家事のコツや収納術、インテリアやおでかけにまつわる話などを通して「わたしらしい暮らし方」をご提案します。
本当に満足できる使いやすい醤油差しを選ぶのって、難しいですよね。
毎日わりと頻繁に使うものだけに、使いにくい醤油差しを買ってしまったときのストレスときたら!
今まで私自身も理想の醤油差しを求めて、色々なタイプを試してきましたが、液だれが気になったり、差し口が詰まって醤油が出にくくなったり、テーブルや調味料トレーに黒い輪っかの染みができたりと、何かとトラブルが発生。
こまめなお手入れが大事だとはわかっていても、「そもそも構造的に、詰まった醤油が取れないんじゃない?」なんてケースも・・・。
そこで今回は醤油差しの「液だれのしにくさ」「こぼれにくさ」にこだわって、100均から人気のキッチンブランドの醤油差しまで、形や素材が色々な10種類の醤油差しを、あらゆる面から比較調査&実験していきます。
100均、人気アイテムまで!醤油差しの調査対象は全10種類
さて。まずは今回の比較実験に使う醤油差しをご紹介しましょう。
定番タイプ、人気タイプ、1滴ずつ出せるプッシュタイプ、メディアでも取り上げられたスプレータイプなど、色んなタイプを集めてみました。
- 1.PORLEX 醤油差し(ジャパンポーレックス株式会社)セラミック、シリコン
- 2.陶器の醤油差し(メーカー不明)陶器
- 3.液たれしにくいガラス醤油差し(株式会社大創産業)ソーダガラス
- 4.iwaki フタ付きしょうゆ差し(AGCテクノグラス株式会社)耐熱ガラス
- 5.調味料さし スタビアリュクス(リス株式会社)ソーダガラス
- 6.調味料入れ(株式会社セリア)ソーダガラス
- 7.醤油差し プッシュ式 tower (山崎実業株式会社)アクリル樹脂
- 8.ワンプッシュしょう油差し(株式会社IPシステム)スチロール樹脂
- 9.しょうゆ差し ちょいかけスプレー(株式会社セイエイ)PET樹脂
- 10.しょうゆスプレー(株式会社大創産業)PET樹脂
※(カッコ)の中はメーカー名、以下省略。
ちなみに、3、6、8、10はなんと全部100均のアイテムです。
正直写真の見た目では判断つかないですよね。
今回の実験では、醤油差しの「液だれのしにくさ」、「転倒したときのこぼれにくさ」を比較していきます。
実験に使う3タイプの醤油差しグループの説明
形やお値段の違いだけでなく、素材も様々で、大きく分けて3種類あります。
今回は、主に素材別にグループを分けて、実験していきたいと思います。
それでは、まずは各グループ別に醤油差しの気になるポイントを紹介していきましょう。
【A】陶器製の醤油差し
陶器製の醤油差しは他の素材より熱に強く、ガスコンロの横に置いたり、食洗機に入れても大丈夫なため、今でも根強い人気を誇る素材です。
欠点としては、中身が見えないため、残量が把握しにくいところでしょうか。
陶器の入れ物は醤油差しの元祖!
大正時代になってガラス瓶やプラスチック製の液体容器が普及する以前、人々は陶器でできた徳利やつぼなどを持って醤油を買いに行き、そのまま保存するか、あるいは自宅用の甕(かめ)に移し変えていました。古くから醤油の風味を損なわないための入れ物の素材として陶器が愛用されてきたことが伺えますね。
今も現役!最近注目の陶器の醤油差しは?
昔ながらのデザインのものも多いですが、その中でちょっと風変わりで気になるのが「PORLEX 醤油差し」。
セラミック×シリコンという二つの素材を併せ持つ進化系の醤油差しです。
基本的に今回の実験では、それぞれの素材の「人気商品 VS 100均商品」という感じで比較していきたいということで100円ショップを何軒も巡りましたが、残念なことに陶器やセラミックタイプの醤油差しが見つからず・・・。
ベーシックな醤油差しとの違いということで、メーカー不明ですが、うちの実家の食器棚に眠っていた(ちょっと昭和感のある)陶器製の醤油差しと比較してみたいと思います。
【B】ガラス製の醤油差し
大正時代から現代にかけて、もっとも人気があるのが、ガラス製の醤油差しです。
ガラスは他の素材に比べて、醤油の匂いが容器につきにくいというメリットがあります。
陶器の醤油差しと違って中身が見える点や、プラスチックよりも高級感のある見た目が魅力的ですね。
「液だれしにくさ」が売りの注目アイテム
スタビアリュクスのフタには「注ぎやすくて、タレにくい」、セリアのフタには「液だれしにくい!」というシールが貼られていました。
どちらも、注ぎ口の形状や角度にこだわりがあるようです。
注ぎ口が上向きについたタイプも・・・
このデザインなら、絶対に液だれしないはず!・・・ですが、それ以外の使い勝手は問題ないのか、ちょっと気になるところですよね。
実を言うと今回実験に使っている「iwakiの醤油差し」は私物なので、個人的には100均のそっくりさんには負けて欲しくないのですが、結果はいかに・・・!?
