ハウジーマガジンを運営するキッチン・雑貨の専門卸売り「クラスフィルグループ」で実験を担当するリケジョ。「何を買ったらいいの?」という悩みに応えるべく、商品を実験して徹底調査していきます!
水切りかごは、毎日使うものだけに、きちんとお手入れしないと汚れや雑菌が繁殖しやすくなります。
特にステンレス製の水きりかごは、白い汚れがつくと見た目も気になってしまいますよね。そこで今回は、クエン酸や重曹、塩素系漂白剤を使った洗い方の手順や注意点を説明します。ぜひチェックしてください。
ステンレス製水切りかごに付く「汚れ」の正体は?
水切りかごに付着する汚れは、大きく分けて「ヌメリ」と「水アカ」の2つがあります。
- ヌメリ……水分のあるところで菌やカビが繁殖したもの
- 水アカ……アルカリ性の汚れ。水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムが残ったもの
このうち、ステンレス製の水切りかごに「白い汚れ」として残るのが水アカ。水は蒸発しますがミネラル成分が残り、目につく汚れとなってしまうのです。
「ヌメリ」や「水アカ」を落とすには?
ステンレスの水きりかごについたヌメリや水アカの汚れを掃除するには、一般的に以下のような方法があります。
- ヌメリ汚れ……クエン酸や重曹を使って菌やカビを取り除く。塩素系漂白剤で除菌する
- 水アカ汚れ……酸性のクエン酸で、アルカリ性の汚れを分解して落とす
でもこれらの方法で、どのくらい汚れが落ちるのか気になりますよね。そこで、実際に「クエン酸」「重曹」「塩素系漂白剤」を使ってステンレス製の水切りかごを洗い、効果的な洗剤を調べていきます。
汚れ落ちを確かめるため、水アカがついた水切りトレーの真ん中をマスキングテープで仕切り、右半分だけを洗ってどのくらいキレイになったのか確認していきます。
【クエン酸スプレー】で掃除する方法
まずはクエン酸を使う方法。アルカリ性の水アカは、酸性のクエン酸を使うことで分解され、落ちやすくなります。クエン酸を水に溶かした「クエン酸スプレー」を使えば、手軽に掃除することができますよ。
用意するもの
- クエン酸……5g(約小さじ1)
- 水(ぬるま湯)……100ml
- スプレーボトル
- やわらかいスポンジや布
- 歯ブラシ
「クエン酸スプレー」を使った掃除の手順
1.クエン酸スプレーをつくる
スプレーボトルに水を入れ、クエン酸を加えます。
キャップを閉めてよく振り、溶かします
クエン酸スプレーのくわしいつくり方は、以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
2.水切りトレーから洗う
まず、水切りトレーの全面に、クエン酸スプレーをまんべんなく吹きかけます。
3.キッチンペーパーを置いて放置する
キッチンペーパーをのせ、5~10分放置します。
キッチンペーパーをのせることで、スプレーしたクエン酸水の蒸発を防ぐことができます。また、クエン酸の成分が浸透して、汚れも落ちやすくなります。
4.水切りかごを洗う
次に、水切りかごを洗います。全体にクエン酸スプレーを吹きかけ、5分ほどおいたらスポンジでこすって洗います。
細かい部分は歯ブラシを使って汚れを落としましょう。
5.水切りかごを水ですすぐ
水で全体をすすぎます。
クエン酸の成分が残っていると変色や腐食の 原因になるので、しっかりすすぎましょう。
6.水切りトレーを洗ってすすぐ
水切りトレーのキッチンペーパーを取り除き、スポンジでこすって汚れを落とします。
そのあと、水でよくすすいだら完了です。
やってみた後の比較
