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重曹の基本の使い方とは?すぐに実践できる掃除方法とメリット・デメリット

【人気お掃除ブロガー実践】重曹を掃除に使って家中ピカピカに

掃除

ナチュラルクリーニングの代表的存在ともいえる素材のひとつに「重曹」があります。
有名でありますが、今一つ使い方が良くわからなかったり、使ってみたけれどあまり効果を感じられなかったと残念な思いをされた方もいらっしゃるのでは。
また、実は重曹はとても便利でメリットも多い反面、意外な「デメリット」もあることをご存知でしたか?
今日はそんな「重曹」について、メリット・デメリットも含めた効果と特徴、そして使い方について、じっくりと掘り下げていきたいと思います。

ブログを中心にWEB連載や雑誌等で掃除の楽しさを発信しています。掃除が趣味!と言い切れるほどの掃除好き。お掃除は裏切りません、必要なのはやる気だけ。必ず綺麗な部屋という結果がついてきます。 みなさん一緒に掃除を楽しみましょう! 著書「暮らしを楽しむお掃除エッセンス」「魔法の1分掃除」「掃除やる気スイッチ」など。

重曹とは何か

化学名は「炭酸水素ナトリウム」。「ベーキングソーダ」「重炭酸ソーダ」など別の呼び方もあります。一番使われる名称「重曹」は、重炭酸ソーダ(重炭酸曹達)の略です。天然素材でふくらし粉等食品添加物や入浴剤としても使われます。

重曹は医療用、食品用、工業用とグレードによって分けられています。私の実感では、ハイグレードなもの=掃除に使いやすいとは限らないという感想です。自分に合っていれば、お掃除には工業用の安い重曹でも十分です。

重曹は弱いアルカリ性

重曹のPHは8.2(中性はPH7)と、ごく弱いアルカリ性を示します。

重曹を掃除に使うメリットと主な作用

様々なことに使用できる重曹ですが、掃除に使える代表的な効果をご紹介します。

【メリット1】「油汚れ」に作用する

重曹のメリット「油汚れを落とす」

重曹は弱アルカリ性なので、酸性の汚れ(油汚れ、皮脂汚れ)を中和して落とす作用を持っています。ただし非常に弱いアルカリ性なので、アルカリ特有の洗浄力はあまり期待できません。

一方で、熱を加えると、化学反応で強アルカリに変化するという隠れた力を持っています。鍋などにこびり付いた汚れ落としに、重曹による煮洗いがとても有効なのは、この秘めた力によるものです。

【メリット2】「吸湿・防臭」作用がある

重曹が持つアルカリ性の特性を活かせば、酸性の臭い(生ごみ、排水口、靴箱)を中和させることができるので、防臭剤として使用することができます。粉末のまま使用すれば、吸湿作用もあります。

ただしトイレの臭い(主に尿)はアルカリ性の性質をもつため、同じアルカリ性である重曹では防臭効果がありません。この場合は、アルカリ性のにおい成分とは反対の性質をもつを示すクエン酸(pH2程度の酸性)などによる防臭が効果的です。

【メリット3】汚れを研磨できる

重曹のメリット「研磨作用」

重曹の長所であり同時に弱点でもあるのですが、水に溶けにくいという性質があります。これを逆に生かすとペースト状に練って汚れに湿布したり、粉のままふりかけてクレンザーとして使用したりすることができます。

重曹の粒子はとても細かいので、汚れを研磨することができ、対象物にも傷がつきにくいです。

【メリット4】「発泡」作用がある

重曹のメリット「発泡作用」

重曹に、クエン酸やお酢などの酸性の成分とお湯を加えると、アルカリ成分に反応して発泡します。
この発泡した細かい泡には、汚れを剥離(はくり)させる効果があります。

使う前に知っておきたい!重曹の意外なデメリットとは

「万能洗剤」と思われがちの重曹ですが、あくまでも重曹は素材のひとつ。もともと掃除用に開発された専用洗剤ではありません。お掃除に使うことでメリットもあれば、デメリット(弱点)もあります。

このデメリットを知らずに、何にでも重曹が効果があると思って使用すると、思わぬ変質変色の事故を起こしたり、期待したほどの効果を感じられないことがあります。
ここでは、特に気をつけたい重曹のデメリットについて紹介します。

【デメリット1】重曹には使用できない素材がある

重曹はアルカリ性の性質を持つので、このアルカリの力に反応して負けてしまう素材があります。

たとえば、銅・アルミ素材(アルミ鍋、アルミサッシ)、天然素材(畳、天然繊維のもの、表面加工していない木材、白木、無垢材)、皮革製品、大理石など繊細な素材、傷つきやすい素材(プラスティック、漆器などの塗り物)など。このように使用できない素材が意外とあります。