【C】プラスチック・樹脂製の醤油差し
プラスチック製や樹脂製の醤油差しのメリットは、手にしたときの軽さと、落としても割れにくいところ。
そして比較的、お手頃価格のものが多いです!(いずれも1000円札でお釣りがきます)。
今回はその中でも人気の高い、一滴ずつ出せるプッシュ式の醤油差しと、醤油スプレーという、減塩効果がありそうなアイテムに絞ってみました。
使い心地が気になる、プッシュタイプの醤油差し
見た目だけでは判断が難しい、スプレータイプの醤油差し
【実験1】液だれする?しない?10種類の醤油差しを比較検証
醤油差しを選ぶときに、一番気になるポイントが「液だれ」ではないでしょうか?
お店に醤油の入った醤油差しと小皿でも置いてあればよいのですが・・・。
というわけで、皆さんに代わって、実験していきたいと思います!
あまりご説明は必要ないくらい、ルールは至ってシンプル。
実験に使用するのは、キッコーマンさんの濃口醤油(今回の実験のために新品を開封)。
手順1.同量ずつ醤油差しに醤油を入れます。
手順2.醤油差しを1つずつ手に取り、小皿にゆっくりと醤油を注ぎます。
手順3.注いだ後の醤油の差し口をチェック。
全く醤油が残らなければ◎、ちょっと残ったけど垂れる心配が無いものは○、実験中はセーフでも放っておくと絶対垂れるものは△、完全にツーっと垂れ落ちてしまった場合は×で判定していきます。
実際に行った実験の様子が気になる方は、↓の動画を再生してみてくださいね。
とりあえず判定結果だけ知りたい方は、動画を見なくてもOKです。
【A】陶器の醤油差しの2選の比較結果
「意外と(?)どちらもスムーズに使えた」と思いきや、おや?
ちょっと昭和感のあるレトロな醤油差しの差し口に醤油がついています。
ポーレックス ⇒ 差し口に醤油は見えるが、問題なし。
レトロな醤油差し ⇒ 液だれあり。
ポーレックスも最初は差し口に醤油が残ったものの、表面張力で何とか持ちこたえ、さらには時間が経つと、醤油が中に引き戻されていきました。
レトロな醤油差しのほうは時間が経つと、ツーっと醤油が垂れてきました。
そして、下に敷いた半紙にも染みが・・・。
【B】ガラス製の醤油差しの比較結果
4種類あるガラス製の醤油差し。形状が似ているもの同士を比べていきます。
スタビアリュクス VS セリアの調味差し
スタビアリュクス ⇒ 液だれ無し。
セリアの調味差し ⇒ 液だれ無し。
さすがに「垂れにくい」と謳っているだけあります。
使い勝手も、どちらも液キレが良いというのでしょうか、ピタッと醤油が止まってくれる感じが実に心地よいです。
正直、100均はダメだろうと思っていたのですが・・・これは予想外の結果!
