醤油入りきのこの和風パスタ
きのことベーコンの和風パスタに、にんにく醤油を加えるだけの簡単レシピです。にんにく醤油+バターの風味が食欲をそそります。
<きのこの和風パスタ(1人分)の材料>
- パスタ…… 100g
- きのこ各種…… 1/2パック分
- ベーコン…… 1枚
- (好みで)大葉、唐辛子
- にんにく醬油 …… 大さじ1
- バター …… 適量
<きのこの和風パスタの作り方>
1.パスタを規定通りの時間ゆでる。
2.フライパンにオリーブオイルをしき、きのことベーコンを炒める。(唐辛子を入れるときはここで)
3.きのこがしんなりしたら、にんにく醤油を加えてさらに炒め、火を止めておく。
4.フライパンにゆであがったパスタを加え、軽く炒める。バターを加えて全体になじんだら完成。
豚肉となすのにんにく醬油炒め
リーズナブルな豚こま切れ肉で、ボリューム満点のおかずを作ってみませんか?豚肉、なす、きのこににんにく醬油がベストマッチです。
<豚肉となすのにんにく醬油炒め(1人分)の材料>
- 豚こま切れ肉 100g
- なす(中)1/2本
- きのこ類 50g(今回はしいたけとマイタケを使用)
- (お好みで)大葉
<調味料> - ☆にんにく醬油 大さじ1
- ☆みりん 大さじ1
- ☆酒 大さじ1
- ☆(さっぱりさせたいときは酢小さじ1を加えても)
<豚肉となすのにんにく醬油作り方>
1.なすは5mm幅に切って水にさらしておく。きのこ類は食べやすい大きさに切る。
2.熱したフライパンに油をしき、豚肉を入れて炒める。
3.火が通ってきたら1を入れてしんなりするまで炒める。
4.☆の調味料を3に入れ、軽く炒める。好みで大葉を盛り付けて完成。
サバとしいたけのにんにく醤油春巻き
サバ缶を使った変わり種春巻きはいかがですか?お弁当のおかずにもピッタリです。
<サバとしいたけのにんにく醤油春巻き(1人分)の材料>
- 春巻きの皮…… 2枚
- サバ水煮缶…… 1/2缶
- しいたけ(中)…… 2枚
- 大葉…… 2枚
<調味料> - ごま油…… 適量
- 水溶き片栗粉 …… 適量
- とろけるチーズ …… 適量
- ☆にんにく醬油 …… 大さじ1/2
- ☆酒 …… 小さじ1
- ☆みりん …… 小さじ1
- ☆砂糖 …… 小さじ1
<サバとしいたけのにんにく醤油春巻きの作り方>
1.しいたけを薄くスライスし、大葉は千切りにしておく。
2.サバ水煮缶は水を切っておく。骨が気になるようなら取り除いておく。
3.熱したフライパンにごま油をしき、1の材料を加えて軽く炒める。
4.フライパンに☆の調味料を入れて軽く炒める。味が薄ければにんにく醬油をもう少し足し、汁気が残るようであれば水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。
5.春巻きの皮に4ととろけるチーズを乗せ、具がはみ出ないよう折りたたみながら包む。
6.熱した油(約180度)で、5がキツネ色になるまで揚げたら完成。
にんにく醤油で味つけの幅に広がりを
「なんでもっと早くから漬けてなかったんだろう!」と思わせる万能調味料にんにく醤油。
普段の料理にプラスすることで、味付けの幅が広がります。
ぜひ、いろんな料理にお試しくださいね。