重曹のデメリット「使用できない素材がある」

私も、重曹スプレーで窓掃除をしていてアルミサッシの枠の一部を変色させてしまったことがあります。

【デメリット2】重曹は水に溶けにくい

重曹はとても水に溶けにくい性質のため重曹水をスプレーボトルに入れて使用しようとしても(一般的なレシピは500mlに大さじ1程度)少量しか溶かすことができません。また、粒子がノズルに詰まって上手にスプレーできないこともあります。

それでは、重曹の特徴を活かした使い方について具体的にみていきましょう。次からは、効果的なお掃除方法について場所別に詳しくご紹介します。

【キッチン周り】重曹を使った「シンク・排水口」のお掃除

アルカリの性質を持つ重曹には、酸性の汚れを中和してくれる効果があります。酸性の汚れの代表格ともいえる「油による汚れ」にも強いため、特に油汚れが気になるキッチン掃除などに向いています。

シンクの汚れに

重曹を使った掃除方法「シンクの汚れ落とし」

重曹を振りかけて湿らせたスポンジで擦り洗いをすると、こびりついていた汚れがとれてスッキリきれいになります。擦る時は円を描くようにクルクルと回すと多方向から力が入るので汚れが落ちやすくなります。

水で流した後、重曹が白く残るようであればクエン酸やお酢をスプレーしてふきとると、中和されてきれいに落ちます。

排水口の汚れに

重曹を使った掃除方法「排水口の汚れ落とし」

排水口にたまるねばねばした汚れは悪臭の原因になります。多めの重曹を振りかけ、少量のクエン酸(または穀物酢)とコップ1杯分のお湯を少しずつ流し込みます

すぐに発泡するので数分放置して汚れを浮かせてから古歯ブラシで擦り落とせば臭いも汚れもスッキリします。

魚グリルの水受けに

重曹を使った掃除方法「魚焼きグリルの汚れ落とし」

重曹を多めに振り入れ水を入れてから使用します。重曹が魚の脂っぽさと生臭さを吸収してくれるので後片付けの時に水のギトギト感が半減します。

重曹だけを水受けに敷き詰めて使用する方法もありますが、私は水による防火作用と重曹使用量のコストを考えてこのような使用方法をしています。

ひどい汚れや焦げ付きに

重曹を使った掃除方法「焦げ付いた汚れ落とし」

油汚れがこびりついてしまったガスレンジ台やIHのトッププレートには、重曹2~3:水1の割合で作った重曹ペーストを湿布して15分ほど放置します。
汚れが浮いて重曹になじんでくるので、スポンジで擦るとスルスルっと汚れが落ちます。ステンレス鍋やヤカンの曇りなどもこの方法で磨くとピカピカになりますよ。ただし、コーティング加工などを施している場合は剥げることもあるので注意してください。

重曹での煮洗いに

ヤカンや鍋などの重曹ペーストでも落ちないほど、ひどく焦げ付いてしまった汚れは、水を張り重曹大さじ1~2を加えて5分ほど沸騰させた後、湯が冷めてからスポンジで磨くとこびりついた汚れがゆるみ、落ちやすくなります。
この時、必ず水から重曹を入れるようにして下さい。熱湯に入れると噴出して危険です。

重曹による煮洗いは、重曹に火、または熱湯を加えると、分解されてPH11.2のアルカリ度の高い炭酸ソーダ(炭酸塩)に変化する反応を利用したものです。
ただし、アルカリ度が上がる分、手肌への負担も増えるので、家事用手袋をするなど養生して使用するようにしてください。

ゴミ箱の消臭に

生ごみに直接、多めの重曹を振り入れます。生ごみの酸性の臭いを中和して臭いが軽減します。
また水分を吸収する作用もあるので水気の多い生ごみが出る日は多めに振り入れるとベチョベチョになりにくいです。

【風呂・トイレ】重曹を使った「水周り」のお掃除

重曹は、水周りのヌメリやさまざまな汚れにも効果を発揮します。掃除に使用した後に重曹を洗い流しやすく、あとの処理に困らないため、こちらもおすすめの掃除場所です。

ヘアキャッチャーや排水口パーツ掃除に

重曹を使った掃除方法「排水口パーツの汚れ落とし」

黒ずみや、ねばねばした不快な汚れも、重曹を振りかけてからブラシなどで擦ると、粉がねばねばや汚れを吸着してくれるので、サッパリと洗うことができます。
洗い流した後はツルツルすべすべになります。

浴室の床や洗面ボウルの掃除に

洗面ボウルには皮脂汚れや埃などさまざまな汚れが混在してこびりついています。また、凸凹している浴室の床は隙間に皮脂汚れや石鹸カスなどのさまざまな汚れが溜まってしまいます。
重曹を振りかけ、水を含ませたスポンジやクロスなどでこすると、細かい粒子が汚れを掻き出してスッキリつやつやになります。