ダイソー VS iwaki
ダイソーの醤油差し ⇒ 液だれは無いが、差し口にやや醤油が残る。
iwakiの醤油差し ⇒ 液だれ無し。
今度は上向きに差し口がついているタイプです。
ダイソーのほうは差し口に醤油が残ってしまったのと、たまに空気穴の方から醤油がでてくることがある(なぜこんな位置に空気穴が・・・)のが、残念なポイントでした。
それでも、お値段を考えるとなかなか優秀な成績と言えます。
【C】プラスチック製の醤油差し4選の比較結果
さて、こちらはちょっと特殊なタイプが集まっております。
まずは「液だれするかどうか」においての結果をお伝えします。
プッシュタイプの醤油差し「セリア VS tower」
ワンプッシュしょう油差し ⇒ 状況により、液だれあり。
醤油差し プッシュ式 ⇒ 状況により、液だれあり。
実は2つとも、最初のうちは液だれなく使えていました。少々醤油が差し口に残っても、時間が経つと中に戻っていくようです。
ただ、今回は別の実験で何プッシュも続けて使っているうちに、どちらも差し口にうっすらと醤油が残り、実験後には垂れてきてしまいました。
家族が多いご家庭や、「醤油をたっぷりかけたい!」という方は何プッシュも連続して押すことになり、今回と同様の現象が起きるかもしれません。
醤油スプレー(番外編)
スプレータイプについては、あまり液だれの心配はいらないと思うのですが、一応結果だけお伝えしますね。
しょうゆスプレー ⇒ 噴射口にやや醤油が残るが、液だれは無し。
ちょいかけスプレー ⇒ 液だれ無し。
噴射口に残った醤油が固まってしまうと、詰まりの原因になりそうです。特に今回実験に使用しているキッコーマンさんの醤油は、レビューなどでもスプレーと相性がよくないという意見をよく見かけます。
詰まりをふせぐために、使用後にこまめに噴射口に残った醤油をふき取った方が良さそうですね。
万が一詰まった場合は、ぬるま湯+重曹で復活するので、お試しくださいね。
【実験1のまとめ】液だれしない醤油差しの結果発表
やはり「液だれのしにくさ」を謳っている商品は、いずれも好成績ですね。
何か共通点がないか、特に差し口の形状や角度について探ってみたのですが、どうやら下記の3つがポイントのようです。
- 差し口がやや長め
- 斜め上や上向きなど、角度がついている
- 先端が斜めにカットされている
例えば、思い切り液だれした陶器のレトロな醤油差しは、差し口は長いものの、角度はテーブルに対して水平で、先端の口の部分は下側がやや短くなっているため、醤油が滴りやすくなっています。
【番外編】醤油差しの差し口の内部構造を調査
ところで、今回コスパ的にも優秀だったセリアの「調味料入れ」ですが、先端が斜めにカットとされていると言っても、下側が短くなっているため、普通は液だれしそうな気がしますよね。
液だれしないのには、何か他にヒミツがあるのかもしれませんね。
ということで、USB顕微鏡でチェックしてみましょう。
蓋を外し、内部をよく観察していきます。
すると、肉眼では見えなかったヒミツが明らかに・・・。
実は内側から見た差し口の内部の形状が、まるで何かの鍵穴のような複雑な形状をしているのを発見!
ただ、観察している時にちょっと気になったのは、差し口の穴付近のバリ(切断面に生ずる不要な突起)で、もしかすると、商品によって当たり外れがあるかもしれません。
内部に引っ掛かりがあると結晶化した醤油が取れにくく、詰まりの原因になるかもしれませんが、これについてはもう少し継続して使い続けてみないと分からないですね。
ちなみに、同じタイプのスタビアリュクスと比べてみると、こんな感じです。
実はこのセリアの内部の複雑な構造が、この後行う「倒れても中身がこぼれにくい」醤油差しの検証実験の時にも驚きの効果を発揮します。
倒れてもこぼれない醤油差しはどれ? 転倒テストで徹底検証
醤油って、うっかりこぼすと後片付けが大変ですよね。
ダイニングテーブルの素材によっては染みになってしまったり、カーペットやラグなどの敷物にこぼれたり。
また、小さなお子さんやペットのいるご家庭では、誤飲なども心配ですよね。
使いやすい醤油差しを選ぶときのポイントとして、意外と「倒れにくさ」や「中身のこぼれにくさ」も重要!
というわけで、つづいては醤油差しを実際に倒してみて、そのこぼれ具合を比較するという実験を行いたいと思います。
実験に使用する醤油差しは、液だれの実験にも使った醤油差し10種類のうち、スプレータイプ2種をのぞいた計8種類!
【実験1】の一覧にあった⑨⑩の「醤油スプレー」については、特にこぼれる心配はないということで、今回の実験ではカットしています。
(ちなみに念のため実験前にこの2つも倒してみましたが、どちらもこぼれませんでしたので、ご安心を!)
【実験2】転倒しても中身がこぼれにくい醤油差しって?
これが実は、今回の醤油差しの比較実験シリーズの中で、もっとも苦労しました。
今回選んだ醤油差しは、どれも基本的に倒れにくいように出来ていて、軽く手で押しやっただけでは倒れません。
陶器やガラスなんて、うっかり間違うと割れてしまいそうだし・・・と微妙な力加減に悩みつつ、実験スタート!
