整理収納アドバイザー、住宅収納スペシャリスト、クリンネスト2級。「家事は素早くラクに!」をモットーに、家事が時短になるテクや片付けに関する記事を「ESSE-online」「収納マガジン」などで多数執筆。
「片付けたつもりなのにすぐに散らかってしまう」、「どこから片付けたらいいのかわからない」。
片付けが苦手だという人からは、こんな声が聞かれます。
片付けは一気にやらずに、仕組みづくりをして習慣化してしまったほうがラクです。
そこで今回は、リバウンドしにくい片付けのコツと習慣化する方法をお伝えします。
片付けてもすぐにリバウンドしてしまう原因は?
片付けても部屋が散らかってしまうのには原因があります。その原因を見つけることで自分の課題が見えてくるはずです。
まずは、自分に当てはまるものをチェックしましょう。
【原因1】不要なモノが収納されている
家の中に「使っていないのに所有しているモノ」はありませんか?
収納スペースは使うモノをしまうためにあるもの。
不要なモノが収納されているから、収納が足りなかったり、部屋が片付かなかったりするのです。
不要なモノが収納されていると、必要なモノが収納できず出しっぱなしになってしまいます。
それが、リバウンドする原因の1つです。
【原因2】定位置が決まっていない
モノを収納するときは必ず定位置が必要です。
定位置が決まっていないと、ちょっとした空きスペースに適当にモノを置いてしまいます。
定位置がないモノはどこに置いたか忘れがち。
それが散らかってしまう原因につながっているのです。
【原因3】定位置が片付けにくい場所にある
定位置が決まっているのに元に戻せない……。
それは定位置の場所が間違っているからかもしれません。
定位置が片付けにくい場所にあったら、元に戻すのを面倒に感じて、置きっぱなしになってしまいます。
【原因4】床や台の上にモノをちょい置きしてしまう
ポストから出してきた郵便物、爪切りや耳かきなどの衛生用品、帰宅後のバッグなどは床やテーブル、棚の上についついちょい置きしてしまいがち。
何気なく置いたモノは、片付けられないままになってしまいます。
【原因5】インとアウトのバランスが悪い
ちゃんと片付けたのに、いつの間にかモノであふれてしまう。
それは、処分したモノよりも家に持ち込まれたモノのほうが多いからです。
どんなに片付けてもモノが減らなければ、いつまでたっても片付いたことにはなりません。
モノが片付かないならば、インを減らしアウトを増やすことを心がけるようにする必要があります。
片付けを習慣化する前の5つのステップ
片付けようと思い立ったとき、まずは収納グッズを買いに行く人や見た目だけキレイにする人がいます。ですが、それは間違いです。
片付けには順番があります。
この順番がわかっていないために、リバウンドしてしまう人がとても多いです。
では、どのように片付けを進めていけばいいのでしょうか?
片付けの基本となる「片付けの順番」を説明していきます。
【STEP.1】モノの全部出し
片付けを始めるときに最初にやることはモノの全部出しです。
片付けたい場所のモノを全部出して要・不要に仕分けます。
このときに大切なのは、「捨てる」「捨てない」でモノを仕分けないこと。
捨てるかどうか迷ったモノは、一時的に残すモノとして別にしておくのがおすすめです。迷うモノを残すことで仕分け時間を短縮できます。
同時に収納場所にどれくらいの量を収納するか(適正量)まで決めてしまうと、仕分けの段階で残せるモノの量がわかりやすくなるでしょう。
【STEP.2】分類する
次に残したモノを使用頻度別に分類していきます。
<分類の仕方>
- 毎日使うモノ
- 週1回以上使うモノ
- 月に1回程度使うモノ
- 年に1回程度使うモノ
- 使わないけれども思い出として残しておきたいモノ
- 1年以上使っていないモノ、捨てるか迷っているモノ
片付けで大切なのは、「よく使うモノ」を使いやすい場所に収納することです。
この分類が曖昧だとリバウンドしやすくなってしまいますから、しっかりとモノに定義づけをしてくださいね。
【STEP.3】低位置決め
どこに何を収納するか「定位置」を決めていきます。
よく使うモノは「ゴールデンゾーン」と呼ばれる腰から目線の間を定位置にします。
また、手の届きにくい場所には使用頻度の低いモノを。
安全面を考慮して、上段は軽いモノ、下段は重いモノを定位置にすることも意識しましょう。
定期的な見直しは必要ですが、迷っているモノは見えない場所へ。
捨てなければいけないのに捨てられない自分を責める気持ちがなくなり、ストレスを軽減できます。
【STEP.4】グルーピングして収納する
用途が同じモノは、まとめて収納するとラク。これをグルーピングと言います。
グルーピングしたモノは収納グッズを使ってまとめ、収納していきます。
収納グッズは、場所に合ったグッズを選びましょう。
たとえば上段は取っ手付きの収納ボックスを使ったり、下段に重いモノを置きたいときはキャスター付き収納ケースを活用したりして、出し入れしやすい仕組みをつくります。
元に戻しやすい収納にすれば、出しっぱなしを防ぎやすくなります。
【STOP.5】定期的に見直す
最初に決めた定位置だと使いにくいと感じたら収納を見直します。
実際に試してみないとわからないことも多いですから、定位置を変えるのは悪いことではありません。
トライ&エラーを繰り返して使いやすい収納を探してみてください。
また、収納したいモノが時の流れとともに変わることもありますよね。
自分や家族にとってベストな収納場所・収納方法を見つけるためには、臨機応変に見直していくことが大切です。
片付けが苦手な人におすすめしたい3つの習慣化
どんなに整理収納の基本どおりにやったとしても、片付けが苦手な人にとってやはり片付けのハードルは高いでしょう。
一気に片付けようと思うとなかなか片付けられない場合は、毎日でもできる小さな習慣から始めてみることをおすすめします。
では、具体的にどんな方法があるのでしょうか?