左半分が洗っていない部分、右半分が洗った部分です。洗った直後はきれいに汚れが落ちたように見えましたが、しばらくすると白い汚れが浮き出てきました。長い間に蓄積された水アカは、クエン酸スプレーでは落とすのが難しいのを実感。ただ、水切りトレーのフチのあたりについた軽い水アカはスッキリと落ちていたので、こまめなお手入れには有効だなと感じました。
【クエン酸でつけ置き】して掃除する方法
クエン酸スプレーで取り切れない汚れは、クエン酸水で浸け置きするのがおすすめ。しつこい水アカを効果的に除去する方法です。
用意するもの
- クエン酸
- 水きりかごが入る大きさのビニール袋
- 水(ぬるま湯)
- やわらかいスポンジや布
- 歯ブラシ
ビニール袋は水きりかごをつけ置きするために使います。大きな桶や、排水溝をせき止めてシンクを桶として使ってもOKです。
「クエン酸のつけ置き」で掃除する手順
1.ビニール袋に水をためる
シンクにビニール袋を広げ、水をためます。
汚れがひどい場合は、40度くらいのぬるま湯を使うと効果的です。
2.クエン酸を溶かす
水1Lあたりクエン酸大さじ1(約15g)を入れます。
全体が均一になるように、よく混ぜて溶かします。
3.水切りかごとトレーをつけ置きする
クエン酸水に水切りかごとトレーを浸します。
つけ置き時間は20~30分程度が目安です。
水切りかご全体がつからない場合は、上下をひっくり返して、さらにつけ置きしましょう。
4.スポンジでこする
つけ置き後、水きりかごとトレーの汚れを、スポンジや歯ブラシを使って優しくこすり落とします。
5.水ですすぐ
水きりかごとトレーを、流水ですすぎます。
クエン酸が残らないよう、しっかり洗い流しましょう。
やってみた後の比較
トレーに豪快ついた水アカ汚れが、クエン酸でつけ置きした右側だけマシになっているのが分かります。ただ、白い汚れをスッキリ取り切ることはできませんでした。今回は水でつけ置きしたのですが、ぬるま湯を使うともっと効果が出たかもしれないなと思いました。
【重曹ペースト】で掃除する方法
重曹ペーストは環境にも手肌にも優しく、水切りかごについた油汚れやヌメリ、軽い水アカの除去に効果的です。ただ、強くこするとステンレスに細かい傷がつく恐れがあるので、やさしくこするのがポイントです。
用意するもの
- 重曹
- 小さな容器(ペーストを作るためのもの)
- 水
- スポンジ
- 歯ブラシ
- ゴム手袋(必要に応じて)
「重曹ペースト」で掃除する手順
1.重曹ペーストをつくる
容器に大さじ2~3程度の重曹を入れます。
少しずつ水を加えながら混ぜ、歯磨き粉くらいの硬さのペースト状にします。
2.水切りトレーから洗う
スプーンで重曹ペーストを取り、汚れが気になる部分を中心に塗り広げます。
3.スポンジでこする
重曹ペーストを塗った部分をスポンジで優しくこすります。円を描くようにていねいにこするのが効果的です。
サビやしつこい汚れには、ペーストを塗ったまま5~10分放置してからこするとよいでしょう。
4.水ですすぐ
ていねいに水でにすすぎ、重曹の粒子が残らないようにします。
重曹が残ると白い粉状の跡が付くことがあるので注意してください。
。
5.水切りかごを洗う
スポンジにペーストを取り、水きりかご全体をこすります。
細かい部分は歯ブラシを使うと、簡単に汚れを落とせます。
6.水切りかごをすすぐ
水やぬるま湯で、細部までしっかりとすすぎます。
やってみた後の比較
洗っていない左側に比べ、右側はもやもやとした水アカ汚れがかなり落ちました。ペーストを塗って軽くこすっただけでこれだけ落ちたので、塗ってしばらく置いてからこするとさらにキレイに落ちるかもしれません。白い水アカ以外に、少しサビていたところもあったのですが、重曹ペーストをつけたスポンジでこすることで、サビがすっきり落ちていました。