それでは、実験の動画をご覧ください。
【実験2】陶器の醤油差しの比較結果
注目したいのは、ポーレックスのフタが外れにくいというポイント。
逆さにしても外れにくいので、こぼれにくさにも期待!
ポーレックス VS レトロな醤油差し
ポーレックス ⇒ 差し口からのみ、醤油がこぼれる。
レトロな醤油差し ⇒ フタが吹っ飛び、上と差し口の2箇所から醤油が出る。
蓋を押さえながら醤油を注ぐ必要のある醤油差しは、倒れたときにこうなるリスクを抱えているということですね。
というわけで、やはりフタが外れにくいというのは、こういうメリットがあるんだと再確認できました。
【実験2】ガラス製の醤油差し4選の比較結果
まずは、ベーシックなデザインの2つから。
スタビアリュクス VS セリアの調味差し
スタビアリュクス⇒ 差し口からのみですが、ドバッと勢い良く出ました。
セリアの調味差し⇒ 少量ですが、倒れ方によっては差し口と空気穴から出てきます。
スタビアリュクスは比較的醤油の出が良い=差し口の口径が大きめなので、こぼれるときもわりと勢いがあります。
セリアのほうは、動画撮影中はたまたま醤油がこぼれませんでした。ただ、追加で検証してみたところ、倒れたときの差し口の向きによっては、差し口と反対側にある空気穴の両方から醤油がこぼれ出ることが分かりました。
とはいえ、少量しか出てこないので、こぼれにくい部類に入ると言ってよいと思います。
iwaki VS ダイソー の醤油差し
iwaki ⇒ フタが外れましたが、ほとんどこぼれず。
ダイソー ⇒ フタは外れず、ふたの中で醤油がこぼれました。
これは少し補足が必要なのですが、iwakiの醤油差しは私(uchida)の私物の醤油差しで長く使っている物のため、フタが少しゆるくなっている可能性があります。
なお、洗い桶の中で模擬実験を行った際には、iwakiの方のフタは外れず、ダイソー同様にフタの中にこぼれていました。
フタが外れる、外れないはシチュエーションによって変わってくるかもしれません。ただ、こぼれた醤油の量としては、どちらもiwakiの方が少量でした。
【実験2】プッシュタイプ醤油差しの評価
tower VS セリア の醤油差し
tower ⇒ こぼれず、転がらず!
セリア ⇒ こぼれず
さすがに、プッシュしたときに醤油が出るタイプなだけあって、こぼれにくいです。
(ただし、どちらも前回使用時の醤油が差し口に残っていると、1滴だけこぼれるという可能性はあります)
【実験2まとめ】醤油差しが転倒したときのこぼれ方
というわけで、結果を一覧表にまとめてみました。
こぼれにくさを重視する場合
液ダレの有無よりも、こぼれないことの方が重要!という方には、プッシュタイプやスプレータイプの醤油差しがおすすめです。
減塩効果もありますし、乳幼児など小さなお子さんがいたずらしても中身が出にくいので安心。
あとプッシュタイプやスプレータイプは素材がプラスチックなので、比較的落としても割れにくいというのもおすすめポイントです。
液ダレしにくさも重視したい場合
おすすめは、フタつきの上に差し口のついたタイプ。とりあえず、こぼれ方が少なく、フタがあることで衛生面も安心です。
使われているガラスの上質さにこだわるならiwaki。コストパフォーマンス重視ならダイソー(たまに空気穴の方から醤油が出てくるのはご愛嬌!)
醤油差しに込められたこだわり
醤油差しの形状や素材はそれぞれ異なるものの、どのメーカーさんも醤油の注ぎやすさや倒れにくさに様々な工夫をされているんですね。
一昔前の陶器の醤油差しと比べてみても、色々な進化とメーカーさんのこだわりを感じ取れた実験でした。
実験では、あくまで数回試した結果なので完全なデータとは言えないとは思うのですが、少しでも醤油差し選びの参考になると嬉しいです。
また、醤油差しのお悩みで意外とよく聞くのが、「買ってすぐは調子がよかったのに、しばらく使っていたら液だれしてきた!」という話。
これってもしかして、お手入れ方法とか保存の仕方にも原因があるかも?
お使いの醤油が詰まってしまったときの対処方法なども、実際に調べて実験してみた成果についても、他の記事にまとめてみたので、是非チェックしてみてくださいね。