整理収納アドバイザー、住宅収納スペシャリスト、クリンネスト2級。「家事は素早くラクに!」をモットーに、家事が時短になるテクや片付けに関する記事を「ESSE-online」「収納マガジン」などで多数執筆。
オフィスでも自宅でも、デスク周りが散らかっていると集中しにくいと言われています。
特に最近多いのは、リモートワークが増えて自宅で仕事をする場合の悩み。
ワークスペースが確保できずに「ダイニングテーブルでノートパソコンを使っているため、仕事に集中できない」という声をよく耳にします。
集中できない原因は、デスク周りが散らかっていて、さまざまな情報が視界に入ってくるからです。
では、集中できる環境をつくるためにはどのような工夫をすればいいのでしょうか?
今回は、散らかりやすいデスク周り、特に「パソコン周りの整理術」をお伝えします。
便利な収納グッズもあわせて紹介しますので参考にしてください。
デスク周りが片付かない原因とは
デスク周りには、書類や資料、スマホとイヤホン、ペンと手帳、飲み物やおやつなどさまざまなモノが置きっぱなしになってしまいがちです。
では、デスク周りが散らかってしまう原因は一体どこにあるのでしょうか?
自分に当てはまる原因を見直していけばデスクは片付くようになります。
ここでは、「デスク周りが片付かない原因」を3つ挙げてみました。
【1】モノの指定席が決まっていない
デスクが散らかっている原因の一つに、「どこに何を置くか」つまり『モノの指定席』を決めていないことがあります。
指定席がなければ、ついついデスクの上に放置してしまうもの。
この「ちょい置き」を繰り返すとデスクがぐちゃぐちゃになり、使いたいモノや大事な書類を探すのに時間がかかってしまいます。
しかも、探しているうちに書類やモノが崩れてきて、マグカップの中身をこぼしてしまったり、床に落として余計に片付けに手間がかかったり……。
こんな経験をした人もいるのではないでしょうか。
また、自分のワークスペースを確保できずダイニングテーブルで作業をしている人は、食事のたびにモノを移動させなければなりません。
床への直置きや棚へのちょい置きは、そのまま普段の定位置になってしまいがち。
掃除もしにくくなってしまいます。
かといって置きっぱなしのまま食事すると、お料理をこぼして資料を汚してしまいかねません。
このような状態を回避するためにも、やはりモノには指定席が必要なのです。
【2】モノが多すぎる
デスクにモノが多いのは、要不要の判断をせずに、ちょい置きしたままになっているのが原因の一つ。
大きなデスクなのに、モノがたくさん置かれていて、ノートやメモに書き込むスペースがない人もいるのでは?
デスクにモノが多すぎると、書類や資料が崩れてきたり、お茶をこぼしたりして、元の状態に戻すのに余計な時間を取られて作業効率がはかどりません。
【3】置きっぱなしにしてしまう
パソコンを置けるようなデスクは大きいので、ついつい空いたスペースにモノを置きっぱなしにしたくなってしまいます。
なぜ、置いたモノを元の場所に戻せないのでしょうか?
指定席があるのに元に戻せず置きっぱなしにしてしまう原因は2つあります。
- 出し入れしにくい場所に収納している
- 使いにくい収納方法でしまっている
使う場所の近くに使うモノの定位置がないと、戻すのが面倒になってしまいがち。
また、アクション数(モノを出し入れするまでにおこなう動作の数)が多くても同様です。
散らかりがちなデスク周りの整理・収納を見直そう
デスク周りが散らかってしまう原因が分かれば、あとは問題点を解消していくだけ。
では、どのように片付けていけばいいのでしょうか?
ここでは「デスク周りの収納を見直す3つのポイント」を解説します。
【1】モノを減らす
デスク周りを片付けるためには、モノを減らすことから始めます。
パズルのようにピッタリ収納することが片付けだと思っている人がいますが、それは違います。
収納グッズを使ってモノを入れ直すだけでは、リバウンドしてしまう可能性が高いです。
片付けるときに最初にやることはモノの「整理」。
集中力の妨げにならないよう、まずはモノを使う・使わないに仕分け、不要なモノを処分していきましょう。
【2】指定席を決める
デスク周りで使うモノが決まったら、どれくらいの頻度で使うかを考えながら「指定席」を決めていきます。
文具やケーブル・コード類はざっくりと収納してしまうと探すのに時間がかかってしまいます。
収納するスペースに仕切りを入れたり、小さめの整理ボックスを並べたりして、引き出しや収納ケースの中を「見える化」しましょう。
使いたいときにガサゴソと探さなくても、スッと取り出せるようにするのがポイントです。
【3】動線を意識した収納にする
モノの指定席を決めるときは、動線を意識します。
デスク周りの場合は、座ったままで出し入れできる範囲に収納しておくと、ムダな動きがありません。
この状態を「コックピット化」といいます。
飛行機のパイロットが座ったまま操縦している様子から「コックピット化」と呼ばれるようになりました。
探し物のために作業を中断し、集中力がなくなってしまうことを避けられ、作業効率がアップします。