【塩素系漂白剤】でつけ置きする方法
塩素系漂白剤はアルカリ性で、強い漂白作用によって水切りかごのヌメリやカビを落とします。強力に作用する反面、安全に使用するためには注意点を守る必要があるので、必ず確認してください。
用意するもの
- ハイターなどの塩素系漂白剤
- 水きりかごが入る大きさのビニール袋
- 水
- スポンジ
- 歯ブラシ
- ゴム手袋
- マスク(塩素臭が気になる場合)
ビニール袋は水切りかごのつけ置きに使います。大きな桶を使ったり、排水溝をふさいでシンクを桶として使ったりすることで代用できます。
肌荒れや有毒ガスが発生する原因となるため、必ず以下の注意点を守りましょう。
<注意点>
- 炊事用の手袋を着用する
- 換気を行い長時間ニオイを吸い込まないようにする
- 酸性洗剤(クエン酸やお酢など)と混ぜない
- 漂白剤が使えるか取扱説明書で確認する
「塩素系漂白剤」でつけ置きする手順
1.ビニール袋に水をためる
シンクにビニール袋を広げ、水をためます。
2.塩素系漂白剤を入れる
製品のラベルを参考に、指定の量の漂白剤を入れます。
通常、水1Lあたり5~10ml(キャップ1/4~1/2杯程度)が目安です。
漂白剤を入れたら、均一になるようよく混ぜましょう。
3.水切りかごとトレーをつける
漂白液に、水切りかごとトレーを浸します。つけ置き時間は、約30分~1時間が目安です。
全体がつからない場合は、上下をひっくり返し、さらにつけ置きしましょう。
4.スポンジでこする
つけ置き後、スポンジや歯ブラシを使い、汚れをこすり落とします。
漂白剤の効果で汚れがゆるんでいるため、軽い力で十分です。
5.水ですすぐ
水やぬるま湯ですすぎます。
漂白剤が残るとサビやニオイの原因となるため、念入りにすすぎましょう。
やってみた後の比較
つけ置きしていない左側と、つけ置きした右側を比べると、真ん中あたりから広がる白い汚れは、あまり落ちていない結果になりました。塩素系漂白剤は、カルシウムやマグネシウムの成分を分解する作用はないため、白い汚れが残ったと思われます。ただ、トレーのフチ付近についた軽い水アカ汚れはキレイに落ちていました。
一番落ちたのは? おすすめはこれ
どの洗い方でも、水きりかごについたヌメリは、スポンジや歯ブラシでこすることでキレイに落ちていました。ただ、格子状になった水きりかごは洗いにくいので、つけ置きして全体の汚れをゆるませてからこするほうが簡単に落とせると感じました。
また、ステンレス水切りかごの白い汚れが一番落ちたと感じたのは「重曹ペースト」です。ねっとりとしたペーストで、気になる部分を集中してこすれたので、洗っている時から効果を実感できました。ただ、重曹には研磨作用があるため、強くこするとキズがついてしまうのが難しいところ。普段は他の洗剤でお手入れしながら、しつこい水アカ汚れがついてしまった時に使ってもよいかもしれません。
4つの洗い方の、おすすめの使用頻度と目的をまとめます。
おすすめ頻度 | 主な目的 | |
クエン酸スプレー | 週に1~2回 | 軽い水アカ落としや汚れの予防 |
クエン酸でつけ置き | 月に1回程度 | 頑固な水アカの除去 |
重曹ペースト | 月に1回程度、または汚れが気になった時 | ヌメリや軽いサビ、油汚れ、水アカの除去 |
塩素系漂白剤でつけ置き | 2~3か月に1回、またはカビやヌメリが気になった時 | カビやヌメリの除去・除菌 |
コーティングされているステンレスや、素材に不安がある場合は、使用前に目立たない部分で試してから本格的に掃除を行いましょう。
ご紹介した方法を上手に使い分けて、ステンレス製水切りかごを清潔に保ってくださいね。