【片付けの習慣化1】1日1捨てをする
片付けてもリバウンドしてしまう原因の1つとして「インとアウトのバランスが悪い」ことを挙げました。
だからといってあれもこれも捨てようと考えると難しいですが、1日に1つ何かを捨てるだけならばハードルは高くありません。
もちろん2つでも3つでもOKです。
深く考えることはなく、お財布のレシート1枚でも上着のポケットに入っているゴミでも何でも構いません。
「家からモノを減らす」という意識を持てるようにすることが大切です。
【片付けの習慣化】1つ買ったら1つ手放す
「収納スペースの適正量」を決めても、モノを増やしてしまったら適正量をオーバーしてしまいます。
ですから、収納スペースに余裕がない限りは、何か買いたいモノがあるときは、家にあるモノで何を減らすかをセットで考えるクセをつけましょう。
たとえば、素敵な洋服を見つけて買いたいと思ったときに、自分のクローゼットの中身を思い出して減らせる洋服があるかどうかを考えます。
もし減らせる洋服がなければ買わない、減らせる洋服があれば買うといったようにルールを決めておくと、衝動買いが減ります。
これができるようになると節約にもつながり、自分にとっていいモノだけを選ぶようになっていくでしょう。
行動の「ついで」に片付ける
何か行動を起こしたときの「ついでに」ルーティンとして片付けを意識できるようになると、日々の生活でモノを溜め込まなくなります。
たとえば、テーブルや棚の上に未処理の郵便物を置きっぱなしにしている人は置く前の段階で処理をしてしまいましょう。
ポストから出して家に戻る間に、開封して要・不要に分けて、郵便物を置く場所の手前にゴミ箱を設置し、不要なDMやチラシを捨ててしまえばいいのです。
その時点で定位置には必要な郵便物だけが置かれるため、処理しやすくなります。
片付けを挫折しない3つのポイント
決意を持って片付けようと思っても、先が見えないと気が進まず、片付ける前に挫折してしまいます。
そこで片付けのモチベーションを保つための3つのポイントを挙げてみました。
【ポイント1】片付けた後の理想の生活を想像する
なぜ片付けたいと思うのか? それは片付ければ、自分にとって暮らしやすい生活が待っているからです。
つまり、片付けはゴールではなく、ゴールにたどり着くための過程にすぎません。
自分は片付けてどんな暮らしがしたいのか、どんないいことがあるのか。
そこまで想像すると、モチベーションを保ちやすいでしょう。
【ポイント2】やりやすい場所から始める
片付けはハードルの低い場所から始めます。
長年撮りためた「写真整理」のような大変なものから始めてしまったら、いつまでも片付けは終わりません。
まずは、お財布の整理から始めてもいいですし、引き出し1つからでもいいです。
小さなことから始めて、片付けができた自分を褒めましょう。
また、片付けるなら日常生活で自分が主導権を握っている場所にします。
家事をする人なら、キッチンやランドリースペースなどが片付けやすいでしょう。
場所としては玄関もおすすめです。
家族のプライベートなスペースから始めるのは避けてくださいね。
【ポイント3】片付けの手間をかけない収納にする
元に戻すのに手間がかかると、リバウンドしやすくなります。
たとえば、ハサミの定位置について、リビングにある扉付き収納棚の中に置いた引き出し式収納ケースの中にしたとします。
この場合、棚の扉を開け、収納ケースの引き出しを開けてからハサミを収納しなければなりません。
使うときは必要なので、この手間は気になりませんが、しまうときは面倒に感じます。
ハサミはよく使うので、棚の上のオープンな場所に定位置を決めたほうが、片付けがラクですよね。
美しくスッキリと見せるよりも、元に戻すのに手間がかからない収納を考えるほうがリバウンドしません。
片付けは小さな一歩から
片付けは一気にやろうとすればするほど、なかなか進みません。
最後は疲れてしまい、曖昧な収納にしてしまう場合が多いです。その曖昧さがリバウンドを招きます。
ですから、片付けはどんなに小さなことでもいいのでコツコツとやっていくほうが「片付けできない自分」を責めることなく、習慣として続けていけるでしょう。
片付けのコツさえつかんでしまえば、「片付け苦手さん」から卒業できる人は多いです。
ご紹介した片付けの方法とマインドで、最初の一歩を踏み出してみてくださいね。
長く使える収納アイテムは、こちらでも多数紹介しています。ぜひご覧ください。