デスク周りで自分がどのような動きをしているかをイメージしながら、どこに収納すると「コックピット化」できるかを考えましょう。
自分の利き腕やクセなども念頭に置いておくと、より出し入れしやすくなります。
デスク周りのエリア分けとすっきり見せるポイント
デスク周りは「文具を置く場所」「書類を置く場所」「コード類をまとめる場所」など収納場所をエリア分けすると使いやすくなります。
デスクに引き出しがある場合は、上から使用頻度の高い文具類、イヤホンやアダプター・充電器などパソコン用のアイテム、最下段には書類といったように用途別・使用頻度別に中に入れるモノを決めておくのがおすすめ。
引き出しは開けたときにひと目でどこに何が入っているか分かるように仕切りやインデックスを使って収納するのがポイントです。
デスクの引き出しのエリア分け
上から順に:使用頻度の高い文具類、パソコン用のアイテム(イヤホン・アダプター・充電器など)
最下段:書類
デスク周りをすっきりと使いやすくするコツと収納アイデア
デスクの上には必要な書類と毎日使う文具だけを置いておくのが理想です。
ほかのモノは引き出しや棚に収納しておきます。ただしデスクに座った状態で手の届く範囲内に収納するようにしましょう。
デスクに余白を残すことでノートに書き込んだり、タブレットやサブのノートパソコンを置いたりといったスペースの余裕ができます。
ここでは、アイテム別の収納アイデアをご紹介していきます。
文具の収納
文具は毎日使うモノを除いては、引き出しの上段に収納しておくのがおすすめです。
引き出しのサイズに合うような小さめの整理ボックスや収納ケースを並べて、仕切りをつくります。用途別に分けて入れるのがポイントです。
画像の事例では、お菓子の空き箱を仕切り代わりに使っています。
このように収納グッズを買わなくても、身近にあるモノで代用が可能です。
文具の色がバラバラなのでごちゃごちゃして見えますが、上から見ると何が入っているのかがすぐに分かるので特に問題はありません。
ダイニングテーブルで作業する場合は、持ち手のついた収納ボックスに必要なモノをまとめておくと持ち運びしやすくなります。
食事になったら小物類を収納ボックスに戻し、ボックスごと移動させれば簡単にテーブルの上が片付きます。
書類の収納
郵便物や使用中の書類や資料は、デスクの上に書類トレーを置いておくと便利です。
浅型のトレーなら、あまり積み重ねられないため定期的に見直しができます。
保存用の書類は置かず、あくまでも現在必要なペーパー類だけを置いておくのがポイントです。
保存用の書類は、引き出しの一番下か棚の最下段に保管します。書類の収納はファイルボックスがおすすめ。
ですが、ファイルボックスにクリアフォルダに入れた書類をそのまま収納してしまうと、どこにどの書類があるのかが見えません。
そういう場合は、ファイルボックスに直接入れるのではなく個別フォルダを使いましょう。
個別フォルダにインデックスを貼っておくと書類が探しやすくなります。
この方法をバーチカルファイリング1といいます。
子どもの学校プリントや取扱説明書の保管も、バーチカルファイリングが便利です。
画像のインデックスファイルは、インデックスに油性ペンで直接書き込め、消しゴムで文字を消して書き直せるタイプ。
繰り返し何度でも使えるエコなファイルです。
ファイルボックスと個別フォルダが一体となった蛇腹(じゃばら)式のドキュメントスタンドもおすすめ。
挟みたい書類の量によって幅が変えられるためぎゅうぎゅう詰めになりにくいため、出し入れが簡単です。
スマホの充電器やパソコンのケーブルの収納
スマホの充電器やパソコンのケーブルなどは直接コンセントに差し込むと差し込み口が足りないだけでなく、ごちゃごちゃして生活感が丸出しになってしまいます。
それに、どれが何のケーブルなのかも見分けがつきにくく、間違えて別のケーブルを抜いてしまうことも。
そんなケーブル類をすっきり見せるには、電源タップが入る大きさのケーブルボックスが便利です。
ボックス内はごちゃごちゃしていても、外からはまったく分かりません。
ケーブル類にホコリが溜まりにくいため、掃除もラクになります。
パソコン周り(周辺機器、コード類)の収納
在宅ワークの増加に伴い、オンライン会議やイベントに参加するためのイヤホンやマイクなどの周辺機器の収納に悩む人が増えています。
絡まりやすいコード類は、一つずつ小分けにするのがおすすめ。
小物ケースやビニールポーチ、メッシュケースなどに入れておくと迷子になりません。ひと目でわかるようにラベリングしておきましょう。
周辺機器やコード類を収納しておく引き出しや収納ボックスを確保し、定位置を決めてしまえば、置きっぱなしを防げます。
デスク周りをすっきりさせて作業効率をアップさせよう
「デスク周りは散らかっているほうが落ち着く」という人もいますが、たいていの人は片付いていたほうが集中できるようになり仕事の効率がアップします。
それに見た目がごちゃごちゃしていると「片付けられない自分」にストレスを感じやすいです。
デスク周りがすっきりすると、気持ちもすっきりし、時間と心に余裕が生まれます。
片付いているデスク環境はメリットばかりで、デメリットはありませんから、ご紹介した方法でデスク周りを整理し、収納を見直してみてください。