トイレの便器掃除に

重曹を使った掃除方法「トイレの便器の汚れ落とし」

便器内部の水たまりの輪染みや便器の縁裏の尿石汚れには、酸性の洗剤をかけて汚れを緩ませてから、重曹をつけたブラシで擦り落とすと研磨作用で汚れが落ちやすくなります。
ブラシよりもスポンジタイプの方がしっかり重曹を吸着して研磨してくれるのでおすすめです。

【リビング・玄関】重曹を使った掃除

そのほかにも、重曹は家の中の様々な用途に使えます。お掃除で余った粉などを使い切る場合などにも、ぜひ参考にしてみてください。

リビングの拭き掃除に

ドアノブやスイッチプレートなど手垢がつく場所には、重曹水(水500mlに大さじ1を溶かしたもの)をスプレーして拭き取ると、皮脂汚れが拭き取れてスッキリします。
ただし、スプレーで使用する際はしっかり二度拭きをしないと白い粉が残ることがあります。

靴箱の消臭に

重曹の使い道「靴箱の消臭」

靴箱には皮脂や汗から出る独特の臭いがあります。広口のカップに重曹を入れたものを設置すると、防臭吸湿作用が働きます。
臭いは下の方にたまりやすいので設置する場所は、一番下の段が効果的です。万が一倒れた際にも靴箱中が重曹の粉まみれになることが防げます。

重曹を使うときの注意点

重曹をお掃除に使う際に、少し気をつけて頂きたいポイントがあります。ご使用前に必ず、目を通してみてくださいね。

しっかり拭き取って、粉が残らないようにする

重曹水を使った拭き掃除や防臭スプレーをすると、乾燥した後に重曹の成分が残り白い粉として浮き出てしまいます。使用後は二度拭きをしたり、クエン酸で中和させるなどしてしっかり成分を拭き取る必要があるため、広い範囲にスプレーして使用する場合はストレスが生じます。

重曹を掃除に使う時の注意点「しっかり拭き取る」

画像は電子レンジの表面を重曹スプレーで拭き掃除して数時間後。1度拭いただけでは、白く成分が残ってしまっているので二度拭きしなければなりません。

重曹の粉をまく掃除方法は、後始末が大変

ぬいぐるみやカーペットなど丸洗いできないものに粉のまま振りかけて、掃除機で吸引するという清掃方法があります。
しかし、重曹はとても粒子が細かいため、掃除機の吸引能力とのバランスを間違えてしまうと、粉を取り切るのにかなり時間がかかってしまいます

私も大型カーペット掃除をしようと重曹の粉をまく掃除を試してみたところ、掃除機の吸引力が追い付きませんでした。結局、まいた重曹の粉が取り切れずにコインランドリーで丸洗いをした、という苦い経験があります。

粉飛びに注意する

粒子が細かいので吸い込んだり目に入ることがあります。こぼれた場合も拭き取り切れずザラザラ残ることがあるので、小分けする際はお風呂場やシンクなど水で洗い流せる場所で作業することをおすすめします。

手荒れに注意する

天然成分とはいえアルカリ成分は手肌の表面のタンパク質を溶かす力があります。長時間使用する際は家事用手袋をする、使用後は保湿ケアをするなどするようにしてください。特に熱を加えた後の重曹はアルカリ度が高い炭酸塩に変化しているので、素手で扱わないように注意してください。

湿気に注意する

吸湿効果があるので、なるべく空気に触れないよう蓋をして保管するようにしてください。固まってしまっても、先のとがったもので崩せば使用することはできます。

傷つきやすい素材はテストしてから使う

上記の掃除方法でも重曹が使用できない素材を含む場合、傷がつきやすい素材は変質変色の原因になるので、目立たない所でテストしてから実践してください。

重曹の特徴を理解して上手に使いこなそう

洗剤ではないひとつの「素材」なのに、こんなにいろいろな効果や使用方法があるなんてやっぱり「重曹」は魅力的なお掃除アイテムだと思います。

私のおすすめの使用方法は重曹は(防臭作用を除く)しっかり水で洗い流すことができる環境での使用が一番ストレスなく効果的に使用できる方法だと思っています。
まずは粉用のボトルに入れた重曹を手に取りやすい場所に置いておいて使ってみることから始めてみてください。

ご紹介した他にも使ってみるとこんな効果があった、というものが沢山あるはずです。きっと重曹の魅力に気づき、重曹大好きになると思います!

公開日:2017年9月14日
更新日:2025年5月16日

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参考資料

石鹸の基礎知識から使い方まで、石鹸生活の総合情報サイト 石鹸百科アイテム事典 検索日:2017年9月14日

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